高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

高槻市全域大防災訓練の中止・・・最大の失敗は、災害の多い夏にやろうとしたこと。

9月議会の一般質問では「防災等市民の安全・安心について」として、8月25日に中止となった高槻市全域大防災訓練や、その2日前に起きた落雷による停電、堤防や水位計の故障の問題、特別警報、消防団の財政状況についても質問しました。

大防災訓練が中止になったにもかかわらず、避難所に来られた市民の方は約800人とのこと。この中には中止と知った上で来られた方もいるそうですが、それでもかなりの数です。

これは、どんな場合に中止になるのかが市のホームページやポスターに書かれていなかったことや(チラシにも小さくしか書かれていませんでした)、中止を知らせる防災無線が雨のためにの聞き取りにくかったこと、高槻市役所のホームページにアクセスが集中し過ぎて、担当の市職員がホームページの更新さえできなかったことなどが原因。市のホームページのサーバーが、こんなにもたやすくダウンするなら、ツイッターフェイスブックなどのSNSの活用も必要ではないかと考えさせられました。

市でもこうした課題をまとめていたのですが、ただ、今回得られた課題というのは、訓練を縮小・中止した際に得られた課題であって、訓練をして得られた課題ではありません。実際に、市域全域で訓練をしてみなければ分からないこともあるはずですから、やはり少なくとも一度は実際にやってみなければならないと思います。

議会で質問して分かりましたが、訓練を実行しても、中止しても、ほとんど経費は変わらないとのこと。だったら、なぜ、台風やゲリラ豪雨や落雷が起きて、訓練が中止になる可能性が高い夏季に、市民全体を対象とする大防災訓練を計画したのか。暑い時期であれば、訓練に参加する人が熱中症にかかるかもしれない。そういう想像ができなかったのかなと疑問を覚えます。

夏にやろうと決めたことが、そもそも大失敗だったわけです。

今年は台風にも見舞われました。台風18号による高槻市内の被害は床上浸水2件、床下浸水14件とのこと。広い範囲で停電も起きました。水位計はまた大事な時に壊れた。堤防にも課題があると私は考えています。特別警報の運用も開始されました。防災の担い手の消防団の財政も、消防分団によっては逼迫しているとのこと。

様々な課題が次々と出てきて大変ですが、だからこそ防災訓練は必要だと思います。今回は中止になりましたが、大防災訓練については、もう一度チャレンジすべきではないかと私は考えています。

というか、毎年、地震とか水害とか火災とか、災害のシチュエーションを変えながら、やってもよいのではないでしょうか。それによって、市役所の体制や関係機関との連携の確認をするだけじゃなく、何よりも、市民の皆さんに、防災に関する認識を強くもっていただくことができるのではないか。それが大事ではないかと思いますので、夏以外の天候の荒れにくい時期に、大防災訓練を行うことを、議会で要望しました。

以下は9月26日の本会議での私の防災等に関する質問と市の答弁の要旨です。原稿やメモを基にしていますので、実際の発言とは異なっている可能性がありますが、ご了承ください。

■防災等市民の安全・安心について

<質問1>

(1)8月25日に予定されていた大防災訓練が、大雨洪水警報により中止となりましたが、中止にした場合と訓練を実行した場合とでは、収支にどれだけの差があるのでしょうか?
(2)大防災訓練の2日前に落雷により広範囲で停電が起きました。市の施設の非常電源は正常に機能したのでしょうか?また市としてどのような対応を行ったのでしょうか?
(3)今年8月30日から「特別警報」の運用が開始されました。高槻市としての対応は、この「特別警報」が発令された場合、「警報」のときとどのように違うのでしょうか?
(4)市内にある堤防の川側の法面に樹木が生えている場所がありますが、河川法上、あるいは防災上、問題はないのでしょうか?大阪府などに対して撤去を求めるといったことは、しないのでしょうか?
(5)堤防の内側・川側の敷地を高槻市が公園として管理している部分がありますが、河川の増水によって流される可能性はないのでしょうか?こうした公園内の設置物についてはどのような対策をおこなっているのでしょうか?
(6)地震により、堤防の敷地が液状化し、堤防が崩れてしまい、河川が氾濫する可能性があるといった報道を見たのですが、こうした液状化等については、どのように考え、また現状をどう把握されているのでしょうか?
(7)9月16日は台風の影響で、女瀬川と檜尾川の水位が避難判断水位を突破したため、周辺地域に一時避難情報が発令されました。この時、インターネットで檜尾川の水位を見ると、午前0時から「欠測」となっており、最近まで「欠測」のままでした。いざというときに役に立たないこの水位計に非常に不安を覚えたのですが、この故障の原因はなんなのでしょうか?
(8)消防団の存在は、火災の場合だけでなく、その他の災害時にも重要です。各消防分団の財源は、地元の財産区と消防本部からの補助金で主に賄われているのだと思いますが、財産区には財政的に余裕のあるところと、ないところがあります。分団が消防車両を購入する場合には、消防本部から補助金が出ると聞いていますが、その補助金の額については、どのような定めがあるのでしょうか?消防車両の代金を全額負担したり、あるいは消防車両そのものを、消防本部から分団に寄付したりということはできるのでしょうか?
(9)消防分団の管轄区域の住民は、その分団の財源を負担するなどの、何らかの責任を負わなければならないのでしょうか?負うのだとすれば、どのような法的な根拠があるのでしょうか?あるいは、自治体や消防本部などは、分団の維持について何らかの法的責任があるのでしょうか?
(10)消防分団の財源が乏しく、また地元自治会等の理解も得られず、分団が消防車両を購入できない場合、将来的には、消防車両が1台もないということにもなりかねません。このような場合、消防分団として、充分に使命を果たすことができるのでしょうか?
 それぞれお答えください。

<答弁1>
(1)大防災訓練にかかる予算執行に関するお尋ねですが、当日早朝までの会場設営費等をはじめ、市庁舎で図上訓練等を行った、今回の訓練における執行額については、約2690万円で、全ての訓練を実施した場合には、約2820万円と見込んでおりましたことから、その差額といたしましては、約130万円でございます。
(2)停電時における市の施設の状況ですが、総合センターについてのみ、発電設備の起動は確認できたものの、電源の送電がなされないという状況でございました。この状況対応に当たっていたところ、約1時間後に関電送電による館内の復電を確認したところでございます。
(3)特別警報についてですが、従来の警報の場合は、重大な災害が起こる恐れのあるときに発令されるものであることから、その時の気象状況等に応じて対応いたしておりますが、特別警報が発令された場合には、気象庁は直ちに命を守る行動をとるよう呼びかけるとともに、市町村などには、市民への周知が義務付けられていることが、違うところでございます。
(4)堤防の樹木についてですが、既存の樹木につきましては、河川管理者である国・府が治水上の観点から判断し、対応されているところです。
(5)河川区域内の公園の設置物についてのお尋ねですが、移動式トイレは、水位が上昇して流されるおそれがある場合、事前に引き上げております。その他の公園施設につきましては、河川管理者と協議の上、河川の状況等を考慮した、安全な構造のものを設置しております。
(6)堤防の地震対策についてのお尋ねですが、河川管理者は、仮に地震により堤体に何らかの影響が出た場合には、迅速に復旧を行い、治水レベルを確保すると聞いております。
(7)檜尾川水位計の欠測についてですが、避難判断水位に達した時点では正常に稼動しており、判断には支障はございませんでした。その後、漂着物が挟まったことから故障し、現在、鋭意復旧に向け大阪府が作業を行っております。
(8)補助金の額につきましては、高槻市消防施設強化補助金交付要綱で定めており、消防団の施設整備等については補助金で対応させて頂いております。
(9)地域住民が費用を負担する責任及び法的根拠はありません。消防組織法では市町村の消防責任を定めております。
(10)各分団の財政状況は把握しておりません。今後も消防団と協議し地域特性を考慮しつつ、効果的な消防団運営を図ってまいりたいと考えております。


<質問2>

(1)「総合センターについてのみ、発電設備の起動は確認できたものの、電源の送電がなされないという状況」だったということですが、問題じゃないでしょうか?この問題の究明や対応はどうされるのでしょうか?
(2)この停電のときに、クーラーがとまり、真っ暗な屋外で涼をとっておられたかたもいました。いつ復旧するのかと、何とかできないのかと、私のほうにも市民の方から苦情の電話がありました。高槻市としても、停電の範囲や復旧の見込みについて、ホームページなどでお知らせすべきではないかと思います。市の見解をお聞かせ下さい。
(3)市内の医療機関については、停電後、すぐに非常用自家発電機が作動していたようです。しかし、救急の患者を受け付けないといった対応をした医療機関もあったと聞きました。医療機関のほうも大変だったと思いますが、暑い時期にこういうことが起きると、クーラーが止まって、熱中症になる方も出てくる可能性があります。医療機関の停電時の対応・応需体制はどのようになっているのでしょうか?
(4)芥川の芥川橋の北側の堤防の上の道が「ゆめ桜通り」と名付けられています。ここは高槻市が管理しているとききました。川側の法面に桜などの木が植えられていますが、この樹木は河川法違反の状態なのでしょうか?もし、河川法違反の状態であるならば、今後どのような対処をされるつもりなのでしょうか? 
(5)地震による堤防の液状化ついて、川沿いの市民の安全は守られると理解してよろしいのでしょうか?また、高槻市としては、どのように対策を考えているのでしょうか? 
(6)檜尾川水位計は、以前は落雷で故障したとのことですが、今回は漂着物が挟まったことで故障したとのことです。だとすると、今後も故障する可能性が高いのではないでしょうか?他の水位計も漂着物で故障する可能性があるのではないのでしょうか?漂着物に対して、具体的にどのような対策をとる予定なのでしょうか?
(7)「各分団の財政状況は把握しておりません。」という消防長のご答弁ですが、平成24年度の事務事業評価表(実績分)には、「消防団施設強化補助事業」の「事業の課題」の欄に「本補助事業以外の経費は、地元自治会等の負担となっているが、地元自治会等の財政が逼迫している。」と記載がされています。これは何故なのでしょうか?地元自治会等の財政がひっ迫しているということを消防本部は知っているということになりますが、どこがどれだけ財政状況がひっ迫しているのでしょうか?具体的にお答えください。
(8)地元の自治会や財産区が消防分団を資金的に援助できないということになれば、分団は消防車両を所持・維持できなくなります。地域住民には分団の費用を負担する責任はなく、一方で市町村には消防組織法上、消防責任があるということですが、分団が消防車両を維持できないほど財政的に困窮した場合はどうするのでしょうか?
(9)消防団の施設整備等については補助金で対応しているとのことですが、消防車両を貸与・レンタル・リースするといったことは、法的には可能なのでしょうか?
(10)自治会に入っていない地域や住民の方もおられるかと思いますが、そういう地域や住民に対しても、消防団は公平に活動してくれるのでしょうか?また、そうした地域や住民の方というのは、どこにどれだけおられるのでしょうか?
 それぞれお答えください。

<答弁2>

(1)発電機の送電不通に関する対応としまして、9月7日、「総合センターの一時停電を伴う自家発電機の起動調査」を実施し、正常な運転ができることを確認しております。
(2)停電時における対応については、より正確な情報を迅速に市民の皆様へ、ホームページなどを通じて伝達するため、現在関西電力株式会社と、調整・協議を進めているところです。
(3)停電時の対応につきましては、各施設において自家発電装置等により、病院機能の存続に必要な電源の確保が図られております。次に応需体制につきましては、停電の状況に応じて各施設において適切に対応いただくこととなります。
(4)ゆめ桜通りの樹木につきましては、河川法の許可を受けております。
(5)堤防の地震時対策につきましては、治水レベルを確保することにより、市民の安全が守れるよう対応するものと、河川管理者からうかがっております。また、本市としては、河川管理者と連携しながら、適切に避難判断や避難誘導を行い、市民の安全を確保してまいります。
(6)水位計についてですが、施設管理者である大阪府において、この間の経験を踏まえ適切に、漂着物等への対策を検討されるとうかがっております。
(7)財政状況が逼迫していることは認識しておりますが、各分団の実状がそれぞれ違いますので具体的には把握しておりません。
(8)1問目でもお答えしたとおり、消防団と協議し地域特性を考慮しつつ、効果的な消防団運営を図ってまいりたいと考えております。
(9)消防車両の貸与、レンタル、リースについては、今後研究してまいります。
(10)消防団活動については、11分団、55班で市内全域を公平にカバーしております。

<意見>

 先日の総務消防委員会協議会では、降雨時の防災無線の聞き取りにくさや、市のホームページにアクセスが集中し過ぎて、ホームページの更新さえできなかったことなど、高槻市全域大防災訓練で得られた課題が報告されました。このように課題をまとめられたことは、評価できると思います。
 市のホームページのサーバーがたやすくダウンするなら、ツイッターフェイスブックなどのSNSの活用も必要ではないかと考えさせられました。
 ただし、今回得られた課題というのは、訓練を縮小・中止した際に得られた課題であって、訓練をして得られた課題ではありません。実際に、市域全域で訓練をしてみなければ分からないこともあるはずですから、やはり少なくとも一度は実際にやってみなければならないと思います。
 1回目の答弁で分かりましたが、訓練を実行しても、中止しても、ほとんど経費は変わらない。だったら、なぜ、台風やゲリラ豪雨や落雷が起きて、訓練が中止になる可能性が高い夏季に、市民全体を対象とする大防災訓練を計画したのか。暑い時期であれば、訓練に参加する人が熱中症にかかるかもしれない。そういう想像ができなかったのかなと疑問を覚えます。夏にやろうと決めたことが、そもそも大失敗だったと思います。
 今年は台風にも見舞われましたし、広い範囲で停電も起きました。防災の担い手の消防団の財政も逼迫している。水位計はまた大事な時に壊れた。堤防にも課題があると私は考えています。特別警報の運用も開始されました。
 様々な課題が次々と出てきて大変ですが、だからこそ防災訓練は必要だと思います。大防災訓練については、もう一度チャレンジすべきではないでしょうか。というか、毎年、地震とか水害とか火災とか、災害のシチュエーションを変えながら、やってもよいのではないかと思います。それによって、市役所の体制や関係機関との連携の確認をするだけじゃなく、何よりも、市民の皆さんに、防災に関する認識を強くもっていただくことができるのではないか。それが大事ではないかと思いますので、夏以外の天候の荒れにくい時期に、大防災訓練を行うことを要望して、この件については終わります。