今日は9月議会本会議の2日目。議案に対する質疑が行われ、私もいくつか質問しました。
市バスの乗客が新型コロナウイルスの影響で激減し、令和元年度の決算は赤字に。令和2年度の予算も、大幅な下方修正をしたいと補正予算案が上程されました。民間の事業者の皆さんも大変な状況だと思いますが、市バスも大ピンチに。
半沢直樹じゃないですが、今日は、市バスの経営を立て直すための3つの提案をしました。
1.高齢者等の無料乗車分の補助金は、実際の乗客数に応じたものにすること
2.令和3年度からの無料乗車制度の変更は、一部有料化により逸走(これまでのバス利用者が、有料化でバスを利用しなくなること)が一定発生するので、制度変更は中止し、現行のとおり70歳以上は無料とすること
3.バス運転士を全員、非常勤化・会計年度任用職員化すること
1と3は以前から私が主張してきたことです。当然取り組むべきことをしなかったツケが、今回回ってきたのだと思います。
詳細は以下の今日の議会でのやり取りをご覧下さい。令和2年度のほうが深刻なので、それを先に載せ、令和元年度の決算のものは後ろにしています。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをお許しください。
■議案第111号 令和2年度高槻市自動車運送事業会計補正予算(第1号)
<1回目>
資料によると、令和2年4月以降、政府から緊急事態宣言が発出されて、不要不急の外出自粛が浸透したことなどから、収益が激減し、令和2年度当初予算に掲げた収支予測がもはや成り立たないとの判断から、今後の乗降人数の動向を分析し、今回上程する補正予算にて収支の見直しを行いたい、ということです。
収益実績は、前年度と比較すると、4月及び5月は半減、6月は3割減。4月から6月までの3か月累計においては約3億円の減収。
7月は6月と同水準の乗降人数で、今後は増加が見込めないと推測しているとされています。
そこで、予算を補正して、収益をマイナス7億5106万7千円の30億8765万1千円に、費用を、マイナス1億5807万3千円の36億7569万5千円などにしたいということです。
まず4点伺います。
(1)今後の乗降人数の動向を分析したということですが、高齢者等福祉乗車券に係る輸送人員はどれだけだと分析されたのでしょうか?人員数をお答えください。
また、この高齢者等福祉乗車券を利用した乗客の方々が、通常の運賃を支払った場合には、その運賃収入は何円になるのか、お答えください。
⇒高齢者福祉乗車券の対象人員は新型コロナウイルスの影響により約3割程度減少しております。しかしながら、今後の動向については補正予算にかかる損益には影響しないことから算出しておりません。
(2)高槻島本夜間休日応急診療所の建設に伴い、弁天駐車場下の滞留所機能について、緑町の阪急高架下に滞留所と待機所の建設を行いたいとして、計6104万5千円の予算を計上されていますが、高槻市の事情で、交通部側が、弁天駐車場下を退去せざるをえない場合については、どういった取り決めがされているのでしょうか?具体的にお答えください。
⇒弁天駐車場下の退去についてですが、現在使用している市営バス弁天駐車場の敷地のうち、弁天駐車場下部分については市の市有地であり、行政財産使用許可を得て使用しているものです。
(3)今年度の職員の採用については、どうされるのでしょうか?非常勤職員の人数が減少していますが、非常勤の職員を増やす考えはないのでしょうか?お答えください。
⇒非常勤職員についてですが、今後とも正規職員、非常勤職員にかかわらず、市営バス事業継続のため必要な職員数を確保してまいります。
(4)路線バスで宅配便を運ぶ「貨客混載」---「客貨混載」としている事業者もありますが---を行って、生活路線の維持と同時に物流の効率化で成果をあげている地域もあるということです。大型商業施設と連携した利用促進の取り組みを行っている例もあります。こうした取り組みを検討されるお考えはないのでしょうか?お答えください。
⇒貨客混載についてですが、現在の市営バスの乗車実態や運行実態において、検討しておりません。
<2回目>
(1)高齢者等福祉乗車券の輸送人員の動向については、今後のものは算出していないということです。しかし、これまでに関しては、新型コロナウイルスの影響により約3割程度減少したということでした。
高齢者等福祉乗車券の利用者以外の乗降客の人数については、新型コロナウイルスの影響で、今年の4月から7月に関しては、どれだけ減少したのでしょうか?具体的な割合をお答えください。
⇒高齢者等福祉乗車券以外の有償利用者についてですが、4月から7月までの累計については約41.3%減少しております。
(2)弁天駐車場下については、行政財産使用許可を得て使用しているということです。念のため確認しますが、行政財産使用許可の場合は、一般的な賃貸借の契約とは違って、立ち退きを求められても、何の補償も受けられないのでしょうか?お答えください。
⇒弁天駐車場下の退去についてですが、使用許可の条件として、補償を求めることはできません。
(3)職員の採用については、正規職員、非常勤職員にかかわらず、必要な職員数を確保していくということです。現在、給与の月額が172,957円の会計年度任用職員を10名程度採用するための試験を行っているようですが、この会計年度任用職員は、フルタイムなのでしょうか?それともパートタイムなのでしょうか?どれだけの応募があったのでしょうか?お答えください。
また、現在の採用試験については、第2回とされていて、次回は令和2年11月28日に実施予定とされています。今年度は、正規職員や、それ以外の職員について、それぞれ何人を採用する予定なのでしょうか?お答えください。
⇒現在実施している会計年度任用職員試験については、パートタイムの会計年度任用職員を募集しており、第1回目で22名、第2回目で24名の応募がありました。
採用人数につきましては、1問目でお答えしましたとおり、正規職員、非常勤職員にかかわらず、市営バス事業継続のため必要な職員数を確保してまいります。
(4)貨客混載や、大型商業施設との連携については、検討していないということです。それらが、高槻市で実施できない理由があるのでしょうか?あるのであれば、具体的にお答えください。
⇒貨客混載につきましては、お客様のご利用実態から、輸送力の低下を懸念しております。
<3回目>
まず、乗降客数の減少についてです。新型コロナウイルスの影響で、高齢者等福祉乗車券の対象人員は約3割減少した一方で、それ以外の有償利用者については、それを上回る約41.3%の減少だということです。高齢者等の皆さんは、無料だから、あるいは車や自転車の利用が困難だからといった理由があるので、有償利用者と比べて減少幅が低いのではないかと考えられます。令和元年度の決算では、高齢者等福祉乗車券をご利用の方が、通常の運賃をお支払いいただいた場合、その運賃相当額は、14億8316万3110円ということでした。その3割減は、計算すると、10億3821万4177円になるので、令和2年度の高齢者等の運賃相当額は、厳しめな見積りだと思いますが、そのくらいだと仮定させていただきます。そうすると、6億9千万円の補助金との差額は、約3億5千万円。今年度、約6億円の赤字が見込まれるとしても、市からの補助金を、実際にバスに乗られた乗客の人数に応じた額にすれば、減収の幅をかなり減らせるはずです。
これが、来年度の令和3年度から、無料乗車制度を変更して、70歳以上の方が一部有料となれば、新型コロナウイルスの影響とか「新しい生活様式」の定着による減少だけでなく、さらに以前議論した「逸走率」が加わりますので、市バスの会計の立て直しに遅れが生じると考えられます。ですので、高齢者無料乗車制度については、令和3年度からの制度変更を中止し、現行どおり70歳から無料とするべきです。
補助金を増やせば、市の一般会計の負担が増えるではないかという意見もあると思います。けれども、高槻市営バス・高槻市自動車運送事業・交通部も、高槻市の行政機関の一部です。交通部の職員の皆さんも、同じ公務員であり、同じ高槻市職員の同僚・職場の仲間ですよね。今回、交通部が出した補正予算案を見ると、かなり支出を削っています。その点は努力をしていると思います。交通部以外の部署も、支出削減の努力を行って、交通部への補助金を捻出すべきです。交通部だけにしわ寄せがこないように、「オール高槻市役所」で、この難局を乗り越えるべきです。
人事については、正確な人数を何故かお答えになりませんが、今年度は、積極的に会計年度任用職員を採用しようとしているようです。ずっと前から、非常勤の職員を増やしておくべきだったということは、決算の質疑のときに指摘しましたが、今後は、乗務員全員を、非常勤化・会計年度任用職員化するよう方針を転換してください。特別な事情がない限り、正規職員の採用を停止すれば、40年後くらいには全員置き換わるはずです。
貨客混載等の検討についてですが、乗客の減少は、すなわち、家から出ない、バスに乗らない、宅配やデリバリーを利用する機会が増えるということだと思います。宅配等の需要が増えるなら、貨客混載のほうが利益を出せる可能性もありますよね。他市の事例も参考にしながら、検討してみてもよいのではないでしょうか?提案しておきます。
以上です。
■認定第10号 令和元年度高槻市自動車運送事業会計決算認定について
<1回目>
(1)高槻市監査委員の決算等審査意見書の41ページと42ページのグラフを見ると、平成28年度をピークに、非常勤職員の人数が減少しています。何故なのでしょうか?お答えください。
⇒年度途中や年度末の退職者等により非常勤職員数が減少しております。
(2)同じく58ページには「新型コロナウイルス感染症の影響に伴い乗降客が減少したことによる減収など」と書かれています。具体的には、新型コロナウイルス感染症の影響で、何円の減収になったと考えているのでしょうか?お答えください。
⇒新型コロナウイルスの影響により、約8千万円の減収となったと推計しております。
(3)高齢者等福祉乗車券に係る輸送人員はどれだけだったのでしょうか?お答えください。
また、この高齢者等福祉乗車券を利用した乗客の方々が、通常の運賃を支払った場合には、その運賃収入は何円になるのでしょうか?お答えください。
⇒高齢者等福祉乗車券にかかる輸送人員についてですが、利用人数は751万7,949人で、通常の運賃をお支払いいただいた場合は14億8,316万3,110円となります。
<2回目>
(1)非常勤職員数については、退職者等により減少したということです。令和元年度は募集を行ったのでしょうか?募集をしたけれども、応募がなかったのでしょうか?あるいは採用に至らなかったのでしょうか?詳細をお答えください。
⇒令和元年度は1回募集を行い、5名採用しております。
(2)新型コロナウイルスの影響により、推計で約8千万円の減収となったということです。この影響がなければ、純利益あるいは純損失は、どれだけになったのでしょうか?お答えください。
⇒新型コロナウイルスの影響がなければ収支均衡に近い状態であったと考えております。
<3回目>
令和元年度の高槻市自動車運送事業会計の決算は、新型コロナウイルス感染症の影響で、高槻市営バスの乗客が減少したために、約8千万円の減収になったということです。令和2年度は、もっと大きな影響を受けそうです。
新型コロナウイルスの影響については、交通部のせいではありません。
しかし、非常勤職員をもっと増やしてきていれば、人件費を削減できたので、この影響を避けられたのではないでしょうか?
私は平成25年12月4日の議会で、正規職員と非常勤職員とで仕事の内容や能力に差はないし、正規職員を全員、非常勤職員とすることも検討すべきだと述べました。当時、正規職員を全員非常勤職員にすれば、約5億円人件費を削減できるとの試算も示しました。無論、仮にその当時から非常勤職員への入れ替えを行ったとしても、令和元年度の時点で、さすがにそこまでの額にはなりませんが、非常勤職員を増やす努力をしていれば、減収の幅を減らせたのではないでしょうか。今回、非常勤職員を増やさなかったツケが回ってきたのだと思います。今後は、非常勤職員・会計年度任用職員の割合を増やす努力をしてください。
次に高齢者等福祉乗車券の補助金についてです。平成31年3月6日の議会でも申し上げましたが、補助金と、実際の乗客数から算出した運賃相当額との差額については、一般会計で負担すべきです。主要事務執行報告書の31ページには、高齢者市バス運賃無料化のための補助金について、積算基礎として、ずいぶん前の高齢者の人口を未だに用いていますが、ICカードによって、実際の人数が分かっているわけですから、こういう架空の計算式を載せているのは、おかしいですよね。この計算式を見ても分かるとおり、実際の乗客数に応じた補助金が、本来、交付されるべきなんです。
令和元年度の高齢者等福祉乗車券にかかる実際の輸送人員から運賃相当額を算出すると、約14億8300万円だということです。補助金は6億9000万円なので、その差額の約7億9300万円が、いわば交通部の損害です。この補助金と運賃相当額との差額を、一般会計から補填するようにすれば、令和2年度も、かなり赤字幅が減少するのではないでしょうか?
私は交通部の会計を立て直すためには、非常勤職員・会計年度任用職員の増加と、実際の乗客数に基づく補助金の金額の算出、そして、令和3年度から市営バス無料乗車制度が変更されますが、その変更の中止が必要だと考えています。
現在、市営バス無料乗車制度により、70歳から無料ですが、令和3年度からは、制度が変更されて、70歳から74歳までが、徐々に有料となります。逸走率の議論もしましたが、いずれにせよ、有料化によって、乗客数が一定の割合減少することが見込まれています。新型コロナウイルス感染症の不安や「新しい生活様式」の定着だけでなく、さらに有料化もされるということになれば、バス離れが加速して、想定以上に逸走率が上がるかもしれません。そうすると、実際の乗客数に基づいて補助金を算出したとしても、市バス事業の立て直しが遠のくと考えられます。令和3年度からの制度変更は中止すべきです。
提案と要望をしておきます。以上です。
【答弁要旨】
非常勤職員を多くすればよいとのことだが、全体の経営の中で職員の採用を考えている。
高齢者無料乗車制度の変更については、この議会で一定の結論をみたものである。