高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【市有地不法占有訴訟】判決言渡しは4月23日→6月4日に変更

本日11時から、大阪地方裁判所で、市有地不法占有訴訟の最終弁論がありました。今日で結審となり、判決言渡しは4月23日13時10分、大阪地裁806号法廷とされました。
※後日裁判所から、6月4日13時10分に変更するとの連絡がありました。

前回までに計4人の証人に対し法廷で尋問しましたが、その証言をもとに、今回は以下の最終準備書面を提出・陳述しました。

平成24年(行ウ)第27号 怠る事実の違法確認等請求事件(住民訴訟
原告 北岡隆浩
被告 高槻市長 濱田剛史
補助参加人 B社株式会社、C社株式会社

最終準備書面
平成27年2月2日
大阪地方裁判所 第7民事部 合議2B係 御中
原告 北岡隆浩

 御庁係属に係る頭書事件につき、原告は、以下のとおり弁論の準備をする。
 本準備書面の略語は、本準備書面によるもののほかは従前の例による。

第1 総論

 補助参加人らは故意に本件里道等を不法占用し続けていた。
 また、被告は、上記の補助参加人の不法占用を、故意・過失により放置し、本件里道等に係る妨害排除請求権並びに損害賠償請求権及び不当利得返還請求権の行使を、それぞれ怠ったってきた。

第2 補助参加人らの故意による不法占用

1 補助参加人らが会社として本件里道等の存在を認識していたこと

 補助参加人・B社は、会社として、昭和52年以降、本件里道等の存在を認識し、「鉄骨がかかっていた場所や門扉,『止マレ』とか停止線がかかれていた場所にもそういう里道がある」と認識していた(Y13頁)。これについて、証人・Yは「当時の判断として適切じゃなかった」としている(Y14頁)。すなわち違法な占用であったとも認識しているということである。
 証人・Xは、原告の住民監査請求の後に初めて本件里道等の存在を認識したと答えているが、補助参加人・C社が、分社化当時から、会社として存在を認識していたことは甲28のとおりであり、証人尋問において甲28を見たXもそれを認めた(X32乃至33頁)。なお、分社化は、昭和60年初め頃であるから(Y11頁)、本件で問題としている期間においては、当然に補助参加人らは本件里道等の存在を認識していたといえる。
 補助参加人らは、鉄骨及び可動式テントの部分に本件里道等が存在することを、昭和61年の設置当時に地元の方からの指摘で認識したのに(Y25頁)、これを平成19年もしくは20年に建ぺい率違反・建築基準法違反が判明してから、やっと平成21年に可動式テントのみ撤去した(Y27頁)。こうして建築基準法違反の状態は解消したものの、鉄骨はそのまま放置して、依然として不法占用を続けていた。このことからも、補助参加人らが、故意に、本件里道等を不法占用していたことは明らかである。

2 補助参加人らが従業員らに本件里道等の存在を説明しなかったのは隠蔽のため

 補助参加人らは、平成27年1月29日付補助参加人ら最終準備書面第2第1項(2)で、会社として本件里道等の存在を認識していただけでなく、フォークリフト等を運転する従業員らも認識していた主張とする。
しかし、C社とD社の所長を兼務していた証人・Xは、従業員らに対し、本件里道等の存在を説明していなかった(X16頁)。本件里道等は、「一般車輛通行禁止」と書かれた看板や、一般の道路のものとは色や文字が違う路面上の「止マレ」や停止線の表示、門扉やロープで塞がれていること、公道であれば明らかに道交法違反であるフォークリフトでの往来といった使用状況から、A社グループが独占的に使用権限を有する土地であると、何も事情を知らない者が誤認するような外観・様相であった。よって、多くの従業員らも、A社グループの土地であると認識していたと考えられる。
 地元住民も、原告が新聞記者と共に話を聞いたところ、A社の土地だと思っていた旨答えている(Z13頁)。
 証人・Wは、本件里道等の存在を、会社の公式な説明からではなく、単に従業員間の情報交換の中で初めて知っただけであり、また、知った後でも、在職中は、正確な場所などは分からなかった(W15頁、22頁)。補助参加人らが説明しない以上、公図等で確認しなければ、本件里道等の存在や位置は知ることができないのであるから、それは当然である。
 したがって、本件里道等がA社の土地だと信じていた他の従業員が、通行人を威嚇したり怒鳴ったりすることは、何ら不思議ではないから、その点についての証人・Wの証言は信用できる。
 通行人の側も、実際には、適法に本件里道等を通行していただけなのだが、A社の土地を通った自分のほうが悪いといった後ろめたさから(本当は誤認であるが)、従業員の威嚇等の態度について、補助参加人らにクレームを申し入れなかったということも、容易に想像できる。
 むしろ、原告の住民監査請求まで本件里道等の存在を知らなかったはずのXが、なぜか「通行人を特に優先的にするよう」従業員を指導していたことのほうが、不可解である(X13頁)。Xが本件里道等の存在を知らなかったのであれば、一帯を自社の敷地と考えていたはずである。Xは所長であったのだから、フォークリフトやトラックが頻繁に往来している自社の敷地に、日常的に無許可で通行人が入り込むのであれば(X11頁)、安全のために、通行人が侵入しないよう対策を講じたはずである。ところが、Xは、通行人を特に優先していたというのだ。そんなおかしな話はない。よって、こうした点についてのXの証言は信用できない。
 なお、荷物を積載したフォークリフトの走行の安全性について、Xは、「危険は危険なんですけど,特殊なアタッチメントで荷崩れをしないようなアタッチメントをつけて運搬してましたんで,荷崩れまではなかったと思います。」としている。しかし、道交法で禁じられている危険な走行には変わりないし、証人・Wによれば、2度も本件東西里道上でフォークリフトが横転して荷崩れを起こしたという(W23頁)。よって、この点についてもXの証言は信用できない。
 以上からすれば、補助参加人らは、従業員らや住民らに対しては、できるだけ本件里道等の存在を隠すことで、補助参加人らが本件里道等を不法占用していることや、荷物を積載したフォークリフトの走行が道交法違反であることを認識させないようにしていたものと考えられる。

3 不法占用と道交法違反で利益を得ていた補助参加人ら

 補助参加人らは、本件里道等において、フォークリフトを1日に多い時で200回以上往復させていた(X20頁、Y20頁。Xは200から250回、Yは200から300回としている)。
 単に往復させるだけではなく、違法な状態で走行させていたのである(Y20頁)。なお、この点、証人・Yは、現在は違法であると認識しているものの、当時は違法との認識はなかったとしているが(Y20頁)、当時も現在も、道交法の解釈が変わるはずはないのであるから、補助参加人らは、当時から違法性を認識していたものといわざるをえない。
 Yは、フォークリフトでの違法な運搬から、適法なトラック運送に替えた場合、年間で数千万円のコスト増になったとしている(Y21頁)。
 つまり、補助参加人らは、年間数千万円の利益を得るために、故意に、違法にフォークリフトを走行させていたのである。
 本件門扉の前には駐車スペースが設けられ、そこにはD社の従業員の車が日常的に駐車されていた。このことを、補助参加人・C社も、会社として承認していた(X19頁)。この点について、証人・Xは、原告が「ほかに駐車場を借りるとお金がかかりますよね,会社の経費がかかる,もったいない,門も閉まっているという考えで,そこに駐車を続けていたということでしょうか。」と質問したところ、「そういうことになります。」と答えている(X19頁)。
 なお、この場所には、Wの陳述書のとおり、「V」という職員が自家用車を駐車していたことを、Xも認めている(X18頁)。
 補助参加人らは、会社の費用で従業員らの駐車場を確保しなければならなかったのに、本件里道等を不法占用し、無料の駐車スペースとすることで、駐車場代相当額の利益を得ていたのである。

4 不法占用についての補足

 本件南北里道等の看板の位置について、証人・Yは、「南北から入ってくる車両に対して一番見やすい場所を選んだ」としている(Y32頁)。しかし、裁判官の指摘どおり、南側の看板は地主の土地から離れている(Y32頁)。北側の看板についても、平成24年7月31日付原告準備書面1別紙1の写真のとおり、B社の敷地のフェンスのほうが市道に近いので、こちらのほうが見やすいはずであるが、何故か、奥まった場所にある別会社のC社の建物に、B社の名義で掲示したのである。したがって、「一番見やすい場所を選んだ」というYの証言は信用できない。
 Yは、丙5の土地建物賃貸借契約書の6条の「乙は,本件建物周囲の空地が一般の通路として第三者に使用されることがないよう,公道との境界を明示するなど相当な処置を執らなければならない。」との定めに基づき、一般車両の通行を禁ずる看板を掲示したとするが、同条では看板類の設置は求められていない。むしろ、「公道との境界を明示するなど」との趣旨からすれば、本件里道等を含む一帯が補助参加人らの構内であると誤認させる内容の本件の看板の掲示は、不適切であるといえる。
 現在は、地主が路面に境界を明示しているが(Y17頁)、路面に「止マレ」や停止線を描いた補助参加人らであれば、このような境界の明示は容易にできたはずである。それをせず、上記看板を設置したのは、やはり、本件里道等に一般車両を進入させないよう意図してのものといわざるをえない。
 Yは、本来優先すべき南北の行き来を一時停止させ、東西の行き来を優先させたことについて、一般通行人が南北里道に入り、急にすり抜けると非常に危険な場合があるからだとするが(Y22頁)、そうであれば、道交法に則って、東西の行き来を交差点前で一時停止すればよいだけである。補助参加人らは、何の権限もないのに、道交法に反する交通規制を行って、一般通行人の通行を妨げていたといわざるをえない。
 一般車両や歩行者の通行により、フォークリフトの走行の妨げとなり、製品の納期に遅れが出れば、補助参加人らは、会社として利益を損なうため、上記看板を設置して一般車両の通行を禁止し、万が一、一般車両が進入した場合でも、フォークリフトの走行に支障をきたさないよう、東西の行き来を優先する路面表示を行ったと考えるのが自然である。
 Yは、鉄骨の下に張ったロープについて、原告からの「ロープを張ったのは火災発生の防止や周辺住民の安全面を考慮した結果だということですが,一本ロープを張っているだけなんで簡単にまたいで行けますよね。それで放火などを防げるんでしょうか。」との質問に対して、「それは現実的には無理だということは当然でありますけれども,ここから先は,里道部分は別として大半は,もう道のように見えているわけですよね,その部分は一般私有地であるというふうに識別標示したいという意思の結果で,ああいうロープを張りました。」と答えた(Y29頁)。そうであれば、私有地部分にだけロープを張れば済んだはずである。しかし、本件里道等部分も含む形でロープを張ったのであるから、本件里道等部分も補助参加人らの私有地として表示する意思でロープを張ったといわざるをえない。ロープ一本で、火災発生の防止や周辺住民の安全が守れるはずがないのであるから、これらの主張が虚偽であることは明白である。補助参加人らは、故意に、本件里道等を私有地であると誤認させる意図でロープを張ったというほかはない。

第3 被告の故意・過失等

1 被告が故意・過失により本件里道等の管理義務を怠っていたこと

(1)一括譲与以前にも機能管理の義務を怠っていた被告

 被告は、里道及び水路に関して、平成17年3月31日付で国から一括譲与される以前から、それらの機能の管理を行っていた(Z23頁)。この「機能」とは、証人・Zによれば、「水路でしたら水が流れている,里道でしたら歩ける」というものである(Z14頁)。
 国から譲与される約4か月前に開催された平成16年12月9日の高槻市議会建環産業委員会で、被告は、里道及び水路について「山の奥の奥まで全部歩いて状況を把握した」としており、Zもそれを認めている(Z23頁、28頁)。
 上記の状況把握を行った時点で、被告は、「里道でしたら歩ける」といった機能が、本件里道等では門扉やロープによって損なわれていることを認識したはずである。それだけでなく、本件里道等において、駐車スペースや停止線、「止マレ」といった表示が無許可でされていたことも把握することができていなければおかしい。当時、里道の機能を管理していた被告には、当然、これらを排除すべき義務があったにもかかわらず、被告はこれを故意・過失により怠ったというほかはない。

(2)一括譲与以降も財産管理義務を怠っていた被告

 被告は、国からの一括譲与及び高槻市特定公共物管理条例(甲3)制定以降については、里道等の不法使用について、「そういう悪質なものにつきましては,私どもの方で境界確定を行いまして,そういうものを処理してまいりたいと思います。」としていた(甲5)。
 しかし、被告は、「全部歩いて状況を把握」し、本件里道等の不法占用についても把握できたにもかかわらず、境界確定も、処理(不法使用の排除)も、しようとしなかった。被告は、議会でした約束を破ったのである。すなわち、被告は、本件里道等の管理を故意・過失により怠っていたというほかはない。

2 被告が金銭的請求権の行使を故意・過失により怠っていること

 Zは、占用料相当額の請求に関する質問に対して、「行政は,だめなものはだめやと言って事業者のほうに直さすのが仕事で,金を請求するのが仕事ではないと思っています。」と答えている(Z22頁)。また、無許可で里道等を占用してきた者に対し、占用料相当額さえ請求できないともしている(Z21頁)。
 不法占用の事実があれば、占用料相当額につき、損害賠償請求もしくは不当利得返還請求を行う権利・義務が被告にあるのは当然であるのだから、被告の「行政は・・・金を請求するのが仕事ではない」との認識や、不法占用者に対し占用料相当額を請求できないといった認識は、誤りである。これらの認識の誤りは故意なのか、それとも過失なのか分からないが、いずれにせよ、被告は、故意・過失により、上記金銭的請求権の行使を怠たっているといわざるをえない。

3 占用料相当額の算定が容易であること

(1)面積について

 本件里道等の面積について、原告は、甲6の原告報告書1のとおり、614平米を下回らないとして算出したところであるが、被告も、平成24年12月3日付被告準備書面(2)で「・・・概ね原告の主張のとおりと想定される。」と認めるところである(被告準備書面(2)1頁下から4行目)。
 Zは、陳述書で「鉄骨だけの場合,その面積は4㎡程度と考えられます。」としていたので、これについてどのように算定したのか原告が質問したところ「投影面積だと思います。」と答えた(Z19頁)。鉄骨の占用面積が容易に算出できたのであるから、本件里道等のその他の部分の面積も、少なくとも投影面積を算定した手法で容易に算出できるはずである。

(2)使用状況から「通路」といえること

 本状第2第3項記載のとおり、補助参加人らは、本件里道等において、フォークリフトを1日に多い時で200回以上往復させていた。単に往復させるだけではなく、違法な状態で走行させていたのであるから、公道として扱っていたのではなく、私的な「通路」として使用していたといえる。
 補助参加人らは、鉄骨部分ではトラックに荷物を積み込み(Y25頁)、本件門扉の真ん前の駐車スペースにはD社の従業員の車を、会社として日常的に駐車させていた(X19頁)。これらの車両は、本件南北里道等を通行していた(X6頁)。一方で、補助参加人らは、一般車両が通行することを禁止する看板を掲げ、通常の公道であれば優先される南北の行き来を一旦停止させて制限する表示を路面に記し、自社の利益のため、フォークリフトの往来方向である東西の行き来を優先させた(Y22頁)。これらの状況からしても、補助参加人らが、本件里道等を、公道としてではなく、私的な「通路」として使用していたといえる。
 以上の使用状況・外見からすれば、平成24年7月31日付原告準備書面1第1第2項記載のとおり、補助参加人らは本件里道等を「通路」として使用していたというほかはない。

(3)各年度の占用料相当額と各人への請求額

 占用料相当額については、平成24年7月31日付原告準備書面1第1記載のとおり、本件里道等は補助参加人らにより「通路」として使用されていたといえるから、1平方メートル当たりの占用料相当額は1年3000円である。よって、歴代市長が責任を負うべき損害賠償額、並びに補助参加人らが負うべき損害賠償額及び不当利得額は、平成25年2月15日付原告準備書面3別紙及び同日付請求の趣旨変更申立書のとおりである。

4 本件東西水路の所有権について争いがなかったこと
(略)
 いずれにせよ、争いの有無にかかわらず、高槻市としては、公図等公的な記録に基づき、不法占用していると考えられる者に対し、粛々と、占用料相当額を請求しなければならないことに変わりはない。

5 測量費等は管理義務を怠ってきた被告の責任者が負担すべきであること

 1項記載のとおり、被告は故意・過失により本件里道等の管理義務を怠っていた。被告は少なくとも平成16年12月9日の建環産業委員会(甲5)までには、本件里道等が不法占用されていたことを認識しえたはずである。ところが、被告は、補助参加人らに対し、門扉や鉄骨等の占用物の排除を請求する義務を怠った。そのために、補助参加人らの不法占用状態が続き、結果、高槻市に、当該占用料相当額の損害が発生したのである。
 原告が住民監査請求をした途端に、補助参加人らは、直ちに鉄骨以外の不法占用をやめたのであるから、被告が、上記平成16年頃の不法占用把握時に、補助参加人らを指導していれば、すぐに不法占用は解消されたはずである。そうすれば、占用料相当額の損害が発生することもなかったし、原告に本件訴訟を提起されるともなかった。
 したがって、占用料相当額の算定のために、測量等の費用がかかるとしても、それは上記管理・指導を怠った被告の責任であるから、被告の責任者が負担すべきである。
 管理・指導を怠った被告のために測量費用等が発生するのであるから、それを、被告が、本件における高槻市の損害である占用料相当額を請求しない理由とするのは、無責任極まりないというほかはない。
 本件の場合は、以上の事情からも、測量費用等の有無・多寡にかかわらず、損害額を各人に請求すべきである。
以上