高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

何か虚しい総合計画

地方自治法第2条第4項は、

市町村は、その事務を処理するに当たつては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行なうようにしなければならない。


と定めています。この規定により各自治体で作られるのが「総合計画」です。

法律で定められている以上、作らないといけないわけですが、最近は、マニフェストとか、アジェンダとか、そういう形で有権者との約束事を掲げて、市長選を争うのが一般的です。ですので、あまり具体的なことを総合計画に入れるのは、無理があるのではないかと思います。

高槻市では、10年ごとに総合計画を策定しており、今年度がちょうどその10年の節目にあたるということで、「第5次高槻市総合計画」の素案を作成し、高槻市総合計画審議会で審議をしてもらってきました。

その審議が9月7日に終わり、答申を受け、パブリックコメントも実施したうえで、この12月議会に議案を上程してきたのです。

本日は総務消防委員会が開かれ、私も委員の一人として質問をしました。市の答弁は以下のとおりでした。

1問目 

<質問事項>  
1.第4次総合計画の総括についてです。計画の目標は達成できたのでしょうか?目標達成のために、具体的にどのように進めてきたのでしょうか? 
2.第5次総合計画については、誰が責任をもって進めていくのでしょうか?目標値を達成できない場合には、誰がどのように責任を問われるのでしょうか? 
3.目標値の妥当性についてです。素案に書かれている目標値は妥当なのでしょうか?各目標値については、どのような基準に基づいてを設定をしたのでしょうか? 
4.高槻市だけでは達成できない目標や、高槻市役所が関与しえないような目標については、どのように取り組んでいくのでしょうか? 


<答  弁> 
1 
 第4次総合計画の総括についてお答えいたします。 
 第5次総合計画の策定に当たり、目標の明確性、政策の優先度、計画の柔軟性・適応性、計画期間の4つの視点で、第4次総合計画の総括を行いました。 
第4次総合計画に基づき多くの事業を行う一方、行財政改革による財政健全化も着実に進めることができたと考えております。 
 しかしながら、基本構想において、目標となる将来都市像の記述がやや抽象的であり、その実現に向けた具体的な目標が明示されていないことから、総合計画の目指すまちづくりについて、その進捗状況の把握が困難となった部分もあったと思われます。 
 また、基本計画において、個別の事業を具体的に記述し、組織の所掌に合わせた形で施策体系を決めていたことから、市民ニーズや環境の変化等に対応した柔軟で迅速な施策展開を妨げるリスクもはらんでいたと考えております 
 次に計画の目標の達成状況についてでございますが、実施計画に年度ごとの目標を定め取り組んできており、第4次実施計画までに、158事業が完了または通常事業として実施されております。 
 これらの状況を見ると、将来のまちづくりの礎となる中核市への移行、保健所の設置、JR高槻駅北地区再開発事業、新名神高速道路の関連道路整備などや、市民生活の基盤整備となる葬祭センター、芥川河川防災ステーションの整備といったもののほか、ソフト面においては、子育て支援の充実、学力の向上、教育環境の整備など多くの事業を実施しており、この計画の果たした役割は非常に大きなものであったと捉えております。 

2・3・4 
 2つめ、3つめ、4つめのご質問について、一括してお答えさせていただきます。 
 基本計画に掲げている「目標値」につきましては、「目標が実現した姿」の実現状況を図るための基準の一例として挙げております。原則といたしまして、行政だけの取組によって達成できるものは挙げておらず、外部要因が大きくなっております。本市の取組だけでは実現が困難なものにつきましても、実現に向けて何ができるのか、知恵を絞り、市民、事業者、行政が一体となって取り組んでまいりたいと考えております。 
 2つめのご質問でございますが、計画については市全体で進めていくものと考えております。また、先ほども申し上げましたが、目標値は行政だけで達成できるものではございません。目標値が達成できなかった場合には、社会経済環境の変化をはじめ様々な要因が考えられますが、これらの要因の分析が重要であると考えております。 


2問目 

<質問事項>
1.第4次総合計画の総括についてです。自画自賛的なご答弁をいただきました。けれども、あいまいな目標を掲げておられたので、実際にはどうだったのか、ということについては、どうとでも取れる計画であったと私は思っております。一方、第5次総合計画では、目標値を掲げているわけですが、第4次総合計画と第5次総合計画の違いというのは、どういった点にあるのでしょうか?お答え下さい。 
2.責任についてです。先ほどのご答弁では、誰に責任があるのか、お答えになられませんでした。もう一度お聞きしますので、第5次総合計画の責任の所在について、明確にご答弁ください。 
3.広報についてです。ご答弁では、「目標値」の達成・目標の実現については、市民・事業者・行政が一体となって取り組むということでしたが、そうすると、この目標や目標値について、まずは市民に知っていただかなければなりません。どのように周知させる予定なのでしょうか。お答え下さい。 
4.マニフェストとの関係についてです。この第5次総合計画を12月議会で議決することになるかと思いますが、リコール等何事もなければ、来年4月に市長選挙が行われると考えられます。もし、その選挙で当選した新市長のマニフェストと総合計画に矛盾が生じた場合は、どうなるのでしょうか?また、新市長が、「この総合計画は、実現不可能だ」とか、「この目標値は、達成できるはずがない」などと言った場合には、どうなるのでしょうか?お答え下さい。 

<答  弁> 
1  
 第4次総合計画との大きな違いとして、第4次総合計画では、「分野別」の計画でしたが、第5次総合計画は、目標が実現した姿を掲げる「目標別」の計画としており、目標の実現に向けて、組織横断的に取り組みやすい計画であると考えております。 

2 
 2つめの責任の所在についての御質問ですが、今回、お示しさせていただいております目標値は、「目標が実現した姿」がどの程度実現したかを図るための指標です。そして、この目標は、行政の取組だけで実現できるのではなく、市民、事業者の皆様と一体となって取り組んでいくものであるため、目標の実現に向けて何が足りなかったのか分析を行い、要因を特定することが、今後の目標実現のために重要であると考えます。 

3 
 3つめの御質問ですが、今回の第5次総合計画は、行政だけでなく、市民、事業者が主体的に取り組むことが大切です。そのため、議員仰せの市民の皆様への広報は、非常に重要であると考えております。 
議決をいただいた後、広報紙への掲載やシンポジウムの実施、概要版の配布等、市民の皆様と将来の都市像を共有できるよう積極的に取り組んでいきたいと考えております。 

4 
 4つめの総合計画とマニフェストとの関係に関する御質問でございますが、第5次総合計画の基本構想、基本計画で定めておりますのは、まちづくりの方向性であり、実現のために必要となる目標の実現した姿です。
 そのため、原則、マニフェストにも対応できるであろうと考えております。



私は以下の意見を述べました。

 責任については、市長に大きな責任があるんだろうとは思いますが、これを実行していくのは、まだ誰になるかも分からない新しい市長で、その人はおそらくこの総合計画の策定には携わっていないと思いますし、そんな人に責任を求めるのもいかがなものかと思います。 
 この総合計画を作られた皆さんのご努力には頭が下がりますし、作成に携わった職員の皆さんにとっては、大変良い勉強になったのではないかと思います。そういう意味で、この計画を作ったことは、まったく無駄ではないと思いますし、また、現職市長が引退を表明していることと、新市長の掲げるであろうマニフェスト等のことを考慮すれば、これくらい抽象的な計画でちょうどいいのかなとも思います。 
 そういう露骨なことを、行政側としては答弁できないと思いますし、そういった事情を、私なりに慮って、また、責任は誰にもないということが、答弁によって明らかになったと考えられますので、この議案には、賛成をしたいと思います。



「新市長のマニフェストと矛盾が生じた場合は?」と尋ねているのに、「原則、マニフェストにも対応できるであろうと考えております。」と答えたり、「責任は誰にあるのか?」と問うても明確に答えないというのは、明らかにおかしいのですが、上記のとおり、事情を考慮すると、やむを得ないと思っています。

新市長になってから、総合計画については、もう一度見直すべきなのでしょうね。

ちょっと虚しい感じのした今日の総合計画の質疑でした。