高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【医科大市有地占有訴訟】一審敗訴 【生活保護費過払い訴訟】一審敗訴

本日13時10分から、大阪地方裁判所で、大阪医科大学市有地占有訴訟生活保護費過払い訴訟の判決言渡しがありました。残念ながら、両方とも請求棄却。つまり敗訴でした。

大阪医科大学市有地占有訴訟について、裁判所は以下のとおりに判断しました。市有地について、高槻市が医科大に対し「無償使用承諾をしたと合理的に推認することができる」としているのですが、その論理が飛躍していて、まったく納得がいきません。

3 争点②(大阪医大が本件各土地を無償で使用する権原を有しているのか否か)について

(1)上記認定事実によれば,高槻市は,大阪医大から平成16年9月1日付けで提出された本件相談書により本件各土地の存在を認識するに至り,高槻市大阪医大に提出した同年9月24日付けの9月意見書や同年11月9日付けの11月意見書において,本件各土地の用地処理について協議することを求める旨の記載がされていることからすると(上記認定事実(4)ア,(6)イ),その頃,高槻市大阪医大との間で本件各土地の用地処理について協議がされていたと認められるところ,高槻駅周辺の開発行為に関する事前協議の状況や,大阪医大が同年12月14日付けで高槻市に対し阪急北側線の拡幅計画に係る大阪医大の所有地について無償で使用することを承諾する旨の通知をしたこと(同(7))などを総合すれば,遅くとも大阪医大による上記の無償使用承諾の通知がされた同日頃までには,高槻市大阪医大に対し本件各土地に関する本件無償使用承諾をしたと合理的に推認することができるものというべきである。
 すなわち,高槻市は,高槻駅周辺が都市再生緊急整備地域に指定されたことや,大阪医大大阪府知事に対し都市計画決定の提案をしたこと(上記認定事実(1))を受け,高槻駅周辺の道路整備を含めて大阪医大との間で開発行為に係る協議を行っていたのであるから,その一環として本件各土地についても協議がされていたことは明らかである。そして,本件各土地の用地処理の方法としては払下げや交換が考えられるが,他方で,高槻市としては高槻駅松原線や阪急北側線の道路整備のために大阪医大の所有する土地を取得する必要があったこと(同(4),(6))や,払下げの場合の担当課である(同⑩)道路管理室管理課が本件各土地の用地処理について,9月意見書では「当課と協議すること」と述べていたのに対し,11月意見書では「関係課と協議すること」と述べるに至ったことからすると,同意見書がまとめられた平成16年11月9日までには高槻市内部において本件各土地の用地処理については交換という方法によることが予定されていたといえ,このことは本件各土地の公用廃止に係る決裁書(乙8)に交換を前提とする記載があること(同(9))からも裏付けられているといえる。このように本件各土地について交換による処理をすることを前提とした場合,具体的に交換が実現するまでの間は大阪医大に引き続き本件各土地の使用を認めることが自然であるところ,その際の使用の対価については,有償,無償のいずれとすることも考えられるものの,大阪医大が阪急北側線の道路整備のために所有する土地につき高槻市による無償使用を承諾していること(同(7))などを考慮すれば,被告が主張するように無償であったと解するのが合理的である。
 原告は,本件無償使用承諾が真実存在するのであれば,土地の使用という重大な事項に関するものであることや,高槻市文書取扱規程から,本件無償使用承諾に関する文書が存在するはずであり,これが存在していない以上,本件無償使用承諾はなかったと主張する。本件無償使用承諾に関する文書が存在していないことは当事者間に争いがなく,確かに原告が主張するように本件無償使用承諾の存在に疑問を生じさせる事情といえる。しかしながら,本件無償使用承諾があったものと合理的に推認できることは上記説示のとおりであって,土地交換までの暫定的な取扱いとして文書を作成しなかった可能性もあり,文書が存在していないとしても直ちに本件無償使用承諾がなかったということにはならない。
 また,原告は,本件各土地の用地処理が交換とされたことを裏付ける文書もなく,10年経過した現在も交換が実現していないことからすると,本件各土地の用地処理が交換を前提とするものではなかったとも主張する。しかしながら,本件各土地の用地処理が交換とされたものと認められることは上記(1)で説示したとおりであって,交換対象の土地を決定するに当たっては様々な事情を考慮する必要があることなどからすると,現在も交換が実現していないからといって本件各土地の用地処理が交換とされなかったということもできない。
 原告の上記主張はいずれも採用することができない。



生活保護費過払い訴訟について、裁判所は、福祉事務所長が「障害者加算の認定誤りを個々の決裁関係書類から発見し是正することは困難であったといわざるを得ない。」として、重大な過失はなかったとして、賠償責任を否定し、むしろ生活保護法61条からすれば、被保護者が自らの届け出義務を怠ったために認定誤りが生じたとしました。しかし、この障害者加算は、精神障碍者についてのもの。精神障碍者が自ら届け出をちゃんとできるのかどうか。福祉事務所がちゃんとチェックすべきではなかったのか。裁判所の判断は現実的ではない気がします。