高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【ブロック塀倒壊事件】第三者委員会の答申の欺瞞

今日は12月議会の初日。高槻市から、大阪府北部地震における災害対応についての報告があり、これに関する質問ができたので、私は「高槻市学校ブロック塀地震事故調査委員会」(第三者委員会)の調査報告等について質問しました。その質問や答弁の内容は下のほうに記載しました。

三者委員会の調査報告を読むと、とても的外れなものと感じました。それについては、先日の提訴の際に、マスコミの皆さんにお会いする機会があったので、文書にまとめ、お配りしました。以下は、その文書の抜粋です。


【ブロック塀事件】第三者委員会の欺瞞 ~的外れな調査で責任をウヤムヤに~

■最大の問題は「控壁」や「高さ」に関してまったく検証していないこと

 高槻市学校ブロック塀地震事故調査委員会(以下「第三者委」)は、平成30年10月末、塀の倒壊の主原因を「施工不良」「鉄筋の腐食」とし、それは外観目視等の通常の点検では確認不可能だと結論付けた。
 しかし、地震直後からメディアが指摘してきた①控壁がなく、②高さが3m(昭和46年改正当時の建築基準法の高さ制限)を超えていたという建築基準法違反の部分については何も検証していない。控壁があり、高さが3m以下であれば、倒壊や死亡を防げたのではないか、といった検証を何故しなかったのか。第三者委は、ブロック塀には不良個所が伏在している可能性があるから国へ撤去費用の財政支援を要望せよ等と大見得を切っているが、建築基準法を遵守していたものが倒れたのならともかく、違法建築物の倒壊を国に何とかしろというのはお門違いだ。「施工不良」を指摘するなら、それを許した高槻市役所の工事監理のあり方に、まずは疑惑の目を向けるのが普通である。別添のとおり、市民プールでも、設計とは違う施工がされていたことが明らかになったが、市はごまかしに終始した。工事監理の不備が別の施設でもあったではないかと、市役所の体質をまず問うべきではないか。
 なお、一般社団法人全国建築コンクリートブロック工業会のサイトでは、「ブロック塀は、良い設計・施工で作られたものでも、常に外気に接する過酷な環境にあるため、約20年で鉄筋にさびが認められるようになります。日本建築学会の調査によると、ブロック塀に期待する耐久年数は約30年です。」と説明されている。40年以上を経たブロック塀ならば、施工不良があればなおさら、劣化は当然の現象であるが、第三者委は触れない。第三者委は、ブロック塀の設置において、構造計算をして安全とされた場合には、控壁等がなくてもよい(建築基準法施行令62条の8ただし書き)から法令違反とはいえないとも言うのだが、構造計算に関する文書が存在せず、構造計算をしたと考えられる事情もないのであるから、むしろ違法と判断するのが普通ではないか。第三者委の論考は極めて不自然だ。
 同工業会は、「過去の地震において、電柱等のわずかな支えがブロック塀の転倒を防ぎ、人の命を守った事例があります。」とする。ならば、やはり控壁があった場合には死亡を防げたのかどうかの検証が必要だったはず。第三者委の調査は明後日のほうを向いている。
 第三者委は当初から非公開で審議をしてきた。その理由は、公開の場では、点検業者等が調査に協力しないからだということのようだが、公共事業を請け負うことができるほどの企業が、公開の場だからと説明を拒否すれば、その時点で社会・顧客の信頼を失うのだから、協力拒否は考えにくい。「控壁」や「高さ」、「工事監理の不備」等を検証・追及しない第三者委の姿勢を、メディアに指摘されないよう非公開にしたのではないかとも疑われる。

■「施工不良」「鉄筋の腐食」とすれば点検業者も市の担当職員も責任を免れる?

 点検業者が控壁の不存在を指摘しなかったかといえば、実はそうではない。平成19年の点検業者は、寿栄小学校のブロック塀こそ「該当なし」としていたが、他の施設については「控え(壁)なし」等と指摘しているものもあった(報告書22頁)。この時に控壁がないという違法性に市教委の担当職員は気付くことができたはずであるから、当時の担当職員には、控壁の設置やブロック塀の修繕・撤去といった対策を取らなかった責任があるはずだ。仮にそうした対策をしていれば、内部の施工不良や鉄筋の腐食も判明したのではないか。
 ところが、第三者委はそのような指摘を一切せず、上記のとおりブロック塀の内部の構造に固執し、「施工不良」「鉄筋の腐食」が倒壊の主原因とした。それは外観上分からないのだから、仮に点検業者が手抜きをしなかったとしても見つけられなかったのだし、市教委にも責任はないことになる。すべての関係者が責任を免れられるよう、意図的にこのような結論に導いたのではないだろうか。
 さらに第三者委は、学校や市教委内の責任の所在が明確でなかったと、個々の職員に累が及ばぬよう「課題整理」をしてみせる(報告書37頁)。ところが、住民監査請求の意見陳述では、市教委は、塀の管理を担当する歴代の職員がいたと言うのだ。その歴代の職員らが責任を負うべきではないのか。市教委には建築職もおり、防災アドバイザーから危険性を指摘された際には塀を金属棒で叩いたともいう。つまり現場で塀に触れさえしたのだ。そこまでした建築の専門職なら、外観上、塀が建築基準法違反の状態であることにも気付かなければおかしい。
 第三者委が答申を出した時、委員長は、責任の所在については検討していないと述べた。しかし、報告書からは、関係者が責任から逃れられるように結論を導いてやったという忖度めいたものが臭い立つ。責任については十分に検討されたのではなかろうか。所在がうやむやになるようにと。行政寄りに結論を方向付ける「第三者委員会」は、第三者ではない。

■手抜き点検をしても罰則さえない「特定建築物調査員」制度こそ全国的な問題

 第三者委は、ブロック塀は劣化が早いとし、「原則全て撤去し、今後、設置を行わないこと」を提言(報告書37頁)。そのとおりに高槻市役所も動き出した。ブロック塀そのものを悪者にして、点検業者や市職員の罪をごまかしたいようだ。国に財政支援を要望し、各自治体への注意喚起をとも訴える。しかしそれが筋違いなのは上述のとおり。
 普通に考えれば、高槻市役所の工事監理の不備のために、建築基準法に反したブロック塀が設置され、点検業者の手抜きにより違法性が見逃され、防災アドバイザーから危険性を指摘さえされたのに担当職員が問題なしとして放置し続けたため、耐用年数をとうに超え劣化した違法ブロック塀の倒壊を招き、女子児童を死に至らしめたのだ。
 管理を怠った市職員と点検業者の責任が問われなければならないが、塀の点検を行った「特定建築物調査員」については、実は罰則がない。一級建築士等ならば、建築基準法に罰則があるのだが。調査員が不誠実な行為をしたとき等には、国土交通大臣が資格者証の返納を命ずることができるとされているのだが、別添の上申書を持参して、国土交通省近畿地方整備局の担当職員に質問したところ、大臣が調査員を調査する手続きも定められていないから、調査もしないという。人が死んだのに。今も悪質な調査員が野放しにされているのだ。
 高槻以外の学校でも、違法なブロック塀が多数見つかった。今頃見つかったということは、他所でも手抜き点検がされていたということか。全国的に定期点検の虚実を精査すべきだ。
 「特定建築物調査員」制度の是正(罰則規定を設け、資格者証返納に関する調査・審査手続きを定め、自治体の建築主事に点検報告書の確認をさせるよう義務付け、平成20年3月10日国交省告示第1のただし書を削除すること)こそ、国に求めるべきなのである。



以下は本日の議会でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをお許しください・

■報告 「大阪府北部地震における災害対応について」

<1回目>

高槻市学校ブロック塀地震事故調査委員会・・・以下「第三者委員会」と言いますが・・・第三者委員会は、塀の倒壊の主原因を「施工不良」と「鉄筋の腐食」とし、定期点検が適切にされてはいなかったものの、外観目視等の通常の点検ではブロック塀の内部構造は確認不可能だった等と結論付けていますが、この調査報告や答申等について、まず10点伺います。

(1)ブロック塀や鉄筋の耐用年数に関する認識についてです。
三者委員会の委員や市の担当者は、ブロック塀や鉄筋の耐用年数については、どのような認識だったのでしょうか?それぞれの耐用年数は何年だと考えていたのでしょうか?
また、それについては、何らかの資料等に基づいて検討したのでしょうか?検討したのであれば、どういった資料に基づいて検討したのでしょうか?
それぞれお答えください。

(2)外観から分かる建築基準法違反に関してです。
地震直後から、倒壊した寿栄小学校のブロック塀については、①控壁がなく、②高さが建築基準法の制限を超えていたという、外観から明らかな建築基準法違反を市が認めたと、報道されてきました。
しかし、第三者委員会の調査では、控壁があった場合には倒壊したかどうかとか、高さが昭和46年改正当時の建築基準法の高さの上限である3m以下だった場合は倒壊したかどうかとか、そういった検証がされていません。
内部構造は分からなくても、外観上適法であった場合には、倒壊が防げたのであれば、外観目視の通常の点検は有効であるとの結論にもなった可能性があると思いますが、何故、控壁や高さに関しての検証をしなかったのでしょうか?お答えください。
もし、その検証をしたというのであれば、控壁があり、高さが3m以下であった場合でも、ブロック塀は倒壊したのでしょうか?お答えください。

(3)内部構造の点検についてです。
三者委員会は、外観目視等の通常の点検では、ブロック塀の内部構造は確認不可能だったとしていますが、市の他の施設では、内部構造に関する調査は行っているのでしょうか?行っているのであれば、どういったものについて、どのように行っているのでしょうか?具体的にお答えください。

(4)審議の非公開についてです。
三者委員会は最初から非公開で審議をしてきました。しかし、答申や調査報告書を見ても、非公開にした意義が分かりません。非公開で審議したことによって、どういった成果が得られたのでしょうか?具体的にお答えください。

(5)点検業者に対する対応についてです。
調査報告書には、平成19年度から28年度において定期点検を実施した事業者の名称が記載されていました。いずれの業者も寿栄小学校のブロック塀について、点検対象とされているにもかかわらず、点検報告書には記載しておらず、明らかに契約違反をしていたと考えられます。
報道によると、高槻市は点検業者に対して損害賠償を含めた対応を検討するとしています。具体的にはどのような対応をするのでしょうか?お答えください。
また、点検業者の中には、市の他の業務を請け負っているケースも見られますが、指名停止や契約の打ち切り等はされないのでしょうか?具体的にお答えください。

(6)市の職員の責任についてです。
答申等では市の担当職員の責任についても触れられていません。市教委は、塀の管理を行う担当職員が存在していたと述べていましたが、具体的には、どの部署の、どの役職の方が、その責任者なのでしょうか?お答えください。
また、平成30年6月22日の新聞報道によると、市教委は、点検業者の調査結果を確認しなかったことについて、落ち度を認め陳謝しています。点検結果の確認を担当した職員の責任が問われるべきだと思いますが、処分や賠償請求はされないのでしょうか?具体的にお答えください。

(7)平成19年度には控壁がないと指摘されていたことについてです。
平成19年度の点検業者は、寿栄小学校のブロック塀こそ「該当なし」としていましたが、他の施設については「控え(壁)なし」等と指摘しているものもあったということです。この時に控壁がないという違法性に市教委の担当職員は気付くことができたはずですが、それに対してはどのような対応をしたのでしょうか?具体的にお答えください。
また、22年度以降の点検業者も、19年度の点検で「控壁なし」と指摘されているものもあるのに、すべてのブロック塀について、存在しないことを示す「-」の記載をしていたということです。何故なのでしょうか?市教委がブロック塀を見逃すように指示等をしたということはないのでしょうか?点検業者はこれについてどのように述べているのでしょうか?お答えください。

(8)施工不良についてです。
前回の議会でも、市民プールのエントランスが設計図通りに施工されていないことを指摘しましたし、5年前には11の小中学校で設計より鉄筋が少すくないという施工不良が発覚したということがありました。工事監理をちゃんとしていれば、こうしたことは防げたはずですが、市では、どのように工事監理を行っているのでしょうか?お答えください。
また、ブロック塀に関しては、どのように工事監理を行ったのでしょうか?お答えください。

(9)公共施設のブロック塀の撤去についてです。
市では第三者委員会の答申を受けて、公共施設における全てのブロック塀を撤去するということです。この撤去対象のブロック塀はどれだけあるのでしょうか?
また、このブロック塀のうち、建築基準法に反していないものはどれだけあるのでしょうか?
施工から30年以内のものはどれだけあるのでしょうか?それぞれお答えください。

(10)解決金の負担についてです。
前回の議会では、遺族への解決金に関する議案が議会で通りました。この解決金は、いつ、支払われたのでしょうか?お答えください。
また、この解決金に関しては、点検業者は負担しないのでしょうか?市教委の歴代の担当職員や教育長をはじめとする市の幹部職員は負担しないのでしょうか?負担するのであれば、誰が、どれだけの割合を負担するのでしょうか?具体的にお答えください。


【答弁】
まず、ブロック塀についてですが、調査報告書では、「設置後の経年劣化が鉄筋コンクリートよりも早いと想定される」とされています。
次に、内部構造の点検についてですが、その他の施設においては、調査は行っておりません。
次に、調査委員会を非公開としたことについてですが、「審議会等の会議の公開に関する指針」等に基づき、委員長から委員会に対し、会議を非公開とすることについて諮られ、決定がなされたものです。
次に、控壁がないことについてですが、報告書では「建築基準法施行令第62条の8ただし書の規定により、控壁がないという外観だけをもって、ブロック塀が法に適合していないと判断することもできない」とされています。
次に、当時の工事監理の状況につきましては、工事関係図書が残っていないためわかりませんが、現在は工事監理指針に基づき適正に行っております。
次に、公共施設のブロック塀についてですが、撤去の対象となるブロック塀の数について、現在調査中です。
その他の内容につきましては、先般、北岡議員は、議員ご自身が当事者となる訴訟を提起した旨を公表されておられましたことから、答弁を控えさせていただきたいと存じます。


<2回目>

(1)一般社団法人全国建築コンクリートブロック工業会のサイトでは、「ブロック塀は、良い設計・施工で作られたものでも、常に外気に接する過酷な環境にあるため、約20年で鉄筋にさびが認められるようになります。日本建築学会の調査によると、ブロック塀に期待する耐久年数は約30年です。」と説明されています。こうしたことは、少し調べれば簡単に分かるわけですが、ブロック塀や鉄筋の耐用年数については調べられたのでしょうか?調べたのであれば、どのように調べたのでしょうか?具体的にお答えください。

(2)報告書では、ブロック塀は昭和49年(1974年)に設置されたとしています。そうすると、設置されてから倒壊するまで約44年経っていたことになります。先ほど申し上げたとおり、日本建築学会の見解では、ブロック塀の耐用年数は約30年ということです。耐用年数を10年以上も過ぎていたら劣化しているのも当然だと思いますが、耐用年数の管理については、教育委員会ではどのように行っていたのでしょうか?台帳などは作っていなかったのでしょうか?台帳を作っていた場合には、このブロック塀については、どのように記載されていたのでしょうか?設置日や工事業者、耐用年数については、どのように書かれていたのでしょうか?具体的にお答えください。
また、市の他の施設の設置日や工事業者、耐用年数については、どのように把握されているのでしょうか?具体的にお答えください。

(3)先日、職員の方からおききしたところによると、第三者委員会の委員の方々は、倒壊したブロック塀の現物は見ていないということでした。このブロック塀の内部や施工の状況については、誰が、どのように調査したのでしょうか?調査をした方は、建築に関する何らかの資格をお持ちなのでしょうか?具体的にお答えください。
また、普通なら、委員自身が、ブロック塀の現物を調査すべきだったのではないかと思うのですが、なぜそうしなかったのでしょうか?委員自身が、見る必要はないと判断したのでしょうか?市側がそのように判断したのでしょうか?その理由は何なのでしょうか?具体的にお答えください。

(4)同じく、職員の方からおききしたところ、第三者委員会の委員の方々は、寿栄小学校の視察に行ったそうです。けれども、視察の内容を尋ねても、何も具体的なことを答えてくれませんでした。第三者委員会の委員の方々は、寿栄小学校に行って、具体的にどのようなことを行ったのでしょうか?お答えください。

(5)地震後の記者会見では、このブロック塀がいつ造られたのかさえ分からないと答えていましたが、第三者委員会による調査で、ブロック塀の設置について、どれだけのことが分かったのでしょうか?どの業者が、どのように造ったのか分かったのでしょうか?分かったのであれば、業者名や施工方法をお答えください。

(6)ブロック塀には、控壁がなく、高さも建築基準法の制限を超えていたことについて、第三者委員会が何も検証をしなかったのは、ご答弁からすると、「建築基準法施行令第62条の8ただし書の規定により、控壁がないという外観だけをもって、ブロック塀が法に適合していないと判断することもできない」としたからだということです。そのただし書きというのは「構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。」というものですが、このブロック塀に関しては、構造計算がされたのでしょうか?このブロック塀には、控壁に替わるようなものはないし、単にブロックを一列に並べて平面上に積み上げて、内部には一般的な鉄筋が入っているだけでした。とても構造計算によって安全が確認されたとは考えられないのですが、構造計算がされたと考えられるような何らかの事実・事情があるのでしょうか?具体的にお答えください。

(7)第三者委員会は、ブロック塀は劣化が早いとして、「原則全て撤去し、今後、設置を行わないこと」が望ましいと答申し、市もそれを受けて、ブロック塀は内部の鉄筋が劣化しやすいが、外観目視の点検では内部構造の確認ができないので、今後は、公共施設にブロック塀を設置しないし、公共施設における全てのブロック塀を撤去するとしているのですが、建築基準法の規定どおりに建築されて、施工ミスもなく、耐用年数も過ぎていないブロック塀についても、安全が確認できないから撤去すべきだと考えているのでしょうか?そういったブロック塀は安全ではないのでしょうか?市の見解をお聞かせください。

(8)同じく、市は、第三者委員会の答申を受けて、ブロック塀の内部構造の不良は、高槻市だけの課題ではなく、全国的に共通する問題だとして、ブロック塀の事故防止に向けた全国への発信をしていくとしているのですが、普通に考えると、高槻市役所の工事監理の不備のために、施工ミスが見逃され、建築基準法に反したブロック塀が設置され、複数の点検業者の手抜きによりその違法性も見逃され続け、防災アドバイザーから危険性を指摘さえされたのに担当職員が問題なしとして放置し続けたため、耐用年数をとうに超えて劣化した違法ブロック塀の倒壊を招き、女子児童を死に至らしめたわけですから、全国に発信するとすれば、①高槻市役所の工事監理に不備があったこと、②高槻市教育委員会は、ブロック塀の設置年月日も設置業者も耐用年数も把握しておらず、適切な管理をしていなかったこと、③3年毎の定期点検では4つの別々の事業者が点検の手抜きをしていたこと、この3つではないでしょうか?ブロック塀については、もし、建築基準法どおりに設置されていて、耐用年数も過ぎていないものが、倒壊したのであれば、ブロック塀は危険だとして、全国に発信すべきかもしれませんが、耐用年数を10年も過ぎた建築基準法違反のブロック塀が倒壊したわけですから、全てのブロック塀を撤去せよというほどの危険性がブロック塀にあるとはいえないはずです。市はどのようにお考えでしょうか?市の見解をお聞かせください。

(9)先日、職員の方からおききしたところによると、第三者委員会の委員の方々は、点検業者に対して直接ヒアリングをしていないということでした。なぜ、直接、点検業者から事情聴取をしなかったのでしょうか?理由を具体的にお答えください。

(10)内部構造の点検については、市の他の施設でも行っていないということです。外観目視の点検で内部構造の確認ができていないという点では、他の施設も同様だと思いますが、他の施設は安全なのでしょうか?お答えください。

(11)一般社団法人全国建築コンクリートブロック工業会のサイトには「過去の地震において、電柱等のわずかな支えがブロック塀の転倒を防ぎ、人の命を守った事例があります。」とも書かれています。やはり控壁が設けられていれば、倒壊しなかった可能性があるのではないのでしょうか?第三者委は、控壁やブロック塀の高さについて一切検証せず、ブロック塀の内部構造に固執して、施工不良や鉄筋の腐食が倒壊の原因だと結論付けています。また、そのことについては、外観目視の点検では確認できなかったともしています。そうすると、仮に、点検業者が手抜きをしなかったとしても、それを見つけられなかったのだし、点検を委託した市教委にも管理責任はないことになります。すべての関係者が責任を免れられるよう、意図的にこのような結論に導いたのではないのでしょうか?市の見解をお聞かせください。


【答弁】
まず、ブロック塀の耐用年数についでですが、調査報告書においても「設置後の経年劣化が鉄筋コンクリートよりも早いと想定される」とされています。
 次に、施設管理に係る事項についてですが、関係法令に基づく財産上の管理を台帳により行っており、ブロック塀など個別の耐用年数管理は行っておりません。
 次に、調査報告書に記載があるブロック塀に関する各種数値等については、事故発生後に職員が計測等した値を含んだものです。なお、調査委員会の委員については、調査時期との関係から、寿栄小学校の現場では基礎擁壁の確認を行い、別の保管場所において、転倒したブロック壁体についても確認していただいております。
 次に、施工業者は、株式会社島上建設です。
 次に、当該ブロック塀の構造計算についてですが、報告書では「詳細な設計図書は存在しなかった」とされています。
 次に、ブロック塀の安全性についてですが、報告書では「ブロック塀内部の配筋の不良や劣化が、一般に伏在することを示唆する」とされていることから、他の施設についても適切に対応してまいります。
 次に、点検業者への状況確認ですが、委員会として文書により回答を求めることが適切であると判断されたものと認識しております。
 最後に、調査報告書の結論が意図的であるとのご指摘ですが、第三者委員会では、客観的な事実に基づいて、真摯な議論が行われ、当該報告書が提出されたものでございます。


<3回目>

さらに4点伺って、意見を述べます。
(1)施工業者は島上建設だということですが、どういった経緯でそのことが分かったのでしょうか?具体的にお答えください。
(2)島上建設に対しては、第三者委員会は、事情聴取やヒアリング等は行ったのでしょうか?具体的にお答えください。
(3)島上建設は、ブロック塀の施工不良について、どのように主張しているのでしょうか?具体的にお答えください。
(4)島上建設は、ブロック塀を施工した当時の市の工事監理について、どのように述べているのでしょうか?具体的にお答えください。

あとは意見です。
こんなに明後日のほうを向いている答申や調査報告が出るとは思いもよりませんでした。
ごく普通に考えれば、耐用年数を過ぎて、老朽化した、違法建築のブロック塀が倒壊したわけですよね。控壁がなく、高さも制限を超えているという建築基準法に反する違法な部分は、専門家なら、外観から容易に分かったはずです。ブロック塀の耐用年数も、調べればすぐに分かることです。
そうすると、やはり、控壁があり、路面からの高さが3メートル以下であった場合でも、倒壊したのかどうかを検証すべきだったはずです。第三者委員会は、ブロック塀の接合部分の引き抜き耐力の推定値は、必要とされる値の2割程度だったという計算もしているので、控壁があった場合などの計算もできたのではないのでしょうか?
けれども、第三者委員会は、そういうことは調べず、ブロック塀の内部構造に固執して、施工不良や鉄筋の腐食が倒壊の原因だとしました。耐用年数を10年以上も過ぎているのだから、そりゃあ、全国建築コンクリートブロック工業会がいうように、鉄筋も腐食しているでしょう。
三者委員会は、内部構造は、外観目視の点検では確認できなかったというのですが、なぜ、外観からでも分かる違法性については答申では触れないのでしょうか?やはり、関係者が責任を免れられるよう、意図的に結論を導いたのではないかと疑われます。
三者委員会は、ブロック塀の設置において、構造計算をして安全とされた場合には、控壁等がなくてもよいから、ただちに法令違反とはいえないとも言うのですが、構造計算に関する文書が存在しないし、構造計算をしたと考えられる事情もないわけですから、普通は、構造計算はされなかった、すなわち安全は確認されなかったと判断するべきですよね。非常に不自然な論考だと思います。
ブロック塀の高さの制限や控壁の設置については、これまでの地震による被害を踏まえて、国が建築基準法を改正するなどして、必要だと言ってきたわけですよ。こういう建築基準法の規定を守っていたならともかく、老朽化した違法建築物が倒壊しただけなのに、ブロック塀の内部構造の不良は全国的に共通する問題だと、市が、全国に発信しようというのは、おこがましいにもほどがあると思います。
ブロック塀をとにかく悪者に仕立てて、市教委や点検業者の責任を免れさせようとしているのではないかと、この妙な全国発信の方針からも感じられます。建築基準法に従って、ちゃんと施工したブロック塀も危険なのでしょうか?コンクリートブロック業界の関係者からすれば、営業妨害ではないのでしょうか?
高槻市のホームページには、地震の前から「ブロック塀や石塀なども,基準通りの鉄筋が入っていない,転倒防止の控壁がないなどの施工上の欠陥がないか点検し,補強しておきましょう」と呼びかけたり、防災ハンドブックでは、ブロック塀が崩れる絵と共に,地震が起きた場合には「ブロック塀等から離れる。」ように注意喚起もしていました。市民にこういった呼びかけをしていたわけですから、当然、市は、控壁のないブロック塀などの危険性については認識していたはずです。
そういう認識をしながら、違法で老朽化したブロック塀を放置し続けてきた責任は重いのではないのでしょうか。
三者委員会は、学校や市教委内の責任の所在が明確でなかったと「課題整理」の中で書いているのですが、住民監査請求の意見陳述では、市教委は、塀の管理を担当する歴代の職員がいたと言っていました。その歴代の担当者に、まずは責任の所在を問うべきではないのでしょうか?
三者委員会は、点検業者に直接のヒアリングはしていないものの、定期点検の状況に関して割と詳しく書いてくれているのですが、1回目の質問で申し上げたとおり、平成19年の点検業者は、寿栄小学校のブロック塀こそ「該当なし」としていましたが、他の施設については「控え(壁)なし」等と指摘しているものもあったということです。この時に、控壁がないという違法性に市教委の担当職員は気付くことができたはずで、それを機に、全ての違法な塀を修繕することができたのではないのでしょうか?何故やらなかったのでしょうか?わざと見逃したのでしょうか?第三者委員会は、このあたりのことを、直接業者からヒアリングして、しっかりと聞き出すべきだったのではなかったかと思います。
点検業者が本当に点検のプロなら、濱田市長が記念撮影をするような、寿栄小学校のカラフルなブロック塀に気付かないはずはありませんので、これを見逃したのには何らかの働きかけがあったのかもしれませんが、いずれにせよ、点検業者の責任は追及されなければならないと思います。
定期点検を行うには建築物調査員という資格が必要なんですが、調べてみると、その資格には、実は罰則がないということがわかりました。調査員が不誠実な行為をしたとき等には、国土交通大臣が資格者証の返納を命ずることができるとされているんですが、国土交通省に質問したところ、大臣が調査員を調査する手続きすら定められていないということでした。高槻市以外の学校でも、違法なブロック塀が多数見つかったという報道がありました。今頃見つかったということは、他所でも手抜き点検がされていたということではないかと疑われます。定期点検については、全国的に手抜きがされていないか、国や自治体が点検の確認を怠っていないかを調べるべきであり、建築物調査員については、罰則規定を設け、資格者証返納に関する調査・審査の手続きを定め、自治体の建築主事に点検報告書の確認をさせるよう義務付けるべきだと思うのですが、そういうことこそ、全国的に発信し、また、国に求めるべきではないのでしょうか?
三者委員会の答申や調査報告は非常に的外れで、事故原因の調査というより、関係者の責任逃れを主な目的としているように感じます。そういうところからすると、第三者委員会は、第三者といえるのかなとも感じます。こういうものは議会として認めてはいけないのえでゃないでしょうか。以上です。

【答弁要旨】
施工したのが島上建設だということは、契約書から判明した。島上建設は既に解散しているのでヒアリングは行えなかった。第三者委員会では、客観的な事実に基づいて、真摯な議論が行われ、当該報告書が提出された。