高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【ブロック塀倒壊事件】学校の安全対策についてもロクな答申をしていない第三者委員会

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12月議会の一般質問では、「高槻市学校ブロック塀地震事故調査委員会」(調査委員会)の答申のうち、学校の安全対策に関する部分についても質問しました。

調査委員会の会合初日、委員長は「高槻の小中学校がどこよりも安全になることを希望します」と言っていたのですが、答申を読んでみても、そのことについては、ブロック塀の撤去等以外、抽象的で、具体的にどのように改善すべきなのかよく分かりません。特に・・・

学校施設の安全管理上、施設の劣化(老朽化等)は、ブロック塀に限ったことではない。今回の事故を踏まえ、校舎や体育館など、学校の主要施設についても老朽化への対策を検討されたい。


・・・としているのですが、外観目視の点検では、ブロック塀の内部の施工ミスや腐食は分からないと結論付けたのは、調査委員会自身。それゆえ、ブロック塀は全部撤去ということになったのに、他の学校施設については、点検しろということなのでしょうか?まさか、校舎も体育館も、全部撤去ということではないでしょう。対策というけれども、具体的にどうすればいいのか、どこにも書かれていません。

まるで、「俺はできないと思うけど、お前はやれ。」って言われているようなものです。無理難題ではないのでしょうか?

この点について、議会で教育委員会に重ねて質問しても、具体的な答弁はありませんでした。

調査委員会への諮問事項は2つでした。1つ目は、ブロック塀の倒壊の原因の検証。2つ目は、学校施設の安全管理に係る再発防止策の審議です。

1つ目の「原因の検証」では、ブロック塀の倒壊の原因は施工ミスと鉄筋の腐食だとし、それは外観上の点検では分からなかったとされました。だから、仮に点検業者が手抜きをしなかったとしても見つけられなかったのだし、市教委にも責任はないとしたいのではないかと以前書きましたが、このように、外観目視の点検では分からなかったとしてしまったために、校舎や体育館などについての対策も、上記の矛盾を抱えるようになってしまったと考えられます。

調査委員会は、諮問事項は2つ目の、学校施設の安全管理に係る再発防止策の審議についても、まともな答申を出せていないわけです。

以下は先日の本会議でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをお許しください。

平成30年12月議会・一般質問

<1回目>

■2.学校の安全対策等について

(1)答申について
高槻市学校ブロック塀地震事故調査委員会」の答申には「方針等に関すること」としてこのように書かれています。

・・・市教委の安全管理に係る指針等については、「学校安全対策について(指針)」や「高槻市学校・幼稚園安全教育の手引」等に基づき、長年取組が続けられているものの、その内容が改定等されていないものが見受けられる。また、事故への事後対応に関する方針を新たに策定することも必要と考える。今回の事故への対応を総括するとともに、安全管理に係る指針等について、幅広く見直しを実施されたい。
 また、学校施設の安全管理上、施設の劣化(老朽化等)は、ブロック塀に限ったことではない。今回の事故を踏まえ、校舎や体育館など、学校の主要施設についても老朽化への対策を検討されたい。
・・・ということです。

 安全管理に係る指針等については改定等されていないものがあるということですが、いつから改定等されていないのでしょうか?本来なら、いつ、改定等しなければならなかったのでしょうか?具体的にお答えください。
 また、施設の劣化(老朽化等)は、ブロック塀に限ったことではない、学校の主要施設についても老朽化への対策を検討されたいということです。第三者委員会は、外観目視の点検では、施工ミスや内部の腐食は分からないとも言っていますが、今後は、学校施設の劣化等に関して、どのように点検し、どう取り組んでいくのでしょうか?具体的にお答えください。

⇒安全管理に係る指針等についてですが、安全教育の基本となる「学校安全対策についての指針」を平成6年に作成し、それに基づき「高槻市学校・幼稚園安全教育の手引き」を平成8年に作成しております。その後、不審者対応や防災教育、熱中症対応など、必要に応じそのつどマニュアルや通知文等を作成し、各学校へ周知しております。
 今後の学校施設の老朽化等の対応につきましては、学校施設の点検、維持管理、修繕等を包括的・計画的に実施する手法等の検討を進め、より適切かつ効果的な学校施設の維持管理を行ってまいります。

(2)寿栄小学校のプールの移築の進捗について
地震発生後から現在までの進捗状況と、今後の見込みについて、費用も含め、具体的にお答えください。

⇒寿栄小学校のプール改築の進捗についてですが、現在、実施設計を行うとともに現行プールの撤去等の関連工事を進めているところです。9月議会においてお認めいただいた予算の範囲内において、来年の7月にはプールを使用できるよう進めてまいります。

<2回目>

(1)答申について
ご答弁では、必要に応じそのつどマニュアル等を作成してきたということです。けれども、調査委員会は、安全管理に係る指針等については改定等されていないものがあるとしています。調査委員会の答申が間違っているということなのでしょうか?お答えください。
 もし間違っていないのであれば、何を、いつから改定等していなかったのでしょうか?具体的にお答えください。

⇒先ほどもご答弁申し上げたとおり、「学校安全対策についての指針」は、学校安全教育の根幹となるものであり、改定はしておりません。「高槻市学校・幼稚園安全教育の手引き」についは、改定しておりませんが、不審者対応や防災教育など、必要に応じその都度、通知文や手引き等を新たに作成し、各学校へ周知しております。

(2)点検について
 明確なお答えがありませんでしたので、あらためておききしますが、調査委員会は、施設の劣化(老朽化等)は、ブロック塀に限ったことではなく、学校の主要施設についても対策を検討すべきであるとする一方で、外観目視の点検では、施工ミスや内部の腐食は分からないとも言っています。非常に矛盾したようなことを言われているような、無理難題を押し付けられているような感じがするのですが、今後は、学校施設の劣化等に関して、具体的に、どのように点検するのでしょうか?非破壊検査を行うのでしょうか?あるいは、ブロック塀と同じように、すべて撤去するのでしょうか?具体的にどうするのか、お答えください。

⇒学校施設の老朽化等の対応については、先ほどご答弁申し上げたとおり、今後、学校施設の点検、維持管理、修繕等を包括的・計画的に実施する手法等の検討を進めてまいります。

(3)寿栄小学校のプールの移築について
 現行プールの撤去等を進めているということですが、撤去完了後は、その場所はどうするのでしょうか?具体的にお答えください。
 また、プールが無くなりさえすれば、児童らの心理的な負担もなくなるということなのでしょうか?児童らの心理的な負担に配慮して、何かされるのでしょうか?具体的にお答えください。

⇒寿栄小学校の現行プール撤去後についてですが、現在、検討を進めているところです。

<3回目>

(1)調査委員会の答申では、指針や手引きの内容が改定等されていないものもあるとされていますが、先ほどのご答弁からすると、答申の内容は的外れなもののようです。この調査委員会の指摘は、何を根拠にしているのでしょうか?答申の内容がおかしいのでしょうか?具体的にお答えください。

(2)点検については、やはり明確な答弁はありませんでしたが、学校の主要施設についての対策を検討すべきだといわれても、外観目視の点検では、施工ミスや内部の腐食は分からないので、調査委員会が言うような対策なんて、現実的には不可能なのだということなのでしょうか?明確にお答えください。

 あとは意見です。
 調査委員会への諮問事項は2つでした。1つ目は、ブロック塀の倒壊の原因の検証。2つ目は、学校施設の安全管理に係る再発防止策の審議です。
 1つ目の「原因の検証」が明後日のほうを向いていて、関係者の責任を免れさせようとしているとしか考えられないものだということは、先日も言いましたが、2つ目の、学校施設の安全管理に係る再発防止策も、皆さんも答申を読めば、お分かりになると思いますが、ほとんど具体性がありません。自分がもし教育委員会の担当者だったら、具体的にどうしたらいいのかと、戸惑うだけだろうなと思います。
 調査委員会は、安全管理に係る指針等が改定等されていないというんですが、その根拠が報告書のどこにも書かれていない。先ほどのご答弁のとおり、教育委員会もそんなものはないと考えているようです。
 調査委員会は、施設の劣化・老朽化の問題は、ブロック塀だけじゃない、学校の主要施設についても対策を検討しろと言うんですが、外観目視の点検では、施工ミスや内部の腐食は分からないと言っているのは、調査委員会自身ですよね。ブロック塀は、外観目視の点検では内部は分からないから全部撤去しろといっているのに、他の学校施設については点検しろみたいなことを言うわけです。「俺はできないと思うけど、お前はやれ。」って言われているようなものですよね。無理難題ですよ。
 つまり、諮問事項は2つ目の、学校施設の安全管理に係る再発防止策の審議についても、調査委員会は、まともな答申を出せていないわけです。
 ブロック塀の倒壊の原因の検証は的外れだし、学校施設の安全管理や再発防止策についても、抽象的だったり、実現不可能だったりしている。こんな答申は、ほとんど無意味じゃないですか?
 やっぱり調査委員会がやるべきだったのは、ブロック塀に控壁があった場合や、ブロック塀の高さが3メートル以下だった場合の検証で、答申としては、違法建築のみならず、施工監理や点検についても問題があって、耐用年数の管理がされていなかったことも倒壊の原因の一つであり、それらを今後はしっかりとしなければならないと言うべきだったのではないのでしょうか?そして、担当職員や点検業者、施工業者に関する責任をきちんと明確にするべきだったのではないのでしょうか。コンクリートブロックの業界の皆さんにもご迷惑をおかけしていますし、なぜこんな答申になったのか、行政が検証しないのなら、議会が百条委員会を設置して、調査するべきだと思います。