高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【生活保護】受給者がパチンコで浪費・借金で自己破産⇒高槻市が債権放棄

昨年12月の高槻市議会本会議で、私は、生活保護を受けている方がどれだけパチンコをしているのか、どのような指導をしているのかという私の質問に、まったく答弁しない健康福祉部長に対して、

もしパチンコに何万円も使っているような被保護者の方がいるのなら、もっと生活に困ることになるかもしれませんよとか、ギャンブル依存症というものもあるからほどほどにしなさいとか、そういうふうに指導してあげるべきではないかと思います。



・・・と意見を述べたのですが、今回の9月議会で、残念ながら、高槻市生活保護を受けている2件の方が、パチンコで浪費し、借金を重ね、ついには自己破産に至ったことが分かりました。

裁判所はこの2件の方々に対して、債務の免責、つまり借金をチャラにする決定を下したため、高槻市は約80万円の債権を放棄せざるをえないはめに。

この債権というのは、以前、高槻市福祉事務所が隠し、私の追及で発覚した、障害者認定の誤りによるもの。高槻市役所自身のミスで発生した過払いであるわけですが、高槻市福祉事務所は、パチンコや借金について対応しきれなかったばかりか、この損害を2度と取り戻せないということにもなってしまいました。

生活保護を受けている人は、普通はなかなかお金を貸してもらえないと思うのですが、今日の朝刊にこんな記事が・・・

★【産経新聞】「質屋」ではなく実態は「ヤミ金」…〝偽装質屋〟の3人を逮捕 大阪府警
2013.9.27 19:43

 年金や生活保護費を実質的な担保に、質屋を偽装して違法に金を貸し付けたとして、大阪府警生活安全特別捜査隊は27日、貸金業法違反(無登録営業)容疑で、大阪府高槻市高槻町の質屋古物店「たからや高槻店」経営、橘薗(たちばなぞの)強(つよし)容疑者(49)=京都市西京区御陵峰ケ堂町=ら3人を逮捕した。(後略)



もしかすると、こうした違法なヤミ金から借りていたのかもしれません。

高槻市の福祉事務所が出している「生活保護のしおり」には、保護を受給したら守っていただくこととして、その1つに、競輪場、競馬場、パチンコ店などでの浪費や借金をしないことと書かれていますが、議会でいくら訊いても具体的な答えがない。実は、こうしたことについて、高槻市はちゃんとした取組をしていないのかもしれないと、私は疑問をもっています。

私は、担当職員は、時々パチンコ店を巡回してみるべきだと思います。ギャンブルにのめり込み、あるいは他の理由で浪費し借金を重ねているような場合は、成年後見制度等の積極的な活用が必要ではないかとも思います。

しかし、裁判所も、ギャンブルでの浪費が自己破産の原因なのに、債務の免責を許可するのはおかしい。裁判所に対しての不信感も覚えています。以前も、高槻市の国民健康保険等から療養費を詐取したマッサージ治療院の代表者に対して、裁判所が免責を許可する決定を行ったことがありました。最近の裁判所は、免責を認めやすい傾向にあるのかもしれません。だとしたら、尚更、パチンコや浪費や借金に、高槻市役所は目を光らせなけれなならないはずです。

以下は9月25日の本会議での私の債権放棄・生活保護に関する質問と市の答弁の要旨です。原稿やメモを基にしていますので、実際の発言とは異なっている可能性がありますが、ご了承ください。

<債権放棄・質問1>

 債権放棄を行ったそれぞれの債権の額と、債権をもつに至った経緯、放棄の理由について、詳細をお教えください。

<答弁>

 放棄しました債権が生活保護に係る返還金でございますので、私の方でご答弁いたします。
 今回、債権放棄を行った3件のうち1件は、遡及して受給した傷病手当金について、生活保護法第63条に基づき返還を求めたものです。この方には、保護を受けられる以前からの借財があり、生活再建のため、自己破産の手続きをされ、残る2件は、障害者加算の認定を誤って保護費を支給したことから、同条に基づき返還を求めたものです。 
 それぞれ生活費の浪費等による借財が累積し、自己破産手続きに及び、結果としてこれら3件とも、返還金を含めた形で、自己破産及び債務の免責許可の決定が行われたものでございます。
 各債権の額は、傷病手当金を遡及受給された方は、55万6009円、後の2件は、32万2560円と48万3840円の合計80万6400円でございます。

<債権放棄・質問2>

(1)3件の債権のうち、2件は、高槻市福祉事務所による障碍者加算の認定誤りに発生したものであり、その額は計80万6400円であったとのことです。この債権については、いつ発生し、認定誤りに気が付いてから、どれだけの額が回収できたのでしょうか?お答えください。
(2)この2件について事前にお聞きしたところでは、借金をして作ったお金をパチンコに浪費していたとのことです。福祉事務所は、この借金やパチンコでの浪費に気付いていたのでしょうか?また、仮に気付いていたのであれば、この2件に関して、どのような指導をしていたのでしょうか?それぞれお答えください。
(3)この2件の方は、お金をどのようなところから借りていたのでしょうか?お答えください。
(4)こうした借金や浪費は、どのような原因によるものなのでしょうか?お答えください。
(5)ギャンブルが原因の自己破産については、裁判所は免責を認めにくいと思われますが、何故今回は免責が認められたのでしょうか?また、高槻市としては、裁判所にどのような意見を述べたのでしょうか?それぞれお答えください。
(6)この2件の方は、今後も同様のことを行うことはないのでしょうか?また、福祉事務所としては、今後どのように対応する予定なのでしょうか?成年後見制度などは活用できないのでしょうか?それぞれお答えください。
(7)この2件の方のように、ギャンブルにのめりこんでいる、あるいは生活保護を受けてからも借金を重ねているといったような方は他にはおられないのでしょうか?いるとすれば、どれだけおられるのでしょうか?お答えください。
(8)被保護者のパチンコ等に対しては、どのような対応をしているのでしょうか?パチンコ店を巡回するなどはしていないのでしょうか?お答えください。

<答弁要旨>

 1点目の障害者加算の認定誤りによる2件につきましては、係争中の案件でございますので、詳細な答弁は差し控えさせていただきます。
 次に2点目から8点目のうち、特定の被保護者の個人情報に係る部分については答弁を差し控えさせていただきます。
 その他の生活保護とギャンブルについてのご質問ですが、生活保護法には、過度なギャンブルについて制限する明確な規定はございませんが、同法第60条において、「被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図り、その他生活の維持、向上に努めなければならないもの」とされており、毎月の基準生活費の範囲内で生活を維持していただくものでございます。ただし、程度を越して生活の維持向上を怠る場合につきましては、法に基づいて対処するものです。
 また、生活費の浪費等により、その生活の維持ができない方には、社会福祉協議会の金銭管理サービス等の社会資源等を活用しながら、生活の再建に向けた支援を行うものでございます。
 なお、今回の自己破産及び免責許可の決定にあたり、裁判所には、法第63条に基づき返還を求めた債権は公債権であり、安易に免責許可の対象にするべきではない旨の意見を述べましたが、結果として免責許可の決定がなされたものでございます。

<債権放棄・質問3>

(1)ご答弁いただきましたが、パチンコなどのギャンブルへの浪費をいかに防止するのか、あるいは無用な借金をいかに未然に防ぐかといったことに関して、あまり具体的には答えていただけませんでした。こうした方が他にはおられないのかとも聞きましたが、お答えはありません。私は平成24年12月19日に高槻市議会本会議の一般質問で、生活保護とギャンブルについてお聞きしましたが、西岡健康福祉部長は、「ギャンブル等をされている方等につきましての数などにつきましては把握しておりません。」と答弁されました。しかし、今回の債権放棄で、生活保護を受けておられる2件の方が、パチンコで浪費をし、保護開始後に借金を重ねていたことが、明るみになりました。それでも、ギャンブルや借金への対策や現状について、議会で質問しても、具体的にお答えにならない。高槻市の福祉事務所が出している生活保護のしおりには、保護を受給したら守っていただくこととして、その1つに、競輪場、競馬場、パチンコ店などでの浪費や借金をしないことと書かれていますが、実は、こうしたことについて、高槻市はちゃんとした取組をしていないということではないのでしょうか?現状と対策についてもう一度お聞きしますので、明確にお答えください。

(2)パチンコなどのギャンブルというのは、負けるだけではなく、時には勝つこともあるので、その「大当たり」や「フィーバー」などの快感が忘れられなくて、次第に深みにはまっていくケースがほとんどだといわれています。そうすると、その2件の方も、勝ったこともあったと考えられます。勝った場合には、収入があったといえるわけですが、そのパチンコによる収入を、一時所得として申告させたことはあるのでしょうか?あるとすれば、どれだけの一時所得があったのでしょうか?お答えください。

(3)今回の債権放棄は、裁判所が免責を許可したことによってやむなく行われたものです。市の説明によれば、2件については、ギャンブルでの浪費が自己破産の原因とのことです。市の説明を信じれば、債務の免責を許可した裁判所の決定は、不当なものだと思います。以前も、高槻市国民健康保険等から療養費を詐取したマッサージ治療院の代表者に対して裁判所が免責を許可する決定を行ったことがありました。最近の裁判所は、もしかすると、免責を認めやすい傾向にあるのかもしれません。そうすると、市としては、やはり被保護者のギャンブルや借金について、しっかりと目を光らせなければならないはずです。私は先ほども言いましたが、パチンコ店の巡回や、成年後見制度等の活用が必要ではないかと思いますが、市としては、何か特別な対策などはお考えなのでしょうか?それとも、特に何のアイデアもないのでしょうか?お答えください。

(4)兵庫県小野市では、生活保護費や児童扶養手当をパチンコ等のギャンブルで浪費することを禁止し、市民に情報提供を求める旨の条例が成立しましたが、この条例について、高槻市としては、どのようにお考えでしょうか?お答えください。

<答弁要旨>

 生活保護についての、再度のご質問でございますが、先ほどご答弁いたしましたとおり、被保護者の方には、生活保護法60条に定める生活上の責務に努めていただくとともに、担当ケースワーカー等による適切な助言、指導を通じて、解消されるべき問題だと考えております。
 4点目の兵庫県小野市の条例につきましては、小野市及び小野市議会の考えに基づき制定されたものと考えております。・・・


以上の他、健康福祉部長は、答弁原稿にはないことを滔々と述べました。メモした範囲ですが・・・
 生活保護というのは、最低限の生活を保障するもの。現在、高槻市内で生活保護を受けているのは約4000世帯の約6000人。子どもから高齢者まで、疾病や事故等様々な要因で生活保護を受けている方がいる。ギャンブルが原因なのはごく一部。場合によっては法的な対処をするが、パチンコ等であっても、ささやかな趣味としてされている場合もあり、監視だけをいたずらに強化するのもいかがなものか。短絡的な批判はされるべきではない・・・
 ・・・そんなようなことをおっしゃったようです。私のメモと記憶に基づいているので、不正確かもしれません。

市は「ささやかな趣味」との認識のようですが、今回の2件のケースはそうではありませんでした。「ささやかな趣味」であっても、のめり込んで今回のようにならないとも限りません。パチンコで勝った場合には、一時所得として申告させるなど、厳格な対応をして、ギャンブルで浪費しないよう、間違っても借金しないよう、高槻市は今後取り組むべきではないでしょうか。甘い指導による税金の無駄遣いは許されないはずです。