高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【裏金】住民監査の意見陳述

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今日の午後は、交通部の裏金に関する住民監査の意見陳述がありました。

私の意見陳述の原稿は以下のとおりです(実際の陳述内容とは若干違っています)。

今回の住民監査は、高槻市交通部福祉会が平成10年に解散した際の残余資金が裏金となって、ほとんど使い果たされてしまった件について請求したものです。意見陳述の機会をいただきましたので、請求内容の補充や、監査委員の皆さんへの要望・意見等、大きく6点について、述べさせていただきます。

1.解散時に返還請求を怠った事実について

福祉会は、会員である職員から1人当たり月額100円の会費を徴収していて、また、それと同額の補助金を交通部から受けていました。つまり、福祉会の収入の半分は、交通部会計からの公金であったわけです。福祉会が、平成10年3月に解散する際には、約1600万円の残余資金があって、このうちの半分は、職員が出資したという理由から、職員に対して、1人当たり2万5千円の食事券という形で返還したとのことです。

職員の分については、こうやって返還を完了した。ということは、残り半分の約800万円については、すべて、純粋に、交通部の公金から支出された補助金の分であるわけです。ですから、当然、福祉会の解散の前に、福祉会から交通部に返還すべきだった。すべてを返還することで、きれいさっぱり財産をゼロにして、それから解散すべきだったはずです。交通部も、読売新聞の取材に対して「解散時に交通部に返還するべきだった。」と答えています。それは、社会通念上、当たり前のことです。職員には返還しているのに、交通部には返還しないというのは、いったいどういうことだと。矛盾した態度ですし、合理的な理由もないですし、高槻市民に対する裏切り行為であると言えます。

また、交通部の側から見ると、その残余資金が約800万円もあったわけですから、当然に、福祉会に対して返還請求をしなければならなかったはずです。地方財政法第4条第2項では「地方公共団体の収入は、適実且つ厳正に、これを確保しなければならない。」とされていますし、また、地方公営企業法第3条では、経営の基本原則として、「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮」しなければならないと定められていますから、残余資金の返還請求をしなかったことは、これらの規定に反するので、当時の管理者らは、違法に財産の管理を怠ったといえます。高槻市補助金交付規則第10条にも、「補助金の全部又は一部を使用しなかったとき」あるいは「事業を変更し、又は中止したとき。」などに該当する場合は、補助金を返還させることができるとしていますから、福祉会という組織が解散して消滅してしまうわけですし、約800万円も残っていたわけですから、当然返還を求めなければならなかったはずです。当時の管理者や管理職の方々は、「交通部に返還すべし」と、福祉会の役員会や総会で求めなかったんでしょうか?福祉会の会長は、交通部の管理者ですし、福祉会\xA4
了\xF6務は総務課が担当していたということですから、当時の管理者や総務課長は、特に責任が重いはずです。

解散や残余資金の取り扱いについては、福祉会の総会で決定したということですが、福祉会の会員の人達は、全員が公務員です。そんな公務員の人達が、原資が公金であったものを、公の会計に戻さずに、裏金にして、隠れてコソコソと不透明な形で使うようなことを認めるというのは、地方公務員法第30条や第33条の趣旨に反すると思います。

監査委員の皆さんにお願いしたいのは、以上の点にも留意して、福祉会の解散時の詳細を明らかにしていただきたいということです。本当に総会は開かれたのか。総会には誰が出席したのか。解散や残余資金に関する議案は誰が上程したのか。それには誰が賛成したのか。それを証明する議事録は残っているのか。責任者は誰なのか。残余資金の正確な金額はいくらだったのか。少なくとも以上の点については明らかにしてください。

2.裏金と化した残余資金と喫煙施設等の帰属・所有権について

平成10年3月に、福祉会という組織が解散して消滅してしまったのに、その残余資金の約800万円は存在し、いわゆる裏金にされていたわけですが、この裏金は、誰のものだったのでしょうか?管理者のものだったのでしょうか?総務課長のものだったのでしょうか?労働組合のものだったのでしょうか?

交通部の会計に入っていなかったということは、交通部のものではないはずですし、福祉会は解散していますし、それ以外の第三者のものだったということになります。誰のものだったのか。監査委員の皆さんには、これについても明らかにしていただきたいと思います。

また、この裏金で、喫煙施設などを造ったということなのですが、その所有権は誰にあるのか。交通部に寄付したのか。寄付したのであれば、譲渡契約書であるとか財産目録などの公文書が存在するはずです。あるいは、所有権が第三者にあって、設置を許可したのならば、行政財産の使用許可書がなければおかしいということになります。監査委員の皆さんは、裏金で設置されたもの、あるいは購入されたものを具体的に特定したうえで、この点についても明らかにしてください。

3.裏金の使途とその責任者について

裏金については、総務課長が管理して、労働組合の同意を得て、喫煙施設の設置などに使ったということなのですが、市議会で、私が質問しても、管理者は、その詳細について、明らかにしませんでした。産経新聞の昨年12月24日付けの記事では、

★喫煙施設は公有地内に設けたにもかかわらず、入札や決裁などを経ずに行われた。交通部幹部は「工事代金や契約方法についての詳細は把握できていない」としている。
★また同部関係者によると、このほかの支出については、何に使われたかは不明という。余剰金を返還しなかった理由については「正式な予算に組み込んでしまうと許認可などが面倒で、喫煙施設などは不要として断られてしまう可能性もあったため」としている。

と、報道されています。

まったく滅茶苦茶な話です。交通部では、詳細を絶対に把握しているはずです。何故ならば、詳細が分からなければ、「66万4749円が余ったので寄付します」なんて、1円単位までの金額は出ないはずですから。通帳とか、帳簿とか、業者さんからの請求書や領収書が絶対にあるはずです。違法に廃棄していなければ。見積書などがなければ、支出について、労働組合の同意も得られないでしょうし、ちゃんと帳簿を作っていなければ、それこそまさに、総務課長が裏金を横領したのではないかと、労働組合から疑われるはずで、そういうことがなかったというのであれば、ちゃんと帳票類は存在していたと、いうことが言えるはずです。

ですから、帳簿類は絶対にあるはずです。もし、ないのであれば、喫煙施設を造ったという話自体が、労働組合の同意を得て支出していたという話自体が、嘘である、虚偽である、裏金を全額私した、横領したと、判断せざるを得ません。もし、監査委員の皆さんが、監査結果を出されたときに、そういう支出を証明する領収書がまったくないということであれば、公金が横領されたと判断せざるをえませんので、法的措置も辞さない考えです。

そうならないためにも、監査委員の皆さんには、いつ、誰に、あるいはどの企業に、何のために、どれだけの金額を支出したのか。それを1円単位で明らかにしていただきたい。もちろん、領収書を付けて。もしかすると、市長・管理者・市職員・議員や、その関係団体・関係企業に対して、支出された可能性も考えられますので、そのようなケースがあるのであれば、それもきっちりと明らかにしてください。また、誰が、どんな名義で業者に発注したのか。注文者は誰だったのか、領収書の宛名はどうなっているのかについても、明らかにしていただきたいと思います。そして、その帳票類は、交通部によって違法に廃棄されないように、廃棄処分を差止めて、確保していただくよう、請求します。

もし領収書や帳簿がなかったとしても、昨年の3月までは、総務課長が管理していたということですから、歴代の総務課長や管理者や労働組合の幹部らを事情聴取して、裏金の使途や管理方法について、説明をさせるべきですので、その点もよろしくお願いいたします。

また、なぜ裏金の支出に、労働組合の同意が必要だったのか。原資は公金なのに。その理由についても、明らかにしていただきたいと思います。

裏金は、実際は、何に、どう使われたのか、現段階では、証拠がないのでまったく分からないですが、場合によっては、裏金からの支出の決定に関与してきた人達については、背任、あるいは横領の罪を問わねばならないのではないかと考えています。

交通部は、福利厚生のために使ったと言い訳するかもしれませんが、福祉会の解散の理由が「市職員の互助会との重複」ということなので、そっちの互助会のほうで福利厚生事業を行ってきたはずです。また、交通部の予算が使えるのであれば、そうすべきであったのに、裏金を使ったというのは、違法な使途だから、裏金を使わざるを得なかったというふうにしか考えられません。

地方公務員法第41条には「職員の福祉及び利益の保護は、適切であり、且つ、公正でなければならない。」とされていますから、使用の実態はどうであれ、裏金から支出していたというのは、この条文に違反していると言わざるをえません。

4.監査委員の責任について

監査委員は、毎年度、公営企業会計を監査して、「高槻市公営企業会計決算審査意見書」というものを出されています。ここに20年度の分をもってきましたが、ここには代表監査委員である中寺義弘さんのお名前があるわけです。中寺さんは、前の自動車運送事業管理者であるわけですが、中寺さんの前の代表監査委員の井上五伸さんも元自動車運送事業管理者でした。裏金についてはお二方とも当然知っていたはずです。管理者時代も、監査委員時代も、なぜ裏金のことを正しておかなかったのか。

また、平成20年度の決算審査意見書には、特別利益として66万4749円が計上されていまして、実はこれが裏金の残金を寄付したものなんですが、適正であるというような意見が付けられておりまして、まったく裏金については、何も指摘されていない。監査したときに「この66万4749円は何ですか?」というような指摘はしなかったのでしょうか?ちゃんと監査をしているのであれば「分からなかった」とか「見逃していた」というのはあり得ない話だと思います。その点については、中寺代表監査委員には、大いに責任はあると思いますが、公認会計士である■■先生にも、少なからず責任はあると思います。

監査委員は、なぜ、これまで、裏金を見逃してきたのか。なぜ20年度の決算を適正だとして、旧福祉会の裏金が寄付されたものであると指摘しなかったのか。その点も、しっかりと明らかにしていただきたいと思います。

それから気になるのが、裏金の残金を、会計上「寄付」という形にしていることです。これは適正なんでしょうか。寄付とするにせよ、誰が寄付したんでしょうか。誰にこの裏金を寄付をする権利・権限があったんでしょうか。これが、福祉会の総会で決議されたとか、あるいは、交通部が返還請求して、それに福祉会が応じたと、いうのならば分かるんですよ。でも、今回はそんなこともなく寄付されたわけです。ですので、寄付とするにせよ、本当に寄付できる権限のある人からの寄付なのか。場合によっては、盗んだ金を寄付されたようなものかもしれませんし、そういうものを、公営企業が受け取っていいのかという問題があると思います。私は、寄付とするのではなくて、やはり、福祉会の解散時に遡って、その時点における残余資金の約800万円を、責任者に対して請求するのが、適正だと思います。これは、議会で私は反対しましたけど、賛成多数で決算が認定されてしまったので、扱いは難しいのかもしれませんが、適正な会計処理を行うように、まず監査委員自身の過ちを認めたうえで、交通部に勧告すべきだと思います。

5.他に裏金がある可能性について

裏金が、今回、このような形で発覚したわけですが、例えば、業者への預けという形などで、他にも裏金が存在する可能性があると思います。万が一、後で、別の裏金が出てきたとなったら、ますます監査委員の監査の能力が疑われることになりますし、他に裏金がないか、しっかりと監査していただくよう、お願いいたします。

6.関係職員の処分について

産経新聞の記事によると、

★交通部の山本政行管理者は「(解散時に)事業会計に返還して交通部の予算として執行するのがベストだっただろう。しかし、税金ではないので裏金ではない」と話している。

ということです。

「税金ではないので裏金ではない」・・・そんな意識で市バスの公金を扱っているのなら、公営企業の管理者の資格はありません。

「裏金という認識はない」というようなことを議会答弁でも言っていましたが、これが裏金じゃなかったら、何なのでしょうか?山本管理者としては、表の金として、きっちりと認識していたということでしょうか。だったら、なぜ寄付という形で処理したのでしょうか。寄付せず堂々とそのまま使っていればよかったはずです。市民がチェックできないところで、正式な入札や決裁もされずに支出されてきたお金は、社会通念上は、「裏金」としか言えないはずです。

裏金は、岐阜県大阪市をはじめ、他の自治体でもあったわけですが、ほぼ例外なく、裏金に関与した職員は処分されています。高槻市では、何故、市長や管理者は、関係職員を懲戒処分しないのでしょうか。

裏金ということなので、それだけで、関係職員は処分対象になると思いますが、今の状態のまま、使途を明らかにしないのであれば、悪質性が高いといわざるを得ませんから、より厳しい処分をしないとおかしいはずです。

普通であれば、事件発覚直後に、調査委員会を立ち上げるなどして、弁護士や公認会計士を入れて、徹底的に調査をすると思うのですが、高槻市はそういう素振りもありません。

高槻市役所は、市職員に対して甘過ぎる、言うなれば「職員優遇病」に罹っていて、不正に対してもまったく何も感じない「不正不感症」も併発しているようですが、もう、それらの病気も、末期症状になってきたなと、今回の件で感じました。

監査委員の皆さんは、そういうものを正す立場におられますので、今回の裏金事件については、監査委員の皆さん自身が、市民の批判を浴びないように、徹底的に監査をしていただくよう要望をして、陳述を終わります。

以 上