高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【高槻市営バス】「研修大失敗」が平成28年度の結果だ

市バスの運転士の研修についても、先日の本会議の一般質問で取り上げました。

高槻市営バス車内の研修告知ポスター

 


この写真は昨年10月に撮影したもの。「高槻市営バスでは乗務員のレベルアップのため、添乗教習を実施しております。」等と書かれています。「添乗教習」とありますが、交通部内では「添乗研修」と呼ばれ、研修の一つとして扱われていました。

この添乗研修については、昨年の12月までに、正規職員であれば3回行うことになっていました。しかし、議会で質問したところ、1回もしていない職員が49人もいるとの答弁でした。グループ研修についても、1回もしていない職員が32人もいるとのこと。これだけの人数がいるということは、職員自身の責任というよりも、管理職側が研修の進捗管理を怠っていたというべきだと思います。

平成28年度の当初、交通部は、職員に対して、研修の20時間も労働時間であると通知しました。その研修の20時間と共に、通常勤務と追加勤務の労働時間も併せて、2020時間12分が、いわゆる「正規の労働時間」としていました。この「正規の労働時間」より勤務時間が短ければ、ボーナス(期末手当)を減額しなければなりません。

研修の20時間は、通常勤務等とは別の労働時間であると通知している以上、その研修の20時間を、別の勤務に置き換えることはできないはずです。ところが、この研修が20時間に満たない職員が多いためか、交通部では無意味にバスの清掃をさせて、その時間を、研修の労働時間に充当しようとしているようなのです。掃除が、添乗研修やグループ研修の代わりになるはずがありません。そんなごまかしで、給与を支給するのであれば、それこそ、いわゆる「給料泥棒」だと思います。

研修がバス運転士にとって重要であり、労働時間であるというのであれば、年度当初からちゃんと勤務スケジュールに組み込んでおくべきです。平成28年度は「研修大失敗」というほかはないのではないでしょうか?29年度はちゃんとしてほしいものです。

以下は先日の本会議でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので、不正確な部分もあることをご了承ください。

■一般質問
4.交通部等について

<1回目>

(1)運転士の正規職員の今年度の正規の勤務時間(年間労働時間)については、通常勤務と追加勤務の労働時間だけではなく、研修の20時間も労働時間に含まれているとして、職員に対して通知をしているかと思いますが、なぜ研修を20時間としたのでしょうか?その根拠をお答えください。
(2)職員が今年度、研修を行ったのは何時間なのでしょうか?正規職員、再任用職員、非常勤職員のそれぞれについて、職員1人当たりの平均時間をお答えください。
(3)研修のうち、添乗研修については、研修期間を12月までとし、正規職員及び再任用職員は計3回、非常勤職員は計2回とするとされていたということです。添乗研修は、何回されたのでしょうか?正規職員、再任用職員、非常勤職員のそれぞれについて、職員1人当たりの平均回数をお答えください。
(4)グループ研修も、1回あたり2時間を上限として、年間で、正規職員及び再任用職員は計4時間、非常勤職員は計2時間を上限とするとされていたそうですが、これまで、どれだけされたのでしょうか?正規職員、再任用職員、非常勤職員のそれぞれについて、職員1人当たりの平均時間をお答えください。
(5)これらの研修の時間が20時間を下回る正規職員については、どうなるのでしょうか?何かペナルティがあるのでしょうか?来年度に繰り越されるのでしょうか?具体的にお答えください。
(6)昨年末ごろから、運転士による清掃時間を増やして、さらに数十分早く出勤させる等していると聞きました。事実でしょうか?事実であれば、なぜそのようなことをしているのでしょうか?理由をお答えください。
(7)この清掃時間は、通常勤務に当たるのでしょうか?それとも追加勤務にあたるのでしょうか?何の勤務に当たるのかお答えください。また、この清掃時間の労働時間の累計は、今年度1人当たり平均何時間なのでしょうか?お答えください。以上です。

<答弁>
 研修についてのお尋ねですが、バス事業において、輸送業務を直接担うのは一人ひとりの乗務員であり、安全確保や快適なサービス水準の維持向上を図るためには、繰り返し同様の研修を行うことが必要です。その上で、ご答弁いたします。
 1点目についてですが、設定した研修メニューをすべて受講すれば概ね20時間となるものです。
 2点目から4点目までの平均研修時間、研修回数については、年度途中であり、算出しておりません。
 5点目の研修の時間が20時間を下回った場合についてですが、必要な研修を受講していれば問題ありません。
 6点目及び7点目の清掃時間についてですが、サービス維持向上の一環として、出庫前にバスをモップ等で清掃するため必要な労働時間としています。また、平均時間数については算出しておりません。


<2回目>

具体的な答弁をしていただけないので、細かく13点伺います。

(1)添乗研修を1回もしていない職員はいるのでしょうか?いるのか、いないのか、お答えください。いるのであれば、なぜ1回もしていないのか、その理由もお答えください。
(2)添乗研修を1回もしていない職員は何人なのでしょうか?人数をお答えください。
(3)添乗研修については、当初は、班長か副班長が運転するバスに乗って、3回行うように指示がされていたけれども、その後、誰のバスでもよいし、1回でも構わないということになったと聞きました。事実でしょうか?お答えください。事実であれば、なぜそのような指示をしたのでしょうか?理由をお答えください。
(4)グループ研修を1回もしていない職員はいるのでしょうか?いるのか、いないのか、お答えください。いるのであれば、なぜ1回もしていないのか、その理由をお答えください。
(5)グループ研修を1回もしていない職員は何人なのでしょうか?人数をお答えください。
(6)研修の時間が20時間を下回った場合でも、必要な研修を受講していれば問題がないということですが、その「必要な研修」とは何なのでしょうか?何の研修を、何回・何時間することなのか、具体的にお答えください。
(7)各職員の研修に関しては、どのように管理しているのでしょうか?誰が、何の研修を、何回・何時間したのか、どのように把握しているのでしょうか?研修を受けていない職員に対しては、どういった指導をしているのでしょうか?具体的にお答えください。
(8)あらためて、研修が何故必要なのか、研修の意義を教えて下さい。
(9)交通部としては、運転士によるバスの清掃について、バス1台を1回清掃するのに、何分が必要だと見込んでいるのでしょうか?お答えください。
(10)バスの清掃のためだとして、40分も早く出勤させられるケースもあると聞きました。事実でしょうか?事実であれば、40分間で何台のバスを清掃しているのでしょうか?お答えください。
(11)全てのバスは、同じ時間、同じ回数だけ、清掃されているのでしょうか?バラツキはないのでしょうか?お答えください。
(12)バスがちゃんと清掃されたのかどうか、確認はしているのでしょうか?確認しているのであれば、どのように確認しているのでしょうか?具体的にお答えください。
(13)バスの清掃時間を増やした理由は何なのでしょうか?勤務時間を稼ぐためなのでしょうか?研修時間が消化されないから、その代わりに清掃をさせるということにしているのでしょうか?バスの清掃時間を増やした理由をお答えください。

<答弁>

 研修については、安全運転・事故防止に係る意識向上、接遇サービスの向上など従来から取り組んでいますが、平成28年度は特に、職員の自主性を引き出すことを目的として研修メニューを設定しています。これらの研修はすべて必要な研修ですが、研修メニューの一部については、自分で考え、自分に必要な研修を受講できるように選択制にしています。したがって、添乗研修やグループ研修を1回も受けていない職員もおり、現時点で添乗研修をしていない職員は49人、グループ研修を受けていない職員は32人です。
 各職員の受講状況については、営業所で管理しています。
 研修の意義についてですが、バス事業において輸送業務を直接担うのは一人ひとりの乗務員であり、研修を繰り返し行うことで、職員の意識の向上、事故防止・安全確保、快適な接遇サービスの維持向上につながると考えています。
 次に、バスの清掃についてですが、ほうき、雑巾、モップによる清掃を行っており、バス車両によって汚れの場所や程度も異なり、どこまで清掃するかによって要する時間も異なることから、バス1台を1回清掃するのに何分必要かといった設定はしていません。
 また、全てのバス車両が同じ回数だけ清掃されているかについてですが、バスは毎日異なる仕業や路線を走行しますので、短期間でみると清掃回数は車両によって異なりますが、長期間でみると概ね等しくなります。
 バスの清掃時間を増やした理由ですが、乗務員のバスの美化に対する意識を向上させるとともに、お客様に清潔で快適なバス車両にご乗車いただきたいというお客様サービスの一環です。

<3回目>

 「研修大失敗」というのが、平成28年度の結論だと思います。先日、総務消防委員会で職員の研修について質問したところ、3年目までの職員は、3年間で約90時間の研修を受けるとか、研修に参加しなかった場合は、次年度に繰り越して受講させるとか、研修は地方公務員法39条1項に規定されているとか、人事課長が、丁寧に答弁をしてくれました。交通部長もかつては人事課長をされていたので、よくご存じではないかなと思います。
 研修の20時間も、労働時間であると、職員に通知しましたよね。その研修の20時間と共に、通常勤務と追加勤務の労働時間も併せて、2020時間12分が、いわゆる「正規の労働時間」であると、当初通知をしていたはずです。そのように通知している以上、研修の20時間を、別の勤務に置き換えることはできないはずです。
 したがって、研修が20時間に満たない職員については、ボーナス・期末手当を減額しなければなりません。
 無意味にバスの清掃をさせて、その時間を、研修の労働時間に充当しようとしているのかもしれませんが、掃除が、添乗研修やグループ研修の代わりになるはずがありません。そんなごまかしで、給与を支給するのであれば、それこそ、いわゆる「給料泥棒」だと思います。
 清掃についても、バスの清掃は業者に業務委託しているのに、運転士に40分もバスを清掃させる時間を設けるというのは、明らかにおかしい。1台当たりの清掃時間も設定していないし、ちゃんと清掃したのかすら確認していない。私は、バスの清掃をしない職員もいると聞いております。つまり、その「清掃時間」というのは、勤務時間を稼ぐための無意味な時間としかいいようがありません。
 研修は職員の自主性に任せているという答弁でしたけれども、それは管理者側の責任逃れにしか聞こえません。添乗研修は、昨年の12月までに、正規職員であれば3回行いなさいとしていたわけです。なのに、1回もしていない職員が未だに49人もいる。管理がまったくできていないということですよね。なぜ12月までに、全員に、規定回数だけ、添乗研修をさせなかったのでしょうか?これは管理職側の責任です。管理職側が管理を怠っていたわけですから、担当者の処分が必要ではないでしょうか。
 運転士の職員については、一年間の変形労働時間制の中で、勤務ローテーションが、あらかじめ、年度当初に決定されているわけです。なぜ、研修についても、日時を決めて、そのローテーションの中に組み込まなかったのか。しっかりと研修を受けさせようと考えれば、そうしたはずです。何故そうしなかったのか?もしかすると、労働組合の役員が、頻繁に勤務変更することを「忖度」したのでしょうか?
 来年度からは、勤務ローテーションの中で、研修の日時や内容も指定すべきです。
 添乗研修も、同僚のバスに乗るだけではなくて、民間のバス会社にも添乗させてもらったらどうでしょうか?1日中、民間のベテランのバス運転士に密着すれば、どれだけ民間が大変なのか分かると思います。その民営バスでの体験を、グループ研修などで、共有したら、良い学びになるのではないでしょうか?
 運転士だけではなくて、管理職の皆さんも、民間バス会社へ研修に行くべきだと思います。みらい創生審議会の答申では、バス事業の民営化に触れられていますけれども、民営化されれば、どういうふうになるのかということが、身に染みて分かるはずです。どうすれば生産性や効率性が上げられるのか、学ぶことができるかもしれません。
 来年度は、研修の管理に失敗しないように、無意味な清掃で無駄な給与を支給しないように、してください。以上、指摘と要望をして質問を終わります。

<答弁要旨>

 議員の交通部の研修についての理解に誤解があるようなのであえて申し上げますが、バス運転士の業務は毎日毎日同じ路線、同じ道路を繰り返し走ります。同じことの繰り返しです。また、運転士に対する研修も同じく毎回、安全運行・サービス向上と、内容は同じものをすることになります。
 内容は同じでもやり方は毎回変化をつける必要があります。そのため今年度は研修メニューを一部選択制にするなど変化を付けました。 来年度もまた別の変化をつけていきます。
 次に、運転士が自ら清掃をすることは、バスの美化に対する意識を高めるのに大変有効だと考えています。市民に愛される市営バスを目指す一環です。