高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

高槻市にも津波?河田教授に聞く。

高槻市にも津波がくる可能性があるという産経新聞の記事を見て驚かれた方が多いと思います。

大阪・周辺16市が津波被害 東南海・南海地震 M9・0規模なら

これを試算したのが関西大学社会安全学部の河田恵昭学部長とのことでしたので、高槻市における被害想定の詳細などを教えていただきたいと、先日電話でお願いをしておりました。

すると昨日、河田教授から電話が。直接お電話をいただけるとは思っていなかったので、ビックリしました。

結論としては、大きな地震が起きたら、とにかく高いところに逃げること。どこに逃げればいいかという詳細については、1年後くらいにしか議論を始められないようですが、今、高槻市にできることは、避難先になる学校の耐震化と、市民への災害時の対処法の告知ではないかと思います。津波から逃げる前に、地震で校舎が潰れてしまっては、逃げ遅れる可能性がありますし、やはり学校の耐震化が急務です。

以下が昨日のやり取りです。

河田教授:大阪にやってくる津波の想定は、現在、2.4~2.5m。これはM(マグニチュード)8.4の場合。しかし、仮に今回の東日本大震災のようにM9であれば、平均2.2倍になります。それで計算をすると、津波の高さが5.5mに。満潮の時は、O.P.(=大阪湾最低潮位)+2.2~2.3mなので、それに5.5mを足すと、O.P.+7.7~7.8mになります。
 津波は、南海地震だと波長(=波と波との間の距離。波長が長いほど破壊力が強い。海岸で普通に見られる風波の波長は数十メートル。)が50kmくらいあるので、その半波長分の20数kmは、海面がそれだけ上がるということ。
 それをそのまま、レベル湛水というが、O.P.+7.7~7.8mの線を、産経新聞の記者は、地形図に沿って、地図に書いたと思われる。私からはそんな地図は出していない。私は、大阪に来る津波が、O.P.+7.7~7.8mになる可能性があると記者に言っただけです。
 津波は、高潮と違って、運動エネルギーを持っているので、O.P.+7.7~7.8mが来たら、確実にそれよりは上に来る。これが高潮と違うところ。駆け上がってくるんです。
 O.P.+7.7~7.8mというのは、あくまでも、レベル湛水といって、水がゆっくり上昇するときにそこまで浸かるという想定。台風の高潮の時は、それでほとんど想定と実際とが合うが、津波はもっと上がる。本当に5.5mの津波が来たら、満潮の時だと間違いなくO.P.+7.7~7.8m以上になるというふうに考えていただいたらいい。
 もし満潮時に5.5mの津波が来たら、高槻にも津波は来ますよ。川から溢れてくるのではなくて、茨木市の方から、市街地から溢れてくるんです。芥川とか全部乗り越えてやってきますからね。
 だいたい50分に1波が来る。第何波目で高槻に来るというのは難しいが。陸上氾濫のときは、時速40~60kmで来る。大阪港に来た途端に高槻に来るわけではないので、かなり時間差がある。津波は上がったり下がったりしながらやってくるし。特にこのあたりは平地になっているので、いったん水が来て、水が抜けないうちにまた津波が来るということを考えておかなければならない。

北岡:高槻市議としてはどんな対策をすればいいんでしょうか?

河田教授:市議の人が対策なんて、無理。今、大阪府の咲洲の移転の話をしてきたが、大阪府が基本的な姿勢を出さない限り、高槻市だけでは無理。

北岡:無理なんでしょうが、例えばどこに逃げればいいのかとか、どこから北は安心だとか、そういうものでも出せれば、市民の方も安心すると思うんですが。

河田教授:どこから北が安全かというのは、一番難しい話。ちゃんと中央防災会議で、どんなモデルで計算するか決まるまでは、それはちょっと難しいと思います。

北岡:ということは、新聞記事の図はいい加減なんでしょうか?

河田教授:いい加減というよりは、ここまで水が来ますよというふうに見てもらったらと思うのですが。

北岡:割と正確だと?

河田教授:5.5mの津波が来るのであれば、ほぼ間違いがない。

北岡:津波は運動エネルギーがあり、駆け上がってくるということですが、高槻に来る時にはどれくらいの勢いで、どれくらいの水深になっているのでしょうか?

河田教授:水深を計算するのは、今のところ無理です。水に浸かるかどうかが分かるだけで、水深を計算しようとしたら、計算式を解かなければいけないので。

北岡:例えば2~3mだともうアウトだと思うんですが、1~2cmだと大丈夫かなという感じがするんですが。

河田教授:そう思いますか。あなたは被災地に行ったことがある?

北岡:8月に行こうと思っています。

河田教授:あのねえ、もう浸かったらダメですよ。はっきりしているんですよ。50cmだから大丈夫だとかそんなものではない。水に浸かったら、全部やられてますよ。何故かというと、水だけ来るんじゃないんですよ。壊れた家も一緒に流れてくるので、それが家にぶつかる。水の来たところはみんなやられている。1m、2mでどうかではなく、浅い水でも壊れた家の残骸が乗ってくるので、これが家を潰す。クリアな水が来るわけじゃない。一緒にいろいろなもの、船とかも来るので。破壊力はかなりありますよ。

北岡:新聞のあの図を見て、不動産業者やこれから家を建てようと思っていた人はビックリしたと思います。高槻市はまだマシかもしれないですが、大阪市内の人は、恐怖のどん底に叩き落とされたような気持になったのではないでしょうか。

河田教授:それでいいんじゃないですか。だって、命を落とすんですからね。
 今までハザードマップを出す時に、地価が下がるとか、不動産業者がワアワア言ったことがあった。だけどそれに躊躇して出さなかったら、命を落とすんだから。

北岡:まったくそのとおりだと思います。

河田教授:明日、構想会議の第一次提言が出ますが、津波はやっぱり「逃げる」なんです。最初に「逃げる」。それ以外考えない。構造物で守るとか、防波堤を高くするとか、そんなことは二の次で、とにかく逃げる。あんまり不動産がどうのというと、現実問題として命を落としますので。

北岡:その「逃げる」なんですが、山が近くの人は山に逃げればいいと思うんですが、平地の方は、学校やマンションに逃げればいいのでしょうか?

河田教授:そうです。みんな学校に逃げたらいっぱいになるので、マンションに住んでいる方はマンションの上部階に上がればいいのです。

北岡:大阪市内でそのように避難訓練をされている方もおられますね。

河田教授:問題は木造2階の平屋建てですよ。これは逃げないかん。

北岡:3階以上であれば大丈夫なんですか?

河田教授:ダメですよ。木造・プレハブはダメです、3階でも。水はゆっくり来るんじゃないですよ。さっき言ったように、一緒に物が流れてきますから、破壊されるんですよ。

北岡:とりあえず、関西大学ミューズキャンパスに逃げ込んだら・・・

河田教授:うちの建物は大丈夫ですよ。

北岡:どの地区の方はどこに逃げればいいのか、どの学校に、どのマンションに逃げればいいのか・・・

河田教授:それは高槻市がやらなくちゃいけない。

北岡:ですよね。

河田教授:それとね、どこどこの地区はどこと、(避難先を)一対一で決めていたでしょ。そうではなくて、もっと安全なところというのを示しておかないと、その避難所がやられてしまったら、みんなやられてしまうのですよ。東日本大震災も、決まっている避難所に逃げて、全員やられたということがあるんです。
 高槻市は、津波が来るまで時間的な余裕があるから、安全なところがあれば、まずはそれを目指すということをやったほうが、絶対に全体的な被害は少なくなりますよ。

北岡:ぜひその具体的なところを知りたいですね。

河田教授:それは私も教えてあげたいけれど、まだそれは精度の問題があって・・・このモデルをちゃんと作りますが、時間がかかるんですが。

北岡:いつ頃になるんでしょうか?

河田教授:大阪全体については来年の今頃になると思います。

北岡:ら、来年の今頃なんですか?

河田教授:来年の今頃。

北岡:結構時間がかかるんですね。分かりました。その頃に、高槻も、どこに逃げればいいか・・・

河田教授:だいたいその頃に議論できるでしょう。

北岡:とりあえず学校は耐震化しないといけないですよね。

河田教授:そりゃあそうですよ。震度6弱ですからね。

北岡:高槻市だけじゃなく、大阪府下は、結構、耐震性能が低い校舎が多いんですよ。それをなんとかしないといけないですね。

河田教授:はい。間違いないですね。がんばってください。私もがんばりますから。

北岡:直接お電話いただけるとは思いませんでした。

河田教授:いやいや、もっと早く電話しようと思っていたんですが。忙しくて。

北岡:お忙しいところ、すみませんでした。

河田教授:よろしく。

北岡:また教えてください。

河田教授:分かりました。では。