高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【生活保護費不正支出事件】判決言渡しは来年2月7日

今日は13時30分から、大阪地方裁判所で、高槻市生活保護の所管課であった生活福祉課の元課長・近藤正嗣被告が生活保護費を不正支出した事件の公判があったので、傍聴してきました。

事件については、産経新聞のこちらの記事に詳しくまとめられています。

【関西の議論】大阪“ナマポ”の闇 ゴネ得まかり通る異常な実態
2012.7.17 11:00

 生活保護を受給する資格がないのに、市役所の窓口で居座る者に公務員がひそかに現金を渡す-。制度のあり方が厳しく問われている生活保護をめぐり、大阪地裁で開かれた刑事裁判で、「ゴネ得」を助長する異常な実態が明らかになった。約3千万円の保護費を不正に支出したとして詐欺などの罪に問われた大阪府高槻市の元生活福祉課長、近藤正嗣被告(62)。検察側、弁護側はともに、近藤被告が「処遇困難者」に現金を渡していた事実に言及した。生活保護の「闇」はどこまで深いのか。

(中略)

 起訴状などによると、近藤被告は17年7月~22年5月、生活保護の電算システムを管理する立場を悪用。架空の受給者をでっち上げるなどの手口で計約3千万円を不正に支出したとされる。正規の手続きで生活保護を支給できない処遇困難者らに渡していたという。

 今月2日に開かれた初公判で、検察側は「近藤被告は不正に支出した現金を職場の懇親会のほか、生活費や遊興費にも使っていた」と主張。近藤被告と弁護側は「私的に流用したことはなく業務の一環だった。詐欺罪は成立しない」として争う姿勢を示した。

(中略)

 検察側の冒頭陳述によると、近藤被告は、生活保護の支給を求めて市役所を訪れて騒いだり執拗(しつよう)にクレームをつけたりする処遇困難者の対応に苦慮。平成13年ごろからは、管理職の親睦団体から引き出した現金を渡して帰していた。それだけでは足りずに私費で賄う状態が続いた結果、生活保護費の不正支出を思いついたという。

(後略)



今日の公判の冒頭、近藤被告が1500万円を弁償したことについての証拠調べと尋問がありました。尋問はだいたい以下のような感じでした(メモに基づいているので正確ではありません)。

<検事>1500万円はどこから出したのか?
<近藤>自分の蓄えから。
<検事>1500万円は被害弁償という意味ではないのか?
<近藤>客観的に、領収書が見当たらないので、それは自分の責任だから、その分を払っただけ。
<検事>1500万円以上を弁償する気はないのか?
<近藤>別途起こされている民事裁判の決着を見て判断する。

検事さんの主張によると、不正支出された生活保護費の全額は約3005万円。そのうち、処遇困難者に対して渡したと考えられるのは、領収書からすると、約1641万円。約1641万円のうち、処遇困難者から弁済されたのは約365万円。それらから計算すると、使途不明金は約1729万円とのこと。

これについて、被告の代理人は、領収書が無いだけで、私的には使っておらず、全額を処遇困難者に渡したのだといった主張をされました。一方、検事さんは、被告の供述からすると、被告は、不正支出してプールしていた生活保護費について、私的な使用も、処遇困難者への支出も、ごちゃまぜになっていたので、私的な使用もされたといえるというようなことを主張していました。

被告が、生活保護費を不正支出するために、架空の被保護者に対する支出命令書を作成していたことは、被告も認めており、虚偽公文書作成・同行使の罪は双方に争いが無いのですが、詐欺罪の成立については、激しいやり取りがありました。

検事さんは、「詐欺罪については、これまでの証拠で十分立証できている。被告側の主張は失当。被告は他の職員を騙して生活保護費を支出させ、自らの判断でその使途も決定していた。詐欺罪は成立する。被告は、5年間も常習的に架空名義で不正支出を繰り返し、私的に費消していた。公金を管理するという公務員の最低限の義務も果たさなかった。情状酌量の余地は無い。」として、懲役5年を求刑しました。

弁護側は、最終弁論で、「被告には不法領得の意思はなかった。正規の生活保護費が出せないのに、市議が頼むと言ってきたので、やむなく不正支出したものから金を出したこと等もあった。元警察官との飲食は自腹で支払った。他にも領収書が存在するはずなのに、検察が杜撰にもそれを調べていない。被告には収入・資産とも余裕があった。被告が私的に使っていないし、その証拠もない。」などと主張しました。

最後に被告本人が意見を陳述し、弁論終結となりました。

判決言渡しは、来年2月7日13時10分、大阪地裁1004号法廷です。ちょうど同じ日の2月7日の13時15分に裏金訴訟の判決言渡しが、大阪地裁806号法廷であるので、私は聞くことができそうにありませんが・・・