高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

市民の足を守るのと、公営の維持は、イコールではない。

「高槻市交通労働組合」の機関紙の新年号

高槻市バスの職員で組織される「高槻市交通労働組合」の機関紙の新年号を、ある組合員の方が送って下さいました。それによると、組合としては・・・

・・・「市民の足を守り」、「公営交通の維持・存続と組合員の雇用と生活を守る」運動を進めてまいります。しかし公営として維持・存続していく為には、何といっても利用者・地域住民に信頼され、必要とされることが不可欠です。・・・



・・・とのことです。

「高槻市交通労働組合」の機関紙の新年号にあいさつ文を寄せる濱田市長

また、この機関紙には市長や議員があいさつ文を寄せていますが、ある政治家の方は・・・

・・・今日の社会は、少子高齢化が進み公共交通の重要性がますます増大・・・いかにも民営化すればすべてが解決するような風潮が叫ばれていますが、JR分割民営化や郵政民営化を見れば分かるように、不採算の路線や事業は民営化により廃止されていくことは明らか・・・



・・・とされています。

この方のように、民営化すれば不採算路線が廃止され、その分市民の足が奪われると思っておられる方がおられるかもしれませんが、私は違うと考えています。

高槻市では、不採算路線を運行するための補助金として、1億8252万7千円(平成23年度決算。以下同様。)が、高槻市の会計から支出されています。公営バスであっても、不採算路線を維持するために、このように市が税金を投じているわけです。

高齢者・障害者等の無料乗車についても、6億9178万円の補助金が交付されています。

民営化されなくても、多額の補助金が支出されているわけで、不採算路線の維持や高齢者等の運賃無料化に、公営か民営かは関係なく、自治体が補助金を出すか否か(あるいは、出せるだけの財政状況か否か)が問題なのです(高槻市の場合は、民営化したとしても、現在のところは、補助金を出すことはできます)。

大阪市バスも民営化の方針を打ち出しましたが、これは赤字が原因とされています。これまで大部分の自治体も同様に、赤字のために民営化してきました。

しかし、民営化しなくても、民間並みに経営改善ができれば、公営を維持できたはずです。なぜ多くの自治体は民営化を選択したのか・・・

地方公営企業法3条では「経営の基本原則」として・・・

地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。



・・・と、「常に企業の経済性を発揮」して運営せよとされていますし(公共の福祉を増進するようともされているので、補助金を受けずとも不採算路線運行や高齢者等無料化をすべきでは?)、38条3項は、給与について、同一・類似の職種の国・地方公共団体・民間の職員の給与等を考慮して定めよとしています。

高槻市バスの人件費の割合の推移

しかし、経常費用(営業費用+営業外費用)に占める人件費の割合はどんどん増え続け、71.6%にも達しているにもかかわらず、先日書いたとおり、高槻市バスと民間事業者との運転士職員(常勤職員)の給与の格差は1.48倍にまで広がってしまいました。

もし、常勤の運転士職員の給与が民間並みだったとすると、23年度ではどれだけの経費が削減できたのか・・・

運転士の常勤職員は189人。その平均年収は719万7318円。民間は487万600円。その差額は232万1318円。189人分では、232万1318円×189人=4億3872万9102円・・・

市バスの23年度の収益は全体で約36億円。費用は約33億4千万円。上記の差額の約4億4千万円は、費用の約13%に当たります。不採算路線運行に伴う補助金の額(約1億8千万円)を上回っていますし、多くの路線で運賃(大人)は210円ですが、これを5%減らし200円ポッキリにもできるのではないでしょうか?

正規職員の給与が下げにくいのであれば、非常勤を増やせばよかったのですが、高槻市はそうはしませんでした。

平成18~22年度の「市営バス経営健全化計画」では・・・

企業経営の健全化と効率化に向け、従来より行っている再任用職員や非常勤職員の活用に加え、職員の給与制度の見直しなどさらなる人件費の抑制に努めます。



・・・とされていたのですが、当時の山本管理者は非常勤職員を減らす一方で、常勤職員を採用して増やしてきました。

高槻市バスの職員数の推移

このように、自ら立てた計画もろくに実行してこなかったのですから、法が規定する「企業の経済性」は、高槻市バスでは発揮されてこなかったといわざるをえません。なぜ発揮しなかったのか。

その理由は、労働組合と市長・議員との関係にあるとしか考えられません。大阪市バスがやっと民営化の方針を打ち出せたのは、労組に支援を受けていた平松前市長から、労組と敵対する橋下市長に替わったからです。

高槻市の場合、濱田市長は、労働組合に選挙で応援してもらい、労働組合の定期大会に出席し、労働組合の機関紙に新年のあいさつを載せている。おまけに市バスの経営改善を怠ってきた山本全管理者を副市長に据えています。

高槻市バス幽霊運転手事件は、まさに労使癒着・労組への利益供与・便宜供与が露呈した事件でしたが、山本管理者はこれを隠すために公文書の改ざんまで指示し、処分を受けました。

そんな大きな問題を起こしても、市職員としての最高位である副市長になれるのですから、これからも本気で改革に取り組めるのか大いに疑問です。市長と労組の蜜月が続く限り、市職員の高給・厚遇は守られ続けるのではないでしょうか?

守られるといえば、たとえ裁判で負けても市職員は保険で救われるようです。

★【朝日新聞】公務員、保険あれば憂いなし? 賠償訴訟を恐れて加入増
・・・保険料は補償額3億円プランの場合で月額900円・・・

たった月額900円・・・住民訴訟に労力と年月をかけ、やっと裁判で勝っても、市職員側は格安の保険で賠償金を賄う・・・こんな保険があるから好き勝手ができるのかもしれませんね。

まあ、こういう公務員だから、民営化しないと改革はできないという結論に、多くの自治体で至ったのではないのでしょうか?民営化すれば運賃も値下げできそうですし、不採算路線の維持や高齢者等の無料乗車のための補助金を、その民間バス会社に払ったほうが、市民のためになるのかもしれません。

濱田市長や労組は、市民の信頼を得て公営を維持したいようですが、地方公営企業法を遵守して、金額として目に見える形の改革をしていただけないと、信頼は得られず、批判が出るのではないかと思います。

来年の労組の機関紙の新年号も楽しみにしております。


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経営環境はどんどん厳しくなっているのですが・・・
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