高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【生活保護費過払い訴訟】約216万円の損害。現在回収率14%。次回は5月24日

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本日14時から大阪地方裁判所で、生活保護費過払い訴訟の第2回口頭弁論がありました。

被告の高槻市側から準備書面が出されたのですが、債務負担行為が何なのか(障害者加算の認定のことなのか?)不明であるため、その点について再度書面で主張してもらうことになりました。

また、3月議会では、以下のように、私の質問に対してどれだけ返還されたのか明らかにしなかった高槻市ですが・・・

■24年度一般会計補正予算(25年3月議会)

生活保護費・質問1>
 高槻市の福祉事務所が、生活保護費の障害者加算の認定を誤り、約4200万円を過払いしたことが、厚生労働省の指摘をきっかけに明らかになりましたが、この過払い金については、これまで、いつ、どれだけの返還があったのでしょうか?また、この過払い分についても国の負担分があると思いますが、国に対しては、どれだけ返還すべきで、既にこれまで、いつ、どれだけ、返還したのでしょうか?

生活保護費・答弁1≫
 障害者加算の返還額につきましては、現在、訴訟中の案件であり答弁は差し控えさせていただきます。

生活保護費・質問2>
 係争中だから答弁できないということですが、係争中でも、議会に補正予算案を上程してくる以上、ちゃんと議会の場で説明すべきですよ。障害者加算の認定誤りの返還額をつまびらかにしたからといって、住民訴訟にどんな影響があるんでしょうか。生活保護を受けておられる方から返還を受けるわけですから、回収率も、そんなに高くはないのではないかと思うのですが、もしかすると、それを隠すために、裁判中だということを理由にしているのではないのでしょうか?この件は、厚生労働省から指摘があったことも公表しませんでしたし、極めて不透明だと思います。



・・・今回の準備書面では以下のとおり詳細を明らかにしました。

 平成19年7月から平成23年12月までの間に、高槻市において、全83件の生活保護案件について障害者加算の認定に関し、法ないしそれに基づく各種通達に従えば、本来認定されるべき障害の程度よりも、障害の程度を高く認定していたため、保護費が過支給となっていた事実があったことは認める。
 但し、障害の程度の認定が高くなっていた原因について、全83件のうち、①40件に関しては、本来参照すべき国民年金証書ではなく、他の資料を参照して障害の程度を判定したことに原因があり、②43件に関しては、被保護者から手帳の有効期限切れや認定等級変更の申告がなかったことに原因があったものである(甲3,3頁参照)。
 また、過支給額については当初合計42,410,075円と算定していたが、その後精査の結果、合計41,976,558円である事が判明している(うち、上記①に起因する額は21,556,808円である。)。

(中略)

 平成25年3月末時点における法63条に基づく返還請求済み案件は、81件39,815,623円であり、残2件については、対象者死亡により返還請求は行っていない。同日時点において、既に納付があったのは合計5,948,281円である。



・・・書面上の数字には出ていませんが・・・
過払い金83件41,976,558円のうち、返還請求済みなのは81件39,815,623円。
ということは、請求していない2件は216万0935円となります。
「対象者死亡により返還請求は行っていない。」ということなので、もう高槻市に返ってくることはないお金だということです。少なくともこの分は高槻市の損害といえるはずです。

しかし、住民監査請求の監査結果では「残りの5件については、対象者が死亡しているケース、病状が悪化して面談できないケース等で対応に苦慮している」とされており、この2件以外にも回収困難なものもあると考えられます。

5,948,281円が返還されたということは、率にすると約14.2%の回収率。過払い発覚から約1年でこの数字ですが、果たしてどこまで回収できるのか・・・

ただ、この回収については、以下のとおり、違法ではないかと私は主張しています。

2 生活保護法63条の趣旨と被告の誤った解釈

 被告は、生活保護法63条に基づき、本件過払い分の返還決定を行い、当該被保護者に対し、返還を求めている(甲11の5頁9乃至11行目)。

 同条は、「被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。」と定めている。

 被告は、「生活保護のしおり」(甲4)において、63条に基づいて保護費の返還が求められる場合として、下記の例を挙げている(甲4の11乃至12頁)。
               記
1.不動産(土地・家屋)などが売却できたとき。
2.生命保険などの保険金を受け取ったとき。
3.各種年金・手当を遡って受け取ったとき。
4.交通事故などの示談金・補償金などを受け取ったとき。

 すなわち、同条の規定は、「持家に住んでいるけれどもお金が底をついた。お金がなくて飢え死にしそうだ。でも家はすぐ売れない。」といような事情があって、福祉事務所から保護費を受け取ったが、その後で家が売れたという場合には、お金を返してもらいますよ、というように、保護費支給後に自己の資力を現金に換えた場合につき返還義務が生じることを定めているものであって、福祉事務所が勝手にミスをして保護費を払い過ぎた場合については、被保護者には資力もなく、またそれを換金したわけでもないのであるから、適用できるものではない。

 この点、堺市の平成21年度の包括外部監査人であった前田春樹弁護士も、同監査結果において、生活保護に関する返納金等を様々に分類した上で、「(2)出納事務又は経理事務上の誤りにより生じた保護費の過払いによる返納金 注;この場合には、・・・法第63条による返還は適用されない。」としている(甲5の111頁下から6乃至4行目)。



次回は5月24日11時から。弁論準備のため傍聴は不可だと考えられますが、傍聴されたい方は裁判所までお問い合わせください。