高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【非常勤職員の採用試験問題】高槻市情報公開審査会が公開すべきと答申

情報公開審査会答申・非常勤職員採用試験問題

非常勤職員の採用試験の問題を情報公開請求したところ、すべて非公開とされたことについて、情報公開審査会に異議を申し立てていたところ、先日、公開が妥当との答申が出されました。

答申には以下の附言も・・・

 実施機関の主張によると、試験問題は、直近1年間ないし2年間分を除いて随時廃棄されているとのことであるが、情報公開請求が公文書管理と密接に関連していることに鑑み、試験問題の利用度、重要度等を踏まえた保存、廃棄のあり方について検討するよう要望する。



試験問題を随時破棄しているなんて、おかしいにもほどがあるわけですが、これについても釘が刺された形です。素晴らしい答申だと思います。

ただし、こうした答申が出ても、最終的に公開するか否か決定するのは市長や教育委員会。答申どおり全面公開してほしいですが、さてどうなるか。

以下は答申の内容です。私の主張・反論や市役所側の弁明も記されています。

高情審答申第73号
平成27年3月17日

高槻市教育委員会
教育長 一瀬武様
高槻市長 濱田剛史様

高槻市情報公開審査会
 会長 青木苗子

異議申立てに対する決定について(答申)

 平成26年6月9日付け高教文第400号及び同年7月17日付け高教総第438号により諮問のあった事案について、次のとおり答申する。

第1 当審査会の結論
 高槻市教育委員会及び高槻市長が行った本件決定のうち、本件試験内容を非公開とした部分については、これを公開することが妥当である。

第2 事実
1 異議申立てに至る経過
(1) 公開請求
 異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成26年4月18日付けで、高槻市情報公開条例(以下「条例」という。)第10条第1項の規定に基づき、高槻市教育委員会に対し、「歴史館の非常勤職員の採用に係る選考過程・試験内容・試験問題・結果が分かる文書(平成25年度分)」の写しの交付の請求(以下「請求①」という。)をした。
 また、申立人は、同年5月30日付けで、同項の規定に基づき、高槻市長及び高槻市教育委員会に対し、「非常勤職員の採用に係る試験問題(平成16年度~26年度。ただし平成25年度の歴史館のものは除く。)」の写しの交付の請求(以下「請求②」という。)をした。

(2) 実施機関の決定
 高槻市教育委員会は、請求①に対し、「1 高教文第1432号 文化財課所管非常勤嘱託員(歴史館専門員)の採用試験について、2 高教文第1707号平成26年文化財課所管非常勤嘱託員(歴史館専門員)の採用試験実施に伴う結果の通知について、3高教文第1783号 平成2.6年度文化財課所管非常勤嘱託員(歴史館専門員)の採用試験第二次試験実施に伴う結果の通知について、4 高槻市教育委員会非常勤嘱託員(歴史館専門員・民俗)採用候補者試験問題、5 高槻市教育委員会非常勤嘱託員(歴史館専門員・考古)採用候補者試験問題」を、高槻市長及び高槻市教育委員会は、請求②に対し、「高槻市立図書館嘱託員・採用試験問題(平成26年2月9日)」、「(1)平成25年度 高槻市立摂津峡青少年キャンプ場管理指導員(夏季短期)採用試験筆記試験問題 (2)平成25年度 高槻市立摂津峡青少年キャンプ場管理指導員(通年)採用試験 筆記試験問題 (3)平成25年度 高槻市立摂津峡青少年キャンプ場管理指導員(通年)採用試験 筆記試験問題 (4)平成26年高槻市立摂津峡青少年キャンプ場管理指導員(夏季短期)採用試験筆記試験問題 (5)平成26年高槻市青少年教育指導員採用 筆記試験問題」、「(1)平成26年高槻市教育センター教育相談員 選考課題(2)平成26年度 高槻市教育センターことばの発達相談員 選考課題 (3)平成26年度 高槻市教育センター教育なやみの電話相談員 選考課題」、「平成26年度幼稚園嘱託教諭採用候補者試験問題(担任外)、平成26年高槻市学校校務嘱託員・幼稚園園務嘱託員採用候補者試験問題」、「高槻市学童保育指導員採用試験問題(平成2.4年度~平成26年度)」、「(1)35人学級編制補助教員選考問題(平成25年度実施分) (2)学校図書館支援員選考問題(平成25年度実施分)」、「(1)平成26年度 高槻市学校校務嘱託員・幼稚園園務嘱託員 採用候補者試験問題 (2)平成26年度 学校給食調理嘱託員 採用候補者試験問題」、「平成26年高槻市立公民館長・管理指導員採用候補者試験問題「一般教養」、平成26年高槻市立公民館長採用候補者試験問題「市政全般・専門知識」、平成26年高槻市立公民館管理指導員採用候補者試験問題「市政全般・専門知識」」を対象文書として特定し、以下の理由を付して、公文書部分公開決定をそれぞれ行い、平成26年5月2日付け高教文第119号、平成26年6月23日付け高教中図第155号、同日付け高教地第468号、同月25日付け高教セ第250号、同月26日付け高子総第386号、同日付け高子育第740号、同日付け高教指第405号-2、同日付け高教総第362号及び同日付け高教城公第97号により申立人に通知した。

<非公開理由>
 請求①について、対象文書中「個人の氏名」は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであるため、条例第6条第1項第1号に該当し、「試験点数」、「採点結果」、「一次順位」、「二次順位」及び「試験問題」は、市の機関が行う人事管理事務に関する情報であって、公開することにより、当該事務の性質上、当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、条例第6条第1項第4号に該当する。
 請求②については、対象文書中「試験の内容に係る部分」は、市の機関が行う人事管理業務に関する情報であって、公開することにより、当該事務の性質上、当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、条例第6条第1項第4号に該当する。

(3) 異議申立て及び諮問

ア 異議申立て
 申立人は、請求①に対する公文書部分公開決定のうち、「試験問題」を非公開とする決定及び請求②に対する公文書部分公開決定(以下総称して「本件決定」という。)を不服として、行政不服審査法第6条の規定に基づき、高槻市教育委員会に対して平成26年5月29日付けで、また、高槻市長及び高槻市教育委員会に対して同年7月8日付けで、それぞれ異議申立てを行った。

イ 諮問
 高槻市長及び高槻市教育委員会(以下総称して「実施機関」という。)は、平成26年6月9日付け及び同年7月17日付けで、条例第15条第1項の規定に基づき、当審査会に対し、異議申立てに対する決定についてそれぞれ諮問した。

2 申立人の主張
 異議申立書及び反論書の内容を総合すると、申立人の主張は、おおむね次のとおりである。
(1) 異議申立ての趣旨
 本件決定を取り消し、対象文書中、「試験問題」あるいは「試験問題の内容に係る部分」(以下「本件試験内容」という。)を公開するとの決定を求める6

(2) 異議申立ての理由
本件決定は、次のとおり不当である。

ア 公文書部分公開決定通知書によれば、本件試験内容を公開しない理由について、市の機関が行う人事管理業務に関する情報であって、公開することにより、当該事務の性質上、当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、条例第6条第1項第4号に該当するとしている。

イ しかし、本件試験内容を公開しても、人事管理事務その他の事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれはない。なぜなら当該採用試験は既に終了しており、公開しても合否に影響がないからである。

ウ また、当然に採用試験の問題の内容は毎回変更されているはずであり(変更されていなければ過去に受験した者が有利になってしまう)、これを公開したところで、次回以降の採用にも影響しない。

エ 試験問題は、公開されるのが一般的であり、実施機関が非公開とするのは、他の自治体の採用試験や大学入試、国家資格試験などと比較して、極めて異例と言える。

オ 以上のとおり、本件試験内容を非公開とする理由はなくも本件決定は不当であるので、直ちに当該決定を取り消し、公開するよう求める。

(3) 実施機関の弁明に対する反論

ア 実施機関は「高槻市においては、筆記試験を実施する場合、公平性を確保し本人の能力を幅広い分野から判断するため§その職に必要な知識を問うための一般教養又は専門分野から試験問題を出題している。一般教養については、基礎的な分野から原理、原則に関する問題を、また、専門分野については、当該非常勤職員の職務を遂行する上で最低限必要となる知識を問う問題をそれぞれ出題している。」としているが、試験問題が公開されていないので不明である。
 なお、申立人のもとには、職員経験者しか解くことができないような問題が出題されたとの情報が寄せられている。それが事実なら「公平性を確保し」という実施機関の主張は虚偽ということになる。
 非常勤職員は、弁明書第3第1項記載のとおり、通算5年を超えない範囲で任用を更新できるのであるが、再び採用試験を受け合格することで、5年を超えて勤務することができる。
 こうして実質的に5年を超えて採用されることからすれば、過去間が公開されない以上、採用試験を経験した者が有利になり、採用試験を合格した経歴を持つ者と、新規に受験する者との間に不公平が生ずることは明らかであるから、「公平性を確保」するのであれば試験問題を公開しなければならない。
 また、市は、試験問題の保存期間について、本年6月の高槻市議会本会議において、「採用試験問題の保存については、試験問題の漏えい等のリスクが発生する可能性があるため、同種の試験が次年度行われるまでの期間を目安として、できる限り早期に廃棄しているものでございます。」と答弁している。つまり、過去間の蓄積がないのである。
 過去問の蓄積がなければ、過去に出題したのと同じ問題を出してしまう可能性があるのであり、そのようなことが起きた場合、やはり試験経験者が有利になるという不公平が生じる。
 行政が過去問の蓄積をしないというのは、常識的には考えられないが、毎年同じような問題を出しているから、過去問の蓄積を必要としていない可能性もある。

イ 実施機関は「いずれの場合においても、過去の問題を公開すると、出題範囲や問題の傾向を容易に予想させることとなる。」とするが、出題範囲や問題の傾向の予想は、どのような試験でも行われているし、そのような予想もできないようでは、能力が低いと言わざるを得ない。
 また、職務上求められる知識について試験で問い、その過去問を公開すれば、受験勉強によりその知識を高めることにつながり、職員採用後も職務に役立たせることができるのであるから、むしろ積極的に過去間を公開すべきである(職務とは無関係な試験問題を出題しているのであれば別だが)。
 実施機関は「…受験者は、公開された試験問題を基に評価者の狙いに合わせて演習した上で試験に臨むことが想定され」、というのであるが、そのような演習を行うことは、上記の理由から評価されるべきであろう。高槻市役所の多くの正規職員でさえ、そのように試験対策をして受験をしているのに、非常勤職員に対しては、受験勉強もできないような過酷な試練を与えるのは、明らかにバランスを欠いている。正規職員よりも能力の高い(受験勉強をしなくても合格点を取れるような)非常勤職員を採用しようとでもしているのだろうか。
 実施機関は、「単に受験テクニックに長けた者だけが合格し、実施機関が求める非常勤職員としての資質を備えた者かどうかを判定することが困難になるおそれがある。」というのであるが、非常勤職員の採用試験において「受験テクニック」と称するほどに確立された技術がどこにあるのか教えていただきたい。また、「実施機関が求める非常勤職員としての資質を備えた者」というビジョンも暖昧であるし、試験問題の非公開性との相関関係・因果関係も根拠不明である。仮にそのような技術やビジョンが存在するとしても、単に過去問を非公開にしただけで、高度な知識・適性を有する職員を採用することができるとは考えられないし、また、それほどの高度性を非常勤職員に求めるというのも不可解である。

ウ 実施機関は、「採用試験を適正に実施するためには、試験問題の漏えい防止を常に念頭に置いておく必要がある。そのため、担当するごく一部の職員のみで問題は作成しており、当該職員も公開されないことを前提に問題作成業務に従事している。」と主張する。しかし、①これから実施する試験問題の漏えい防止や試験の適正な実施と、②既に終えた試験の問題の公開は、別々の事柄である。試験問題の漏えい防止等を図ることは当然の責務ではあるが、実施済みの試験の問題を公開することとは何の因果関係もない。実施機関の主張はそれらを意図的に混同しようとしているように見える。
 また榊実施機関は、「…特に専門分野においては、基礎的な題材として出題になじむテーマ自体が少ないという事情もあり、結果として、類似する分野から出題せざるを得ないという状況もある。」と主張するが、それぞれの専門分野の学問の範囲がかように狭いものとは考えられない。
 仮に実施機関の主張のとおり、極めて狭い分野だとすれば、過去問を全て随時破棄してきたというのは不可解である。過去の出題と同じになる可能性が高いのだから、過去間と照らし合わせて、同じ出題をしないようチェックする必要があるからである。
 よって、実施機関の主張と、試験問題の随時破棄の行為とは、矛盾していると言わざるを得ない。

エ 実施機関は、「その試験問題を公開されると、問題作成業務に従事する職員は、通常業務と試験問題の作成業務を兼務しながら、出題が特定の分野に偏りすぎず、かつ受験者の能力を実証させられる試験問題を作成しなければならないという非常に困難な課題が課せられることになり…」と主張するが、①特定の分野に偏りすぎず受験者の能力を実証させられる試験問題の作成と、②試験問題の公開・非公開とは私無関係である(高槻市役所には過去問の蓄積がないので、特定分野に偏った出題がされてきたかどうかは検証できないのであるが)。過去に受験したものが再び受験することも有り得るのだから、公開・非公開にかかわらず、、特定分野に偏った問題を毎年のように出題してはならないのは当然である。

オ 実施機関は、「なお、試験問題の作成を業者に委託する方法も考えられるが、その際には別途予算上の措置が必要になるため、経費削減の観点からも、本市職員が作成しているものである。」と主張する。しかし、試験問題の公開・非公開と、試験問題の作成を誰が行うかは無関係である。経費削減のため、今後も市職員が作成するか、試験問題の客観性が担保できるのであれば、試験問題の作成を業者に委託することも検討すればよい。

力 以上のとおり、実施機関の主張は失当かつ不可解であり、本件試験内容を非公開とする理由はないため、本件決定を取り消し、公開するよう求める。

3 実施機関の弁明
 弁明書及び当審査会による意見聴取の結果を総合すると、実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。

(1) 弁明の趣旨
 本件決定は妥当であるとの答申を求める。

(2) 異議申立てに対する弁明
ア 本市における非常勤職員の委嘱について
(ア) 本市における非常勤職員については、地方公務員法第3条第3項第3号を根拠規定として、いわゆる非常勤特別職として位置付けている。就業条件については職種ごとに就業要綱を定めており、委嘱期間は原則としてその年度末までとし、一部の例外を除き通算年数5年を超えない範囲で任用を更新することができる。
 なお、当該年度の末日で65歳に達している者については更新できないこととしている。
(イ) 非常勤職員の委嘱に際しては、職務を遂行する能力を十分有し、かつ、健康で意欲を持って職務を遂行すると認められる者のうちから、競争試験又は選考の上委嘱する者を決定することとしている。
(ウ)よって、非常勤職員の委嘱に際しては、多くの場合、採用試験の実施に際し、事前に広報紙、ホームページ等で広く公募している。また、本市においては、一部の専門職を除き、競争試験と選考の両方を実施するのが一般的であり、試験の公平性を確保するとともに、より優秀な人材に対し委嘱できるように配慮している。

イ 部分公開の決定理由とその正当性
(ア) 条例第6条第1項第4号の該当性について
 高槻市においては、筆記試験を実施する場合、公平性を確保し本人の能力を幅広い分野から判断するため、その職に必要な知識を問うための一般教養又は専門分野から試験問題を出題している。一般教養については、基礎的な分野から原理、原則に関する問題を、また、専門分野については、当該職務を遂行する上で最低限必要となる知識を問う問題をそれぞれ出題している。
 いずれの場合においても、過去の問題を公開すると、出題範囲や問題の傾向を容易に予想させることとなる。そして、受験者は、公開された試験問題を基に評価者の狙いに合わせて演習した上で試験に臨むことが想定され、単純こ受験テクニックに長けた者だけが合格し、実施機関が求める非常勤職員としての資質を備えた者かどうかを判定することが困難になるおそれがある。
 採用試験を適正に実施するためには、試験問題の漏えい防止を常に念頭に置いておく必要がある。そのため、担当するごく一部の職員のみで問題は作成しており、当該職員も公開されないことを前提に問題作成業務に従事している。特に歴史館専門員に関する専門分野においては、学芸員資格取得者、取得予定者を対象とした歴史系の専門試験であることから、一般教養も含めて、受験者の学芸員としての資質を問うことを念頭に作成している。加えて、他の職種についても基礎的な題材として出題になじむテーマ自体が少ないという事情もあり、結果として、類似する分野から出題せざるを得ないという状況もある。
 その試験問題を公開されると、問題作成業務に従事する職員は、通常業務と試験問題の作成業務を兼務しながら、出題が特定の分野に偏りすぎず、かつ受験者の能力を実証させられる試験問題を作成しなければならないという非常に困難な課題が課せられることとなり、当該職員の物理的・心理的負担を増大させる。その結果、当該業務の従事職員の確保が困難になり、円滑な人事行政に支障を及ぼすおそれがある。申立人は、「試験問題は公開されるのが一般的であり、市教委が非公開とするのは極めて異例といえる。」と主張するが、学芸員採用試験問題は、事実として公開していない自治体が多い。
 なお、試験問題の作成を業者に委託する方法も考えられるが、その際には別途予算上の措置が必要になるため、経費削減の観点からも、本市職員が作成しているものである。

(イ) 結論
 以上のことから、本件公文書を条例第6条第1項第4号に該当するとして部分公開とした本件決定には、違法又は不当な点は何ら存在しないものである。

第3 当審査会の判断理由
1 本件の審査について
 本件は、非常勤職員採用試験に係る「試験問題」あるいは「試験内容」を対象とする3件の公開請求に係る9件の部分公開決定に対して、各々異議申立てがなされ、当審査会に対しては、高槻市長及び高槻市教育委員会から2件の諮問がなされている。当審査会は、これら2件の諮問案件について、請求の内容及び対象文書の性格が共通していることから、併合して審査することとする。

2 本件の争点
 本件の争点は、本件試験内容が、これを公開することによって、非常勤職員の採用試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、条例第6条第1項第4号に規定する事務事業支障情報に該当すると言えるか、という点にある。

3 争点に対する審査会の判断 
 実施機関が非常勤職員の採用事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとして挙げている理由の要旨は、(1)実施機関が求める資質を備えた者かどうかの判定が困難になること、(2)問題作成者の確保が困難になることの2点に集約されるため、以下この理由に係る条例第6条第1項第4号該当性について検討する。

(1) 実施機関は、過去の問題を公開すると、出題範囲・傾向を容易に予測させることとなり、単に受験テクニックに長けた者だけが合格し、実施機関が求める非常勤職員としての資質を備えた者かどうかを判定することが困難になるおそれがあると主張する。
 確かに、試験問題を公開すれば、受験生が過去の出題問題を分析して受験対策を立てることが予想される。しかし、実施機関がいかなる人材を求めようとしているのかを受験生が知って学習することは当然であり、過去の出題問題を素材にした学習を促すことによって、かえって受験生の資質の向上は図られるとも言える。また、出題問題の中には記述式のものも含まれている上、実施機関によれば、面接も実施し、これらを総合して非常勤職員の採用を決定するというのであるから、公開した結果、単に受験テクニックに長けた者だけが合格することになるとは認められない。
 したがって、過去の問題を公開することによって実施機関が求める非常勤職員としての資質を備えた者かどうかを判定することが困難になるとは言い難い。

(2) 問題作成者の確保が困難になることについて
 さらに実施機関は、試験問題を公開すると、問題作成者の物理的・心理的負担を増大させることになるため、当該問題作成業務の従事職員の確保が困難になり、円滑な人事行政に支障を及ぼすおそれがあると主張する。
 しかし、試験問題を公開することによって問題作成者の負担が増大するとは必ずしも言えない。一方、過去に出題した問題との重複を避けつつ、適正な試験問題を新たに作成し、適切な人材を選抜することは、非常勤職員を採用する実施機関が負うべき重要な職責である。そのような職責を担う問題作成者の物理的・心理的負担が、試験問題の公開によって過重となる可能性があるのであれば、実施機関内部の業務体制を整備することによって負担軽減を図るよう努めるべきであろう。

第4 結論
 以上により、当審査会は、「第1 当審査会の結論」で述べたように答申する。

附言
 実施機関の主張によると、試験問題は、直近1年間ないし2年間分を除いて随時廃棄されているとのことであるが、情報公開請求が公文書管理と密接に関連していることに鑑み、試験問題の利用度、重要度等を踏まえた保存、廃棄のあり方について検討するよう要望する。

第5 当審査会の処理経過は、次のとおりである。
当審査会の処理経
平成26年 6月 9日 ・諮問書の受理(高槻市教育委員会分)
平成26年 7月17日 ・諮問書の受理(高槻市長及び高槻市教育委員会分)
平成26年 7月31日 ・実施機関の弁明書の受理(高槻市教育委員会分)
平成26年 8月 6日 ・実施機関の弁明書の受理(高槻市長及び高槻市教育委員会分)
平成26年10月10日 ・申立人の反論書の受理
平成26年12月 3日 ・実施機関からの意見聴取
平成27年 1月29日 ・異議申立人からの意見聴取
平成27年 2月23日 ・審査
平成27年 3月17日 ・答申