高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【校舎の手抜き工事】校舎の壁に建設業者の名を刻め

富士山頂の気象レーダーの銅版

昭和40年から55年にかけて建設された校舎11棟で手抜き工事がされていました。

★施工不良:高槻市の小中学11校で 鉄筋少なく /大阪
毎日新聞 2013年08月31日 地方版


 高槻市は30日、1965~80年に建設した市立小中学校11校の校舎11棟で、設計図よりも鉄筋が少ない施工不良が見つかったと発表した。小中学校42校(45棟)を対象に今年度進めている耐震補強工事の過程で発覚した。市は、耐震強度が不足するおそれのある4棟について、追加の補強工事を実施する方針。(後略)



4棟が「耐力壁」という耐震性能に影響する壁に施工不良があるので、現在締結している耐震改修工事の契約に、その対策のための工事を盛り込み、それに伴い工事費の増額が必要だとのことで、昨日の高槻市議会本会議で、その契約変更に関する3つの議案が上程・審議されました。

手抜き工事をした業者に責任をとってほしいところですが、最高裁の判例によると、瑕疵担保責任の時効は、引渡しの日から10年とのこと。法的に責任を問うのは難しいようです。

そこで、議会である提案をしました。以下は昨日の手抜き工事に関する質問と答弁の内容です。 

<手抜き工事・質問1> 

(1)今回の施工不良の原因は何なのでしょうか?業者だけの責任なのでしょうか?市の監理体制はどのようなものだったのでしょうか?施工不良について市が関与していたということがあったのでしょうか?それぞれお答えください。 

(2)今回の件について、事業者側はどのような弁明や謝罪をしているのでしょうか?それぞれの事業者について具体的にお答えください。 

(3)問題の校舎の他の壁について非破壊検査を行うということですが、その費用はどれだけかかるのでしょうか?また、校舎の他の箇所で同様の手抜きがされていた場合、校舎の耐震性能にはどれだけの影響があるのでしょうか?影響があるとすれば、耐震性能は具体的にどれだけ下がるのでしょうか?それぞれお答えください。 

(4)これらの校舎と同時期に建てられた市の建物はどれだけあるのでしょうか?また、同じ事業者が建設にかかわった建物はどれだけあるのでしょうか?それぞれお答えください。 

(5)今回の問題を調査・検討するために「高槻市学校工事施工調査委員会」を設置したとのことです。この委員会にオブザーバーとして一般財団法人日本建築総合試験所の部長の方が参加されるということですが、この方には、法的にはどのような立場で、そして、委員会の場には具体的にどのような形で、参加していただくのでしょうか?また、報酬や謝礼はどういった形でどれだけ支払われるのでしょうか?それぞれお答えください。 


<答弁> 

 施工不良の原因、監理体制、責任の所在等についてですが、今後調査委員会で原因究明等を行ってまいります。 
 事業者側の弁明や謝罪についてのお尋ねですが、各業者、それぞれ謝罪の意を示しておられます。 
 非破壊検査等についてのお尋ねですが、今回施工不良の判明した11棟の調査費につきましては約1200万円の予算を見込んでおります。校舎の他の箇所で同様の不良があった場合の耐震性能についてのお尋ねですが、現段階では調査をしておりませんので不明ですが、今後安全性の確認を行ってまいります。 
 同時期に建てた市有施設についてのお尋ねですが、昭和40年代に建てられた施設数は約100施設ございます。今回の施工業者との関わりにつきましては、今後調査を進めてまいります。 
 オブザーバーについてのお尋ねですが、構造調査、診断業務等に専門知識と調査実績を有する第三者から専門的な意見を伺うためにお願いしたものです。なお、謝礼は報償費として支出するもので、1回9,100円です。 


<手抜き工事・質問2> 

(1)各業者、それぞれ謝罪の意を示しているとのことですが、ということは、施工不良については、業者側が100%悪いということなのでしょうか?業者側は、謝罪以外には、弁明・説明・言い訳をしていないのでしょうか?業者以外の要因で施工不良となったのだというような弁明などはしていないのでしょうか?具体的にお答えください。 

(2)施工不良の原因となった業者等に対しては、どのようなことができるのでしょうか?工事のやり直しをしてもらえるのでしょうか?損害賠償を請求できるのでしょうか?指名停止にすることができるのでしょうか?業者名を公表することができるのでしょうか?具体的にお答えください。 

(3)今回の事件は、特に汲むべき事情が無いのであれば、自らの利益のために、子供達の命を蔑ろにした、悪質な行為といえます。そんな手抜き工事がされた校舎が現在判明しているだけでも11棟もあり、同じ時期に建てられた高槻市の施設は約100もあるということです。本当に大変な問題です。 
 こうした校舎の手抜き工事の事実を把握しながら、市は、市内全域を対象とした大防災訓練を行おうとしていたわけですが、校舎や他の施設は、災害時には、市民の避難場所になる可能性が高いですし、それが手抜き工事により機能しないということになれば、防災上も問題です。 
 高槻市は「高槻市学校工事施工調査委員会」の第1回を、ちょうど9月議会の告示日の8月30日に開いたということです。しかし、業者に何らの制裁もできないとなると、どこまで究明できるか疑問です。議会の百条委員会であれば、正当な理由なく関係者が証言や記録の提出などを拒否したときは禁錮または罰金に処することができます。百条委員会にかけようという考えはなかったのでしょうか?お答えください。 

(4)昭和40年代に建てられた市の施設の数は約100だということですが、これらについて、問題の校舎と同様の検査を行う場合、その費用はどれだけになるのでしょうか? 

(5)「高槻市学校工事施工調査委員会」には、一般財団法人日本建築総合試験所の部長の方がオブザーバーとして参加され、1回9100円の謝礼が支払うということです。そうすると、この委員会は、外部の有識者の委員に報酬を支払うわけですから、条例での設置が必要な附属機関に該当するのではないのでしょうか?お答えください。 


<答弁> 

 業者側の謝罪、弁明についてですが、各業者におきましては、設計図面どおりになされていなかったという事実を認識し、市に対し大きな影響を与えたことに対し謝罪の意を示されています。 
 調査費用についてですが、施工不良の判明した11棟について構造安全性の確認を目的に調査を行なうもので、その他の調査費用については試算しておりません。 
 業者等に対する責任等につきましては、今後、調査委員会の中で調査・検討してまいります。なお、百条委員会は議会内部でご決定いただくものと考えております。 
 調査委員会は内部の職員で構成されており条例で設置が必要な付属機関ではありません。オブザーバーにつきましては、あくまでも学識経験を有する第三者からの意見を聴取するものであり、報償費で支払うものです。 


<手抜き工事・質問3> 

 あらためて1点だけお聞きしますが、各業者が、設計図面どおりに建設しなかったことについて謝罪しているということは、各業者が100%悪いということなのでしょうか?それとも、業者以外に、施工不良の原因となったものがあるのでしょうか?お答えください。 
 あとは意見を述べさせていただきます。 
 まず「高槻市学校工事施工調査委員会」についてですが、「オブザーバー」という名称であるものの、一般財団法人日本建築総合試験所の部長さんという固定的な専門家の方・・・こういう職員以外の外部の方が、有償で委員会で参加されるわけですから、地方自治法上の附属機関であると考えられます。そうするとこれの設置には条例の制定が必要であり、条例のない現状では、違法な状態にあると考えられます。直ちに条例案を提案すべきです。 
 しかし、私は、こういう委員会よりも、議会として百条委員会を設置して、徹底的に調査すべきであると考えております。先ほど答弁にもありましたが、11棟の校舎のみならず、同時期に建てられた市内の約100もの施設についても、施工不良・手抜き工事がされている可能性があります。子供達の命を脅かすだけでなく、市民全体にとっても、防災上、大問題です。業者の方々にも、議会に来ていただいて、調査を受け、弁明なり謝罪なりを、きっちりと公の場でしていただくべきだと思います。ですので、議長をはじめ議員の皆様には百条委員会の設置を提案いたします。 
 業者の方は、謝罪をしているなら、なぜ公式の場に出てきて記者会見などをしないのでしょうか?なぜ高槻市も企業名を公表しないのでしょうか?時が経ち過ぎて法律的に責任が問えないからかもしれませんが、今後も高槻市内で建設業を続けられるのであれば、良心的な対応をしていただきたいと思います。 
 NHKではかつて「プロジェクトX~挑戦者たち~」という番組が放映されていました。番組では様々な分野で困難に打ち勝つ人々の姿が取り上げられていました。その第1回は、富士山頂に気象レーダーを建設するという話でした。富士山頂は標高の非常に高いところですから、高山病にかかって現場から逃げだそうとする作業員が続出します。そんな作業員を鼓舞するために、現場責任者は、「この仕事は子供や孫に誇れる仕事だ」と毎日のように言い聞かせ、そして、10日以上山頂で働いた人の名前を、銅版に刻み込んで建物に取り付けて、後世のために残すことも約束しました。 
 学校の校舎の建設だって、未来を担う子供達のためのものであるわけですから、子や孫に誇れる仕事のはずです。業者の皆さんは、工事中には、現場にデカデカと社名を掲げて宣伝をされることが多い。でも、今回の問題に関しては、自ら、手抜き工事をしたと名乗り出る企業の方はおられないようです。
 時効だからと、逃げているのかもしれない。時効は法律で決められているので、どうしようもないのかもしれないけれども、今回のような手抜き工事を防ぐためには、業者の皆さんの誇りを賭けてもらうしかないのではないか。
 今後は、校舎を建てた業者の方の社名や責任者の名前を、銅版に刻んで、校舎の壁に貼りつけてはどうかと思います。
 しっかりとした校舎を建てれば、それが業者の方の誇りになるでしょうし、逆に、手抜き工事が判明すれば、子供達は、その銅版に書かれた名前を「悪質業者」として胸に刻み込むことでしょう。こうやって、子供たちの安全のために、建設業に携わる皆さんの誇りをかけていただきたい。こうした銅版の設置を要望します。
 本議案につきましては、納得のいかない点が多々ありますが、子供達の安全のため、やむなく賛成することを表明して、質問を終わります。 

<答弁要旨> 
 その点につきましても、調査委員会で今後、調査検討を行い、厳正に対処してまいります。 
 「高槻市学校工事施工調査委員会」は附属機関ではありません。




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