高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【債権放棄】市有地を売却したのに「時効期間満了」を理由に占用料相当額収入を放棄?

裁判に提出された法定外公共物譲与申請業務計画

今日は9月議会の本会議3日目。採決や一般質問等が行われました。

「債権放棄に係る報告」もあったので、それについて質問しました。ちょっとややこしい話ですが、市有地の払下げや時効取得を考えておられる方には参考になるかもしれません。

以下は今日の本会議でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをお許しください。

■債権放棄に係る報告について

令和2年9月2日付の「債権放棄に係る報告について」によると、「占用料相当額収入」7件155万4434円については、令和2年3月23日に、高槻市債権の管理に関する条例第13条第1項第2号(時効期間満了)を理由として、債権を放棄したということです。まず15点伺います。

(1)時効期間満了を理由として、債権を放棄したということですが、具体的にはどういうことなのでしょうか?詳細をお答えください。
(2)この占用料相当額については、時効の期間は何年なのでしょうか?また、3月23日に債権放棄をしなかった場合、時効期間満了となるのは何年何月何日だったのでしょうか?お答えください。
(3)占用料相当額あるいは占用料については、債務者に対して請求したのでしょうか?請求したことがあるのであれば、いつ請求したのか、お答えください。
(4)いただいた資料によると、7件とも市有地を売却したとあります。何円で売却したのでしょうか?お答えください。
(5)これらの市有地はどういうものだったのでしょうか?市道だったのでしょうか?里道だったのでしょうか?水路だったのでしょうか?具体的にお答えください。
(6)同じく資料によると、7件とも平成17年4月1日からの不法占拠にかかる占用料相当額とされています。不法占拠ということですが、どういった形で占拠されていたのでしょうか?建物が建てられていたのでしょうか?庭や駐車場のような状態だったのでしょうか?具体的にお答えください。
(7)占用料相当額の算定には面積を知る必要がありますが、面積はどうやって測ったのでしょうか?お答えください。
(8)不法占拠については、いつ、されていると認識したのでしょうか?平成17年4月1日までには認識していたのでしょうか?それぞれについて具体的な時期をお答えください。
(9)市有地を売却したということですが、報告には「時効期間満了」とも書かれています。土地を占拠していた方々は、なぜ土地を時効取得しなかったのでしょうか?理由をお答えください。
(10)高槻市の市有地を、時効によって取得することはできるのでしょうか?できるのであれば、どういった場合にできるのか、お答えください。
(11)高槻市としては、市有地の時効取得を認める方針なのでしょうか?それとも、不法占拠者が時効取得を主張した場合、裁判等で争う方針なのでしょうか?お答えください。
(12)高槻市の市有地であったのに、占拠者に時効取得されたものはあるのでしょうか?あるのであれば、何件、何平米なのか、お答えください。
(13)本件の7件の土地について、仮に、時効の援用の申し出があった場合には、時効取得を認めたのでしょうか?お答えください。
(14)高槻市監査委員が平成30年5月11日に告示した京口町の里道水路の占用に係る住民監査請求の結果には、監査委員から「市においては占有状態の早期解決を図られたい。」という意見が付されていますが、本件の7件の土地の中に、この京口町のものは含まれているのでしょうか?お答えください。
(15)高槻市債権管理審議会でも本件について審議されたと思いますが、どういった審議がされたのでしょうか?具体的な審議の内容をお答えください。

【答弁】
①⑤⑥里道及び水路が住宅敷地等として占有され、20年の期間経過により時効期間が満了したものでございます。
②占用料相当額の債権は1日単位で発生し、消滅時効期間は10年となります。
③債権放棄にあたって、その都度意思確認を行っております。
④合計で544万9千円でございます。
⑦面積については測量を行っております。
⑧払い下げの相談及び土地の境界確定等に伴い認識したものでございます。
⑨相手方の意思によるものであります。
⑩裁判例によって公有地の取得時効が認められることは認識しております。
⑪財産の必要性や経過等により、適切に対応してまいります。
⑫そういった事例は把握しておりません。
⑬仮定の質問にはお答えできません。
⑭特定の債権の内容に係る質問のため、答弁を控えさせていただきます。
⑮専門知識を有する学識経験者に、それぞれの立場からご意見をいただき、ご審議していただいております。

<2回目>11点
(1)本件の7件については、20年の期間経過により時効期間が満了したということです。20年間ということは、今回は令和元年度の債権放棄分なので、少なくとも、平成11年度中から占拠されていたということですが、相手方は、それをどのように証明したのでしょうか?あるいは、市として、何を証拠に、20年間、占拠され続けてきたということを認定したのでしょうか?具体的にお答えください。
(2)里道や水路が住宅敷地等として占有されていたということです。その面積については測量をしたので分かったということですが、住宅等の建物が建っていても、測量ができるのでしょうか?具体的には、どういった方法で測量したのでしょうか?お答えください。
(3)不法占拠がされていると認識した時期については、払い下げの相談及び土地の境界確定等の時だということです。里道と水路に関しては、平成17年に国から譲渡を受けるのに先立って、平成14年度から15年度にかけて、現地調査を行っているはずです。この現地調査においては、「里道・水路の全箇所現況調査」と「不明・不法占拠箇所の精密調査」もされているはずですが、その調査の際に、本件の7件の不法占拠についても、認識していたのではないのでしょうか?お答えください。
(4)相手方が土地を時効取得しなかったのは、相手方の意思によるものだということです。また、裁判例によって公有地の取得時効が認められることは認識しているということですが、高槻市の市有地であったのに、占拠者に時効取得された事例は把握していないということです。市の時効取得に関する方針としては、財産の必要性や経過等により、適切に対応するということです。そうした判例や、過去の高槻市における事例、高槻市の方針からすると、本件の7件の土地について、相手方が時効取得を主張した場合、市としてはどういった対応をしたのでしょうか?時効取得を認めたのでしょうか?お答えください。
(5)公有地の取得時効が認められなかった裁判例があるということも認識されているのでしょうか?お答えください。
(6)占拠されていたのは里道と水路だということです。その里道や水路は、他の市道や里道、水路と接していなかったのでしょうか?お答えください。
(7)本件の7件の里道と水路のうち、宅地等の造成や住宅等の建設によって機能を失ったものは何件なのでしょうか?お答えください。また、それ以外の原因、たとえば自然の力で機能が失われたものはどれだけなのでしょうか?お答えください。
(8)市から占用料相当額を請求したことがあるにもかかわらず、その土地を売却後、その占用料相当額に係る債権を放棄した事例は、どれだけあるのでしょうか?具体的にお答えください。
(9)不法占拠状態の市有地について、売却・払下げということにしてくれれば、占用料相当額に係る債権を市は放棄するといった話を、相手方に対してされているのでしょうか?お答えください。
(10)現在、不法占拠されていると市が認識している市有地は、何件、何平米あるのでしょうか?お答えください。また、そのうち、占用料相当額を請求しているものは、何件あるのでしょうか?お答えください。
(11)高槻市は、国から譲渡される前から里道や水路の機能管理をしているとされていますが、20年の期間経過により時効期間が満了したということは、20年間、里道や水路の管理を怠ってきたということではないのでしょうか?お答えください。

【答弁】
(1)建物登記等の資料などを基に判断しております。
(2)境界点を測量し座標計算により求積しております。
(3)当時は、公図で示されているおおよその場所に里道や水路が存在するか否かをついて調査したもので、不法占用箇所の調査は実施しておりません。
(4)仮定の質問にはお答えできません。
(5)取得時効が認定されなかった裁判例があることも認識しております。
(6)市道など他の公共用地と接しているものもあります。
(7)7件すべて住宅敷地等として占有されていたものです。
(8)そういった事例はありません。
(9)事案に応じて適切に対応しております。
(10)不法占有と認識しているものは3件で、占用料相当額を請求しているものは1件ございます。
(11)譲与時点で機能のないものについては、払い下げを行う方針としており、管理を怠っていたとは考えておりません。

<3回目>

(1)平成14年度から15年度にかけて、「里道・水路の全箇所現況調査」と「不明・不法占拠箇所の精密調査」をされた際に、本件の7件の不法占拠について認識されたのではないかとおききしたところ、その調査に関しては、公図で示されているおおよその場所に里道や水路が存在するか否かをついて調査したもので、不法占用箇所の調査は実施していないというお答えでした。これについては、高槻市側が、平成27年7月17日付で裁判所に提出した「法定外公共物譲与申請業務計画」の平成14年度から15年度の部分の「現地調査」の項目の2番に「不明・不法占拠箇所の精密調査」と書かれているのでおききしたのですが、実際には、この計画どおりの業務はされていなかったということなのでしょうか?お答えください。
 また、この計画には、他にも調査や聴取、現地調査書の作成などと書かれているのですが、この計画に記載はされているものの、実際にはされていないものは何なのでしょうか?すべてお答えください。
(2)先ほどの平成14年度から15年度にかけての調査については、「現地調査書」が作成されているとされているのですが、本件の7件の、「現地調査書」には、不法占拠について、どういった記載がされているのでしょうか?お答えください。
(3)平成27年7月17日付で裁判所に提出された証拠の中には、別の里道や水路を撮影した写真があって、平成14年9月21日に現地調査をした時点では何らかの行為の形跡はなかったとされています。当時の現地調査の際には、すべての里道・水路について、写真を撮影されたのでしょうか?写真を撮影されていないものもあるのであれば、何件のうち何件撮影していないのか、お答えください。
(4)平成26年11月13日に、ある裁判の証人尋問がありまして、高槻市の職員の方が証人として証言をされました。そのときには私が、平成17年に国から譲渡を受けるのに先立って行われた調査について、「管理課として、里道や水路について山の奥の奥まで全部歩いてその当時状況を把握した、それ以前にもそれらを管理してきたと考えられるんですが、そういうことで間違いないでしょうか。」と尋ねたところ、「はい。」と答えられました。状況を把握したということなので、当時の計画に基づいて、不法占拠の状況も把握されたのだと思いますが、実際には、山の奥の奥まで全部歩いたとか、状況を把握したとか、といったことはされなかったのでしょうか?実際には、何件のうち、何件の調査がされたのでしょうか?何%分の調査がされたのでしょうか?お答えください。
(5)現在、不法占有と認識しているものは3件で、占用料相当額を請求しているものは1件だということです。その3件については、今後どうされるのでしょうか?占用料相当額を請求するのでしょうか?売却・払下げということにするのでしょうか?お答えください。

あとは意見を述べます。
不法占拠状態の市有地について、売却・払下げということにしてくれれば、占用料相当額に係る債権を市は放棄するといった話を、相手方にされているのかとおききしたところ、事案に応じて適切に対応しているということで、否定はされませんでした。そういう話をしているということだと思います。しかし、一方で、ちゃんと市の許可を得て、適法に市有地を占用している方々は、きちんと占用料を払っているわけです。不法占拠してきた人は、占用料相当額が免除されるのに、正式に許可を得ている人は占用料を払わなければならないというのは、あまりにも不公平ではないでしょうか。
売却・払下げを理由に、占用料相当額の支払いを免除するということを、行政がしていいのでしょうか?売却・払下げが、この債権を放棄する実質的な理由であれば、それは適法なものとはいえないはずです。
里道等の機能が失われたのは、住宅敷地等として占有されたからだということです。だとしたら、住宅等を撤去すれば機能が回復するはずです。不法占拠されていた里道等には、市道など他の公共用地と接しているものもあるということですが、不法占拠が解消されれば、道として機能するということですよね。そういう里道等は、時効取得できないのではないのでしょうか。
高槻市の市有地であったのに、占拠者に時効取得された事例は把握していないということなので、そんな事例は、どうやらないようです。不法占拠されてきた方々は、なぜ時効取得をされなかったのでしょうか?時効取得であれば、無料で土地が手に入るのに、なぜしなかったのか?先ほど述べたような、消滅時効の援用ができない特別な理由があるから、お金を払って市有地を購入したのではないのでしょうか?そうだとすると、時効期間満了という理由で、債権放棄はできないはずです。
平成16年12月9日の建環産業委員会の議事録を見ると、国から里道や水路の譲与を受けるにあたって、約4600万円をかけて、平成13年から平成15年にわたって、業務委託を行って、関係帳票を作成したということでした。先ほど述べたように、その計画には、「不明・不法占拠箇所の精密調査」という項目もあったわけです。やはり、その調査の際に、本件の不法占拠についても認識されたのではないのでしょうか?不法占拠の実態を知りながら、あるいは知ることができたのに、時効期間満了を理由に占用料相当額に係る債権を放棄することになったのは、市が里道や水路の管理を怠ってきたことが招いた結果であるともいえると思います。裁判では、その調査で撮影したという別の場所の写真を都合よく出してきたのに、それ以外の場所の写真はないというのは、信じられないですよね。里道や水路の現況調査の資料は、規定に基づき廃棄したと平成28年の12月議会で答弁されていますが、もしそれで全ての資料が失われたのであれば、あるいは、本当は資料が残っているのに隠しているのであれば、それ自体がまさに、里道や水路の適切な管理を高槻市が放棄しているということにほかなりません。市がそういったことをしたから、せっかくの調査の結果を活用できずに、債権を、「時効期間満了」という状態に至るまで放置することになってしまったわけですから、今回、放棄したと報告された占用料相当額に係る債権の分については、資料の廃棄等の決定に関わった市の責任者の方々が、賠償すべきです。指摘しておきます。

【答弁要旨】
(1)~(4)不法占用箇所の調査は機能の有無にかかわらず国から譲与を受けることにしたため調査の必要がなくなった。当時の資料は保存期間満了により廃棄した。
(5)適正な業務に支障があるため答弁は控える。
債権放棄は条例の趣旨に則り学識経験者の意見も聞いて適正に判断している。