高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【「将棋のまち高槻」の着実な推進を求める決議】むしろ行政のやり過ぎを議会として是正すべきでは?

今日は3月議会の5日目。採決や一般質問等がありました。

議員提出議案として、以下の「『将棋のまち高槻』の着実な推進を求める決議について」が提出され、これに関して質問したところ、私の発言の中の「詐欺的」という部分で紛糾。取り消しを求められましたが、拒否しました。

「将棋のまち高槻」の着実な推進を求める決議

 高槻市は歴史的に将棋とゆかりの深い地域である。高槻城跡からは将棋駒が大量に出土し、本市の貴重な文化財となっており、また明治以降、本市から棋士が輩出され、現在も高槻市出身や在住の、本市ゆかりの棋士が多数、将棋界で活躍している。こうしたことから、将棋は本市を特徴づける歴史文化と言える。
 さらに将棋は、集中力・思考力のみならず、礼儀作法や道徳心の醸成といった教育水準の向上への貢献という観点からもその効果は大きいものがある。
 そのようなことから、本市は平成30年9月に公益社団法人日本将棋連盟との間で、全国の自治体で初めて包括連携協定を締結し、同協定に基づき、相互連携の下、将棋文化の普及発展に取り組んでいる。さらに令和3年2月、将棋連盟において、西日本の拠点である関西将棋会館の、高槻市への移転誘致に応じる決定がなされた。同会館の移転は本市の歴史に残る誠に喜ばしいことであり、本市議会は、将棋連盟の決断に対し、敬意を表するところである。
 このように高槻市においては、今まさに全国有数の「将棋のまち」となる条件が十分に整い、市民の機運も高まっているところである。
 高槻市民憲章には「高槻は 文化の華を 咲かすまち」とうたわれている。本市議会は、今後も本市行政と市民、そして将棋連盟が、関西将棋会館の所在する地方自治体として相互に連携を深め、大きな文化の華を咲かせ続けるべく、本市が誇るべき将棋文化を後世に継承するとともに、本市の教育水準向上につなげ、加えて「将棋のまち高槻」と全国から認められ注目されるまちを目指し、将棋文化振興施策を着実に推進することを強く求める。
 以上、決議する。

令和4年3月24日
高槻市議会



以下は今日の議会でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをお許しください。

■「将棋のまち高槻」の着実な推進を求める決議案について

<1回目>

(1)高槻城跡から将棋の駒が出土したり、本市から棋士が輩出されたりしたことを根拠に、「将棋は本市を特徴づける歴史文化」だとされています。将棋は、囲碁やチェス、オセロなどと同じく、ボードゲームに分類されるゲームであり、昔からあるので、伝統的ボードゲームだといえますが、文化だというのは言い過ぎではないでしょうか?なぜ将棋が文化だといえるのでしょうか?お答えください。

⇒「文化芸術基本法」において、将棋が文化芸術の一つであることが示され、市のビジョンにも示されています。

(2)「将棋は本市を特徴づける歴史文化」だということです。私は高槻市で育ちましたけれども、そんなことを感じたことはありません。関西将棋会館が移転してくるので、今後「将棋のまち」として盛り上げるのはいいと思うのですが、「本市を特徴づける歴史文化」だと言われると、ねつ造的な感じもして、非常に違和感を覚えます。将棋は全国でされていますし、本市を歴史的に「特徴づける」ものとまでは言えないはずです。なぜ、将棋のことを、「本市を特徴づける歴史文化」だとまでする決議を議会でしなければならないのでしょうか?お答えください。

高槻城跡から多数の駒が発掘されたことや、ゆかりの棋士を数多く輩出していることは、本市を特徴づける歴史文化と言えると考えております。

(3)「将棋は、集中力・思考力のみならず、礼儀作法や道徳心の醸成といった教育水準の向上への貢献という観点からもその効果は大きいものがある。」とされています。対戦相手のあるゲームなので、対戦相手に気を遣うくらいのことはあるかもしれませんが、コンピュータゲームで将棋をする場合は、対戦相手すらいません。将棋というボードゲームをするだけで、「礼儀作法や道徳心の醸成」がされるのでしょうか?どういうことなのか、お答えください。

日本将棋連盟のホームパージでは、将棋に親しむことで、日本文化の理解を深める機会を設け、礼儀作法の習得、集中力や忍耐力、相手を思いやる気持ちなど、児童の豊かな心や生きる力を育み、また「勝った喜び」「負けた悔しさ」を通じて「相手を思いやる心」を育むとされています。これから、子ども達の成長に重要な役割を果たす要素が数多く含まれていると認識しております。

(4)「将棋は・・・教育水準の向上への貢献という観点からもその効果は大きい」ということですが、たとえば、平成29年の東洋経済新報社の「東大生がやっていた習い事ランキング」では、1位水泳、2位ピアノ、3位英会話の順で、囲碁将棋は、最下位の16位のダンスの1つ上の15位でした。
 将棋は、教育水準の向上に貢献するということですが、どのように貢献するのでしょうか?将棋というゲームに集中・熱中するあまり、勉強の妨げになるということはないのでしょうか?お答えください。

日本将棋連盟のホームページによると、将棋は思考力、集中力、決断力、洞察力が養成され、また、日常生活の礼節を身に着けることができるなど、子ども達への教育的効果の高さが注目されています。

(5)「将棋は本市を特徴づける歴史文化」で、「教育水準の向上」に貢献するから、「平成30年9月に公益社団法人日本将棋連盟との間で、全国の自治体で初めて包括連携協定を締結」したというつながりになっていますが、事実でしょうか?お答えください。

⇒過去の本会議質疑でも答弁がありましたとおり、本市を特徴づける伝統文化である将棋振興を進める中で、日本将棋連盟との関係性が深まったこともあり、将棋を活用した青少年健全育成や地域活性化などを目的として包括連携協定締結にいたったと認識しております。

(6)関西将棋会館の移転は、「本市の歴史に残る誠に喜ばしいことであり、本市議会は、将棋連盟の決断に対し、敬意を表するところである。」ということです。私も本市に移転されること自体は喜ばしいことで、歓迎したいと思っています。しかし、先日も、この議会で申し上げたとおり、移転の場所が、高槻市営バスのJR高槻西滞留所であり、これを押しのける形になるので、市バスの運行や経営についての影響が非常に心配です。けれども、そのことについて、市は、まともに答えてくれません。市バスの運行や経営への影響については、どのようにお考えなのでしょうか?お答えください。

⇒本会議質疑でも答弁がありましたとおり、大きな影響は出ないと聞いております。

(7)日本将棋連盟が有料で行う「子ども将棋高槻サテライト教室」の全面広告が、広報たかつき・たかつきDAYSの令和4年3月号の裏表紙に掲載されました。将棋教室の方からは、これについて、民間事業者を追いやるものではないかといった声がありました。日本将棋連盟関西将棋会館で将棋教室を開き、さらに、たかつきDAYSなどで高槻市役所が宣伝に協力すれば、既存の事業者に大きな打撃を与えることは、想像に難くないところです。規模も実績もある民間事業者の将棋教室が潰れるかもしれないのに、「将棋のまち」だと喜んで胸を張るのは、なんとも矛盾しているような気がしますが、こうしたことについては、どのようにお考えなのでしょうか?お答えください。

⇒どちらの目的も、将棋を活用した青少年健全育成という考え方があると思います。また、「将棋のまち高槻」として、それぞれの特長を生かしながら共存共栄し、繁栄されることを願う思いです。

(8)関西将棋会館高槻市への移転が決定し、ふるさと納税でも、そのやり方にはいくつか問題があったものの、結果として、関西将棋会館の建設費の補助金の原資となる多額の寄附を集め、市職員の取り組みによって、藤井5冠が食べた「はにたん最中」も有名になったので、もう十分に、高槻市は、日本将棋連盟が中心の「将棋のまち」になっていると、私は、思います。それに輪をかけて、なぜ、議会として、本件の「『将棋のまち高槻』の着実な推進を求める決議」をする必要があるのでしょうか?お答えください。

高槻市が、今まさに全国有数の「将棋のまち」となる条件が十分に整い、市民の機運も高まっている状況にある中で、「将棋のまち高槻」と全国から認められ性目されるまちを目指して、今後も将棋振興施策を着実に推進することを求めることを目的としています。
また、新年度予算にも将棋振興施策に関する取り組みが盛り込まれ、いよいよ大きく将棋振興策が動き出す機運が見えた今だからこそ提案したものです。


<2回目>

 あとは意見を述べます。
 まず、将棋は文化かということについてですが、狭義の文化については、事典に書かれていたことを要約すると、「人間の生活様式全体、人類がみずからの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体」のうち、「特に、哲学・芸術・科学・宗教などの精神的活動およびその所産」だとされていました。
 将棋というゲーム自体には、そういった哲学等の要素はあまりないので、文化性に関しては、そんなに高くはないと思います。ちなみに、日本将棋連盟のサイトに「将棋とは?」というページがありまして、「将棋とは、二人で行い、勝敗を競うゲームです。」という一文から説明が始まるのですが、「文化」という言葉は出てきません。
 分類的には、例えば、学校の部活・クラブ活動に「将棋部」があったら、運動部ではないので、文化部に分類されますし、行政的な分類においても、スポーツでも芸術でもないので、「文化」という、何でも含むような便利な言葉で、ジャンル分けをしているのだと思います。
 つまり、分類・ジャンル分けにおいて、将棋を、露骨に「ゲーム」とするのは憚れるので、便宜的に「文化」としているだけで、「歴史文化」だというほどには、文化性に富んでいるわけではないということです。
 そういうことからすると、将棋を歴史文化だと、この議会で決議するのは、少々、将棋を持ち上げ過ぎのような気がします。
 本市における、将棋の駒の出土も、棋士の輩出も、他所と比べて、そんなに特徴があるとも思えませんので、将棋が、本市を特徴づける歴史文化だというのは、大袈裟過ぎると思います。言うとしたら、「将棋は、本市を含め、日本各地で古くからなじみのある伝統的なボードゲームです」くらいではないでしょうか?
 将棋をすれば、それだけで、礼儀作法や道徳心が身につき、教育水準が向上するということも、ないので、そういった、誤解を与えそうなことを決議文に入れるのも、いかがなものかと思います。
 こういう誇張的・詐欺的なことを、議会で議決するというのは、それこそ、高槻市の議会の水準を疑われかねないのではないでしょうか。
 「将棋は本市を特徴づける歴史文化」で、「教育水準の向上」に貢献するから、日本将棋連盟との間で、包括連携協定を締結したというのですが、高槻市のホームページでは、「古くからゆかりのある将棋を通じて、文化振興及び心豊かな地域社会の形成を図ることを目的」として、締結した、とされているだけです。
 間違いなく、将棋は、高槻だけでなく日本中の多くの地域で古くからゆかりのあるものだし、今後も、将棋を通じての住民同士の交流等で、一部で、心豊かな地域社会の形成も、できる可能性はあると思います、が、先ほど読み上げたとおりで、市のホームページには、包括連携協定の締結の理由として、将棋が、本市を特徴づける歴史文化だからだとか、教育水準の向上に貢献するからだとは、書かれていません。過去の本会議質疑での答弁の内容が真実なら、何故それを市のホームページに書かないのでしょうか?他所と比べて、棋士の輩出等が突出しているわけでもないのに、「将棋は本市を特徴づける歴史文化」だと言ったり、他の習い事と比べて、それほど教育的効果も見られないのに、「教育水準の向上」とか言ったり、というのが、大袈裟だから、市のホームページに書けなかったんじゃないでしょうか?
 そうすると、そういう大袈裟を真に受けた、この決議文の文案は、誇大広告と同様で、事実に反するものだということにならないでしょうか。
 先ほども申し上げたとおり、ふるさと納税では、そのやり方に、いくつか問題があったものの、結果として、関西将棋会館の建設費の補助金の原資となる多額の寄附を集めましたし、市職員の取り組みによって、藤井5冠が食べた「はにたん最中」も有名にもなりました。さらには、広報たかつき・たかつきDAYSの令和4年3月号の裏表紙に、日本将棋連盟が有料で行う「子ども将棋高槻サテライト教室」の全面広告が、高槻市の費用負担によって、無料で掲載され、全戸配布されました。
 これについては、市内の既存の民間事業者から、民業圧迫だといった悲鳴が上がっていますが、そういった種々の問題を起こしてきたものの、高槻市役所は、関西将棋会館が移転する前から、これだけの取り組みをして、テレビや新聞でも、何度も取り上げられてきているわけです。
 高槻市が「将棋のまち」だという認知度は、かなり高まっていると思いますし、これだけ行政が取り組んでいるわけですから、既に、高槻市は、日本将棋連盟が中心の「将棋のまち」になっていると、私は、思います。
 関西将棋会館については、高槻市営バスのJR高槻西滞留所を押しのけて、駅前の一等地を確保するだけではなく、土地・建物の固定資産税・都市計画税を免除するということも、誘致の際に、高槻市から日本将棋連盟に対して提案されましたし、そのとき同時に提案された「庁内プロジェクトチームによる手厚いサポート」については、その約束どおり、令和4年度から、街にぎわい部に「将棋のまち推進課」が新設され、この部署が、公益社団法人日本将棋連盟との連絡及び調整に関することを行うということになっています。
 行政の取り組みが、甘い・ぬるい・少ないということが、明らかなのであれば、こういう決議をしてもいいと思いますが、もう十分過ぎるほどやっているのではないでしょうか。
 にもかかわらず、何故、この時期に、高槻市議会として、本件の「『将棋のまち高槻』の着実な推進を求める決議」をする必要があるのか、大いに疑問です。まったくやる必要はありません。
 むしろ、行政が、不当に、やり過ぎている部分をチェックして、是正することが、今、議会として求められているのではないでしょうか。
 私は、文化振興については、将棋は、2人で勝敗を競うゲームだということからすれば、知的スポーツといえるので、他のスポーツと同じくらいの補助で足りると思いますし、小中学生への教育については、確かに2手先、3手先を読むことで若干の脳の活性化につながると思いますが、突出した教育効果は見込めないので、野球やサッカーなどと同様に、教養の一つとして、ルールくらいは知っておいたほうがいいというレベルだと思います。あとは、高槻市のPRになるということで、包括連携協定はいいんですが、有料の将棋教室という営利事業を広報誌で無料で宣伝したり、何億円も補助金を出したり、固定資産税等を免除したりというのは、公益性という面からみれば、やり過ぎです。
 こうした度を超えるようなことを、この決議が後押ししてしまうのではないかと懸念しています。
 ですので、この決議案には賛成できないということを表明します。以上です。

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高槻ご意見番 代表 北岡隆浩(高槻市議会議員)

「将棋のまち高槻」の着実な推進を求める決議