高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【附属機関訴訟控訴審】次回は4月16日

本日10時30分から、附属機関訴訟控訴審の第2回口頭弁論が、大阪高等裁判所で開かれました。

ちょっとややこしいですが、敗訴した高槻市役所が控訴し、私も、大阪地裁で訴えた17の組織等のうち、高槻版事業仕分けの「事業公開評価会」と高槻市バス営業所売上金不明事案特別調査員について、あまりにもおかしなやり方や主張を高槻市役所がしているので、控訴しました。

さらに今回、私は「高槻市特別顧問」について附帯控訴しました。

次回は、4月16日13時30分から。大阪高裁72号法廷です。ぜひ傍聴にお越しください。

以下は、私の附帯控訴理由書です。

附帯控訴理由書

平成27年1月19日
大阪高等裁判所 第10民事部ロ係 御中
附帯控訴人(一審原告) 北岡 隆浩

上記当事者間の御庁平成26年(行コ)第158号公金支出差止等請求控訴事件のうち、大阪地方裁判所平成24年(行ウ)第265号公金支出差止等請求事件(住民訴訟)(「高槻市特別顧問」に関する事件)について、附帯控訴人(一審原告)は、原審が平成26年9月3日言い渡した同事件の判決の控訴に附帯する控訴を、平成27年1月7日に提起した。以下にその理由を述べる。

第1 はじめに

原審は、高槻市特別顧問(以下「特別顧問」という。)について附属機関に該当するのに条例で設置されていないから地方自治法138条の4第3項に反して違法であるとして(原判決49頁12行目)、「被告は,高槻市特別顧問に関して公金を支出してはならない。」(原判決主文2項)と、公金支出の差止めを命じた。
しかし、一方で、市長である濱田に対する損害賠償請求については、濱田には故意・過失がなかったとして「原告のその余の請求をいずれも棄却する。」(原判決主文6項)として認めなかった。

附帯控訴人は、特別顧問が違法に設置されたことについて、並びに上記差止めを命じたことについては、原審の判断は正しいと考えるが、濱田に故意・過失がなかったとしたこと、並びに濱田に対する損害賠償請求を認めなかったことについては不服である。

第2 濱田に故意・過失があったこと

原審は、市長・濱田の故意・過失について、①多くの自治体が平成22年4月1日時点で、附属機関以外に、要綱等により設置された「附属機関に準じる機関」を設けていたこと、②附属機関の意義について解釈を示したり、具体的な事例について附属機関該当性の判断を示したりした最高裁判例や、法律又は条例によらずに設置された附属機関に相当する機関に係る支出について、その適法性を判断した最高裁判例は存在しないこと、③下級審裁判例をみても、本件以後に、それ以前の下級審裁判例では見られなかった附属機関の意義についての解釈を示して,訴訟で問題とされた機関の附属機関該当性を否定するものも現れていること、④学説上も、附属機関の意義の解釈について見解の一致はみられていないことを理由に、認めなかった。

しかし、①については、他市で違法行為が横行していたからといって、市長としての指揮監督義務違反が免責されてはならないはずである。他の判例でも、名古屋地方裁判所平成10年10月30日判決をはじめ、複数の判決で、首長の賠償責任が認定されている。奈良地裁平成26年2月18日判決も、「・・・他の地方公共団体の中に条例によらず要綱に基づいて附属機関を設置している地方公共団体が存在するとしても、これによって附属機関を条例によらず要綱に基づいて設置することが許されることになるものではない。」と認定している。

②及び③についても、奈良地裁平成26年2月18日判決は、「平成24年頃以前に出された下級裁判所の裁判例には、法138条の4第3項所定の附属機関を法律又は条例によらず要綱によって設置することが違法である旨を判示するものが複数存在するが、これが適法である旨を判示するものは見当たらない。・・・これらの事情を勘案すれば、平成24年頃以前において、・・・最高裁判所の判断こそ示されていないものの、附属機関に準じる機関の委員等に対する報酬の支出を違法とする下級審裁判例は一定数存在していた・・・裁判例等についての調査を行っていたならば、本件委員会の委員に対し報酬又は謝礼の支払を続けることに疑義のあることは容易に知り得たものというべきである。」としている。広島高裁岡山支部平成21年6月4日判決では、平成14年に要綱違法解釈の判例が3件出ていたことに鑑みれば、市長個人に公金違法支出にかかる過失が認められてしかるべきであるとされている。

両判決とも、以上の理由で、市長の過失責任・損害賠償義務を認定しているから、原審の判断は失当である。

濱田は市長であるだけでなく、弁護士でもあるから、当然に上記判決を検討していたはずである。過去に複数の判決で違法認定がされていたのであるから、濱田は、特別顧問の条例設置の必要性は認識できたはずである。したがって、濱田には故意・過失があったといえる。

さらに、平成26年5月20日付原告準備書面5第1で主張した通り、濱田の在任中に、実質的な附属機関についての一覧表が作成されている(甲A-12)。控訴人(一審被告)は、本件の各組織について、条例により設置されていないという違法性を、この一覧表作成により、十分に認識することが可能だったのであるし、甲A-5からすれば、濱田に管理監督責任があったといわざるをえない。

④については、複数の学説が対立することは往々にしてあることであり、それの決着を待たなければ司法や行政が判断を下せないということはないのであるし、上記のとおり、多くの判決で違法性及び首長の責任が認定されているのであるから、行政としては、学説に口を挟んだり決着をつけたりできる立場にもないのだし、司法に違法と認定されぬよう、良識として、各判決に示された判断の中で一番厳しい基準を用いるべき責務があったはずである。

よって、やはり原審の判断は失当である。

第3 成果のない「特別顧問」は選挙の見返り

特別顧問による成果について、控訴人(一審被告)に対し情報公開請求したところ、「公文書不存在による非公開決定通知書」が通知された(甲D-3)。すなわち、特別顧問は高槻市に対し何らの成果も与えていないのである。

特別顧問は、要綱によって、設置目的を、「市長が市の重要な政策課題の解決及び行財政改革の一層の推進を図り、もって市政のさらなる発展と活性化に資するため」とされている(甲D-1)。一方で、高槻市には、既に、条例により設置された「高槻市行財政改革推進委員会」があり、この担任事務は「行財政改革の大綱の策定及び推進についての調査審議に関する事務」とされている(乙A3)。両者は行財政改革の推進という点で重複しているのである。したがって、特別顧問は、設置する必要がなかったのであり、当初から無駄であったというほかはない。

甲D-2のとおり、特別顧問のうち、A及びBは、濱田が市長選挙に立候補した際、濱田を応援するとして、選挙公報に名を連ねていた。特別顧問は、実質的には、高槻市の有力者や、あるいは濱田の支援者・知人に、高槻市の「特別顧問」という名誉ある肩書きと金銭を与えるため、すなわち、選挙応援の見返りに設けられたものとしか考えられない。

以上のとおり、特別顧問は、何の成果も上げていないばかりか、そもそも当初から無駄であって、濱田が私的に選挙応援の見返りに設けたものとしかいえない。したがって、当然、特別顧問を設けた当人である濱田には故意・過失があり、特別顧問につき支出された公金を賠償する責任がある。

第4 今後も公金支出を差止めておくべき必要があること

控訴人(一審被告)は、特別顧問について、報酬(謝礼)を支給しない要綱に改正したとする。

しかし、特別顧問は現在も存続しているのだから、報酬は支給されなくても、諸経費や、担当職員の人件費については、今後も発生する。また、本訴訟の判決後に、報酬を支給する要綱に改正される可能性もある。
したがって、今後も、公金支出を差止めておくべき必要がある。

その他、公金支出差止めに関する附帯控訴人の主張は、御庁平成26年(行コ)第158号における平成26年12月9日付控訴人兼被控訴人(原告)控訴答弁書第2第3項のとおりである。

以上