高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【プレミアム付き商品券第5弾】骨格予算に政策的経費を計上する「禁じ手」で市長選を有利に戦おうとしているのでは?

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今日から3月議会本会議の2日目。議案に対する質疑がありました。

4月に市長選挙があるので、令和5年度の当初予算は骨格予算となっています。骨格予算というのは、地方公共団体の首長や議員選挙があるため政策的な判断ができにくいといった理由で、政策的経費などの予算計上を避け、人件費など必要最小限度の経費を計上した予算のことです。

そして選挙後の議会で、政策的経費を肉付けする補正予算=肉付け予算の議案が上程されるわけです。

ところが、この骨格予算である令和5年度の当初予算の議案に、何故か、政策的経費であるプレミアム付き商品券の第5弾の予算が計上されているのです。これはおかしいと考え、質問し、最後に以下の意見を述べました。

 明確なお答えがありませんでしたが、このプレミアム付商品券の第5弾の予算は、政策的経費であって、本来は、6月議会以降に、補正予算・肉付け予算として検討すべきものなのに、骨格予算に計上して、4月に行われる高槻市長選挙の直前の、この3月議会に、市長選に立候補を表明しておられる濱田市長が、議案を上程されたわけです。
 地域経済や市民の家計が疲弊しているとのお答えでしたが、それは、どういった指標・指数等から判断したのかと、さらにお訊きしたところ、国の景気ウォッチャー調査などだということでした。その国・内閣府の景気ウォッチャー調査の最新の令和5年1月調査結果(抜粋)を見ると、「今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、『景気は、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、持ち直しへの期待がみられる。』とまとめられる。」とされています。先行き明るい感じですよね。
 ご答弁では「地域経済や市民の家計が疲弊している」ということでしたけれども、市が根拠としているという国の景気ウォッチャー調査からすると、骨格予算に計上してまで緊急に行う必要性は感じられません。プレミアム付き商品券の第5弾は、今年の10月頃から利用できるということですが、本当に家計が疲弊していて、すぐに対処する必要があるのであれば、全国民に一律10万円を配った特別定額給付金のようなことをすべきではないのでしょうか。
 新型コロナウイルスの影響も、疲弊の原因の一つに挙げられていましたが、2類から5類にするとか、マスクも外していこうと、そういう動きになっています。新型コロナを原因にするのも無理があると思います。
 本来、政策的経費として、市長選が終わってから検討すべきプレミアム付商品券の予算を、市長選直前の骨格予算に入れるというのは、先ほど申し上げたとおりで、やってはいけないことです。疲弊している地域経済や市民の家計を救うために、どうしても緊急に必要なのだということであれば、理解はできますが、先ほど申し上げたとおり、市が根拠としている国の指標からも、民間の経済ニュースからも、緊急に行う必要性はないと考えられます。
 これまでのプレミアム付き商品券の効果の検証・調査についてもお訊きしましたが、「市民・店舗事業者双方から高い評価をいただいています」というお答えでした。それって、得をした側の主観的な評価ですよね。市は、これまで、4回もプレミアム付き商品券の事業を実施してきたのに、経済効果について、どうやら客観的な検証や調査をしていないようです。
 高槻市のプレミアム付き商品券は、プレミアム率が150%と、非常にプレミアム率が高くて、さらに第5弾では、デジタル券を購入すれば、もっと高いプレミアム率=162.5%のプレミアム率を得られるわけです。そりゃあ、そんなにお得なわけですから、購入した人は、高い評価をするでしょう。
 けれども、そのプレミアムの部分の原資は、皆さんが納めた税金等の公金です。プレミアム率が高ければ高いほど、公金からの持ち出しの割合が増えるわけです。
 プレミアム付き商品券は、本当に全体にとって有益なのか、税金の無駄遣いになっていないのか、市民の皆さんにもよくよく考えていただきたい。
 プレミアム率が高くて喜んでいるかもしれないけれども、確実に事務経費の分、第5弾の予算だと2億5620万円とされていますが、その分はマイナスになるわけですし、プレミアムの部分が実質的には貯蓄に回っていて、経済的な効果が薄かった可能性もあります。自分達が納めた税金などを、自ら食い潰す、いわば「タコ足食い」をしているだけかもしれないわけです。
 それなのに、高い評価を受けていると言って、多額の公金が使われているにもかかわらず、高槻市役所が、市長が、「それで良し」とするのはおかしいのではないでしょうか。やはり、投じた公金に対して、経済効果がどれだけあったのか、客観的な検証・調査をすべきです。
 そういった検証もしていないし、その他の事業実施の必要性の根拠となる指標・数字・裏付けも示せないのであれば、「緊急性がある」「効果がある」といくら謳ったって、「それってあなたの感想ですよね」と言われても仕方ないですよね。とても、約20億円もの予算を認めていいとは思えません。
 2年前の本会議でも申し上げましたが、プレミアム付き商品券の購入額の上限が、世帯単位で定めているので、子沢山の世帯など、人数の多い世帯は損をするわけです。私は、やるのであれば、市民一人ひとりが平等になるようにすべきだと思いますし、そうした実施方法や、そもそも実施するのかどうかを、市長選後に、当選した市長が、決定して、議会にはかるべきもののはずです。
 にもかかわらず、市内商業者からの意見などもあったということですが、万が一、そうした事業者や有権者の方々の歓心を買おうと、プレミアム付き商品券の予算を骨格予算に計上したのであれば、これは、選挙を冒涜しているとしかいいようがありません。骨格予算に、緊急性・必要性のない政策的経費を計上するという、いわば「禁じ手」「反則技」を使って、市長選を有利に進めようとしていると見られても、仕方がないのではないでしょうか。
 濱田市長以外にも、市長選に名乗りを上げている方が何人かおられます。それらの候補予定者を応援しようという議員の方々は、特に、こうした禁じ手を認めてはいけないと、私は思います。
 以上のとおりで、とても、この予算には賛成できません。



 以下は今日の議会でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをお許しください。

■議案第31号 令和5年度高槻市一般会計予算(労働費~)

●プレミアム付き商品券事業19億7820万円【産業振興課】

<1回目>
 資料によると、今年の10月頃から利用できる、プレミアム付商品券(スクラム高槻”地元のお店応援券”第5弾)を発行するということです。3点伺います。

(1)この議案の令和5年度高槻市一般会計予算については、来月4月に高槻市長選挙が行われるので、「骨格予算」だとされています。政策的経費については、市長選の後、新しい市長の下で、いわゆる「肉付け予算」・補正予算として計上されるのが一般的ですし、これまで高槻市でも、そのようにされてきました。
 このプレミアム付商品券の第5弾の予算に関しては、予算説明書に記載のとおり、この令和5年度の当初予算の議案、つまり骨格予算に計上されています。けれども、プレミアム付商品券というのは、明らかに政策的経費ですので、6月補正の肉付け予算で計上するべきではないのでしょうか?何故、令和5年度の当初予算=骨格予算に計上するのか、その理由をお答えください。

⇒当初予算に計上する理由についてですが、新型コロナウイルスや物価高騰の影響で疲弊した地域経済および市民の家計を少しでも早く支援するため、当初予算に計上したものです。

(2)第4弾に続いて、紙券だけでなく、デジタル券も発行するということです。第4弾では、デジタル券の利用は全体の約7.8%だということですが、第5弾では、デジタルの利用促進に向けて、デジタル券については、紙券に要する実費相当額として最大500円を上乗せするとされています。それによって、紙券だと1世帯当たり最大4000円で1万円分購入できるのが、デジタル券だと10500円分購入できるというわけです。
 先ほど申し上げたとおり、第4弾ではデジタル券の利用は約7.8%と低いわけですが、これは何故なのでしょうか?理由をお答えください。
 また、第5弾では、最大500円分を上乗せする以外に、どのようにして、デジタルの利用を促進していくのでしょうか?お答えください。

⇒第4弾のデジタル率についてですが、市民からは「支払い時のスマートフォンの操作が煩雑」といったご意見をいただいております。
 また、デジタルの促進についてですが、スマートフォンの操作等を課題と認識しておりますので、操作性の向上を図ってまいります。

(3)第5弾も1世帯2口までとしていますが、これだと人数の多い世帯は損です。なぜ、市民1人1人に対して、平等に、同じ額だけ、購入できるようにしないのでしょうか?理由をお答えください。

⇒本事業の目的等からこれまでと同様、世帯単位での購入としたものです。

<2回目>

(1)ネットで経済系のニュースを読むと、「景気動向指数で景気の現状を表す一致CIは・・・コロナ禍前の水準に戻った。」とか、日本は「緩やかな景気回復が続く」などと書かれていました。
 地域経済や市民の家計が疲弊しているというご答弁でしたが、どういった指標・指数等から、そのように判断したのでしょうか?お答えください。

⇒国の景気ウォッチャー調査をはじめとした統計データのほか、市内商業者等からの意見などを踏まえて判断したものです。

(2)これまでのプレミアム付き商品券事業で、高槻市では、具体的にどれだけの効果があったのでしょうか?そういった経済効果については、どういった検証・調査を行ったのでしょうか?お答えください。

⇒効果についてですが、第1弾から第4弾まで、いずれも概ね13億円程度の商品券が市内で利用されており、市民・店舗事業者双方から高い評価をいただいています。

(3)このプレミアム付商品券の第5弾の予算を、何故、市長選前の骨格予算に計上したのかとおききしたところ、地域経済および市民の家計を少しでも支援するため、当初予算に計上したというお答えでした。
 ということは、本来は、6月議会以降に、肉付け予算として計上するべきものだったということで、よろしいでしょうか?お答えください。

⇒地域経済および市民の家計を少しでも早く支援するため、当初予算で計上して実施すべきものであると考えています。

(4)プレミアム付き商品券の購入額の上限を、世帯単位で定めると、子だくさんの世帯など、人数の多い世帯は損をすることになります。このことについては、どのようにお考えなのでしょうか?市の見解をお聞かせください。

⇒高い評価をいただいている第1弾から第4弾と同様、世帯単位での購入としたものです。

<3回目>

 あとは意見だけ述べます。
 明確なお答えがありませんでしたが、このプレミアム付商品券の第5弾の予算は、政策的経費であって、本来は、6月議会以降に、補正予算・肉付け予算として検討すべきものなのに、骨格予算に計上して、4月に行われる高槻市長選挙の直前の、この3月議会に、市長選に立候補を表明しておられる濱田市長が、議案を上程されたわけです。
 地域経済や市民の家計が疲弊しているとのお答えでしたが、それは、どういった指標・指数等から判断したのかと、さらにお訊きしたところ、国の景気ウォッチャー調査などだということでした。その国・内閣府の景気ウォッチャー調査の最新の令和5年1月調査結果(抜粋)を見ると、「今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、『景気は、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、持ち直しへの期待がみられる。』とまとめられる。」とされています。先行き明るい感じですよね。
 ご答弁では「地域経済や市民の家計が疲弊している」ということでしたけれども、市が根拠としているという国の景気ウォッチャー調査からすると、骨格予算に計上してまで緊急に行う必要性は感じられません。プレミアム付き商品券の第5弾は、今年の10月頃から利用できるということですが、本当に家計が疲弊していて、すぐに対処する必要があるのであれば、全国民に一律10万円を配った特別定額給付金のようなことをすべきではないのでしょうか。
 新型コロナウイルスの影響も、疲弊の原因の一つに挙げられていましたが、2類から5類にするとか、マスクも外していこうと、そういう動きになっています。新型コロナを原因にするのも無理があると思います。
 本来、政策的経費として、市長選が終わってから検討すべきプレミアム付商品券の予算を、市長選直前の骨格予算に入れるというのは、先ほど申し上げたとおりで、やってはいけないことです。疲弊している地域経済や市民の家計を救うために、どうしても緊急に必要なのだということであれば、理解はできますが、先ほど申し上げたとおり、市が根拠としている国の指標からも、民間の経済ニュースからも、緊急に行う必要性はないと考えられます。
 これまでのプレミアム付き商品券の効果の検証・調査についてもお訊きしましたが、「市民・店舗事業者双方から高い評価をいただいています」というお答えでした。それって、得をした側の主観的な評価ですよね。市は、これまで、4回もプレミアム付き商品券の事業を実施してきたのに、経済効果について、どうやら客観的な検証や調査をしていないようです。
 高槻市のプレミアム付き商品券は、プレミアム率が150%と、非常にプレミアム率が高くて、さらに第5弾では、デジタル券を購入すれば、もっと高いプレミアム率=162.5%のプレミアム率を得られるわけです。そりゃあ、そんなにお得なわけですから、購入した人は、高い評価をするでしょう。
 けれども、そのプレミアムの部分の原資は、皆さんが納めた税金等の公金です。プレミアム率が高ければ高いほど、公金からの持ち出しの割合が増えるわけです。
 プレミアム付き商品券は、本当に全体にとって有益なのか、税金の無駄遣いになっていないのか、市民の皆さんにもよくよく考えていただきたい。
 プレミアム率が高くて喜んでいるかもしれないけれども、確実に事務経費の分、第5弾の予算だと2億5620万円とされていますが、その分はマイナスになるわけですし、プレミアムの部分が実質的には貯蓄に回っていて、経済的な効果が薄かった可能性もあります。自分達が納めた税金などを、自ら食い潰す、いわば「タコ足食い」をしているだけかもしれないわけです。
 それなのに、高い評価を受けていると言って、多額の公金が使われているにもかかわらず、高槻市役所が、市長が、「それで良し」とするのはおかしいのではないでしょうか。やはり、投じた公金に対して、経済効果がどれだけあったのか、客観的な検証・調査をすべきです。
 そういった検証もしていないし、その他の事業実施の必要性の根拠となる指標・数字・裏付けも示せないのであれば、「緊急性がある」「効果がある」といくら謳ったって、「それってあなたの感想ですよね」と言われても仕方ないですよね。とても、約20億円もの予算を認めていいとは思えません。
 2年前の本会議でも申し上げましたが、プレミアム付き商品券の購入額の上限が、世帯単位で定めているので、子沢山の世帯など、人数の多い世帯は損をするわけです。私は、やるのであれば、市民一人ひとりが平等になるようにすべきだと思いますし、そうした実施方法や、そもそも実施するのかどうかを、市長選後に、当選した市長が、決定して、議会にはかるべきもののはずです。
 にもかかわらず、市内商業者からの意見などもあったということですが、万が一、そうした事業者や有権者の方々の歓心を買おうと、プレミアム付き商品券の予算を骨格予算に計上したのであれば、これは、選挙を冒涜しているとしかいいようがありません。骨格予算に、緊急性・必要性のない政策的経費を計上するという、いわば「禁じ手」「反則技」を使って、市長選を有利に進めようとしていると見られても、仕方がないのではないでしょうか。
 濱田市長以外にも、市長選に名乗りを上げている方が何人かおられます。それらの候補予定者を応援しようという議員の方々は、特に、こうした禁じ手を認めてはいけないと、私は思います。
 以上のとおりで、とても、この予算には賛成できません。

【答弁要旨】
 内閣府景気ウォッチャー調査では景気の現状判断DIは3か月連続で低下、景気動向指数は4か月連続で低下している。一方で消費者物価指数は上昇している。地域経済や家計が疲弊しているのは明白。少しでも早く本事業を実施すべき。
 市長選挙のために今回の予算が挙げられたとされたのは不快。プレミアム付き商品券を4回もやってきたものを継続して行うもので、新たな施策ではく、緊急性もある。選挙のために、行政がやるのではない。



担当部長は景気の現状判断DIは3か月連続で低下している旨答弁しましたが、内閣府は、それ以外の多くの指数が上昇しているので、「景気は、持ち直しの動きがみられる」等とまとめているわけです。
内閣府の景気ウォッチャー調査

また、担当部長は、景気動向指数は4か月連続で低下しているとも答弁していますが、これも一部を見ているだけで、他は上昇しています。
景気動向指数

行政がこのように、一部を切り取るようなやり方をしてもいいのでしょうか?非常に不誠実です。

こんな姑息な答弁をしてまで、骨格予算に計上することにこだわっているわけですから、やはり緊急性とか地域や家計のためとかではなく、選挙に勝つためだけにやっているのではないのでしょうか?

4回も継続してきたから5回目を骨格予算に計上してもいいのだといった答弁もありましたが、継続することに、法的義務等があるわけではありません。高槻市が任意で継続してきただけです。そもそもはコロナ対策として始められたものですし、景気が回復傾向なら、行政は何もせず、見守るだけで良いのではないでしょうか。税金で、こんなプレミアム率の高い、カンフル剤のようなことは、本当の緊急時だけに留めるべきです。