高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【救急活動公開請求訴訟控訴審】残念な勝訴 【水利権補償金訴訟】判決言渡しは8月22日

令和元年5月16日大阪高裁判決

今日は10時30分から、大阪地方裁判所で、水利権補償金訴訟の最終弁論がありました。

判決言渡しは8月22日13時10分から、大阪地裁806号法廷とされました。是非傍聴にお越しください。

また、13時15分からは、大阪高等裁判所で、救急活動公開請求訴訟控訴審の判決言渡しがありました。

上の主文のとおり、控訴人である高槻市側の主張が一部認められ、「搬送先」つまり医療機関名などの公開は認められませんでした。大阪地裁では認められたのですが・・・

そもそも、この訴訟を提起したのは、高槻市等が、三島救命救急センターを、現在の国道沿いの場所から、阪急高槻市駅前の大阪医科大学附属病院の敷地内に移転させることを計画したため。救命救急センターは、すぐに治療しないと命にかかわる脳卒中心筋梗塞、頭部損傷等に対応する「三次医療機関」。救急車の到着時間が非常に重要であるわけです。私は議会で、移転前後で救急車の平均到着時間がどれだけ変わるのかと質問しましたが市は答えず、救急車の運行記録を情報公開請求しても全て非公開としたため、やむなく平成29年8月22日に提訴。

つまり、救急車の到着時間と共に、医療機関名が公開されなければ、それは検証できないわけで、その点、大阪地裁は、両者の公開を命じる判決を下してくださったのですが、高裁は医療機関名を公開してはならないとしました。すべてを非公開として市の決定に対し、裁判所は一部を公開せよとしたわけですから、私の勝訴なのですが、肝心な移転前後の救急車の到着時間の検証ができなければ、目的は達成できません。勝訴とはいえ大変残念です。

高裁の判断の主な部分は次のとおりです。

第3 当裁判所の判断

 当裁判所は,本件決定のうち,原判決別紙請求認容目録記載の認容部分から「搬送先」,「統計」及び「転送」の各欄に係る情報が記録された部分を除いた部分は取り消すべきであるが,その余の部分の取消しを求める請求は理由がないと判断する。その理由は,次のとおり補正し,後記2で当審における当事者の補充主張についての判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」のとおりであるから,これを引用する。

(1)原判決26頁4行目冒頭から同頁21行目末尾までを次のとおり改める。
 「 そして,前記認定のとおり,「搬送先」の欄には,「市区」,「科目」及び「医療機関別」等が記載されるところ,大阪府内において,精神科及び心療内科のみを診療科目とする病院は25箇所,がん治療を専門とする病院は4箇所あること(乙4)等からすれば,搬送先の医療機関名や診療科目から,病気の種別や受診の事実をうかがい知ることが可能となる。
 一般に,病気の種別や受診の事実は,個人の身体に関わる重大な私的情報であり,個人の人格とも密接に関連するものというべきである。そして,これらの情報(例えば,精神科及び心療内科のみを診療科目とする病院を受診したという情報)は,個人に関する情報の中でも秘匿性が極めて高いものであり,他人に知られたくないと考えるのが通常であって,その期待は保護に値するものである。確かに,前記説示のとおり,日時場所等欄の各欄に記録された情報と他の情報とを照合しても,特定の個人を識別することができるとまではいえないものの,時間的情報,「出場隊名」,「場所区分」,「事故種別」,「連携活動」及び「出場先概要」欄記載の各情報に,報道やインターネットによる情報,傷病者と隣近所の関係にあることから知り得る情報等を照合することによって,事案によっては,当該傷病者をかなりの程度絞り込むことが可能である。
 そうすると,「搬送先」欄に記録された情報は,個人の人格と密接に関連し,又は公にすれば個人の正当な利益を害するおそれがあると認められるものであり,利益侵害情報に当たるというべきである。」

(2)原判決27頁21行目冒頭から28頁3行目末尾までを次のとおり改める。
「確かに,「統計」欄に記録された情報は,救急活動記録票にあらかじめ設けられた応急処置の項目を内容とするものではあるものの,傷病者が具体的に受けた応急措置の内容が記載されているのであり,その中には「心マのみ」や「心肺蘇生」など傷病者の重症度をうかがい知ることができるものも含まれている。したがって,前記2(9)において説示したところを踏まえれば,上記情報は,個人の人格と密接に関連し,又は公にすれば個人の正当な利益を害するおそれがあるものと認められるのであり,利益侵害情報に当たるというべきである。」

(3)原判決28頁12行目冒頭から同頁20行目末尾までを次のとおり改める。
 「 そして,前記(9)において説示したところを踏まえれば,医療機関名や診療科目を含む「転送」欄に記録された情報は,個人の人格と密接に関連し,又は公にすれば個人の正当な利益を害するおそれがあるものと認められるのであり,利益侵害情報に当たるというべきである。」

(後略)



上告については今後検討します。