高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【災害援護資金】貸した後で、条例を改正したからといって、個人情報を調べられるのか?

今日は9月議会の初日。議案の説明等がありました。

私は即決議案について、以下の質問をしました。理屈っぽいだけで、それほど実際上どうということではないのですが、災害援護資金や遡及効について関心のある方は、ご一読いただければ幸いです。

以下は今日の本会議でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをご了承ください。

■議案第85号 高槻市災害弔慰金の支給等に関する条例中一部改正について

<1回目>

 災害弔慰金の支給等に関する法律が改正されたので、この条例も改正したいということです。3点伺います。

(1)昨年は地震や台風の被害がありましたが、この条例に基づいて、何が、どれだけ、支給あるいは貸し付けられたのでしょうか?それぞれについて件数と金額をお答えください。

⇒昨年度実績につきましては、災害弔慰金の支給件数は2件で、支給金額の合計は500万円、また、災害援護資金の貸付件数は2件で、貸付額の合計は500万円でございます。 

(2)資料によると、「条例の改正の内容については、災害援護資金に係る償還金の支払いの猶予等をするか否かを判断するため、貸付を受けた者または連帯保証人の収入または資産の状況について、報告を求め、または官公署に資料の提供等を求めることができる」ようにしたいとされています。
 市が官公署に提供等を求める資料等というのは、具体的に、どういったものなのでしょうか?お答えください。

⇒本市から官公署に提供を求める資料でございますが、借受人及び保証人の収入がわかる税情報や生活保護の受給の有無などがございます。

(3)この条例の今回の改正内容については、現在、災害援護資金の貸付を受けている人やその連帯保証人の方にも適用されるのでしょうか?

⇒現在貸付けしている方にも、今回の改正内容は適用されるものでございます。

<2回目>

 今回の条例改正がされた場合、現在、災害援護資金の貸付を受けている人やその連帯保証人の方にも、改正内容が適用されて、市が、猶予や免除をするか否かを判断するために、税情報の調査等をできるようになるとのことです。さらに3点伺います。

(1)税情報の調査等をするということについては、貸付を行う時に、既に、借受人と保証人、それぞれとの間で取り決めをしたり、通知をしたりしているのでしょうか?あるいは、貸付を行う時に、取り決めや通知をする必要はなかったのでしょうか?お答えください。

⇒貸付時の対応でございますが、昨年度貸付を行いました2件につきましては、申込み時に申込者及びその連帯保証人から、滞納が発生した場合に、本市が必要な調査を実施することに関しての同意書を提出していただいております。

(2)法律や条例で定めたからといって、貸した後で、税情報の調査等をするということができるのでしょうか?できるのであれば、その根拠をお答えください。

⇒調査の根拠でございますが、国においても、申請時に本人同意を取り付けるようにすることが望ましいとされており、今回の法改正に基づく調査権限が行使される場面としては、借受人が行方不明等の状況により、本人同意がとれない場合を念頭としているものでございます。

(3)借受人と保証人に対して、今回の法改正や条例改正について、通知をする義務はあるのでしょうか?通知の義務は法令で定められているのでしょうか?お答えください。
 また、市は、条例の改正について、借受人と保証人に対して、通知をするのでしょうか?お答えください。

⇒通知の義務はございません。また、条例改正の内容につきましては、借受人に文書を送付する機会等を捉えて周知してまいります。

<3回目>

 あとは意見を述べます。
 法律や条例で定めたからといって、貸した後で、税情報の調査等をすることができるとする、その根拠を尋ねたところ、的外れな答弁がされました。現在貸付けしている方にも、今回の改正内容が適用されるというご答弁でしたが、「法令不遡及の原則」からすれば、適用できないのではないでしょうか? 
 その点非常に疑問なんですが、もし「できる」ということであれば、借受人や保証人などの利害関係者には通知をしてあげるべきだと私は思います。通知の義務はないということですが、借りているのは災害で被害を受けた方々です。経済的なこと以外にも、いろいろと辛い思いをされているかもしれません。丁寧な対応が必要ではないでしょうか。
 現在貸付けをしている方については、貸付時に、必要な調査を実施することに関しての同意書を提出してもらっているということで、万が一の場合、調査しても問題はなさそうですし、被災した他の自治体では、滞納の多さが問題になっているので、この条例改正案には賛成しますが、これに限らず、事後に定めたルールを適用しようという場合には、それが適法なのかどうか、慎重に検討してください。また、利害関係者が存在する場合には、法的には通知する義務がないとしても、法令改正後に、速やかに通知してあげてください。要望しておきます。以上です。