先日の本会議では、27年度の決算の質疑で「ふるさと納税」についても質問。
やっと今年の1月から「ふるさと納税」の返礼品を用意した高槻市ですが、他の自治体にお住いの方からの寄付の額を、高槻市民が他の自治体に寄付した額が上回れば、収支はマイナスということになります。他に経費等がかかったり、税金の控除額の上限があったりするので、そんな単純ではないんですが、ざっくりいうとそんな感じです。
27年度はどうだったのか。結論からいうと、収支はマイナス2億円といったところです。詳しくは下の議会でのやり取りをご覧ください。
しかし、気になったのが、高槻市の収支に関する鈍感さ。たとえば、高槻市にふるさと納税をしたのが、高槻市民なのか、そうでないのかも把握しようとしていません。高槻市民が高槻市に寄付しても、返礼品分だけ市が損をすることになり、外貨というか、外からお金を稼いだことにはなりません。何故そういうことを気にしないのか疑問です。
今後も返礼品を工夫するなどの努力が必要だと思いますが、ふるさと納税の収支を明らかにすることから逃げずに、どれだけ得をしているのか、損をしているのか分析をして、市民の皆さんに分かりやすい形で公表すべきだと、質問の最後に要望しておきました。
以下は議会でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをご了承ください。
★認定第1号 平成27年度高槻市一般会計歳入歳出決算認定について
<ふるさと納税・1回目>
一部歳入に関わる質問もさせていただきますが、ご了承いただきますよう、よろしくお願いいたします。
1.主要事務執行報告書8ページには、寄付金の実績として、平成27年度のうち、平成28年1月から3月については、170件、367万4890円の寄附があったとされています。このうち、ふるさと納税分はどれだけなのでしょうか?お答えください。
2.ふるさと納税に関して行った支出にはどのようなものがあったのでしょうか?何に、何円かかったのでしょうか?お答えください。
(答弁)
1.平成28年1月から3月の寄附金については、窓口、インターネットでの申込みが168件356万円、募金等の寄附として2件、114,890円ありましたが、すべてふるさと寄附金として集計しております。
2.支出につきましては、返礼品の調達・送付やパンフレット作成に要した費用として880,551円、インターネット申込み受付サイトの利用、クレジットカード決済の利用、寄附者への書類等の郵送などの経費として126,938円、納付書の作成など事務に係る費用として61,344円の計1,068,833円です。
<ふるさと納税・2回目>
1.高槻市民以外からのふるさと納税はどれだけだったのでしょうか?件数と金額、割合をお答えください。
2.高槻市民が、高槻市以外の自治体に対してふるさと納税を行ったことによって、減収となった金額はどれだけなのでしょうか?
3.28年の1月からスタートしたので、106万8833円の中には、ランニングコストだけではなく、イニシャルコストも含まれていると思います。イニシャルコストとして、28年度以降、不要な費用はどれだけなのでしょうか?また、ランニングコストは、寄付額に対してどれだけの割合なのでしょうか?
(答弁)
1 ふるさと寄附金の寄附者が市民であるか市民以外であるかについては集計しておりません。
2 市民税平成28年度課税分における地方自治体に対する寄附金控除額として平成28年6月1日時点で把握している額は2億1271万5181円ですが、寄附金控除を受けた市民の寄附先が本市であるのか、他の自治体であるのかについては、把握しておりません。
3 イニシャルコストとしては、クレジットカード決済の導入経費などの6万8580円であり、この費用は平成28年度以降は発生しません。
また、1月以降の寄附額に対するランニングコストの割合は、約27パーセントです。
<ふるさと納税・3回目>
1.ふるさと寄附金の寄附者が市民であるか市民以外であるかについては集計していないということですが、返礼品を送っているわけですから、その送り先は分かっているはずです。返礼品の送り先のうち、高槻市外の方は、何件中何件だったのでしょうか?高槻市内の方は何件だったのでしょうか?それぞれお答えください。
2.総務省のサイトを見ると、先ほどのご答弁の2億1271万5181円が、「地方税法第37条の2第1項第1号又は第314条の7第1項第1号に規定する寄附金に係るもの」のうちの市民税全体における控除額となっていて、人数は5130人とされています。そのうち、「ふるさと納税ワンストップ特例制度適用分」の控除額が6132万6540円、人数が1871人とも記載されています。他に別、の地方税法の規定に係る控除額や人数などが記載されていて、一番右には「ふるさと納税に係る寄附金控除額(推計を含む。)」として、2億1601万9752円、その人数が5196人と書かれています。
ふるさと納税によって、市民税から控除された額は、先ほどのご答弁の2億1271万5181円が妥当なのでしょうか?それとも、総務省が示している2億1601万9752円のほうが妥当なのでしょうか?お答えください。
3.寄附金控除を受けた市民の寄附先が本市であるのか、他の自治体であるのかについては、把握していないということですが、それは把握ができないということなのでしょうか?それとも、把握できるけれども、していないということなのでしょうか?どちらなのかお答えください。
あとは意見です。
ふるさと納税の制度は、税金の分捕り合戦を誘発しているし、返礼品などに費用がかかるので、自治体全体で見れば、収入が減るとも考えられるので、文句のある方は、この制度を作った自民党に言っていただきたいと思いますが、前にも言いましたとおり、高槻市だけの力でこの制度を中止させることはできませんし、地元の特産品などをアピールするチャンスでもあるので、この税金の分捕り合いの中で、努力するしかないと思います。
そうすると、普通の感覚であれば、ふるさと納税に関して、収支というものを把握しなければならないと考えるはずです。収入はどれだけなのか、イニシャルコストやランニングコストはどれだけなのか、言い方は悪いかもしれませんが、他の自治体に奪われているお金はどれだけなのか、把握しないことには経営も戦略もないはずです。まず、収入で考えると、高槻市民以外の方の寄付額や割合がどれだけなのかということが、気にならなければおかしいですよね。市では集計をしていないということですが、把握するように努めなければならないはずです。お礼の品を送っているわけですから、せめて、その送り先の分類くらいはすべきです。
それから、他の自治体に奪われているお金です。市民税の平成28年度課税分の寄附金控除額が2億円以上ということです。高槻市が平成28年1月からやっとふるさと納税の返礼品を用意したということからすると、ほとんどが高槻市の減収分といえるのではないでしょうか?課税対象期間と市の会計の年度の期間がずれていますが、ふるさと納税の分捕り合戦の中で、高槻市は、昨年、2億円負けたといえると思います。
今後も返礼品を工夫するなどの努力が必要だと思いますが、ふるさと納税の収支を明らかにすることから逃げずに、どれだけ得をしているのか、損をしているのか分析をして、市民の皆さんに分かりやすい形で公表すべきです。要望しておきます。
(答弁)
1 ふるさと寄附金の返礼品の送付先につきましても集計しておりません。
2 まず、おたずねの総務省ポータルサイトに公表されている個人市民税から控除された額についてですが、個人住民税の控除の対象となる寄附金には、①都道府県・市町村、特別区に対する寄附金(いわゆるふるさと納税分)、②共同募金、日本赤十字に対する寄附金、③条例で定めるものに対する寄附金、があります。
①ふるさと納税分の控除額が2億1,271万5,181円でありますが、その他②③と併せて寄附される場合もあり、その場合は個々の控除金額を把握することはできません。本市から国へ報告している数値には、総務省ポータルサイトに公表されている「ふるさと納税に係る寄附金(推計を含む)」はありません。総務省がふるさと納税のみ分とその他②③の寄附について 控除金額を独自に按分して算出されています。したがいましてあくまで参考値として把握いただくものと考えます。
よって、2億1,271万5,181円の控除額は、ふるさと納税分のみの寄附金に対する控除額(ふるさと納税ワンストップ特例制度適用分を含む)」として、一番明確な数字としてお答えさせていただきました。
3 次に寄附金控除を受けた市民の寄附先が本市であるのか、他の自治体であるかについてですが、税の申告において申告書に寄附先を詳細に明記されない場合も多いため内訳の正確な把握は困難な状況です。