高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【マスク着用児童急死】調査報告書の医師の意見についての疑問

昨日の3月議会3日目の本会議では、この件についても質問しました。

「令和2年度に発生した市立小学校における死亡事故についての詳細調査に関する事務が終了したため、高槻市学校事故調査委員会を廃止するとともに、同委員会の委員の報酬に係る規定を削除」したいということで、そのための条例改正案が今議会に上程されました。

死亡事故というのは、昨年令和3年2月18日に、高槻市立の小学校で、マスクを着用して体育の授業を受けていた小学5年生の児童が、5分間走中に倒れ、亡くなってしまった事件です。

この調査を行った調査委員会の答申・調査報告書の問題点については、昨年12月24日にブログに書いたとおり。昨日、この問題点について、議会で質問しましたが、ごまかしのような答弁ばかりで、やはり不当なものとしか考えられず、再発防止や原因究明を希望されたご遺族の気持ちをも踏みにじる悪質なものであると判断し、再度調査を行うべきだと主張して、調査委員会を廃止するというこの議案に反対することを表明しました。

私の前には、市來議員と高木議員が質問しましたが、2人とも鋭く追及していました。

私は今回、調査報告書に記載されていた医師の意見についても疑問をもち、これについても教育委員会に尋ねました。

国・スポーツ庁は、中国でマスクを着けた生徒が体育の授業中に死亡した事例が出たことなどから、令和2年5月21日に、各学校に対して、学校の体育の授業では、①原則マスク着用の必要はなく、②マスク着用時には「呼気が激しくなる運動」は控えるように通知しました。

マスクをして体育の授業を受ければ、死ぬ危険があるということです。

調査委員会は、一人の医師から意見を聴取したのですが、その医師については、公益公益社団法人日本小児科学会から推薦を受けたとのこと。その日本小児科学会のサイトには、次のとおり書かれています。

公益公益社団法人日本小児科学会

子ども(特に2歳未満や障害のある場合)のマスク着用では以下のような危険性が考えられます。

呼吸が苦しくなり、窒息する可能性がある
・嘔吐した場合に、窒息する可能性がある。
・熱がこもり、熱中症になる可能性が高まる。
・顔色、呼吸の状態などが観察しにくいため、体調異変の発見が遅れる。

子どもがマスクを着用する場合は、いかなる年齢・状態であっても、保護者や、子どもにかかわる業務従事者(保育士、教職員など)が上記について注意し、慎重に見守る必要があります。



「特に2歳未満や障害のある場合」との括弧書きがありますが、「いかなる年齢・状態であっても」とも明記されているので、「教職員」が「注意し、慎重に見守る必要」がある対象には、当然、小学5年生が含まれるはずです(なお、小児科の対象は一般的に15歳までとされています)。

そうすると、この日本小児科学会に所属し、推薦を受けた医師ならば、マスク着用は、危険な場合があり、注意し慎重に見守る必要があると考えるはずです。

しかし、調査報告書16ページに記載された医師の意見は・・・

日本小児科学会から推薦を受けた医師の意見

「マスク着用により運動負荷をかけた医学文献によると、マスク着用は運動負荷で血中酸素や二酸化炭素分圧、最大運動負荷量に有意な影響を及ぼさないとの文献が多い。」、「児童が、マスクを着用してX小学校が実施したような、無理のない速さで5分間走を実施したとしても、マスクが直接の原因となって死に至るとは考えにくい。」というものでした。

とても、日本小児科学会に所属する標準的な医師の意見とは思えません。スポーツ庁が、中国で死亡事例が出たとして発した通知も否定するような見解です。調査委員会は、何故この医師1人からしか意見を聴取しなかったのでしょうか。不自然です。

常識的に考えれば、マスクをすれば息苦しくなるのは当たり前ですが、この医師は、「マスク着用により運動負荷をかけた医学文献によると・・・有意な影響を及ぼさないとの文献が多い」とも言っています。昨日の議会で、そういった医学文献の割合や、医師が根拠とした医学文献は何なのかと尋ねましたが、医師からは割合については伺っていない等といった答弁がされただけでした。

そんな医学文献が本当に多いのなら、何故その一部すら明らかにできないのでしょうか?

こうした答申・調査報告書が出されたことは、大変恥ずかしいことですし、これを再調査せず、そのままにして、世間に誤解を与えるのは、殺人と同じだと、私は考えています。

以下は昨日の議会でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをお許しください。

■議案第23号 高槻市附属機関設置条例中一部改正について

<1回目>

(1)この調査委員会の答申・調査報告書は、当初、昨年の12月議会が始まる前の11月25日に提出される予定でしたが、延期がされて、12月議会が閉会した後の、昨年12月24日に提出されました。なぜ提出が延期されたのでしょうか?理由をお答えください。

⇒答申等の提出が延期となった理由についてですが、公表範囲の決定など事務手続きに係る関係者との調整に時間を要したためです。

(2)国・スポーツ庁は、中国でマスクを着けた生徒が体育の授業中に死亡した事例が出たことなどから、令和2年5月21日に、各学校に対して、学校の体育の授業では、①原則マスク着用の必要はなく、②マスク着用時には「呼気が激しくなる運動」は控えるように通知していました。その通知は、調査報告書にも添付されています。しかし、残念ながら、その通知があった翌年の令和3年2月18日に、皆さんご存知のとおり、マスクを着用して体育の授業を受けていた児童が、5分間走中に倒れ、亡くなってしまいました。
 当然、調査委員会は、事件当日、学校の現場で、スポーツ庁の通知の内容が守られていたのかどうかを調査しなければならなかったはずです。
 しかし、答申を見ると、「5分間走」については、「呼気が激しくなる運動」か否かが問われなければならないのに、「学習指導要領に基づいた指導であった」と論点をずらし、マスク着用についても、スポーツ庁の通知の趣旨を逸脱した指導とは認められないとして、教師がマスク着用を控えるよう指導していたかどうかは書いていません。
 調査委員会は、なぜ、「5分間走」が「呼気が激しくなる運動」かどうかを調査しなかったのでしょうか?「呼気が激しくなる」かどうかが問題なのに、調査報告書の中では、なぜ運動強度の話にすり替えたのでしょうか?理由を具体的にお答えください。
 また、調査委員会は、調査報告書の中では、教諭が、走る際は必ずマスクを外しなさいという指示はしていない旨記載しているにもかかわらず、スポーツ庁の通知の趣旨を逸脱した指導とは認められないと何故結論付けたのでしょうか?理由を具体的にお答えください。
(3)調査委員会の委員の皆さんは、実際に「5分間走」を走って、「呼気が激しくなる運動」かどうか、確認をされたのでしょうか?お答えください。
(4)調査報告書には、ある医師の意見として「マスクが直接の原因となって死に至るとは考えにくい」と記載されています。スポーツ庁は、中国でマスクを着けた生徒が体育の授業中に死亡した事例が出たことなどから、マスク着用時には「呼気が激しくなる運動」は控えるように通知しているわけです。
 調査委員会としては、中国で亡くなった生徒も、マスクが直接の原因となって死に至ったとは考えにくいというお考えなのでしょうか?スポーツ庁の通知の内容のほうがおかしいとお考えなのでしょうか?お答えください。

⇒調査委員会の対応についてお答えします。
 先ず、当該小学校が実施した5分間走についてですが、記録に挑戦したり、競走したりする運動ではなく、小学校学習指導要領で示されている「体つくり運動」の「体の動きを高める運動」として、無理のない速さで走ることを目標として計画され、指導に特に問題はないと評価いただいております。
 「呼気が激しくなる運動」であるか否かにつきましては、客観的に評価を行うため、運動強度を基に検証されております。
 次に、マスクの運用についてですが、関係者へのヒアリング等を通じ検証を行った結果、スポーツ庁の通知の趣旨を逸脱した内容で指導していたとは認められないとの評価をいただいております。

(5)毎日放送は、この事件を受けて、医師の指導のもとで、マスクを着用してランニングをするという検証をしました。指導した医師は「今回の実験で心拍数がマスクを着けているほうが高く出たのは、呼吸のしづらさが心臓や肺に影響を与えたという可能性もあります。やはりマスクを着けての運動はマスクを着けていないときの運動と比べて、非常に運動の負荷が高くなる可能性を秘めています。負担が増えると、小学生や中学生のような心肺機能がまだ発達途上にある人は、病気が突然発症する可能性もあります」との意見を述べました。
 医師によって見解が分かれるようです。
 調査委員会は、なぜ1人の医師からしか意見を聴取しなかったのでしょうか?お答えください。
 また、スポーツ庁は、マスク着用時には「呼気が激しくなる運動」は控えるように通知しているわけですから、スポーツ庁に対しても、意見を聞くべきだったと思いますが、スポーツ庁には通知に関する見解を求めていないのでしょうか?お答えください。

⇒医師の人選については、調査委員会において、日本の小児医療を代表する公益社団法人日本小児科学会から、1名の推薦を受けるものとされたものです。

(6)議会でも、私のものも含め、様々な意見が出ましたが、そういうものは調査委員会の調査に反映されていないのでしょうか?お答えください。
(7)ご遺族からも調査委員会に関する要望等があったということですが、どういう要望等があったのでしょうか?お答えください。
 また、その要望等は、どういった形で反映がされたのでしょうか?具体的にお答えください。

⇒ご遺族からは、再発防止のみならず原因究明や委員の人選に関することなど、調査委員会の目的・役割について要望等を頂戴しておりました。
 本調査は、国の指針に基づく詳細調査として、当該校が行った基本調査を踏まえ、事故に至る過程や、事故が発生した原因、事故後の対応について調査することで、より安全安心な学校づくりを推進できるよう、学校事故予防などへの提言を行うことを目的として実施したものです。
 また、公平性・中立性の観点から、委員の人選や調査委員会の運営を行ってまいりました。


<2回目>

(1)答申等の提出が延期となった理由は、公表範囲の決定など事務手続きに係る関係者との調整に時間を要したということですが、具体的には、どの関係者と、どういった調整をしたのでしょうか?お答えください。

⇒市の情報公開条例に照らして答申及び調査報告書の公表範囲を検討するにあたり、事務手続き上の関係者との調整を行ったものです。

(2)5分間走については、無理のない速さで走ることを目標として計画されたので、指導に特に問題はないということですが、無理のない速さで走れば、呼気は激しくならないということなのでしょうか?お答えください。
(3)委員の方々は、実際に、5分間、無理のない速さで走られたのでしょうか?お答えください。
(4)「呼気が激しくなる運動」であるか否かについては、運動強度を基に検証したということですが、運動強度と、呼気の激しさとは、どのように相関しているのでしょうか?具体的にお答えください。
(5)事故当日の5分間走にあたって、教諭が、児童らに対して、走る際は必ずマスクを外しなさいという指示はしていない、ということは、事実として、調査委員会の委員の皆さんに認定されているのでしょうか?お答えください。
(6)マスクの運用については、スポーツ庁の通知の趣旨を逸脱した内容で指導していたとは認められないとの評価をいただいたということですが、スポーツ庁に対しては、通知の趣旨を逸脱していたのか否かについての確認はしていないのでしょうか?お答えください。
 また、スポーツ庁に対して、5分間走が、「呼気が激しくなる運動」に該当するのか否かについて、確認はしていないのでしょうか?お答えください。

⇒(2)~(6)調査委員会では、呼気が激しくなるかについては、個人の主観や環境によって異なることから、客観的に評価するため運動強度を基に検証されております。その結果、当該校の5分間走は、実施後の心拍数について120~140を目標とし、低~中強度の運動として計画されており、無理のない速さで走る運動として、小学校学習指導要領に基づく指導であると評価されております。また、調査の結果、当該児童は、単元のねらいどおりに走っており、体に過度の負担が生じたような点は見受けられなかったとされています。
マスクに関する教員の指導についてですが、関係者へのヒアリングを踏まえて検証いただいた結果、スポーツ庁の通知の趣旨を逸脱しておらず、適切に指導、注意喚起を行うことができていたと評価いただいております。

(7)公益社団法人日本小児科学会のサイトには、このように書かれています・・・
子どものマスク着用では以下のような危険性が考えられます。
・呼吸が苦しくなり、窒息する可能性がある。
・嘔吐した場合に、窒息する可能性がある。
・熱がこもり、熱中症になる可能性が高まる。
・顔色、呼吸の状態などが観察しにくいため、体調異変の発見が遅れる。
子どもがマスクを着用する場合は、いかなる年齢・状態であっても、保護者や、子どもにかかわる業務従事者(保育士、教職員など)が上記について注意し、慎重に見守る必要があります。
・・・ということです。こうしたことを記載している日本小児科学会に所属している方が、「マスクが直接の原因となって死に至るとは考えにくい」とするのは、不自然に感じるのですが、調査委員会は、日本小児科学会に対して、どういった推薦の依頼を行ったのでしょうか?具体的にお答えください。
(8)この医師は「マスク着用により運動負荷をかけた医学文献によると、マスク着用は運動負荷で血中酸素や二酸化炭素分圧、最大運動負荷量に有意な影響を及ぼさないとの文献が多い。」等とされています。こうした文献が多いということですが、つまり、影響を及ぼすとする文献も存在するようです。影響を及ぼさないとする文献と、影響を及ぼすとする文献の割合は、どれだけなのでしょうか?お答えください。
(9)この医師は、先ほどの文献の引用の仕方からすると、スポーツ庁の通知そのものを否定するお立場のようですし、日本小児科学会の主張にも否定的なようです。意見の聴取が一人だけだと偏った結論になる可能性が高いわけですが、調査委員会は、他の医師からも意見を聞こうとはしなかったのでしょうか?お答えください。

⇒(7)(9)議員から紹介のあった公益社団法人日本小児科学会のサイトの引用に誤解を与える可能性がありますので、あえて説明させていただきます。当サイトでは、「子ども(特に2歳未満や障害のある場合)のマスク着用では以下のような危険性が考えられます。」として、先ほど議員が紹介された4点の記載がございます。
 なお、医師の人選については、1問目でもご答弁いたしましたとおり、公益社団法人日本小児科学会に事故状況の説明を行った上で、専門知識を有する医師を推薦いただいたものです。

⇒(8)医学文献についてですが、医師から聴取した主要なご意見は調査報告書に記載しているとおりであり、ご質問の割合に関する内容については伺っておりません。

(10)ご遺族からは、再発防止のみならず原因究明や委員の人選に関することなど、調査委員会の目的・役割について要望等を頂戴したということですが、そのご要望等については、何が、どれだけ反映されたのでしょうか?お答えください。

⇒ご遺族からの要望等については、公平・中立に調査を実施する観点から、対応してまいりました。

(12)これについても、お答えがなかったので、あらためておききします。調査報告書には、ある医師の意見として「マスクが直接の原因となって死に至るとは考えにくい」と記載されています。スポーツ庁は、中国でマスクを着けた生徒が体育の授業中に死亡した事例が出たことなどから、マスク着用時には「呼気が激しくなる運動」は控えるように通知しているわけです。
 調査委員会としては、中国で亡くなった生徒も、マスクが直接の原因となって死に至ったとは考えにくいというお考えなのでしょうか?スポーツ庁の通知の内容のほうがおかしいとお考えなのでしょうか?お答えください。

スポーツ庁の通知等では、「児童生徒がマスクの着用を希望する場合は、マスクの着用を否定するものではないこと。ただし、運動時にはN95マスクなどの医療用や産業用マスクではなく、家庭用マスクを着用するよう指導すること」とされており、当該児童が着用していたマスクについては、医療用や産業用のマスクではなかったことを確認しております。医師からは、このことを前提にマスク着用の影響について、ご意見を頂戴したものです。
 なお、調査委員会については、本市の小学校で起きた事故を検証するための附属機関です。

(13)調査委員会の答申に基づけば、「5分間走」における児童のマスク着用は、スポーツ庁の通知の趣旨を逸脱した指導ではないということになりますが、一方で、高槻市教育委員会のほうでは、この答申を受けながら、昨年末の文教にぎわい委員会協議会で、今後は5分間走では児童にマスクを外させるといったお答えもされていました。矛盾した対応だと思いますが、なぜ、調査委員会の答申を尊重しないのでしょうか?理由をお答えください。

⇒マスクの着用に関しては、体育の授業で着用の必要はないが、軽度な運動を行う場合や着用を希望する場合は、一定の条件のもと、着用を否定するものではない、とされている国の通知やガイドラインに基づき、指導の徹底を図っているところでございます。

(11)お答えがなかったので、あらためておききしますが、議会でも、私のものも含め、様々な意見が出ましたが、そういうものは調査委員会の調査に反映されていないのでしょうか?お答えください。
(14)先ほども申し上げたとおり、調査委員会の調査は、明らかに論点をずらす等していると考えますが、高槻市教育委員会のほうから、議論の誘導等はしなかったのでしょうか?委員の皆さんだけで、何を調査・検証すべきか、すべて考え、判断したのでしょうか?お答えください。
(15)今回の答申や調査報告書は、重要な論点について、まともに調査・検証していない、不当なものです。委員を入れ替えて、再度調査を行うべきだと考えますが、教育委員会の見解をお聞かせください。

⇒(11)(14)(15)調査委員会の委員については、関係者と特別の利害関係を有しない第三者である必要があることから、大阪府教育委員会から人選の助言をいただき、委員を選任しております。各委員におかれましては、公平・中立的な立場から、それぞれの専門知識を活かされ、客観的に調査いただいてまいりました。必要な調査事項につきましても、調査委員会において決定し、調査を進めていただいたものです。
 調査委員会におかれましては、国の指針に基づく詳細調査として適切に調査、審議され、「より安全安心な学校づくりを推進できるよう、学校事故予防などへの提言を行う」という設置目的を十二分に達成されたものと考えております。


<3回目>

(1)答申延期について、どの関係者と、どういった調整をしたのかとお訊きしたところ、事務手続き上の関係者との調整を行ったというご答弁でした。その関係者のお名前は何というのでしょうか?どういうお立場の方なのでしょうか?具体的にお答えください。

⇒答申等の延期に関することついてですが、答申等の内容に秘匿性の高い個人情報が多く含まれていることから、関係部署と慎重に調整を行ったものでございます。

(7)誤解を生じてはいけないので、確認させていただきますが、公益社団法人日本小児科学会のサイトには、先ほどご答弁にあったとおり、「子ども(特に2歳未満や障害のある場合)のマスク着用では以下のような危険性が考えられます。」と書かれています。
 この「子ども」については、カッコ書きで「特に2歳未満や障害のある場合」と書かれているだけですので、2歳未満や障害のある場合に限定されず、子ども全般を指していて、当然、小学5年生も含まれていると考えられます。また、先ほども読み上げたように、「・・・いかなる年齢・状態であっても、・・・教職員などが・・・注意し、慎重に見守る必要があります。」とも書かれています。小児科の対象は、15歳までが一般的とされていますが、小学5年生は、ここに書かれている「子ども」には該当しないのでしょうか?慎重に見守る対象には含まれていないのでしょうか?お答えください。

⇒日本小児科学会のサイトの引用についてですが、本サイトでは、子ども及び子どもに関わる業務従事者のマスク着用の考え方が掲載されています。
 特に2歳未満や障害のある子どもが、マスクを着用した場合に考えられる危険性を4点挙げ、あくまで、これが前提であり、万が一のことがあってはいけませんので、いかねる年齢であっても、当然、慎重に対応する必要があるという視点で書かれているものと理解しております。

(11)ご答弁では、「マスクの着用に関しては、体育の授業で着用の必要はないが、軽度な運動を行う場合や着用を希望する場合は、一定の条件のもと、着用を否定するものではない、とされている国の通知やガイドラインに基づき、指導の徹底を図っている」ということですが、今後は、5分間走では、児童にマスクを外させることを徹底させるのでしょうか?具体的にお答え下さい。
 また、それは、調査委員会の答申に反しないのでしょうか?お答えください。

⇒調査委員会からの答申では、5分間走事故発生後の対応及びマスクの指導について、学校の教育活動に、事故の原因となりうる瑕疵は見受けられなかったとされると共に、今後、より安全で安心な体育授業を実施できるよう、提言をいただいたところでございます。
調査委員会の答申をふまえ、体育授業における安全安心の水準を高める取り組みを推進すると共に、マスク着用に関しては、引き続き、国の通知やガイドラインに基づき、指導の徹底を図ってまいります。

(2)お答えがなかったので、あらためておききしますが、委員の方々は、実際に、5分間、無理のない速さで走られたのでしょうか?お答えください。
(3)お答えがなかったので、あらためておききしますが、運動強度と、呼気の激しさとは、どのように相関しているのでしょうか?具体的にお答えください。
(4)心拍数が120~140で、低~中強度の運動を、5分間連続して行った場合、呼気は激しくなるのではないのでしょうか?お答えください。
(5)お答えがなかったので、あらためておききしますが、事故当日の5分間走にあたって、教諭が、児童らに対して、走る際は必ずマスクを外しなさいという指示はしていない、ということは、事実として調査委員会の委員の皆さんに認定されているのでしょうか?お答えください。
(6)お答えがなかったので、あらためておききしますが、事故当日の体育の授業における、マスクの運用については、スポーツ庁に対して、通知の趣旨を逸脱していたのか否かについての確認はしていないのでしょうか?お答えください。
 また、スポーツ庁に対して、5分間走が、「呼気が激しくなる運動」に該当するのか否かについて、確認はしていないのでしょうか?本件についての学校の指導が適切であったのか、確認していないのでしょうか?お答えください。
(8)医学文献の割合については伺っていないということです。医師が根拠とした医学文献は何なのでしょうか?具体的にお答えください。
(9)ご遺族からの要望等については、公平・中立に調査を実施する観点から対応したということですが、具体的にはどういった対応をしたのでしょうか?まったく要望等を聞き入れなかったということでよろしいでしょうか?お答えください。
(10)お答えがなかったので、あらためておききしますが、議会でも、私のものも含め、様々な意見が出ましたが、そういうものは調査委員会の調査に反映されていないのでしょうか?お答えください。

⇒7点目と11点目を除くご質問につきましては、もう既にご答弁させていただいたと考えておりますので、繰り返しの答弁は控えさせていただきます。

 あとは意見を述べます。
 先ほども申し上げたとおり、調査委員会は、5分間走が「呼気が激しくなる運動」に該当するか否かが調査の重要なポイントであるにもかかわらず、運動強度の話にすり替えて、呼気についての検証をしていません。どうやら、委員の皆さんご自身も、5分間走をしていないということです。呼気が激しくならないような楽な運動なら、市役所の周りを1周走るとかして、やってみればいいじゃないですか。
 こうやってしゃべるだけでも、たとえ家庭用のマスクであっても、マスクが合わなければ、呼吸が苦しくなるということは、この議会の中でも、経験された方がおられるのではないでしょうか。5分間も走って、呼気が激しくならないなんて、常識からしても、ありえないことです。
 調査委員会は、事故当日、教諭が、児童らに対して、走る際は必ずマスクを外しなさいという指示はしていないと認定しているんだと思うんですが、認定しているにもかかわらず、スポーツ庁の通知の趣旨を逸脱した指導とは認められないと結論付けていますが、明らかに矛盾していますよね。スポーツ庁は、マスク着用時には「呼気が激しくなる運動」は控えるように通知していますので、教諭の指導は、スポーツ庁の通知に反していたはずです。
 調査委員会が意見を聴取した、たった一人の医師は、調査報告書の内容からすると、スポーツ庁の通知そのものを否定するお立場のようですし、日本小児科学会の主張にも否定的なようです。こうした意見だけを根拠とするのは、公正公平とはいえないと私は思います。
 調査委員会は、本件事故の原因の究明を図るという目的で設置されたにもかかわらず、調査報告書17ページの書きぶりを見ると・・・「学習指導要領に基づいた指導であり問題はない」とか、「対応について瑕疵はなかった」とか、「マスクの指導に関して(中略)事故が発生した理由として見出すことはできない」とか、各論点について結ばれていることからすると・・・その目的が、学校の対応に欠陥がなかったことを明らかにするということに、すり替えられているのではないかと感じます。
 答申では、「マスクの指導に関して・・・当該小学校においても、各教員が児童に対してこれらの趣旨を逸脱した内容で指導をしていたとは認められない」とされていますが、昨年末の文教にぎわい委員会協議会では、今後は5分間走では児童にマスクを外させるといったお答えをされていました。こうした、答申とは矛盾する対応を行うのは、教育委員会は、答申が間違っていると、認めているからにほかならないと思います。
 ご遺族からは再発防止や原因究明についてのご要望があったということですが、原因が究明されたとは言えませんし、調査委員会は、マスク着用は影響がなかったとしているわけですから、答申は、再発を防止するものにもなっていません。
 今回の答申や調査報告書は、重要な論点について、まともに調査・検証していない、不当なものです。ご遺族の気持ちを踏みにじる悪質なものだと、私は思います。少なくとも、委員へ支払った報酬や経費は返還や賠償をしてもらうべきですし、委員を入れ替えて、再度調査を行うべきだと考えます。
 ですので、私はこの議案には反対します。