本日、大阪地方裁判所で、弁護士費用請求訴訟の判決言渡しがありました。残念ながら敗訴でした。
この裁判で対象としている4つの住民訴訟では、高槻市役所の職員らの行為が違法であると認定され、結果、次のとおり計約1700万円を、前市長や職員から取り戻すことができました。
・幽霊運転手訴訟 1448万1618円
・有給職免訴訟(市長部局分) 208万6502円
・有給職免訴訟(教育委員会分) 47万8914円
・有給職免訴訟(水道部分) 38万6409円
地方自治法では、住民訴訟を提起した者が一部でも勝訴した場合には、弁護士報酬をその地方公共団体に対して請求することができると定められています(242条の2第12項)。上の4つの訴訟でも、弁護士さん達のがんばりで、約1700万円もの公金を取り戻すことができたのですから、それに見合った報酬を支払うのは当然です。
しかし、市職員らが地裁判決どおりの金額を市に納めたのに、高槻市役所は、必要もないのに控訴を維持し、私の「訴えの利益」を失わせて、形式的な勝訴を得ました。「名ばかり勝訴」として報道され批判されたやり方です。私が起こした4件の住民訴訟の結果、約1700万円も市の会計に取り戻したのですから、実質的に私の勝訴ですが、形式的には敗訴ということになります。
私は市に対して弁護士報酬を請求しましたが、市は、私が形式的に敗訴していることを理由に、拒否をしたので、裁判を起こしたわけです。
形式的に敗訴の場合に弁護士報酬を払うべきか否かについては、最高裁判所平成17年4月26日第三小法廷判決という判例があり、払わなくてもよいという最高裁の判断が示されています。なお、この裁判では、地裁・高裁では住民側が勝訴したものの、最高裁で逆転敗訴しています。
今回の件でも、大阪地裁はこの最高裁判例を引用するなどして、弁護士報酬は払わなくてもよいとし、私の請求を退けました。
この最高裁判例が存在する以上、下級審ではこのような判断を示すほかないのかもしれません。判決言渡し後、こちらの弁護士さんも、「最高裁判例は、最高裁判所で覆してもらうしかない」とおっしゃっていました。
実質的に勝訴しても、「名ばかり勝訴」というセコイやり方をされてしまったら、市民側が住民訴訟をやりにくくなってしまいます。住民訴訟の制度を蔑ろにする不当な判例で、全国のオンブズマン活動にも悪影響を及ぼすものだと考えています。この最高裁判例を覆すべく、今後も戦っていきます。