今日は、大阪高等裁判所で、京口町債権時効消滅訴訟の控訴審の第1回口頭弁論がありました。
一審の大阪地裁の判決では、時効の期限が来るまでに土地代(占用料相当額)等を請求しなかったこと違法だが、担当職員に過失はなかったいと、請求が棄却されたので(つまり敗訴)、6月11日に大阪高裁へ控訴しました。
今回で結審し、判決言渡しは、12月5日13時20分から大阪高裁82号法廷とされました。
今回高裁に提出した控訴理由書は以下のとおりです。公有地を不法占拠されても、土地代を請求するのに測量が必要だとか、訴訟のリスクがあるだとかいうことになれば、不法占拠者によって、容易く債務を時効で消滅させられることになってしまいます。高槻市の市有地の別の訴訟では、不法占拠された土地の面積について、投影面積での算定が認められました。不法占拠の早期解決のために、投影面積等の簡便な方法が認められるべきだと思います。もし認められないと、全国的にも、悪影響が出るのではないでしょうか。
控訴理由書
令和6年8月5日
控訴人 北岡隆浩
第1 管理懈怠により債権を時効消滅させた被控訴人担当職員の過失に関する原審の誤った判断等
本件は、原判決「第2 事案の概要」に記載のとおり、高槻市が平成17年3月31日から有する債権について、被控訴人が、時効期間の経過前に、行使しなかったために、債務者による時効の援用によって、その債権の一部が消滅した事案である。
本件について、原審は、「確かに、本件怠る期間において本件債権の行使を怠り、債務者に対する時効中断措置を採らなかったことは違法であり・・・、これにより高槻市に本件時効部分に係る損害が発生しているが、本件債権の金額等が特定しておらず、これを積極的に行使しないという判断にも相当の根拠がある上・・・請求を行っていないのは、課長個人の判断というよりは、本件基本方針に基づく高槻市全体としての対応方針に沿ったものであることからすると・・・公務員の過失に関する上記アの判断枠組みやその趣旨に照らし、本件怠る期間に係る本件債権の不行使(怠る事実)について、課長に個人賠償責任を負わせるべきほどの過失があったとは認められない。」等として、控訴人の請求を棄却した(原判決34頁16乃至25行目)。
しかし、この原判決には、以下のとおり、不備や誤りがある。
第2 原審が法定外公共物の事前調査の内容や結果を記載していない不備
1 本件債権は、本件各土地を不法占拠していた債務者に対する占用料相当額であるが、平成17年3月31日に国から高槻市へ本件各土地が譲渡される前に、被控訴人が、本件各土地等(里道・水路等の法定外公共物)について行った調査(以下「本件事前調査」という。)について、原審は、「高槻市は、平成14年ないし平成15年頃、譲与対象となる法定外公共物の存在について調査を行った。」としか記載していない。
2 本件事前調査では「山の奥の奥」まで「不明・不法占拠箇所の精密調査」も行われていたこと
しかし、本件事前調査では、「山の奥の奥」まで、「不明・不法占拠箇所の精密調査」も行われていた。
甲4・28頁下から9ないし5行目のとおり、当時の被控訴人代理人の佐々木弁護士の「先ほど原告のほうの質問の中で、里道については、一括譲与に際して山の奥の奥まで調査をして歩き回って調査をしましたということがあるんじゃないかということの質問があったかと思いますけど、調査は実際されたのはされたんですね。」との質問に対し、課長(本件の課長と同一人物である)は「はい。」と明確に答えている。
つまり、被控訴人は、山の奥の奥まで、現地で確認を行ったのである。
なお、本件各土地は、山の奥とは真逆の、阪急高槻市駅から徒歩5分ほどの市の中心部にあって、国道にも面しており、その土地上に債務者らは建物を有し、寿司屋やラーメン屋、居酒屋などのテナントを入れて、賃料収入を得ていた。このように、不法占拠された公有地で、堂々と、寿司屋などが営まれ続けてきたのである(甲19・2頁、乙9)。
甲13は、大阪地裁平成27年(行ウ)第15号事件の被告の証拠説明書であるが、被控訴人は、まさに「山の奥の奥」といえる高槻市大字奈佐原(固定資産評価額も1平米約25円しかない)の里道等も含め、「高槻市においては、法定外公共物の譲与に向けて、現地調査を、平成14年度から平成15年度にかけて順次行っていた」と主張しており(甲13の乙12の「立証趣旨」の欄)、写真まで撮影している(甲13の乙13の欄)。
その平成14年度から15年度の本件事前調査には、甲14のとおり「②不明・不法占拠箇所の精密調査」や「④地元関係者に事情聴取」も含まれている(甲14の左下の欄)。
被控訴人は、本件事前調査において、現地調査だけでなく、不法占拠箇所の精密調査も行っていたのである。それによって、次項のとおり、本件の不法占拠についても把握していたというべきである。
3 外観上明らかな不法占拠箇所は本件事前調査で十分に知り得たと別件訴訟では裁判所が認定
甲20は、本件と同様、高槻市の里道・水路を民間企業が不法占拠してきたことに関する住民訴訟の大阪地裁判決である。
裁判所は、前項のとおり、本件の課長も証人尋問で取り調べたうえで、「高槻市においては,上記(ア)の方針を受けて,高槻市職員により,国有財産特別措置法により譲与を受けることになっている土地(総延長640km)について調査を実施し,里道,水路等の存否を確認し・・・平成16年12月頃,高槻市議会の建環産業委員会における管理条例の制定に関する審議において,上記のような調査が行われていることが報告された」と認定し(甲20・37頁最終行ないし38頁7行目)、「・・・被告は,①本件里道は,高槻市が平成17年3月31日に一括譲与を受けた総延長が640kmに及ぶ特定公共物の一部であって,その全てについて逐一現況を確認することは事実上困難である,②高槻市においては,法定外公共物の譲与に関する方針を定め,苦情等がある時のみに対応するとしていたところ,本件里道について,本件構造物の設置者から占用許可申請がなく,近隣住民からの苦情もなかったことから,被告において本件里道の使用状況に問題があるとしてもこれを知りようがなかった,③占用料又は占用料相当額を徴収するためには土地の境界や占有面積が確定していることが前提となるが,本件においてはこのような前提を欠いている・・・から,被告において管理を怠っているとの指摘は当たらないと主張する。しかし,上記①及び②についてみるに,補助参加人は本件構造物により本件東西里道構造物部分を占有しているところ,本件構造物は平成17年4月1日以前から本件東西里道上に存在し,高槻市職員が譲与の対象となる財産の存在を調査等した際,少なくとも本件東西水路部分の上空に本件構造物が存在することを把握していたこと・・・に照らせば,補助参加人らによる権原に基づかない本件東西里道構造物部分の利用について十分に知り得たものと認められるから,上記①及び②の主張には,理由がないというべきである。上記③についてみるに・・・侵害範囲の特定が可能であって不法占有を理由とする損害賠償及び不当利得返還を請求し得る場合にこれらの請求をしないことが許容されるものとは解されない。」と判示した(甲20・48頁15行目ないし49頁16行目)。
つまり、構造物による、外観上明らかな里道・水路等の法定外公共物の不法占有については、被告は、国からの一括譲与の際の調査によって、十分に知り得たし、侵害範囲(不法占拠された範囲)の特定も可能であって、損害賠償及び不当利得返還を請求しなければない義務があったのである。
本件各土地の上には、債務者が有する本件各建物があって、乙9の写真や図面のとおり、法定外公共物である水路上に建物が張り出すなど、外観上、不法占拠されてきたことが明らかだったのであるから、本件事前調査の際に、被告は、本件の不法占拠に気付いていたというべきであり、本件債権についても「損害賠償及び不当利得返還を請求し得る場合にこれらの請求をしないことが許容されるものとは解されない。」というべきである。
4 小括
以上のとおり、被控訴人は、本件事前調査により、現地で直接調査を行ったのみならず、不法占拠箇所についても精密調査を行っていた。
本件の不法占拠箇所については、乙9の写真や図面のとおり、法定外公共物である水路上に建物が張り出すなど、外観上、不法占拠が明らかであるが、甲20の裁判において、外観上、明らかに不法占拠されてきたものについては、債権の不行使は許容されないと判示されたところである。
当然、本件の不法占拠についても、被控訴人は、本件事前調査の際に、把握していたというべきであるから、本件債権の時効の期限までには、十分に債権の行使ができたといえる。
こうした事実関係を記載していない原判決には、事実認定に不備がある。
第3 時効期限前の平成26年12月頃には不法占拠が認識されていたこと
原審は、「管理課は、平成26年12月頃、本件各建物が東部排水路上に張り出している状況を確認した。」と認定している(原判決25頁11及び12頁)。
本件債権の消滅時効期間が満了し始めるのは平成27年4月1日からである(原判決7頁13及び14行目)。
被控訴人は、上記のとおり、平成26年12月頃に、外観上、明らかに、本件各建物が東部排水路上に張り出している状況を確認したのであるから、仮に、本件事前調査の結果に虚偽があったとしても、本件債権の消滅時効期間が満了し始める平成27年4月1日までには、少なくとも、東部排水路の部分の不法占拠について、債権を行使できたはずである(本件各建物が水路上に張り出してしている部分については、メジャー等で測定することが可能であった)。
不法占拠の調査に当たっては、公図を確認するのは最低限の事務であるから、それによって、東部排水路だけではなく、東西里道水路等についても、不法占拠されてきたことが判明したはずである。すると、やはり、本件の不法占拠の部分の全部について、被控訴人は、平成27年4月1日までに、債権を行使できたといえる。
第4 投影面積による侵害範囲(不法占拠された範囲)の特定が本件でも可能であったこと
1 別件訴訟(甲20)では投影面積で侵害範囲を認定
別件訴訟(甲20)では、裁判所は、構造物による侵害範囲(不法占拠された範囲)を、別件訴訟の甲6等に基づき「本件東西里道構造物部分の面積は30㎡を下らない。」と認定した(甲20・34頁下から3ないし2行目)。
甲21は、上記別件訴訟の甲6である。これは、控訴人が作成したものであるが、投影面積(勾配を考慮せず、平坦な面に投影された形の面積)を、侵害範囲とした。
投影面積は、土地の勾配を考慮しないので、実際の面積よりは、やや小さいものとなる。
2 実際にも投影面積に基づき債権の行使がされたこと
被控訴人は、実際にも、投影面積で不法占拠された部分の面積を算出し(原判決40頁の別添の図)、債務者らに対し、請求書を郵送するなどして、債権の行使をした(原判決7頁8ないし12行目)。
債務者は、消滅時効の援用は行ったが(原判決7頁18ないし21行目)、不法占拠の面積や境界、債務額について、何ら争ってはいない。
3 原審の判断の誤り
原審は、「原告は、本件債権の金額が特定していなかったことに関し、投影面積の方法による占用料相当額の算出を行うことで、本件債権を行使することは可能であったなどと主張する。しかし、投影面積の方法等を用いた概算の請求で足りるとするかは正に解釈の分かれ得るところ・・・」として(原判決34頁最終行ないし35頁4行目)、控訴人の主張を認めなかった。
しかし、上記のとおり、別件訴訟(甲20)では、本件と同様の高槻市の事案について、この投影面積を、侵害範囲として認定していたし、実際にも、被控訴人は、投影面積に基づき債権の行使を行ったのであるから、原審の判断は誤っているというべきである。
次の本状第5第3項のとおり、被控訴人は、実務においても、簡単な図面によって占用許可をしており、投影面積の方法等を用いた請求で足りるというべきであるから、やはり、原審の判断は誤っている。
第5 測量費用を要する場合には不法占拠者が負担すべきであること
1 条例では占用者に場所と面積を特定する責務があること
高槻市が里道・水路等に関して定めた「高槻市特定公共物管理条例」(甲22)4条では、「特定公共物の敷地又はその上空若しくは地下に工作物、物件又は施設(以下「工作物等」という。)を設けて特定公共物をその本来の用途以外の用途に使用」(1項1号)しようとする者は、特定公共物の占用等の場所(2項3号)や面積(2項4号)等を記載した申請書を市長に提出し、市長の許可を受けなければならない。
つまり、場所や面積を特定する責務は、上記申請書提出者にあるのである。
2 不法占拠された里道・水路の場所や面積を特定する必要があるのであれば、その責務は不法占拠者にあること
前項のとおり、条例に基づき占用許可を得ようと申請する者には、その場所や面積を特定する責務がある。そのことからすれば、不法占拠についても、里道・水路の場所や面積を特定する必要があるのであれば、当然、本来的には、不法占拠者に、それらの責務が生じるというべきである。
3 実際の被控訴人による占用許可は簡単な図面でされていること
甲23は、前項の申請により実際に許可がされたものの一例である。
その3頁目は、申請者により手書きで占用の場所が記載された「高槻市地形図」であるが、この「高槻市地形図」の作成者は、欄外に記載のとおり、高槻市都市創造部管理課である。
また、同じく欄外には「この地形図は平成25年1月に撮影した航空写真により作成し、部分修正を加えたものです。」、「この地図は地形の状況を示すもので、土地の境界等権利関係を示すものではありません。また各種証明に用いることもできません。」と記載されている。つまり、測量によって作成されたものではなく、土地の境界も示されていない、各種証明に用いることができない精度の低いものなのである。
この「高槻市地形図」に、申請者によって、距離だけが手書きで書き込まれているのだが、被控訴人による占用許可は、面積でされている(甲23・1頁)。この面積の算定根拠については記載されておらず、不明である。
つまり、被控訴人は、土地の境界が示されておらず証明に用いることができない精度の図面に距離だけが記載され、測量に基づいたものではなく算定根拠も未記載・不明な面積による申請であっても、占用許可をしてきたのである。
4 原審の判断の誤り
原審は、「・・・不確実な請求や不正確な請求は許されず、債権の存否や金額等につき誤りがないと判断できる状態に至らなければ歳入の調定はできないという理解にも、その規定内容に照らして相当の根拠があるといい得る・・・。そして、このような理解の下では、本件債権について歳入の調定をするためには、本件債権の存否やその金額等を確定するため、本件各土地と南北隣接土地との境界を確定し、東西里道水路や東部排水路のうち本件各建物により占有されている部分の面積を確定し、併せて、本件各土地の占有権限の有無や占有者(債務者)の不法占有の認識等を確定しなければならない・・・。しかるに、これらの点について、占用料相当額の支払を求められる債務者や債務者との間でその認識が一致するとは限らず、境界の位置、不法占有の認識、不当利得の存否・金額等について争いが生じるといった事態は十分にあり得ることであって、いったん紛争となれば、高槻市において、本件各土地の境界に係る測量を実施し、筆界特定等の手続を通じて境界を確定し(しかも、里道・水路等の境界を確定することは、資料や手掛かりに乏しく、実務上困難を極めることが少なくない。)、善意主張を覆す証拠等を収集し、不当利得返還請求訴訟等を提起して認容判決を得た上、最終的には強制執行を行って回収する必要が生じ得る。」などとする(原判決32頁20行目ないし33頁12行目)。
しかし、不法占拠者の不法占有の認識の確定は、客観的に、不法占有の事実があれば、不要である。このように不法占有の認識の善悪を問題とするならば、善意・無過失での土地の時効取得の可能性を考慮すると、むしろ、一刻も早く法的手続き等を行うべきであったはずで、本件のように、時効期間を徒過しても、被控訴人が、何らの手続きもとらなかったということはありえなかったはずである。
また、境界や占有されている部分の面積の確定については、上記のとおり、本来は、条例の趣旨からして、不法占拠者の責務である。これを、行政側が確定して、債権を行使する場合には、甲20の判例上も、投影面積で足りるというべきである。
高槻市においては、条例に基づく占用許可の実務において、前項のとおり、簡単な図面に手書きの記載でも、占有部分の面積として認め、許可がされている。
原審が言うように、土地の境界に係る測量を実施し、筆界特定等の手続を通じて境界を確定して、極めて正確に面積や占用料相当額を算出する必要があるのであれば、条例に基づく占用許可についても、そうした厳密な測量や占用料の算出が必要ということになる。しかし、条例には、そこまで求める条項は存在しない。実務において、住民個人に対する水路上の通路橋の占用許可等、わずかな面積のものについても、測量や境界確定をしなければ許可ができないということになれば、市民生活に大いに支障が生じる。原判決が確定すれば、市民生活や行政実務に非常な困難を強いることにもなりかねないのである。
公平公正な社会を実現するため必要なことは、本件のようなケースについては、不法占拠の状態を一刻も早く解消するため明渡し請求を行い、時効が援用されないように、消滅時効の期限が到来するまえに、債権を行使することである。そのためには、投影面積による方法等で迅速に対応すべきであって、それについては甲20の判例も肯定している。原審の言うような厳密さは、実務上無理難題であり、むしろ、公平公正さを阻害するというべきである。
仮に、紛争となって、測量等が必要となれば、その費用は、前々項の条例の趣旨からすれば、不法占拠者が負担すべきである。
これを、行政側が負担する必要があり、その費用負担ゆえに、不法占拠を野放しにすることになれば、社会正義が実現されないし、条例に基づいて占用許可を得た者との均衡も図れないことになり、憲法が定める平等原則に反する。
したがって、原審の判断は誤っているというべきである。
第6 紛争の懸念について
原審は、前項のとおり、法的な紛争が生じた場合について、様々な懸念を示している。
しかし、本件については、被控訴人が債権を行使しても、争いは生じなかった。その理由は、境界が画定していなくても、里道・水路等の位置や幅等から、原判決40頁の別添図面の程度には、投影面積により、面積が確定でき、甲20の判例も存在するからだと考えられる。
仮に、面積や境界について争いが生じても、甲20の判例がある以上、被控訴人は、原判決40頁の別添図面を示せばよく、それ以外は不要である。不法占拠者が、同図面の面積を不正確だと主張するならば、その立証責任は不法占拠者にあるのだから、測量の必要が生じたとしても、不法占拠者の費用負担により行われるだけである。
法的紛争そのものに費用がかかるというかもしれないが、訴訟のリスクはどのような場合でも存在するのであり、本件に限ったことではない。
したがって、原審の判断は杞憂であり誤りというべきである。
第7 まとめ
以上のとおり、原審の判断には誤りがあり、課長には故意又は過失があって、市長についても、本件怠る期間に係る本件債権の行使を怠る事実につき、課長に対する指揮監督上の義務違反があったというべきである。
原判決をこのまま認めてしまえば、公有地を不法占拠しても、行政に対して争う姿勢をチラつかせれば、債務を時効で消滅させられることになり、不法占拠の野放しにつながってしまう。これでは不法行為をした者が得をして、条例に基づいて真面目に占用許可を得て、占用料を支払っている者が、馬鹿を見るのであって、社会正義が実現されない。
本件は、甲20の判例や、本件事前調査の内容、簡単な図面でも条例に基づき占用許可をしている実務の実態等を鑑みれば、単に、債権の時効期間の管理を怠って、故意又は過失により、債権の一部を消滅させた事案であって、債権管理の基本中の基本を怠ったものというべきである。
裁判所が、被控訴人の担当職員の言い訳を認めて、責任を認定しなければ、行政事務の底が抜けてしまうのではないかと、控訴人は危惧する。