高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

高槻市の令和4年度の実質単年度収支は約26億円の赤字。公共施設の基金の積み立てを言い訳にはできない。

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先日の本会議では、令和4年度の実質単年度収支が約26億円の赤字になったことについても質問しました。

選挙が終わって、初めての決算で、実質単年度収支が大幅な赤字だと示されて、大変驚きました。4年前の平成30年度も19億7400万円の赤字だったので、選挙前の決算を黒字にするために・・・といった疑念も湧きますが、真実は分かりません。

議会で赤字の理由を訊くと、財政調整基金から公共施設等総合管理基金へ30億円を積み替えたことが大きな要因だといった答弁がされたのですが、平成27年11月付の「高槻市公共施設等総合管理計画」では、今後40年間で必要となる公共建築物の整備額の合計は2000億円で、年平均は50億円だとされていますので、この基金の積み立てを言い訳にしてはいけないはずです。

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先日書いたとおり、経済効果がまったく検証されていないプレミアム付商品券事業の市の負担分は、計約20億3千万円でしたが、もし、それがなければ、赤字を大幅に減らすことができたのではないのでしょうか。

今後は、公共建築物の更新・整備だけではなく、さらなる少子高齢化等にも備えなければならないはずです。効果のない、無駄な事業をする余裕は、高槻市には、ないと思います。

なお、最近流行りのAI・ChatGPTに、単年度収支と実質単年度収支の違いを尋ねると、以下の回答がありました。

単年度収支と実質単年度収支についてお尋ねですね。これらは、地方財政の状況を示す指標の一つです。簡単に説明しますと、以下のようになります。

単年度収支とは、その年度だけの純粋な収支のことです。実質収支から前年度の実質収支を引いた額が単年度収支になります1。実質収支とは、歳入総額から歳出総額を差し引いた額から、翌年度に繰り越すべき財源を控除した額のことです。

実質単年度収支とは、単年度収支に財政調整基金への積立額や地方債の繰上償還額を加え、財政調整基金の取崩し額を差し引いた額のことです。財政調整基金とは、地方公共団体が将来の財政需要に備えて積み立てる基金のことで、黒字要素と赤字要素に分けられます。黒字要素とは、財政的にプラスに作用するもので、財政調整基金への積立や地方債の繰上償還などがあります。赤字要素とは、財政的にマイナスに作用するもので、財政調整基金の取崩しなどがあります。

単年度収支と実質単年度収支の違いは、財政調整基金や地方債などの黒字要素や赤字要素を考慮するかどうかです。単年度収支は歳入と歳出の差に着目した指標ですから、これらの要素が混ざったものになっています。それらを整理し、より正確に単年度の収支を示したものが実質単年度収支という指標です。



以下は先日の議会でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをお許しください。

■認定第1号令和4年度高槻市一般会計歳入歳出決算認定について(歳入全般)

▲1.実質単年度収支について

<1回目>

 主要事務執行報告書の28ページと29ページには、「普通会計財政状況等の推移」として平成19年度から令和4年度までの歳入歳出や、財政に関する指数が記載されているのですが、令和4年度の実質単年度収支については、25億7700万円の赤字となっています。
 平成19年度からの16年度分の数字を見ると、この約26億円の赤字は、4年前の平成30年度の19億7400万円をさらに下回る、最悪の数字となっています。
 令和3年度は48億1000万円の黒字だったのに、なぜ、令和4年度は、約26億円の赤字になってしまったのでしょうか?原因をお答えください。

【答弁】
 実質単年度収支は、当年度の実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額に、財政調整基金の増減額、及び市債の繰上償還額を加減し、算出します。
 令和3年度は、国費事業の新型コロナウイルスワクチン接種事業等において、令和4年度に償還することとなる国庫支出金16億3,000万円が歳入超過となり、その分が、令和3年度の実質収支に上乗せされたため、令和4年度の実質収支から令和3年度の実質収支を差し引きする令和4年度の実質単年度収支には、16億3000万円の引き下げの影響が生じたこととなります。
 また、令和4年度において、財政調整基金から公共施設等総合管理基金へ30億円を積み替えたことで、市の基金総額に影響はないものの、実質単年度収支の算定においては、30億円の引き下げ要素となり、これらの引き下げ要素の合計は、46億3000万円となりました。
 こうしたことから、令和4年度の実質単年度収支は、結果的にマイナス25億7700万円となりましたが、これらの要素がなければ黒字であり健全財政を維持しております。
 なお、一般的に地方公共団体の決算における黒字・赤字を示す令和4年度の実質収支は10億3200万円の黒字であり、40年連続して黒字決算を維持しております。

<2回目>

 令和4年度の実質単年度収支が、過去16年度において、最悪の25億7700万円の赤字になったのは、財政調整基金から公共施設等総合管理基金へ30億円を積み替えたことが原因だということです。
 将来の公共施設の建替え等に、多額の費用が必要だから、それに備えて、公共施設等総合管理基金へ30億円を積み替えたのだと思いますが、なぜ、令和4年度に、30億円を積み替える必要があったのでしょうか?令和4年度より以前に、徐々に、積み立てや積み替えをすることはできなかったのでしょうか?お答えください。

【答弁】
 公共施設等総合管理基金につきましては、令和4年4月1日付けで体育施設建設等積立基金、公園墓地管理基金、ごみ処理施設整備基金の3基金を統合するとともに、将来の負担に備え、財政調整基金から同基金に30億円の積み替えを行ったものです。

<3回目>

(1)高槻市監査委員の「令和3年度 高槻市一般会計・特別会計 決算等審査意見書」の51ページには、「公共施設整備基金の増は、ごみ処理施設整備基金、体育施設建設等積立基金及び公園墓地管理基金が公共施設整備基金と統合されるに当たり、基金残高を積み替えたこと、森林保全資金貸付基金の廃止による精算分を積み立てたことによるものである。」とされていて、決算年度末における各基金の現在高などが示されています。
 先ほどのご答弁では、令和4年4月1日付けで、公共施設等総合管理基金に、体育施設建設等積立基金、公園墓地管理基金、ごみ処理施設整備基金の3基金が統合されたということでしたので、令和4年度のことのような印象を受けたのですが、監査委員の意見書のほうが間違っているということなのでしょうか?
 それとも、その3基金の統合は、令和3年度のことなのでしょうか?お答えください。

⇒公共施設等総合管理基金につきましては、決算等審査意見書にあるとおり、令和4年3月に、公共体育施設建設等積立基金、公園墓地管理基金、ごみ処理施設整備基金の3基金基金残高を、旧公共施設整備基金へ積み替えを行ったうえで、令和4年4月1日付で3基金を統合すると共に、公共施設等総合管理基金に名称を改めたものでございます。

(2)令和4年度は、単年度収支も15億4200万円の赤字ですが、これが仮にプラスマイナス0円であった場合には、実質単年度収支は何円になるのでしょうか?どれだけ改善されるのでしょうか?お答えください。

⇒単年度収支につきましては、繰り返しとなりますが、令和3年度は、国費事業の新型コロナウイルスワクチン接種事業等において、令和4年度に償還することとなる、国庫支出金16億3000万円が歳入超過となっております。
そのため実質単年度収支と同様に、令和4年度の実質収支と令和3年度の実質収支を差し引きする、令和4年度の単年度収支においても、16億3000万円の引き下げの影響が生じ、結果としてマイナス15億4200万円となっております。
この要素がなければ、単年度収支においても黒字であり、健全財政を維持しております。

(3)平成27年11月付の「高槻市公共施設等総合管理計画」14ページでは、公共建築物に限って言いますが、試算の結果、今後40年間で必要となる整備額の合計は、2000億円で、年平均は50億円だと書かれています。また、「今から約20~30年後に更新費等のピークが来る」とも記載されています。
 2000億円のすべてを公共施設等総合管理基金に積み上げる必要はないと思いますが、今後20年間で、何円を、この基金に積み上げる必要があるのでしょうか?平均すると、1年度に何円を、この基金に積み上げなければならないのでしょうか?お答えください。

⇒公共施設等総合管理基金の積み立ては、財政収支に大きな影響が生じないよう、市の財政状況や各基金の残高等の状況に応じて、適切に管理してまいります。

 あとは意見を述べます。
 選挙が終わって、初めての決算で、実質単年度収支が赤字だと示されて、大変驚きました。基金の積み替えも大きな要因だというお答えでしたが、公共施設等総合管理基金には、近い将来に必要な、公共施設の更新・整備の資金を、徐々に、積み立てておかなければならないわけです。つまり、単なる基金の組み換えではなくて、必要な資金を、基金に積んでいるだけで、いわば、住宅ローンを先払いしているような感じで、建設費を積み立てているわけですので、それを捻出するために、令和4年度に、財政調整基金から30億円を取り崩したことについては、必要経費的なものとして、やむを得なかったということではないのでしょうか。
 歳出の質疑で申し上げたとおり、経済効果がまったく検証されていないプレミアム付商品券事業の市の負担分は、計約20億3千万円でしたが、もし、それがなければ、赤字を大幅に減らすことができたのではないのでしょうか。実質単年度収支の赤字を、財政調整基金の取り崩しのせいにすることについては、私は疑問を覚えます。
 先ほど申し上げたとおり、公共建築物の更新・整備のために、今後、数十年間で2000億円が必要ともされていますし、さらなる少子高齢化等にも備えなければならないはずです。効果のない、無駄な事業をする余裕は、ないのではないでしょうか。
 バラマキで、市の財政を悪化させないようにしてください。要望しておきます。

⇒また、赤字とのご発言でございますが、あくまでも一般的に地方公共団体の決算における赤字・黒字を示す令和4年度の実質収支は10億3200万円の黒字であり、40年連続黒字決算を維持しております。



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高槻ご意見番 代表 北岡隆浩(高槻市議会議員)