高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【三島救命救急センター移転】単独型を市外にもPRしているのに、移転後は併設型に?

「どっちもたかつき」で独立型のメリットをアピール

6月議会では、外郭団体の決算の審議と一般質問の2回の機会に三島救命救急センターについての質問をしました。今回は決算についての質問と答弁の内容を載せます。

上の画像のとおり、高槻市は、定住促進プロモーション事業である「どっちもたかつき」のサイトでも、「専門医集団による、独立型の救命救急センター」とのタイトルで、「通常、三次救急医療機関は大規模病院に併設されているケースがほとんどだが、同センターは病院を併設しない独立型の救命救急センターとして、『専門医集団による救急医療』を昼夜を問わず行っている。」と、独立型の優位性を謳っています。

同じようなことが、三島救命救急センターを運営する高槻市の外郭団体・公益財団法人大阪府三島救急医療センターの決算報告にも書かれていました。この公益財団法人の理事長は濱田市長が務めています。独立型が良いのだと、市長としても理事長としても宣言しているわけです。

大阪医科大学へ移転すれば、独立型ではなくなってしまうのではないのでしょうか。

以下は一昨日の議会でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをご了承ください。

■公益財団法人大阪府三島救急医療センター・決算

<1回目>

(1)事業報告及び決算報告書の8ページに、事業の特色として・・・
 当財団は、公益目的事業として救急医療を行っており、重症の救急患者を受け入れる救命救急センター軽症の初期救急を担う夜間休日応急診療所が同一建屋内にあり、初期救急に含まれる重症疾病への迅速な対応が可能である。一般的な夜間休日応急診療所で不可避とされる後送病院への転送中に手遅れで死亡する例は無い。また、既往病歴が不明な初診患者の診療であっても、病状の急変時に救命救急センターと連携対応できる体制が整っている。
・・・と書かれています。
 こうした形で、初期救急に含まれる重症疾病へ対応したり、病状の急変時に対応したりしたケースは、どれだけあったのでしょうか?具体的にお答えください。

⇒ 高槻島本夜間休日応急診療所に来所して大阪府三島救命救急センターで受け入れた患者は、平成28年度は58名です。

(2)同じく8ページの一番下には、公益目的事業2として・・・
 救命救急事業(大阪府三島救命救急センター)は、後送病院を持たない単独型の運用形態をとり、高度な治療機器、各科専門医等、専門家スタッフによるチームユニットが、重症救急患者搬入から手術までを自己完結的に行い、「命の最後の砦」として機能している。このような施設は全国的にも珍しく、各専門科の垣根が低いために、各科にまたがる重症例に対しても、調整などのタイムラグが無く、スタッフが一丸となった迅速な対応が可能である。
・・・と書かれています。
 後送病院を持たない単独型だから、各専門科の垣根が低く、各科にまたがる重症例に対しても、迅速な対応ができるということです。他の自治体では、後送病院のある救命救急センターもありますが、そういったところではどのような弊害があるのでしょうか?市の見解をお聞かせください。

⇒ 一般的に後送病院は、緊急的に救急処置等を終えた患者の継続治療・経過療養の転院先の医療機関を指します。したがって、後送する病院は患者に対する医療上必要な存在です。

(3)9ページの7行目からは・・・
 心肺停止患者の社会復帰者数は、平成28年は7人(前年7人)であり、特別救急隊発足時から92人に上る。
・・・と書かれています。
 心肺停止患者の総数を100とすると、社会復帰者の率はどれだけだったのでしょうか?過去5年度の数字をお答えください。

⇒ 救命救急センター個別での心肺停止で運び込まれた患者総数は報告されていません。

(4)18ページの「対処すべき課題」の「公益目的事業1」には・・・
 小児初期救急医療体制の広域化の本格稼働3年目となった夜間休日応急診療所において、施設の狭隘が顕著であり、前年度に引き続き年末年始、連休などは患者が溢れ、待合、駐車場の混雑が著しかった。施設としての対応には限界があり、早期に抜本的な対策をとる必要がある。
・・・と書かれています。
 待合室や駐車場は、どれだけ不足したのでしょうか?お答えください。
 また、今後は、どのような対応をされるのでしょうか?具体的にお答えください。

⇒ 年末年始やゴールデンウィークには2、3時間お待ちいただくこともあります。感染症の流行の時期には、できるかぎり近隣の駐車場を確保するなどして対応しております。

<2回目>

 高槻島本夜間休日応急診療所に来所して大阪府三島救命救急センターで受け入れた患者は、58名だったということです。やはり一体で移転すべきではないのでしょうか。

(1)三島救命救急センターが、後送病院を持たない単独型であることについてです。高槻市のHPの「どっちもたかつき」のページにも・・・
 通常、三次救急医療機関は大規模病院に併設されているケースがほとんどだが、同センターは病院を併設しない独立型の救命救急センターとして、「専門医集団による救急医療」を昼夜を問わず行っている。
 ・・・と書かれています。先ほど申し上げた事業報告及び決算報告書の8ページの記載と同じような内容ですが、大規模病院に併設されていないから、「専門医集団による救急医療」を行うことができると読めます。「どっちもたかつき」というのは、定住促進プロモーション事業として、定住人口の増加を目指して市が行っているものですが、独立型の救命救急センターも、市外の方々へのアピールポイントにしているわけです。後送病院を持たない単独型、大規模病院に併設されていない独立型、というのは、メリットがあるということではないのでしょうか?市の見解をお聞かせください。

⇒ 単独型、併設型といった運営形態や医療体制等については、それぞれメリット、デメリットがあると考えております。

(2)心肺停止患者の社会復帰者数についてです。昨年12月議会では、吉田忠則議員の質問に対しては、
平成14年10月から運用開始した特別救急隊、いわゆるドクターカー事業につきましては、運用開始以来の社会復帰率が平均17.4%であり、全国平均の7.5%と比較いたしますと倍以上の実績であり、効果があるものと考えております。
 ・・・と答弁しています。この全国平均の7.5%というのは、全国のドクターカー事業の数字なのでしょうか?それとも別の数字なのでしょうか?何の数字なのか、具体的にお答えください。
 また、救急蘇生統計の数字も出されていましたが、この救急蘇生統計には、高槻市のものも含まれているはずです。高槻市は、救急蘇生統計にあたって、どういった項目が、どれだけの数字であったと、総務省消防庁に報告したのでしょうか?お答えください。

⇒ 全国平均の数値に関するお尋ねですが、全国のドクターカー事業の数値でなく、全国の心肺停止傷病者の社会復帰率です。次に救急蘇生統計についてですが、総務省消防庁へ報告する項目につきましては、心肺停止の目撃、バイスタンダーCPR、初期心電図波形、救急救命処置等の内容、時間経過、心停止の推定原因、転帰及び予後、脳機能カテゴリーや全身機能カテゴリーなどです。なお、チェックボックス方式の報告であり、パーセンテージなどの数字を報告するものではありません。

(3)年末年始などは患者が溢れ、待合、駐車場の混雑が著しかったことについてです。大阪医科大学もたくさんの患者さんがこられると思いますが、仮に、意見交換会でも意見があったように、「初期救急と三次救急の一体的な移転」がされた場合、駐車場や待合では、どれだけの混雑が予想されるのでしょうか?それとも混雑は起きないのでしょうか?お答えください。

⇒ 平成28年度事業報告及び決算報告書に関する内容ではございませんので、答弁は差し控えさせていただきます。

<3回目>

(1)単独型と併設型には、それぞれメリットとデメリットがあるということです。その、それぞれメリットとデメリットを具体的にお答えください。
 また、単独型と併設型それぞれのメリットとデメリットを比較すれば、単独型と併設型のどちらが市民にとってメリットがあるといえるのでしょうか?お答えください。

⇒(答弁要旨)単独型と併設型にはそれぞれメリットとデメリットがある。単独型は全国に3か所しかない。

(2)医療安全推進者ネットワークというサイトによると、千葉県船橋市でもドクターカー(特別救急隊)が導入されていて、8年間で46人の心肺停止患者を救命し、社会復帰率は23.5%だということです。高槻市の17.4%と比べると、船橋市のほうが約6%高いわけですが、この差の理由はなんなのでしょうか?お答えください。
 また、ドクターカーを導入している自治体の社会復帰率はどれだけなのでしょうか?お答えください。

⇒(答弁要旨)差は統計の取り方の違いである。

(3)先ほどのサイトには、「管轄の救急隊が現場に到着するまでの時間は平均4~5分だが、ドクターカーは1台しかないため平均9~10分かかる。」と書かれています。高槻市の場合は、管轄の救急隊とドクターカーが現場に到着するまでの時間は、それぞれ平均何分なのでしょうか?お答えください。

⇒(答弁要旨)救急隊が現場に到着するまでの時間は平均7.3分であり、ドクターカーが現場に到着するまでの時間は平均12.1分である。

 あとは意見です。
 単独型・独立型のメリットについては、この事業報告及び決算報告書だけではなくて、「どっちもたかつき」のサイトでも、謳っているわけです。もし併設型のほうがいいんだということであれば、これまで嘘を吐いてきたことになりますよね。市民の命にかかわることなのに、そんな大それた嘘を吐いてきたなんて、そんなわけはないと、私は信じたいです。
 待合と駐車場の混雑が著しいのは年末年始やゴールデンウィーク感染症の流行の時期だということですが、もし移転するのであれば、当然、移転先には余裕があるんですよね。駐車場が混雑するということは、車で来られる方が多いということですが、阪急高槻市駅前に移転した場合、それが渋滞の原因にもなるのではないかと心配です。そうでなくても、駅前は、バスやタクシー、送迎の車で混雑しているわけです。その渋滞のために、ドクターカーや救急車の出入りに支障をきたすことはないのでしょうか?社会復帰率が低下することはないのでしょうか?その点についてもよくよく考えてください。
 車の混雑やドクターカー・救急車の出入りについてもちゃんとシミュレーションをして、結果を示してください。
 以上要望して質問を終わります。

⇒(答弁要旨)移転後の三島救命救急センターについては意見交換会の議論の中で検討していく。