今日は6月議会本会議2日目。議案に対する質疑が行われ、私も2点について質問しました。
高槻市に日本将棋連盟が新しい関西将棋会館を建設するのに対して、その建設費用の支援に充てるため、ふるさと納税された寄附金を積み立てておくための基金を設置したいと、それに関する条例案や予算案が提案されたので、質問しました。
基金の今年度の目標額は1億円。真鍋議員への答弁によると、専用のサイトをつくって、クラウドファンディング方式で、個人だけでなく企業からも幅広く寄附金を募集したいとのこと。日本将棋連盟を通じてパンフレットを広く配布し、プロ棋士や、ネット・SNSも活用して情報発信し、高槻市としては返礼品は用意しないけれども、日本将棋連盟が、寄附者に対してお礼の記念品を準備するということです。
総務省の告示を読むと、日本将棋連盟がお礼の記念品を用意して問題ないのかと、少し疑問なのですが・・・
基金からは補助金という形で日本将棋連盟に交付されるようです。補助金には公益性が必要なのですが、単に建物の建設費を支援することに、公益性があるといえるのかどうか。補助金を出したり、税金を免除したりするのに、これまでのように経済効果を算定しないのもおかしいのではないかと思います。
私は最後に以下の意見を述べました。
まず、経済効果についてです。
日本将棋連盟に対して、補助金を出したり、税を免除したり、道路や公園等を整備したりするといった、かなり大盤振る舞いな提案をしているのに、新しい関西将棋会館について、経済効果・経済波及効果の推計・分析をしていないというのはおかしいですよね。高齢化が進む高槻市で、高齢者の足として市バスがますます大事になってくるのに、その交通インフラを押しのけて、交通部の経費の負担を増やしてまで、関西将棋会館を誘致するのであれば、それなりの算盤勘定を示していただかないと、納得できません。現在、関西将棋会館がある大阪市・福島区での経済効果すら把握しようとしないというのは、怠慢というだけではなく、実際には大した経済効果がないということを、隠そうという意図もあるのではないかと勘ぐってしまいます。
私は、2日前の土曜日に、福島区の関西将棋会館に行っていきました。ちょっと暗い建物だなあというのが第一印象でした。1階の売店で藤井聡太2冠の扇子も買ったんですが、売店の客は1人か2人という状態でした。2階では将棋道場がされているらしくて、50人くらいの方が黙々と将棋をされていました。ただ、将棋教室や将棋クラブ、将棋道場というのは、全国各地にありますし、関西将棋会館が高槻市に来たからといって、そんなにたくさんの人が集まるということにはならないと思います。ですので、それについての経済効果は予備校や進学塾が一つできるくらいのものではないでしょうか。対局があれば、それなりに人が来られるのかもしれませんが、ネットで対局の写真を見る限りは、あまり観客が来ているようには見えないですし、例えば、藤井聡太さん対羽生さんなどの有名な方の対局の場合には、将棋会館ではなく、別の場所でやることが多いようです。関西将棋会館ができても、甲子園やサッカースタジアムのように、たくさんの観客で盛り上がることになるわけではないですよね。将棋というのは、おそらく、観戦するとしても、静かにしなければならないし、その一手がどういうものなのかというのは、それなりに知識のある人でなければ分からないということからすると、五郎丸選手で盛り上がったラグビーよりも、にわかファンになりにくいものではないかと思います。
福島区を歩いてみても、「将棋のまち」として盛り上がっているふうでもないですし、建物を高槻市に移転させるという、ただそれだけで、地域経済に大きな効果を及ぼすというふうには感じられません。もちろん、画期的な取組をすれば、大きな効果が出る可能性もなくはないと思いますが、「将棋のまち」として高槻市の知名度が多少上がったとしても、それ以外に何のアイデアも企画も示されていない現状では、効果はさほど期待できないと思わざるをえません。
関西将棋会館の移転に関しては、ご答弁からすると、知名度の向上と街のにぎわいの創出ということだけしか、高槻市に寄与するものがないようですが、そうすると、関西将棋会館の誘致は、経済的な施策という側面しかないわけですから、なおさら、市は、経済的な効果の予測を示す必要があるはずです。それが示されもしないわけですから、この基金の条例案はもちろんのこと、他の免税等に関しても、賛成することはできません。
次に、ふるさと納税の制度の利用についてですけれども、平成31年4月1日付の総務省告示第179号によると、様々な制限があって、事前のお話のとおりには行かない部分もあると考えられます。
返礼品については、地場産品等にしなければならないので、仮に、将棋の駒を返礼品にする場合、高槻市で伐採された木材を使うとか、はにたんのマークを付けるなどしなければなりません。これについては、高槻市の山間部は、台風で大規模な倒木被害に遭いましたので、それを利用するというのもいいかもしれませんが、ただ、寄附者を誘引するために返礼品を強調した宣伝広告は行ってはいけないということになっていますので、そういうことを大っぴらに売りにすることはできないと思います。また、「特定の者に対して謝金その他の経済的利益の供与を行うことを約して、寄附者を紹介させる方法その他の不当な方法による募集」も行ってはいけないということになっていますので、寄付金を積み立てて基金から補助金を交付することを約束しようとしている日本将棋連盟に、ふるさと納税で寄附を募っていることや将棋関連の返礼品があるということをアピールしてもらったり、アピールに協力してもらったりするのは、難しいと思われます。返礼品等の調達に要する費用の額が、地方公共団体が現に支出した額とされていることからすると、返礼品を用意する場合には、やはり高槻市がその費用を負担しなければならないので、サイト手数料以外の全額を基金に積み立てて、それをそのまま補助金として交付するということはできないのではないのでしょうか。そのあたりは総務省にもちゃんと確認をとってください。
それと、やはり、医療や福祉やインフラ等に関係もないのに、ふるさと納税という制度を使って、民間事業者の寄附金の募集を代行するようなことを、行政がやっていいのか、大いに疑問を覚えます。
最後に、基金からの補助金交付についてですが、単に建物の建設費について支援をするというだけでは、公益性がないので、不当ではないかと思います。関西将棋会館の建設費用に関して補助金を交付するとしても、農協のビルと同じように、公益的な市民の利用ができる面積や時間の割合に相当する額を、補助金の上限とすべきです。
ただ、2日前に見た、福島区の現在の関西将棋会館の様子からすると、将棋教室・将棋道場でも料金をとっていますので、現状では、公益性がある部分は、ほぼないと思われます。
そもそも、どんな建物になるのかも、答弁をされないのに、その建設費の基金に賛成しろというのは、おかしいのではないでしょうか。
ふるさと納税の活用の仕方についてですが、総務省のサイトで他の自治体のふるさと納税の活用事例として紹介されているものを見ていると、本件のように、建物に補助をするのではなくて、日本将棋連盟と高槻市とが共同で行う公益的なプロジェクト・・・をするのであればですが・・・それにこそ、寄附金を活用すべきではないかと思わされました。けれども、情報公開された日本将棋連盟とのやり取りを見ると、両者が協力しようということは抽象的には約束されていても、提案書には、市による支援の内容が妙に具体的に示されているだけで、市が日本将棋連盟と組んで、どういうことをしたいのかといったアイデアや企画は何もありません。本当に、高槻市の市民や事業者の皆さんが、経済効果を得られるような、そういうアイデアや企画を示したうえで、それついて、ふるさと納税の活用を提案すべきではなかったのか、そのための基金の設置条例案を提案すべきだったのではないかと思います。
ですので、重ねて申し上げますが、この議案には賛成できません。
以下は今日の議会でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをお許しください。
■議案第66号 高槻市関西将棋会館建設支援基金条例制定について
<1回目>
一部、議案第67号にも関係する質問もさせていただきますが、ご了承下さい。
日本将棋連盟が高槻市に関西将棋会館を建設するに当たり、これに要する費用の支援に充てるため、高槻市関西将棋会館建設支援基金を設置したいということです。まず15点伺います。
(1)高槻市に建てられる新しい関西将棋会館の建設の費用を支援するための基金だということですが、この基金が、関西将棋会館の建設費以外に充てられることはないのでしょうか?充てられるのであれば、どういったことに充てられるのか、具体的にお答えください。
(3)基金の概要には、広く寄附金を募集し、集まった寄附金のサイト手数料を除いた額を基金に積み立てるとあります。資料には、ふるさと納税制度を利用して、寄附金を募るとありましたが、ふるさと納税による寄附金以外は、この基金には積み立てられないということなのでしょうか?お答えください。
(4)基金として積み立てる額は、関西将棋会館の建設に係る寄附金のうち、予算で定める額とするとされていて、議案67号の補正予算案では1億円が計上されていますが、この1億円の根拠は何なのでしょうか?具体的にお答えください。
(6)ふるさと納税制度を利用して、寄附金を募って、サイト手数料以外は、全額を日本将棋連盟に渡すということです。資料には、ふるさと納税で寄附をすると、その寄附者は税の控除を受けられるので、ふるさと納税をする人にとっては、メリットがあるということも書かれていましたが、地方自治体が、こんなふうに、税制を利用して、民間の事業者のために、寄付の代行のようなことをしても、何も問題はないのでしょうか?市の見解をお聞かせください。
⇒1点目、3点目、4点目、6点目についてですが、1億円は今年度の目標額であり、集まった寄附金は関西将棋会館の建設支援以外に充てることはなく、寄附金以外を基金に積み立てる予定もございません。また、ふるさと納税制度を活用して寄附金を募集することに問題はございません。
(2)新しい関西将棋会館の建設費はどれだけになる見込みなのでしょうか?お答えください。
また、敷地の面積や、建物の高さ、階数、延べ床面積は、どれだけになる見込みなのでしょうか?お答えください。
⇒日本将棋連盟が検討されているところです。
(5)基金から日本将棋連盟へ支出される場合は、どういった名目になるのでしょうか?補助金を交付するということになるのでしょうか?お答えください。
また、建物の所有権は、すべて日本将棋連盟のものということになるのでしょうか?お答えください。
⇒日本将棋連盟が所有する関西将棋会館の建設に対して補助するものです。
(7)寄附金の総額が、新しい関西将棋会館の建設費を超えた場合は、どうするのでしょうか?超えた部分を市のものとするのでしょうか?それとも、日本将棋連盟に渡すのでしょうか?日本将棋連盟に渡す場合、どういった名目で渡すのでしょうか?具体的にお答えください。
⇒現時点で考えておりません。
(8)ふるさと納税で寄附を募るということですが、返礼品は、どうなるのでしょうか?どこが費用を負担して、どういったものを返礼品として、寄附者に贈るのでしょうか?具体的にお答えください。
また、日本将棋連盟が、返礼品を贈る場合、寄附者の個人情報については、どのように取り扱われるのでしょうか?事務負担はどれだけになるのでしょうか?具体的にお答えください。
⇒日本将棋連盟と協議を行っているところです。
(9)日本将棋連盟は公益社団法人なので、直接寄付をしても控除は受けられるということで、日本将棋連盟のHPでも、どれだけの控除が受けられるのか、計算式なども掲載されています。高槻市へふるさと納税として寄附した場合と、日本将棋連盟へ直接寄付した場合と、寄附者にとっては、どちらが、どれだけ得になるのでしょうか?具体的にお答えください。
また、高槻市がふるさと納税サイトへ支払う予定の手数料の額や、返礼品にかかる費用を、考慮すると、同じ金額を寄付した場合、どちらのほうが、日本将棋連盟にとっては、実入りがよいのでしょうか?お答えください。
⇒寄附者にとって本市へ寄附される方が有利となります。なお、基金に積み立てる額はサイト手数料を差し引いた額となります。
(10)基金まで設置して、日本将棋連盟へ建設費を支援するということですが、経済効果・経済波及効果については、どのように考えているのでしょうか?京大農場にサッカースタジアムを建設する場合には、約200億円の経済効果があるとか、関西大学ミューズキャンパスへ補助金を出す際も数十億の経済効果があるとか、過去には経済効果について具体的な金額を出されていましたが、今回は、算定されていないのでしょうか?されているのであれば、その金額と算定根拠をお答えください。されていないのであれば、されなかった理由をお答えください。
(13)「日本将棋連盟へのご提案」という市の資料を見ると、「新関西将棋会館の建設に合わせ、会館周辺を『将棋のまち』にふさわしい整備(道路、公園等)を行います」とも書かれています。駅から徒歩0分の場所に、どういった道路を何のために造るのでしょうか?どういった公園を、何故造るのでしょうか?道路・公園以外の整備としては何を行うのでしょうか?それらには、どれだけの費用がかかる見込みなのでしょうか?それぞれ具体的にお答えください。
(15)関西将棋会館に関する、こうした市の税収や減免分、経済効果や経費等をトータルすると、市としては、金額に換算すると、どれだけの利益になるのでしょうか?あるいは損になるのでしょうか?具体的な金額をお答えください。
⇒10点目、13点目、15点目につきましては、経済効果等については特に算出しておりませんが、関西将棋会館が本市へ移転することは、本市の知名度向上と街のにぎわい創出に大きく寄与するものと考えており、周辺整備の在り方も含め、将棋のまちとしての取り組みをさらに進めてまいります。
(11)現在、関西将棋会館のある大阪市・福島区では、どれだけの経済効果が出ているのでしょうか?具体的にお答えください。
また、現在、1年間で、どれだけの棋士・職員・来館者がいるのでしょうか?お答えください。
公益社団法人であっても、収益事業をする場合には、課税されるということですが、これまで、1年間で、どれだけ地元の自治体に納税されてきたのでしょうか?高槻市に移転された場合には、どれだけ納税していただけるのでしょうか?具体的にお答えください。
⇒承知しておりません。
(12)新しい関西将棋会館については、建設費の支援をしたうえ、さらに、土地・建物の固定資産税や都市計画税も免除するということですが、免除する固定資産税や都市計画税の額は、それぞれどれだけになる見込みなのでしょうか?お答えください。
また、免除する期間はどれだけになるのでしょうか?お答えください。
⇒固定資産税・都市計画税の額については、建物の完成後に算定するものです。また、市税の減免については期間の定めがございません。
(14)関西将棋会館の移転によって、市営バスのJR高槻駅西滞留所も、川西町へ移転等することになりました。この市営バスの施設の移転等には、どれだけの費用がかかるのでしょうか?お答えください。
また、この移転等によって、バスの回送時間と共に、乗務員の勤務時間や燃料費も増えるのではないかと心配していますが、交通部としては、どれだけ経費が増えることになるのでしょうか?具体的にお答えください。
⇒現時点では把握しておりません。
<2回目>
(1)日本将棋連盟のHPを見ると、将棋の普及啓発といった公益事業だけではなく、将棋盤や将棋駒、扇子、カレンダー、グッズ、書籍・雑誌の販売といった収益事業も行っているということです。これらの公益事業と収益事業は、金額ベースで、それぞれ、年間どれだけされているのでしょうか?お答えください。
また、新しい関西将棋会館でも、収益事業は行われるのでしょうか?お答えください。
(2)あらためておききしますが、収益事業・営利事業も行っている事業者に対して、ふるさと納税の制度を利用して、寄附の募集の代行のようなことをしても、何も問題はないのでしょうか?市の見解をお聞かせください。
⇒1点目と2点目についてですが、日本将棋連盟における公益事業と収益事業の内訳については承知しておりませんが、いずれにしましても、ふるさと納税制度を活用して寄附金を募集することに問題はございません。
(3)平成20年の3月議会では、農協の本店ビルへの補助金については、市民もホール等を半分くらい市民会館のように利用できるから、補助金もその建設費の約半分としたという説明がありましたが、新しい関西将棋会館への補助金に関しては、市民利用の割合に応じて上限を設けるといったことはしないのでしょうか?するのであれば、どういった条件で上限を設定するのかお答えください。しないのであれば、なぜ上限を設けないのか、お答えください。
⇒関西将棋会館の建設を目的に募集した寄附金を、関西将棋会館の建設支援に充当しようとするものです。
(4)事前の説明では、基金の全額を、そのまま日本将棋連盟へ補助して、返礼品については、日本将棋連盟の負担で、ふるさと納税をした寄附者へ贈るということでした。返礼品に関しては、一般的には、地方自治体が調達をして、その調達価格も含めた経費を総務省に報告しているのだと思いますが、寄附者へのお礼の品を地方自治体の費用で調達しない場合、その品は、ふるさと納税の返礼品といえるのでしょうか?返礼品は、地方自治体の費用で調達しなければならないのではないでしょうか?市の見解をお聞かせください。
(5)日本将棋連盟が返礼品の費用を負担した場合、市は総務省に対して、ふるさと納税の経費について、どのように報告するのでしょうか?日本将棋連盟の負担分も含めた額を報告するのでしょうか?お答えください。
(6)返礼品は地場産品等としなければならないと総務省は通知していますが、日本将棋連盟が将棋や棋士に関連するような返礼品を用意する場合には、地場産品に該当するのでしょうか?お答えください。
(7)返礼品を示して寄付を募って、補助金の分だけ、返礼品を調達して寄附者に贈るということになれば、日本将棋連盟にとっては、補助金については、収益事業ということにはならないのでしょうか?課税対象にならないのでしょうか?日本将棋連盟が収益事業として販売を行っている将棋の駒やグッズ等を返礼品とした場合は、どうなるのでしょうか?それぞれ具体的にお答えください。
⇒4点目から7点目についてですが、ふるさと納税に係る総務省の告示や技術的助言に基づき適切に制度を活用してまいります。
(8)寄附金の総額が、新しい関西将棋会館の建設費を超えた場合については、現時点で考えていないということですが、この場合の扱いについては、いつまでに決定するのでしょうか?具体的にお答えください。
⇒寄附金の状況を見ながら検討することになります。
(9)日本将棋連盟へ直接寄付する場合には、どういった経費がかかるのでしょうか?何らかの手数料等がかかるのであれば、具体的にお答えください。
⇒承知しておりません。
(10)経済効果等については特に算出していないということです。何故なのでしょうか?理由をお答えください。
(11)経済効果も算出していないのに、なぜ、立地のよい市有地の売却や、固定資産税・都市計画税の免除、道路・公園の整備等を日本将棋連盟に提案したのでしょうか?理由をお答えください。
(12)関西将棋会館の移転は、本市の知名度向上と街のにぎわい創出に大きく寄与するということですが、それらの経済効果はどれくらいなのでしょうか?お答えください。
(13)関西将棋会館のある大阪市・福島区での経済効果については承知していないということです。なぜ把握しようとしないのでしょうか?具体的な理由をお答えください。
⇒10点目から13点目についてですが、関西将棋会館の移転により、本市の魅力はさらに向上するものと確信しております。
(14)市営バスのJR高槻駅西滞留所の移転等の費用や、移転後の交通部の経費の増額については、現時点では把握していないということです。いつ把握するのでしょうか?具体的にお答えください。
⇒市営バスの移転等の費用については、今後適切に把握するものです。
<3回目>
(1)この条例で、基金をつくって、高槻市から、関西将棋会館の建設を支援するために、補助金を出すということですが、その補助金には、どういった公益性があるのか、具体的にお答えください。
(3)関西将棋会館の移転により、本市の魅力がさらに向上すると確信しているということですが、その根拠は何なのでしょうか?具体的にお答えください。
⇒1点目と3点目につきましては、関西将棋会館の高槻移転が決定されて以降、すでに多くの報道がなされ、また、将棋のまちづくりを推進する本市に対し、多方面から強い期待の声が寄せられていることなどから、公益性はもちろん、その効果に疑いの余地はないと考えております。
(2)ふるさと納税の制度を利用するとしているわけですから、当然、返礼品についても検討されたかと思います。返礼品について、これまで、具体的に、どういった検討をされたのでしょうか?あるいは何も検討してこなかったのでしょうか?お答えください。
⇒ふるさと納税制度を適切に活用できるよう、日本将棋連盟と協議を進めてまいります。
あとは意見です。
まず、経済効果についてです。
日本将棋連盟に対して、補助金を出したり、税を免除したり、道路や公園等を整備したりするといった、かなり大盤振る舞いな提案をしているのに、新しい関西将棋会館について、経済効果・経済波及効果の推計・分析をしていないというのはおかしいですよね。高齢化が進む高槻市で、高齢者の足として市バスがますます大事になってくるのに、その交通インフラを押しのけて、交通部の経費の負担を増やしてまで、関西将棋会館を誘致するのであれば、それなりの算盤勘定を示していただかないと、納得できません。現在、関西将棋会館がある大阪市・福島区での経済効果すら把握しようとしないというのは、怠慢というだけではなく、実際には大した経済効果がないということを、隠そうという意図もあるのではないかと勘ぐってしまいます。
私は、2日前の土曜日に、福島区の関西将棋会館に行っていきました。ちょっと暗い建物だなあというのが第一印象でした。1階の売店で藤井聡太2冠の扇子も買ったんですが、売店の客は1人か2人という状態でした。2階では将棋道場がされているらしくて、50人くらいの方が黙々と将棋をされていました。ただ、将棋教室や将棋クラブ、将棋道場というのは、全国各地にありますし、関西将棋会館が高槻市に来たからといって、そんなにたくさんの人が集まるということにはならないと思います。ですので、それについての経済効果は予備校や進学塾が一つできるくらいのものではないでしょうか。対局があれば、それなりに人が来られるのかもしれませんが、ネットで対局の写真を見る限りは、あまり観客が来ているようには見えないですし、例えば、藤井聡太さん対羽生さんなどの有名な方の対局の場合には、将棋会館ではなく、別の場所でやることが多いようです。関西将棋会館ができても、甲子園やサッカースタジアムのように、たくさんの観客で盛り上がることになるわけではないですよね。将棋というのは、おそらく、観戦するとしても、静かにしなければならないし、その一手がどういうものなのかというのは、それなりに知識のある人でなければ分からないということからすると、五郎丸選手で盛り上がったラグビーよりも、にわかファンになりにくいものではないかと思います。
福島区を歩いてみても、「将棋のまち」として盛り上がっているふうでもないですし、建物を高槻市に移転させるという、ただそれだけで、地域経済に大きな効果を及ぼすというふうには感じられません。もちろん、画期的な取組をすれば、大きな効果が出る可能性もなくはないと思いますが、「将棋のまち」として高槻市の知名度が多少上がったとしても、それ以外に何のアイデアも企画も示されていない現状では、効果はさほど期待できないと思わざるをえません。
関西将棋会館の移転に関しては、ご答弁からすると、知名度の向上と街のにぎわいの創出ということだけしか、高槻市に寄与するものがないようですが、そうすると、関西将棋会館の誘致は、経済的な施策という側面しかないわけですから、なおさら、市は、経済的な効果の予測を示す必要があるはずです。それが示されもしないわけですから、この基金の条例案はもちろんのこと、他の免税等に関しても、賛成することはできません。
次に、ふるさと納税の制度の利用についてですけれども、平成31年4月1日付の総務省告示第179号によると、様々な制限があって、事前のお話のとおりには行かない部分もあると考えられます。
返礼品については、地場産品等にしなければならないので、仮に、将棋の駒を返礼品にする場合、高槻市で伐採された木材を使うとか、はにたんのマークを付けるなどしなければなりません。これについては、高槻市の山間部は、台風で大規模な倒木被害に遭いましたので、それを利用するというのもいいかもしれませんが、ただ、寄附者を誘引するために返礼品を強調した宣伝広告は行ってはいけないということになっていますので、そういうことを大っぴらに売りにすることはできないと思います。また、「特定の者に対して謝金その他の経済的利益の供与を行うことを約して、寄附者を紹介させる方法その他の不当な方法による募集」も行ってはいけないということになっていますので、寄付金を積み立てて基金から補助金を交付することを約束しようとしている日本将棋連盟に、ふるさと納税で寄附を募っていることや将棋関連の返礼品があるということをアピールしてもらったり、アピールに協力してもらったりするのは、難しいと思われます。返礼品等の調達に要する費用の額が、地方公共団体が現に支出した額とされていることからすると、返礼品を用意する場合には、やはり高槻市がその費用を負担しなければならないので、サイト手数料以外の全額を基金に積み立てて、それをそのまま補助金として交付するということはできないのではないのでしょうか。そのあたりは総務省にもちゃんと確認をとってください。
それと、やはり、医療や福祉やインフラ等に関係もないのに、ふるさと納税という制度を使って、民間事業者の寄附金の募集を代行するようなことを、行政がやっていいのか、大いに疑問を覚えます。
最後に、基金からの補助金交付についてですが、単に建物の建設費について支援をするというだけでは、公益性がないので、不当ではないかと思います。関西将棋会館の建設費用に関して補助金を交付するとしても、農協のビルと同じように、公益的な市民の利用ができる面積や時間の割合に相当する額を、補助金の上限とすべきです。
ただ、2日前に見た、福島区の現在の関西将棋会館の様子からすると、将棋教室・将棋道場でも料金をとっていますので、現状では、公益性がある部分は、ほぼないと思われます。
そもそも、どんな建物になるのかも、答弁をされないのに、その建設費の基金に賛成しろというのは、おかしいのではないでしょうか。
ふるさと納税の活用の仕方についてですが、総務省のサイトで他の自治体のふるさと納税の活用事例として紹介されているものを見ていると、本件のように、建物に補助をするのではなくて、日本将棋連盟と高槻市とが共同で行う公益的なプロジェクト・・・をするのであればですが・・・それにこそ、寄附金を活用すべきではないかと思わされました。けれども、情報公開された日本将棋連盟とのやり取りを見ると、両者が協力しようということは抽象的には約束されていても、提案書には、市による支援の内容が妙に具体的に示されているだけで、市が日本将棋連盟と組んで、どういうことをしたいのかといったアイデアや企画は何もありません。本当に、高槻市の市民や事業者の皆さんが、経済効果を得られるような、そういうアイデアや企画を示したうえで、それついて、ふるさと納税の活用を提案すべきではなかったのか、そのための基金の設置条例案を提案すべきだったのではないかと思います。
ですので、重ねて申し上げますが、この議案には賛成できません。