高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【高槻市営バス】補助金は安すぎる!高齢者等の無料乗車証のIC化で補助金の適正化を

高槻市バス・高齢者の無料乗車に係る補助金の算定方法

本日は3月議会の本会議の4日目。これまでいくつかの議案について質問してきました。追々ブログに書いていきたいと思います。

今回は市バスの当初予算についても質問。バスロケーションシステムの導入や定期券のIC化、さらには補助金についても質問しました。

高齢者の無料乗車の補助金は、平成10年当時の高齢者の人口から乗客数を推計して6億円と算出されているのですが、ずっと据え置かれたまま。現在、高齢者は増加していますし、運賃も増額されています。本当はいくらにしなければならないのか・・・交通部に質問しても答えてくれないと思ったのですが、驚いたことに、計算して答えを出してくれました。

以下は今日のやり取りです。原稿とメモに基づいているので、実際とは違う部分もあることをご了承ください。

■自動車運送事業会計予算案

<1回目>

1.バスロケーションシステムを導入してパソコンやスマートフォン(市営バスアプリ)を通じて利用者にリアルタイムの運行情報を提供する、ということで、約1億2700万円を計上されていますが、この費用の内訳をお答えください。また、「市営バスアプリ」と資料にありますが、アプリも独自に開発するのでしょうか?これについても詳細をお教えください。

2.他市に行くと、バス停ごとに、どこまでバスが来ているのか、あとどれくらいでバスが到着するのかが、表示されていることもあります。パソコンやスマホをお持ちでない方にはこちらのほうがありがたいと思うのですが、こういうものは検討されなかったのでしょうか?お答えください。

3.利用者の利便性向上及び利用データの把握や不正防止等を図るため・・・すべての定期券をIC化するとのことです。
(1)IC化すると、具体的にはどのような情報が得られるのでしょうか?
(2)利用者の個人情報と乗車記録が結び付けられるような運用がされるのでしょうか?
(3)定期券を他人が利用できないような対策もされるのでしょうか?
(4)高齢者等の無料乗車券もIC化されるのでしょうか?市からの補助金の算定にも利用されるのでしょうか?
それぞれお答えください。

4.車内の音声案内システムも更新するということですが、バスの運転手によっては、自らの声でよく案内や注意をしてくれる方もいれば、逆に、とても無口な方もおられます。運転手自身によるこうした案内や注意については、どのように指導しているのでしょうか? 

【答弁】
1.バスロケーションシステムについてですが、費用の内訳として、主に、各バス車両に取り付ける機器等のハードウェア費用としては約3千百万円、ソフトウェア開発等にかかる費用としては、約9千3百万円、アプリの改修費用は約3百万円を計上しています。
市営バスアプリについては、既存の、発車時刻を案内するアプリを、バスロケーションシステムと連携できるように改修するものです。
2.バス停ごとの運行情報の表示についてですが、バスロケーションシステムを導入したのちに、利用される方のご意見を参考にした上で、検討いたします。
3.定期券のIC化についてですが、IC化することにより、乗降日時や乗降箇所等に関するデータを収集します。利用者の個人情報と乗車記録を結びつけるような運用はいたしません。不正防止の対策として、定期券を紛失した場合など、必要な場合に、カードを使用不能な状態に処理することができます。今回の予算は定期券のIC化について計上しております。
 高齢者等の無料乗車証のIC化については、現在、調整しているところです。
4.運転士への指導についてですが、状況に応じた案内を行うよう、指導しております。

<2回目>

1.バスロケーションシステムの導入についてですが、入札を行うのでしょうか?随意契約なのでしょうか?業者の選定方法をお答えください。

2.ソフトウェア開発等の費用が約9千3百万円ということですが、その内訳をお答えください。また、このソフトウェア等の仕様は具体的にはどのようになっているのでしょうか?運行状況が瞬時に分かるようにモニタ画面上に表示されるのでしょうか?運転士毎や区間毎の遅延状況などのデータが蓄積・分析されるのでしょうか?詳細をお答えください。

3.バスロケーションシステムによって得られた情報は、労務管理や、ダイヤ・仕業票の内容にも反映させるのでしょうか?

4.高齢者等の無料乗車証のIC化については、調整しているところということですが、今後、IC化されるということなのでしょうか?それはいつ頃になるのでしょうか?

5.現在、市営バスをご利用の方のうち、定期券をご利用の方と、無料乗車証を利用される高齢者の方は、それぞれどれだけの割合でおられるのでしょうか?

6.高齢化に伴って、高齢の乗客の方が増えてきていると考えられますが、これによる影響はどのようなものがあるのでしょうか?これまでよりも乗り降りに時間がかかったり、車内で転倒される件数が増えたりということが想像できますが、実際には、以前と比べて、どのようなことが増えているのでしょうか?交通部の所見をお聞かせください。

7.運送収入の中に、高齢者等福祉乗車証6億9千万円が計上されています。これは、市からの補助金ですが、交通部としては、この額やその算定方法は妥当だと考えているのでしょうか?補助金それぞれについて、交通部の見解をお聞かせください。

【答弁】
 1点目のバスロケーションシステムに関する業者の選定方法については、プロポーザル方式を予定しています。
 2点目と3点目のソフトウェア等についてですが、ソフトウェア開発費用の内訳は、今回更新する音声案内システムと連携させるソフト開発費用として約5千6百万円、サポート及びシステム開発費用として約3千7百万円となります。
 ソフトウェアの仕様としては、ご家庭のパソコンや市営バスアプリのほか、営業所でバス運行状況を確認できるものとしています。
 データの活用については、プロポーザルでの提案を受ける中で詳細な仕様を定めてまいります。
 4点目の高齢者等の無料乗車証のIC化についてですが、時期についても、今後の調整となっております。
 5点目の利用者の割合ですが、平成27年度に実施した乗客実態調査の結果では、平日1日あたりで、定期券は、31.2パーセント、高齢者無料乗車証は、26パーセントとなっています。  
 6点目の高齢化に伴う影響ですが、車内転倒事故が微増しております。
 7点目の高齢者等福祉乗車証にかかる補助金についてですが、市の要綱に基づき額が算定されているものです。

<自動車運送事業会計・3回目>

1.バスロケーションシステムのデータの活用については、他市や他のバス会社では、どのようなことがされているのでしょうか?このことについては充分に研究されていると思いますので、具体的にお答えください。

2.最新のシステムを導入する高槻市では、それらを上回るような活用方法をされると思うのですが、どのようなビジョンを描かれているのでしょうか?例えば、運行状況が把握できるので、遅延などで正常な運行ができない場合に、これまでよりも速やかに代替え運行をしたり、駅などの始発のバス停できめ細やかな案内放送をしたり、バスの遅れで連続運転になって乗務員の休憩時間が不足した場合の代替え便を確保するために予備要員の迅速かつ的確な指示に活用したりもできるのでしょうか?明確にお答えください。

3.乗客調査を5年毎にされていますが、平成27年度の乗客実態調査と、平成9年、平成14年の乗客調査と比べると、通勤定期、通学定期、高齢者無料乗車証の割合は、それぞれ、どのように変遷しているのでしょうか?各調査日における割合をお答えください。

4.平成27年度に実施した乗客実態調査の結果では、高齢者無料乗車証を利用された方の率は、26パーセントということですが、その実態調査を行った日に、高齢者無料乗車証を利用された方が、無料ではなく、大人料金の運賃を支払ったとしたら、その総額はどれだけになったのでしょうか?お答えください。
 また、それを365倍した額は、どれだけになるのでしょうか?お答えください。

5.高齢者の無料乗車に係る補助金の算定については、主要事務執行報告書によると、(210円+160円(昼間運賃))×365日×21340人×50%×0.45回×96%≒6億円となっています。これは、平成10年頃の高齢者の人口から年間のバス利用者数を推計して、それに大人運賃をかけて、高齢者の年間運賃に相当する額の総額を算出した形になっているわけですが、現在は、バスの運賃も、高齢者の人口も変わっています。現在のバスの運賃と高齢者の人口を、この計算式に当てはめると、金額はどれだけになるのでしょうか?お答えください。

 あとは意見を述べます。
 バスロケーションシステムの導入には賛成ですが、しっかりとシステム会社を選んでいただきたいですし、導入する以上は、運行管理や労務管理にも活かしていただいて、無駄な運行や待機時間のないように、ダイヤの作成や運行指示等をしてください。要望しておきます。
 高齢者の無料乗車の補助金6億円については、単に6億円補助しましょうということではなくて、計算式を見ると、高齢者の運賃分を、市が、交通部に対して、お支払いします、という形になっているとしか考えられません。交通部のほうも、この補助金の収入を、普通券、回数券、定期券と同じ旅客運送収益に計上しています。予算説明書の191頁をご覧いただければお分かりのとおり、補助金とは書いていません。運賃として扱っているわけです。
 この補助金6億円が、平成10年からずっと同じ額だということなんですけれども、当時と比べると、高齢者の乗客数は、少なくとも1.5倍にはなっているはずです。私のほうでは正確な運賃の計算などができないので、ざっくりとした数字になりますが、運賃に相当する額だとすると、10億円くらいは、本当は、市は出さなければならないはずです。
 交通部は、遠慮せずに、最新の乗客実態調査などに基づいて、運賃相当額の補助金を要求するべきですし、市も、交通部にそれをちゃんと払うべきです。今の状態では、市は、バスに、かなりの部分でタダ乗りしているようなものです。
 高齢者等の無料乗車証をIC化はいつになるか分からないということですけれども、IC化したら、実際に高齢者等の乗車分だけ、市にその運賃を請求すべきです。それが、適当な数式で補助金の額を決めるよりも妥当なやり方のはずです。早急にIC化して、市に対して、毎月、請求書を送るべきです。
 ちゃんと実態に即した額の補助金を払わないと、どこにしわ寄せが行くかというと、自分でお金を払ってバスに乗っている方々です。補助金が増えて、交通部の収入が増えれば、市バスは公営企業ですから、暴利を得ることはできないので、運賃を値下げするという方向に当然なりますよね。本当は、とっくに、そうやって、運賃を下げなければならなかったはずです。補助金を実態に即した額に増やして、運賃を10円でも20円でも値下げしてください。要望しておきます。
 市のほうは、補助金が増えると困ると思いますが、これまで言われてきたように、無料乗車証によって、高齢者の社会参加とか、健康増進が図れて、たとえば、医療費が20億円かかるところを、市バスを無料化することで、5億円で済むのだったら、10億円の補助金を払ってもお釣りがくることになります。本当に市バスの無料化によって、そういったメリットがあるのかどうか、市のほうで科学的に検証すべきです。多くの自治体では高齢者は自己負担でバスに乗っています。高槻市では、何億円も税金から補助金を出しているわけですから、それ相応の効果があるということが証明・説明できない限りは、高齢者に対するバラマキだと評価されても仕方がないと思います。
 群馬県中之条町(なかのじょうまち)では、65歳以上の住民5000人に身体活動計を携帯してもらうなどして、10年以上にわたって、身体活動と病気予防との関係についての調査が行われました。これは「奇跡の研究」と呼ばれて評価されているそうですけれども、貴重な調査結果が得られただけではなくて、調査による健康意識の向上などで、医療費抑制の効果も実際にあったそうです。
 高槻市でも、可能であれば、ICの無料乗車証も活用して、高齢者の健康に関する調査をすべきです。車内での転倒事故も増加しているということですので、そのリスクも加味すべきだと思います。
 ちなみに中之条町での調査結果によると、1日平均、8000歩、あるいて、中程度の運動を20分するというのが、病気の予防に効果的だということです。高槻市では、無料でバスに乗れるということで、もしかすると、他の市の方よりも歩く歩数が少ないかもしれない。バス停から次のバス停までの1区間だけ乗る人も結構いるそうなんですけれども、1区間だけなら歩いたほうが健康にいいんじゃないか。高齢者の乗車を原則無料にするとしても「1区間だけの乗車は有料ですよ」としたほうが、健康にいいかもしれない。これはあくまでも私の想像ですので、ぜひ科学的な調査をしていただきたいと思います。
 調査の結果、費用対効果があれば補助金を継続する、なければ、補助金のあり方を検討すべきではないでしょうか。
 以上で、質問を終わります。

【答弁】
1点目ですが、他社については、把握しておりません。
2点目のバスロケーションシステムの活用ですが、リアルタイムに運行情報を把握することにより、迅速な遅延対応や案内放送、適切な運行管理を行うことができます。
3点目の乗客実態調査の変遷についてですが、平成9年度は、定期券は30.3パーセント、高齢者無料乗車証は福祉乗車証を一括して調査しましたので、その割合は、15パーセントとなります。平成14年度の定期券の割合は、27.9パーセント、高齢者無料乗車証の割合は、17.5パーセントとなります。
4点目ですが、総額で約350万円、これを365倍すると、約12億8千万円になります。
5点目ですが、算式にあてはめますと、約17億4千万円となります。