高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【高槻市バス民営化検討】民営化賛成の維新市議の質問だけ攻撃?現職の濱田剛史市長は非公開で民営化検討中ですが?

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たつみコータロー大阪府知事候補が、ツイッターに、高槻市バスについて「維新の会の議員が民営化せいという質問をやっている。これは絶対にさせたらあかんと。黒字経営をしてたわけですよね。絶対に民営化させたらアカンでと。」と発言する動画を投稿されていました。この発言は、維新の会の政治家が、高槻市営バスに関する権限を有するようになれば、高槻市バスは民営化されるが、民営化させてはいけない、という趣旨だと思います。

私はこれに非常に違和感を覚えました。というのは、現職の濱田剛史市長は、非公開で市バスの民営化を検討しているからです。一般的に考えれば、現段階で市議会で過半数議席を占めているわけでもない維新市議らより、現職市長のほうが、民営化させる可能性が高いはずです。

たつみコータロー候補は、なぜ、高槻市バスのことをネタに、維新の市議の質問だけを攻撃するのでしょうか?維新憎しなのかもしれませんが、こと高槻市バス民営化の件で維新を批判するなら、現職の濱田市長が非公開で民営化検討を推し進めていることを、まず批判すべきです。むしろ実現性の高いほうを責めるべきでしょう。

濱田市長が非公開で民営化の検討を進めていることは、令和2年3月議会で、高木市議が質問したことで明らかになりました。先日、高木市議には賛辞と、ツイッターで引用させてもらったお礼を述べさせてもらったのですが、本当に素晴らしい質問です。

高木市議の質問で判明したことを、ツイッター用にまとめたものが次のものです。

高槻市営バス民営化の流れ

●濱田市長が設置した「みらい創生審議会」が平成28年度に民営化の検討を答申

●検討委員会を非公開で3回開催
大阪市バスの民営化も聞き取り調査
・黒字のうちに高槻市バスを民間事業者へ譲渡との発言も

●令和2年3月議会で、民営化も研究・検討が必要と答弁



高槻市議会の本会議でこの質問がされたわけですから、当然、他の市議の皆さんもご存知のはず。

ところが、「2023年高槻市議会議員予定候補者」と自己紹介されている日本共産党高槻市会議員団事務局の方は、たつみ候補が上記と同旨の発言をする動画等を引用し、「これ実は高槻市民にもあまり知られていません 維新は議会で市バス民営化求めはりましてんと言うと、皆さん大抵『なんぼなんでも、維新もそんな酷いことせんやろ~』と言われます いやいや、大阪市バス、地下鉄民営化なりましたやんってお伝えした時の皆さんのハッとしたお顔 すごい衝撃です #高槻市とツイッターに投稿されています。現職の市議ではないとしても、事務局で勤務されていて、市議会議員に立候補を予定されているわけですから、ご存知なのではないでしょうか?しかし、私が引用ツイートで民営化の流れを教えて差し上げても、何の反応もありません。

たつみ候補にしても、日本共産党高槻市会議員か事務局からの情報で、市バス民営化の件をお知りになったのでしょうし、ご自身で、少し議事録を検索すれば、認識しえたはずです。

上記のとおり、高槻市バスの民営化の検討に関しては、濱田市長が設置した「みらい創生審議会」が平成28年度に答申したわけですが、日本共産党高槻市会議員団の「市政資料No.480 2020」によれば、令和元年12月26日に高槻市長に対して提出した要望書の重点要望の中に、市営バスについて「◎民営化の検討は行わないこと。」が含まれているということです。

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つまり、共産党の市議団の皆さんは、濱田市長が民営化の検討を行っていることを認識したうえで、それを行わないよう要望さえしていたわけです。

しかし、令和2年3月議会の高木市議の質問のとおり、濱田市長は検討をやめず、非公開で検討委員会を少なくとも3回開催し、大阪市バスの民営化に関する聞き取り調査等も行っていました。同委員会では、黒字のうちに高槻市バスを民間事業者へ譲渡するといった発言もあったということです。さらには、民営化も研究・検討が必要だといった旨の答弁をしています。つまり、今後も民営化を検討していくということです。

この事実は、「◎民営化の検討は行わないこと。」と濱田市長に対して要望した共産党市議団の皆さんにとっては、仮に知っていたのなら別ですが、すごい衝撃で、まさにハッとしたお顔をされたのではないのでしょうか。

しかし、それ以後の議事録を調べてみましたが、共産党市議団の皆さんは、濱田市長の市バス民営化の検討を批判するような発言をされてはいないようです。何故なのでしょうか。

決して批判をする機会がなかったわけではありません。

令和3年3月議会では、日本共産党の強田純子市議が代表質問をしていますが、市営バスの運営について、山間部などの不採算路線等については地元や利用者の声を聞くことや、生活交通維持路線への補助金を一旦100%に戻すべきだという趣旨の発言があっただけ。市バスの民営化の検討に関してはまったく触れてもいません。

令和3年3月議会日本共産党強田純子市議代表質問

令和4年3月議会では、日本共産党高槻市会議員団を代表して中村玲子市議が質問をしていますが、市営バス路線の維持について、コロナの影響への補助をすべきである、バス路線の見直しはすべきではない、今後の計画は市民生活を維持させる方向で取り組むべきである、利用者の利便性を考慮した運賃制にすべきであるといった趣旨の発言をされただけで、やはり、市バスの民営化の検討については一切言及がありませんでした。

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市バスの民営化検討という経営の根幹の部分に、どうして触れられなかったのでしょうか。濱田市長は検討をやめるとは議会で言っていないのに。

代表質問だけではなく、一般質問や予算質疑等で、いくらでも濱田市長の市バスの民営化検討をやめるよう議会で求めることができたはずです。にもかかわらず、何故、そうした質問や意見を議会でされなかったのでしょうか。

そうした姿勢からは、むしろ逆に、濱田市長が推し進める市バスの民営化の検討について、議会での発言を避けてきたようにも見えます。

では、大阪府知事候補のたつみコータロー候補が批判している維新の会のほうは、どんな質問をしたのか。

同じく代表質問で見てみると、令和元年6月25日の高槻市議会で、大阪維新の会高槻市議会議員団の代表の木本祐市議が、以下のとおりに質問しています。

 木本祐です。市長が示されました令和元年度施政方針大綱に対して大阪維新の会高槻市議会議員団を代表して、質問をさせていただきます。
(略)
 最後に、市営バスについて質問します。人口減少が進行するにつれ、有償乗客数が減少し、経営は悪化の一途をたどり、事業見通しでも近年中には赤字経営が予測されています。公営企業の意義に甘えることなく、民間事業者並みのコスト構造に転換していくことが不可欠であり、まずは現在取り組まれている自立経営の徹底をさらにしていただきたいと考えています。
 では、現実的に民間並みのコスト構造に早急に転換できるのかといえば、困難なはずです。したがって、将来的には抜本的な改革の必要性があると判断され高槻市みらいのための経営革新」に向けた改革方針において、市営バスの民営化を検討すると示されたと理解しています。民営化を検討されると示された、その真意と目的をお答えください。
 私たちは、基本的には民営化には賛成です。しかし、民営化といっても形態は公設民営、市出資株式会社、民間資本株式会社などがあり、どの経営形態が最適かということは、地域特性等から一概に言えません
 また、高齢化社会において公営交通の果たす役割や重要性が見直されているのも事実です。だからこそ、経営形態のあり方なども含めて、さまざまな観点から、比較考量するための分析や調査を実施することが必要だと考えます。
 このことが、ひいては市民の足を守ることにつながるのではないでしょうか。そして、答えを決めるのは行政ではなく市民ですので、市民に政策判断をしていただくための分析や調査の実施、そのためのプロジェクトチームなどの設置を要請しますが、見解をお答えください。



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この代表質問のとおり、確かに「基本的には民営化には賛成」としています。しかしそもそも、濱田市長が「高槻市みらいのための経営革新」に向けた改革方針において市営バスの民営化を検討すると示したことから、こうした質問を行っているわけです。代表質問は、市長の方針に関して行うものなので、維新の方針を勝手に述べただけということではありません。

また、濱田市長のやり方との違いは、「市民に政策判断をしていただくための分析や調査の実施、そのためのプロジェクトチームなどの設置を要請」しているところです。非公開で検討を推し進める濱田市長とは、相容れないのではないでしょうか。「市民に政策判断をしていただく」ともしているので、都構想のように、住民投票などで市民の判断を仰ぐつもりなのかもしれません。

代表質問でこのように述べているわけですから、これが、大阪維新の会高槻市議会議員団の総意であるといえるはずです。

今日はツイッターで、私はどうかと尋ねられたのですが、たとえば令和4年3月1日の本会議では次のとおりに述べています。

 私は、市バスの民営化には反対です。以前のように、労使が癒着して幽霊運転手、代走など様々な違法行為をして公金をだまし取るようなことをするのであれば、民営化もやむなしかもしれませんが、そういう労使関係も解消して、全職員が市民の皆さんのため、乗客の皆さんのためにと意識を高くして経営や業務に当たれば、民間に負けないよりよいサービスを提供できると思います
 国鉄はJRになってサービスがよくなったといいますが、高槻市営バスは民営化しなくても運転手さんの接客態度は昔と比べてかなりよくなりました。業務の改善にも、以前と比べて意欲的に取り組んでいるように感じます。
 市営バスであれば、議会からもチェックや提案ができます。そういう市営のメリットをやりようによっては今後もっと生かせるはずです。今回みたいに、故意に交通部に損害を与えるようなことをして、民営化へと推し進めるようなことはやめてください。強く要望しておきます。



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高槻市バス「幽霊運転手」事件をはじめとする一連の問題については、本を無料公開しましたので、是非そちらをご覧ください。

経営側にも労働者側にも違法行為を行うような体質があり、おまけに、そんな労使が癒着するなら、そのような方々には、公金を扱う資格も、公営事業を経営する資格も、公務員でいる資格もないはずです。そういう体質や問題を市長が解決できないのなら、民営化しかないと思います。けれども、本に書いたとおり、私が議会で質問し、住民訴訟を起こし、かなりのものは解決してきました。まだ他にも問題はありますが・・・

高槻市バス(高槻市交通部)の労使の高槻市職員は、市長の部下であり、その労働組合は、市長の支持団体です。一連の問題が起きたことについては、歴代市長にも重い責任があるはずです。公営を維持するに相応しい、市長と市職員と労働組合であってほしいものです。

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高槻ご意見番 代表 北岡隆浩(高槻市議会議員)