市長は議会の最初と最後に行政報告を行い、その中で訴訟についても報告するのですが、勝訴したら「勝訴」と言うのに、敗訴しても絶対に「敗訴」とは言いません。ですので、一見すると、市がほとんど勝っているように見えますが、これでは市民に分かりにくい。
有給職免改ざん訴訟については、市長の行政報告からは分かりづらいですが、どうやら市は最高裁への上告を断念。結果、高裁判決のとおり、私の全面勝訴が確定しました。
9月議会における市長の行政報告のうち、私が起こした訴訟に関する部分について、注釈(★)を入れてみます。高槻市がどれだけ敗訴を隠したがっているかお分かりいただけると思います。
平成22年9月定例会開会に当たってのあいさつ
(中略)
訴訟事件について
次に、訴訟事件について、ご報告いたします。
まず始めに、新たに提起された事件ですが、本年6月17日、自動車運送事業管理者を被告として、損害賠償等の請求に関する住民訴訟が提起され、この件に係る訴状及び呼び出し状が、7月15日に大阪地方裁判所から到達いたしました。
主な内容としては、平成10年に解散した交通部福祉会の残余資金にて購入された物品等によって、交通部所管の土地・建物が不法に占有されてきたため、本市が賃料相当額等の損害を被ったとして、歴代の自動車運送事業管理者及び交通部総務課長に対し、損害賠償請求を行うことなどを求めるものであります。
本市といたしましては、訴訟代理人を選任し、適切に対応してまいりたいと考えております。
★「裏金訴訟」についての報告です。
次に、判決等のありました8件について、ご報告いたします。
1件目は、職員厚生会館の使用に係る損害賠償等請求事件についてですが、本年7月16日、最高裁判所において、原告の上告棄却及び上告審として受理しないとする決定があり、控訴審判決が確定し、市の全面勝訴となりました。
★裁判所からは、市の行為が違法であったと認定されたのに、それにはまったく触れず。
2件目は、自動車運送事業管理者を被告とした、有給職免に係る住民訴訟についてです。本件については、補助参加人が昨年 12月に控訴しておりましたが、本年7月30日に、大阪高等裁判所において控訴を棄却する旨の判決があり、その後、判決が確定いたしました。
★大阪高裁で市側が全面敗訴しましたが、上告を断念。市の全面敗訴の判決が確定したということです。
3件目は、高槻市長を被告とした有給職免に係る住民訴訟について、控訴審判決が本年6月30日に大阪高等裁判所でありました。
内容は、本年5月に判決のあった教育委員会、水道事業分と同じく、損害賠償及び不当利得の返還については職員等の自主返納をもって本市の損害が補填されたことから理由がなくなったとして、第1審での本市の敗訴部分を取り消し、原告の請求を棄却するものでありました。
★実質的に市の全面敗訴。市長らが「自主返納」したため私の請求が棄却されただけ。高裁でも違法認定されたことにも、奥本市長が「自主返納」したことにも、訴訟費用が全額市の負担になったことにも触れず。
4件目は、本市が贈呈した感謝状が条例に違反するなどとして、高槻市長を被告として昨年9月に提起された損害賠償請求事件について、本年8月18日に大阪地方裁判所の判決がありました。
内容は、原告の請求を却下または棄却するもので、本市の全面勝訴でありました。
★これは市の勝訴です。池田大作氏に「国際文化交流貢献賞」という条例にはない賞を贈呈した件に関する訴訟です。
5件目は、(中略)
6件目は、平成20年4月に提起された、自動車運送事業管理者を被告とした行政財産の使用許可に係る損害賠償請求事件ついて、本年7月22日、大阪地方裁判所において判決がありました。
内容は、当時の交通部総務課長に損害賠償責任があると、原告の請求の一部を認めるものでありました。
★つまり市側の敗訴ということです。市職員の労働組合に自動販売機を設置させ、儲けさせていた事件です。
7件目は、(中略)
この2件につきましては、判決に対して不服があるため、それぞれ控訴いたしております。
(後略)
平成22年第9回定例会の閉会に当たってのあいさつ
(中略)
訴訟事件について
次に、訴訟事件についてご報告いたします。
1件目は、職員厚生会館内の労働福祉課分室の使用に関し、平成21年5月に高槻市長を被告として提起された損害賠償請求事件について、本年9月10日に大阪地方裁判所の判決がありました。判決の内容は、原告の請求をいずれも棄却するもので、本市の全面勝訴でありました。
★これは市の勝訴です。
2件目は、被告を高槻市、処分行政庁を自動車運送事業管理者として昨年10月に提起された、公文書部分公開決定処分の取り消しを求めた訴訟について、今月16日に大阪地方裁判所において判決がありました。判決の内容は、本件処分のうち非公開とした部分は、たとえ公開され、具体的な実収入を相当程度明らかにされても、非常勤職員の報酬体系上、甘んじて受けざるを得ないものとして、非常勤職員個人の権利利益が不当に害されるものではないことから、当該文書には非公開情報は記録されていないというものでした。
この判決に対しましては不服があるため、本日、控訴いたしております。
★つまり市側の全面敗訴ということです。
(後略)
以上7件中、市側の勝訴は3件(うち厚生会館訴訟については市の行為が違法と認定されている。他は池田大作贈賞訴訟と分室訴訟。)。4件は敗訴でした(「自主返納」による実質敗訴を含む)。裁判のことをよく知っていれば別ですが、市長の報告を聞いただけでは、市側の敗訴の事実がよく分かりません。
「勝訴」と言うなら、「敗訴」とも明言すべきです。でないと、行政報告としてはバランスを欠いたものと言わざるを得ないのではないでしょうか?ここからも高槻市の隠蔽体質が垣間見えます。