高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【隠れ待機児童】待機児童はゼロでも、「隠れ待機児童」は大阪府下最悪級の高槻市。

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今日は6月議会の最終日。一般質問がありました。

私は6項目を予定していたのですが、時間切れで、5項目の途中までしかできませんでした。

大阪府が、令和3年4月1日時点の府下の各市町村の待機児童と隠れ待機児童のそれぞれの人数を公表していました。高槻市は、待機児童はゼロなんですが、隠れ待機児童は587人で、大阪市の2050人に次いで2番目。各自治体の就学前の0歳から5歳の推計人口を分母にして、割合を出してみても、四条畷市の次に高くて、政令市・中核市の中では断トツでワーストでした。

上のエクセルの表の注釈のとおり、就学前児童の年齢は6歳未満ですが、人口のデータが5歳毎しかないため、5~9歳の人口数の1/5を0~4歳人口に加算して0~5歳人口としています。したがって、正確ではありませんが、当たらずも遠からずといったところだと思います。参考に、0~4歳人口を分母にしたパーセンテージを出してみましたが、各自治体の順位はほぼ同じで、高槻市の順位は変わりませんでした。

隠れ待機児童の内訳を見ると、587人中、「特定の保育所等を希望している者」が484人と、8割以上を占めています。私が8年前の平成26年の6月議会で質問したときには、「特定の保育所を希望して入所待ちをしているケース」は計120人でした。当時と比べると約4倍になっているわけです。

なぜ、高槻市は待機児童はゼロなのに、「隠れ待機児童」は多いのか・・・

高槻市は「登園するのに無理がない範囲」を、車を含む通常の交通手段で30分未満にある範囲だとして、市内全域だとしています。その距離を尋ねると、15キロメートルから20キロメートル程度だとい言います。

高槻市の資料によると、高槻市の市域は東西に約10.4km、南北に約22.7kmということなので、距離だけ見れば、確かにほぼ市域全域が、「登園するのに無理がない範囲」ということになります。

けれども、子どもを自転車に乗せて、赤大路から上牧まで、保育所の送り迎えなんて、到底無理ですし、坂道や踏切のある南北間の移動なら尚のことです。人口密度の低い市町村ならともかく、この定義を高槻市に当てはめるなんて、そんな滅茶苦茶なことはありません。

こんな常識的に考えて不可能なことを、子育て世帯に押し付けることで、保育所等の利用を諦めさせて、結果、国の基準の待機児童ゼロを達成したというだけではないのでしょうか。結果、大阪府下でも最悪級の「隠れ待機児童」の率の高さにつながってしまったのではないのでしょうか。

これでは子育てしやすい街とはいえないはずです。

就学前児童施設の定員や「隠れ待機児童」の実態については、小学校区ごとに集計して公表し、「隠れ待機児童」が他市と比較して多いという事実と真正面からしっかりと向き合って、現実的な対策をとるよう要望しました。

以下は今日の本会議でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをお許しください。

■4.隠れ待機児童等について

<1回目>

(1)大阪府が、令和3年4月1日時点の府下の各市町村の待機児童と隠れ待機児童のそれぞれの人数を公表していました。高槻市は、待機児童はゼロなんですが、隠れ待機児童は587人で、大阪市の2050人に次いで2番目。各自治体の就学前の0歳から5歳の推計人口を分母にして、割合を出してみても、四条畷市の次に高くて、政令市・中核市の中では断トツでワーストでした。
 高槻市は、待機児童はゼロなのに、何故、隠れ待機児童が多いのでしょうか?高槻市固有の事情があるのでしょうか?お答えください。

⇒利用保留児童数についてですが、他市の状況についての傾向等は把握しておりませんが、本市においては、就学前児童人口が減少傾向にあるものの、保育ニーズは依然として高い傾向にあり、とりわけ0歳から2歳児で多いことなどによるものです。

(2)隠れ待機児童の内訳を見ると、587人中、「特定の保育所等を希望している者」が484人と、8割以上を占めていました。私が8年前の平成26年の6月議会で質問したときには、「特定の保育所を希望して入所待ちをしているケース」は計120人でした。当時と比べると約4倍になっているわけです。
 平成29年9月議会では、竹中議員の質問に対しても、登園するのに無理がない範囲については、車を含む通常の交通手段で30分未満にあるとして、市内全域だと答弁されていましたが、今でもその見解・運用は変わらないのでしょうか?具体的にお答えください。

⇒「登園するのに無理がない範囲」の見解・運用に関するお尋ねですが、現在も変わっておりません。

(3)城内町の高槻認定こども園分室で実施している送迎利用保育の定員と利用者数はどれだけなのでしょうか?お答えください。
 また、市は、登園するのに無理がない範囲を、市内全域だとしているのに、送迎利用保育・送迎保育ステーション事業を実施しているのは何故なのでしょうか?理由をお答えください。

⇒送迎保育ステーション事業に関するお尋ねですが、送迎保育ステーション事業については、定員は20名で令和4年6月1日時点で14名が利用されています。本事業は、市内の保育資源を効果的に活用しながら、地域間の保育需要の偏りや、3歳児の受け皿の課題解決のために実施しているものでございます。

(4)令和元年度から3年度において、就学前児童施設の数や定員が増えた中学校区はどこなのでしょうか?どれだけ増えたのかも併せて、お答えください。
(5)令和元年度から3年度において、隠れ待機児童が増えた中学校区はどこなのでしょうか?どれだけ増えたのかも併せて、お答えください。

4点目及び5点目の就学前児童施設の中学校区ごとの施設数と定員及び利用保留児童数についてですが、就学前児童施設数については、子ども・子育て支援事業計画において市域を六つに分けた教育・保育提供区域ごとに集計しているため、中学校区ごとでは把握しておりません。


<2回目>

(1)登園するのに無理がない範囲は、「車を含む通常の交通手段で30分未満」という見解・運用については、現在も変わっていないということです。
 その30分未満という基準については、渋滞や坂道、踏切等に関しても考慮されているのでしょうか?距離にすると、最長で何キロメートルというとこになるのでしょうか?お答えください。
 また、車で30分の距離を、自転車の前後に子どもを乗せて走った場合、何分かかるとお考えでしょうか?お答えください。

⇒「登園するのに無理がない範囲」についてですが、通常の交通手段により30分未満で移動可能な距離は、15キロメートルから20キロメートル程度と考えております。なお、自転車の前後に子どもを乗せて走った場合の時間については、把握しておりません。

(2)就学前児童のいる世帯のうち、児童の送迎に常時使用できる自動車や自転車を所有している世帯は、何パーセントなのでしょうか?自動車と自転車について、それぞれ、お答えください。

⇒児童の送迎のために自動車や自転車を保有している世帯の割合については、把握しておりません。

(3)就学前児童施設の施設数や隠れ待機児童の人数等については、中学校区ごとでは把握していないけれども、市域を六つに分けた教育・保育提供区域ごとに集計しているということです。
 その6つの区域のうち、令和元年度から3年度において、就学前児童施設の数や定員、隠れ待機児童が増えたのはどこなのでしょうか?どれだけ増えたのかも併せて、お答えください。

⇒教育・保育提供区域ごとの就学前児童施設の数や定員及び利用保留児童についてですが、平成31年4月1日と令和3年4月1日時点を比較して、第1提供区域では2施設、定員85人増、第2提供区域では4施設、定員163人増、第3提供区域では5施設、定員86人増、第4提供区域では9施設、定員181人増、第6提供区域では1施設、定員45人増となっております。
 また、利用保留児童数については全体で減少しましたが、増加した区域としては、第1提供区域で8人、第3提供区域及び第5提供区域で1人となっております。

(4)市のホームページを見ると、今年6月13日付で、2つ区域において、小規模保育事業者を募集していたんですが、1つは「清水小学校区の地域」、もう1つは「富田小学校区の地域」とされています。
 何故、小学校区ごとに募集しているのでしょうか?理由をお答えください。

⇒小規模保育事業者の募集についてですが、今年度は第1提供区域及び清水小学校区で1事業所、第3提供区域の富田小学校区及びその隣接地域で1事業所を募集しております。
 募集区域の選定にあたっては、直近の利用保留児童の状況を勘案し、より保育需要が高いと考えられる地域を絞り込み、募集することとしたものです。

(5)高槻市としては、隠れ待機児童については、そもそも、どういった認識なんでしょうか?問題だと考えているのでしょうか?減らそうとしているのでしょうか?お答えください。

⇒利用保留児童に関する認識等についてですが、低年齢児で多くなっていることから、その解消に向けて小規模保育事業所の整備に取り組んでおります。


<3回目>

 あとは意見を述べます。
 施設や定員を増やしているのに、利用保留児童が、それを上回って増加している区域があるということは、隠れ待機児童の増加に、施設整備が追い付いていないということですよね。
 「登園するのに無理がない範囲」は、15キロメートルから20キロメートル程度だということです。
 高槻市の資料によると、高槻市の市域は東西に約10.4km、南北に約22.7kmということなので、距離だけ見れば、確かにほぼ市域全域が、「登園するのに無理がない範囲」ということになります。
 けれども、子どもを自転車に乗せて、赤大路から上牧まで、保育所の送り迎えなんて、到底無理ですし、坂道や踏切のある南北間の移動なら尚のことです。人口密度の低い市町村ならともかく、この定義を高槻市に当てはめるなんて、そんな滅茶苦茶なことはありません。
 こんな常識的に考えて不可能なことを、子育て世帯に押し付けることで、保育所等の利用を諦めさせて、結果、国の基準の待機児童ゼロを達成したというだけではないのでしょうか。結果、大阪府下でも最悪級の「隠れ待機児童」の率の高さにつながってしまったのではないのでしょうか。
 これでは子育てしやすい街とはいえないはずです。
 就学前児童施設の数については、市域を六つに分けた区域ごとに集計しているので、中学校区ごとでは把握していないということですが、2017年6月25日の日経新聞によると、厚生労働省は、保育所の定員見込みや待機児童の実態に関する情報を、小中学校の学区程度に細分化して開示するよう自治体に要請したということです。高槻市にはそういった要請はなかったのでしょうか。
 就学前児童施設の定員や隠れ待機児童の実態については、小学校区ごとに集計して、公表してください。隠れ待機児童が、他市と比較して多いという事実と真正面からしっかりと向き合って、現実的な対策をとって下さい。要望しておきます。