高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【就職氷河期世代への支援】まずは広報と実態調査に力を

地域若者サポートステーション・サポステ

これも昨日の一般質問で取り上げたもの。

宝塚市役所が就職氷河期世代に限定して職員を採用したことが話題になりましたが、政府も、来年度から3年間、集中して支援に取り組むことに。先進的・積極的に取り組む地方公共団体にはお金も出すということです。高槻市も積極的に支援すべきと考え、今回質問しました。

高槻市には、支援を必要とする就職氷河期世代の方々はどれくらいいるのか・・・前大津市議会議員で、就職氷河期世代を支援する活動を行っている藤井哲也さんのブログに、各都道府県の無業と不安定就労の方の割合に関するデータが掲載されていますが、大阪府では、それぞれ3.0%とのこと。高槻市では、約8万人が就職氷河期世代という答弁でしたので、その6%の約4800人の方が、そういう状態かもしれません。支援のためには実態の把握が不可欠ですので、議会では調査を要望しました。

では、どこで支援を受けられるのか・・・ハローワーク高槻市役所でもメニューはあるのですが、この機会に知っていただきたいのが「サポステ」です。サポステというのは、「地域若者サポートステーション」の略称。厚生労働省から委託を受けた法人が、働くことに悩みを抱えている15歳から39歳までの若者に対して、相談やコミュニケーション訓練、就労体験などの支援をしています。ニートや引きこもりの方は、ここからスタートするのがよいかもしれません。

現在サポステの対象は39歳までですが、4月からは、就職氷河期世代を支援するために、おおむね50歳まで対象が拡大されるということです。

高槻市には、「三島地域若者サポートステーション」があります。JR高槻駅のすぐ近くです。

三島地域若者サポートステーション

先日お話を聞きにいくと、大変親切に対応してくださいました。最後に、高槻市役所に何か言いたいことはないですかと訊くと、広報をしてほしいと。担当課からは推薦をもらっているのに、一向に広報誌に掲載されないのは何故なのかと疑問を抱かれていました。

サポステやその他の支援については、まだまだ認知度が低いので、まずは広報に力を入れるべきです。支援を必要としている方々に知ってもらわなければ、支援のしようもありません。

厚生労働省最上もがさんを広告に起用していますが、3次元よりも2次元のキャラクターを好む方も多いという話でした。阪急高槻市駅前のやよい軒高槻店で、毎年3月25日にファンが自主的に「生誕祭」を開いている「高槻やよい」というキャラクター。私はあまり知らないのですが、ふるさと納税で「高槻やよい」のグッズに申し込みが殺到したことには驚かされました。こういうスポットもあるわけですから、生誕祭の日に、就職氷河期世代向けの啓発やイベントを行うというのもありかもしれません。議会では、当事者や現場スタッフの方にも意見を聞いて、どういうことをすれば、効果的な広報ができるのか検討して実施するよう要望しました。

今日のお昼、やよい軒に行ってみましたが、新型コロナウイルスの影響なのでしょうか、以下の貼り紙がされていました。店内は賑わっていましたが、例年できるという噂の行列はありませんでした。
やよい軒

以下は昨日の本会議でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので、不正確な部分もあることをお許しください。

■令和2年3月議会・一般質問

2.就職氷河期世代への支援等について

<1回目>

 平成5年から平成16年頃までの就職難の時代に、学校を卒業等して社会に出た世代のことを、一般的に「就職氷河期世代」や「ロスト・ジェネレーション」、「ロスジェネ世代」と言います。
 この世代は、前後の世代と比較して、平均的な所得水準が低く、無貯金率も高く、また経済的な生活基盤が安定しないことから、婚姻率が低いと考えられています。そのために、人口減少に拍車が掛かったという側面もあります。
 この世代の引きこもりの長期化で、親も高齢になり、収入や介護に問題が生じるという、いわゆる「8050問題」もあって、就職氷河期世代に対する支援の必要性が、様々なところで論じられるようになりました。
 この問題について4点おききします。

(1)高槻市における「就職氷河期世代」の実態はどういったものなのでしょうか?全体では何人いるのでしょうか?正規雇用や非正規雇用、無職、ひきこもりの割合はどれだけなのでしょうか?婚姻率はどれだけなのでしょうか?お答えください。
 また、こうした実態について、市として調査をするお考えはないのでしょうか?お答えください。

⇒大卒で概ね38歳から49歳、高卒で概ね34歳から45歳に相当する方が、就職氷河期世代にあたることから、本市では、約8万人の方が相当すると考えています。当該世代に限ったお尋ねの項目に関する調査は行っていません。

(2)高槻市においては、「就職氷河期世代」の就労や社会参加等の問題について、現在、どの部署が、どういった対応をしているのでしょうか?お答えください。
 また、今後、どういった対応をするお考えなのでしょうか?お答えください。

就職氷河期世代を含む若者の就労を支援するため、産業振興課では就職面接会やセミナー等を開催しています。また、福祉相談支援課では、生活困窮の状況にあり、就労を希望する方について、職場体験をはじめとした就労準備支援を行っています。今後も、国や府、関係機関等と連携し、必要な支援に取り組んでまいります。

(3)宝塚市のように、就職氷河期世代に限定して、職員を採用するといったお考えはないのでしょうか?お答えください。

⇒本市におきましては、就職氷河期世代に限定した職員採用試験は実施しておりませんが、従前から新卒者に限らず、就職氷河期世代と呼ばれる世代を含めた幅広い年齢層を対象とした採用試験を実施してきたところです。

(4)国では、「地域就職氷河期世代支援加速化交付金」が創設されました。就職氷河期世代の問題に、先進的・積極的に取り組む地方公共団体を支援するためのものだということですが、市として、この交付金を活用する予定はないのでしょうか?お答えください。

⇒現在のところ予定はありませんが、国や府等の動向を注視し、適切に対応してまいります。

<2回目>

(1)有効な施策を実施するためには、実態を把握するための調査が必要なはずです。「就職氷河期世代」に限った調査はしていないということですが、今後、そういった調査をする考えはないのでしょうか?お答えください。

⇒国や府の動向を注視してまいります。

(2)現在、就職氷河期世代の親は60代から70代の方が多いと思いますが、あと10年もすると「8050問題」が本格化すると考えられます。
さらにその後、就職氷河期世代の親がお亡くなりになると、経済的に頼ることができた親がいなくなるので、配偶者も子どももいない、貧困の単身世帯が大量に出現して、莫大な社会保障費の支出が、自治体に求められるとも考えられます。
こうした事態を可能な限り予防するために、今のうちから手を打つべきだと思いますが、市として「8050問題」やその後の問題について、どういった対応をされるお考えでしょうか?お答えください。

⇒生活困窮の状況にある方に対しましては、生活保護に至る前段階の、第2のセーフティネットである生活困窮者に対する自立相談支援事業を、今後も推進してまいります。

(3)高槻市では就労支援を行っているということですが、資格の取得や職業訓練についてはどういったサポートをされているのでしょうか?お答えください。
また、これまでの就労支援や、市職員の採用においては、就職氷河期世代について、どれだけの成果を上げてきたのでしょうか?お答えください。

⇒資格の取得については、これまで約140人に受講料を助成するなど就職を支援しています。
 また、生活困窮者への就労支援については、ハローワーク等、関係機関と連携し、支援を進めております。
 なお、繰り返しとなりますが、本市では、就職氷河期世代に限定した職員採用試験は実施しておりませんが、これまでに幅広い年齢層を対象とした採用試験を実施してきたなかで、この世代に含まれる職員も相当数採用しております。

(4)民間企業へは、就労支援のほかに、就職氷河期世代の採用の機運の醸成も必要だと思いますが、市としてどのようにお考えでしょうか?お答えください。

⇒面接会の開催や各種助成制度などを案内しているほか、各種情報を市ホームページやメルマガ、関係団体等を通じて適宜発信しております。

(5)就職氷河期世代のひきこもりへの対策としては、どういったことをされてきたのでしょうか?どれだけの成果があったのでしょうか?お答えください。

⇒国の方針に基づき、大阪府や関係機関と連携を図る中で、適切に対処してまいります。


(6)大阪府は、昨年10月、全国に先駆けて「厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プラン」をモデル的に実施する地域に選定されました。就職氷河期世代への支援策の取りまとめや進捗管理等を統括する「大阪就職氷河期世代活躍支援プラットフォーム」も設置されたということです。
厚生労働省の資料によると、市町村レベルのプラットフォームの役割についても想定がされているのですが、これについては、市として、どういった取り組みをされる予定なのでしょうか?お答えください。

⇒必要に応じて、適切に対応してまいります。

<3回目>

 就職氷河期世代のひきこもりへの対策については、適切に対処していくというご答弁でした。
 適切に対応するためには、実態を把握するための調査が欠かせないはずです。
 平成29年の総務省の「就業構造基本統計調査」によると、当時の35歳から44歳までの人口について、大阪府では、「長期にわたり無業の状態にある方」が3.0%、「不安定な就労状態にある方」も3.0%いたということです。その割合からすると、高槻市では、約8万人が就職氷河期世代ということですので、その6%の4800人くらいの方が、そういう状態かもしれません。厚生労働省が今後3年間、集中して取り組むとしている「就職氷河期世代支援プログラム」の資料には、「社会参加に向けた支援を必要とする方」もその対象とされていますので、それらの方々が、現在、高槻市にはどれだけおられるのか、ぜひ実態調査をしてください。「8050問題」や、その後の貧困の単身世帯の大量出現も考えると、家族や世帯収入の状況の調査も必要と思われますので、それらも加味してください。要望しておきます。
 また、市町村レベルのプラットフォームについても、適切に対応していくということでした。厚生労働省の資料には、プラットフォームの構成員として、経済団体やハローワーク、サポステ等が挙げられています。
 サポステというのは、地域若者サポートステーションの略称で、厚生労働省から委託を受けた法人が、働くことに悩みを抱えている15歳から39歳までの若者に対して、キャリアコンサルタントなどによる専門的な相談、コミュニケーション訓練などによるステップアップ、協力企業への就労体験などによって、就労に向けた支援を行っています。来年度からは、就職氷河期世代を支援するために、おおむね50歳まで対象を拡大するということです。
 先日、JR高槻駅の近くにある「三島地域若者サポートステーション」(以下「三島サポステ」)に行って、話を伺ってきました。
 三島サポステでは現在年間120人~130人をサポートしていて、その大半は引きこもりやニートの方だそうです。そういう方にサポステへ足を運んでもらうだけでも大変なんですが、来てもらえれば、まず半年間で就職の準備、次の半年間で就職活動を支援していくということでした。就職した人が、仕事に定着するための支援もしているということです。
 就職氷河期世代のひきこもりや不安定就労の方の就労支援については、このサポステが、受け皿になるケースが多くなると思われます。
 三島サポステは、高槻市役所の産業振興課と連携をとっていて、特に、市が、職場体験ができる企業を紹介してくれることについては、大変感謝されていました。
 一方で、広報については不満をもっておられました。産業振興課からは推薦をもらっているのに、一向に広報誌に掲載されないのは何故なのかと疑問を抱かれていました。サポステを何故、市の広報誌「たかつきDAYS」に掲載しないのでしょうか?市民の方にとって、サポステは、まだまだ認知度が低いと思いますし、支援を必要としている方々に知ってもらわなければ、支援のしようもありません。
 国も、「就職氷河期世代に対する国の各種支援策について、インターネット広告、SNS広告等のメディアを活用し、就職氷河期世代本人やその保護者等、それぞれの置かれている状況を踏まえ、様々なルートを通じた広報を実施する。」としています。全国的に就職氷河期世代への支援が開始されるこの機に、高槻市内でも、どういった支援が受けられるのか、是非広報をしてください。
 厚生労働省は、女性アイドルグループ・でんぱ組.incの元メンバーでタレントの最上もがさんをサポステの広告に起用しているんですが、サポステに来られる方は、3次元よりも2次元のキャラクターを好む方も多いということです。阪急高槻市駅前のやよい軒高槻店で、毎年3月25日にファンが自主的に「生誕祭」を開いている「高槻やよい」というキャラクターがあって、ふるさと納税でもそのグッズの申し込みが殺到したということがありました。こういうキャラクターを使って、生誕祭の日に、就職氷河期世代向けの啓発やイベントを行うというのもありかもしれません。当事者や現場スタッフの方にも意見を聞いて、どういうことをすれば、効果的な広報ができるのか検討して、実施してください。要望しておきます。
 就職氷河期世代やその親の年齢を考えると、もうこれがラストチャンスではないでしょうか。国や府とも連携して、しっかりとした対策をお願いします。
 前大津市議会議員で、就職氷河期世代を支援する活動を行っている藤井哲也さんは、先日ツイッターに、新型コロナウイルスの影響で景気が落ち込んでいる現在の状況は、リーマンショックの時に見た光景だといったことを書かれていました。今の就職氷河期世代については、バブル崩壊後の長引く不景気のせいで、就職に苦労するなどして、辛酸をなめてきた方が多いと思います。最近は、新型コロナウイルスのせいで、内定が取り消された学生も多いということですが、もしかすると、これからの世代は、第2の就職氷河期世代になってしまうかもしれません。就職氷河期世代へは、どういう対策が効果的なのかということも検証して、その後にも活かせるようにしていただきたいと思います。