高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【安満遺跡公園】未発掘の旧京大農場建物群の地下の遺構はどうなっているのか?

安満遺跡公園歴史拠点施設改修工事位置図

京都大学付属農場の跡地に、「安満遺跡公園」の整備を進める高槻市。市は、旧京大の建物群を残し、歴史展示室やレストラン等として活用するとして、この12月議会に、耐震改修と内装の工事の契約議案を上程。今日の初日の本会議で即決議案として審議されました。

上の図のとおり、旧京大の建物群は、環濠集落跡の上に建っています。しかし、環濠の内側についてはほとんど発掘調査がされていません。いったい建物の下には何が埋まっているのか・・・滋賀県守山市付近で見つかった環濠集落跡からは、祭殿や集会場と考えられる大型建物や、勾玉、腕輪等が発見されているので、三島地域で最初に稲作が行われたと考えられる安満遺跡でも、貴重な遺構・遺物が存在する可能性が高いと考えられます。

一方、昭和初期に建設された建物も、大阪府の近代化遺産にリストアップされている貴重なもの。これも遺していかなければなりません。

今日の議会では、既存建物群の基礎等地下の部分はどうなっているのかと質問しましたが、既存建物群は当時、京都大学が整備したので、市としては遺構への影響は把握していないという答弁でした。つまり、建物の基礎が、遺構に達していて、何らかの影響を与えている可能性もあるわけです。

市は工事が遺構に影響を与えることはないと答弁しましたが、他市では工事で誤って文化財を破壊し修復不可能になった事例もあるので、細心の注意を払うよう要望しました。

発掘は、遺構を痛めることにもなるので、未来の技術に期待し、当面は保存に徹するというのが、安満遺跡の環濠集落跡についての市の方針のようです。ですので、地下の状況が判明するのは、かなり先になると思われます。建物が貴重な遺構を痛めていなければよいのですが・・・

以下は本日の議会でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをお許しください。

■議案第101号 安満遺跡公園歴史拠点施設改修工事請負契約締結について

<1回目>5点

(1)既存建物群の耐震改修を含む改修工事を行うということですが、どのような耐震改修工事を行うのでしょうか?具体的にお答えください。
また、耐震改修工事以外の工事はどういったものなのでしょうか?お答えください。

⇒ 工事の内容についてですが、当該工事では、壁面の補強や屋根の軽量化のほか、内装の更新工事や、照明、空調などの設備工事を行うものです。

(2)既存建物群を改修するということですが、なぜ既存の建物を残すのでしょうか?既存の建物のそれぞれの価値については、市としてどのように考えているのでしょうか?お答えください。

⇒ 建物群の保存についてですが、当該建物群は大阪府の近代化遺産にリストアップされており、これまで市民に親しまれていることから、本市の歴史遺産として保存しながら、活用を図るものです。

(3)既存の建物の耐用年数は何年なのでしょうか?改修工事によって、変化するのでしょうか?変化するのであれば、どれだけになるのでしょうか?お答えください。
また、建物の維持管理は、今後どのように行っていくのでしょうか?維持管理には年にどれだけかかる見込みなのでしょうか?お答えください。

⇒耐用年数についてですが、当該工事により耐震性が向上し、長寿命化が図れるものと考えております。
 建物の維持管理については、指定管理によりおこなうもので、指定管理者の費用負担により適切に維持管理されるものと考えております。

(4)既存建物群の基礎の部分はどうなっているのでしょうか?遺構に影響を与えてはいないのでしょうか?お答えください。
(5)既存建物群は、環壕の中や、環壕の上にあるようですが、工事前に遺構の調査はしないのでしょうか?お答えください。
また、今回の改修工事は、遺構に影響を与えないのでしょうか?お答えください。

⇒ 遺構への影響についてですが、今回の整備工事は遺構に影響を与えないことから、発掘調査は行いません。なお、既存建物群は当時京都大学により整備されたものであるため、遺構への影響は把握しておりません。

<2回目>8点

(1)既存建物群の地盤の現状はどういったものなのでしょうか?高槻市役所のサイトの「地震対策」のページでは、地盤について、「三角州や河川沿いでは、柔らかい土が厚く堆積していて、地震のとき、木造住宅は大きく揺さぶられる傾向があります。」、「沼、水田、湿地・・・などを埋め立てた地盤は、地震の時、揺れやすいだけでなく建物が足元から壊れる恐れがあります。特に基礎を丈夫にする必要があります。」、「・・・低湿地などを埋め立てた砂層地盤では、地震時に、地盤の液状化現象が起こる恐れがあります。・・・鉄筋コンクリート造の布基礎にしましょう。」など書かれています。現状の地盤はこれらに該当するのでしょうか?現状の地盤はどういったものなのか、具体的にお答えください。
 また、現状の地盤に関する耐震対策については、どのように行うのでしょうか?具体的にお答えください。

⇒ 専門家による調査の結果、現状地盤に問題はなく、新たな対策は必要ないと評価されています。

(2)お答えがなかったので、あらためておききしますが、既存建物群の基礎の部分は、どのようになっているのでしょうか?固い地盤まで杭を打ち込んでいるのでしょうか?石を置いているだけなのでしょうか?遺構に配慮して何もしていないのでしょうか?現状の基礎の部分がどうなっているのか、具体的にお答えください。

⇒ 現状の基礎は鉄筋コンクリート造の直接基礎となっています。

(3)耐震診断においては基礎の状況を調査しなければならないし、基礎の補強も必要な場合があるとされています。基礎の補強の必要性については、調査をしたのでしょうか?具体的にお答えください。
 また、基礎の補強はどうされるのでしょうか?具体的にお答えください。

⇒ 現状の基礎構造を踏まえた耐震補強設計をもとに、補強を行う計画です。

(4)既存建物群の基礎は、京都大学が造ったので、遺構への影響は把握していないということです。一方で、今回の改修工事は遺構に影響を与えないということです。遺構への影響を把握していないのに、なぜ遺構に影響を与えないといえるのでしょうか?理由を具体的にお答えください。

⇒ 今回の整備工事では、過去の確認調査から把握している遺構検出面に達しないよう施工することから、地下の遺構に影響を与えることはありません。

(5)既存の建物の耐用年数は何年だと考えているのでしょうか?具体的にお答えください。
(6)既存の建物の耐用年数は工事によって長寿命化するということですが、何年伸びるのでしょうか?具体的にお答えください。

⇒ 税法上、木造建築物の耐用年数は24年とされていますが、今回の改修工事を行うことにより、確実に長寿命化が図れるものと考えています。

(7)建物の維持管理は、指定管理者の費用負担で適切にされると考えているということです。維持管理は指定管理者任せなのでしょうか?それとも市が指示や監督・検査などを行うのでしょうか?具体的にお答えください。

⇒ 建物の維持管理は指定管理業務に含まれており、市の履行確認や評価等により、適切に行われるものと考えています。

(8)既存建物群は、歴史関係の展示やレストランに活用すると聞きました。利用者はどれだけを見込んでいるのでしょうか?お答えください。
 また、地震が起きたときには、耐震改修工事を行った、この建物群が、避難場所等として活用されるのでしょうか?お答えください。

⇒ 当該施設には、歴史展示室や歴史体験室のほか、休憩スペースやレストラン等を設置する予定で、より多くの来園者にご利用いただけるものと考えています。
 また、これらの建物は災害時においても柔軟に活用する予定です。

<3回目>

(1)地盤についてですが、教育委員会の調査報告書などによると、弥生時代前期の洪水によって安満を離れた人々もいたとか、環濠が土砂で埋まり一帯の地形が変わるほどの洪水が襲ったとか、安満遺跡の水田域は洪水後に廃棄されたとか、洪水によって砂礫層が厚く堆積したとか、とされているので、洪水の影響が大きいと考えられます。既存建物群のある環濠集落跡のある場所は、比較的小高い乾いたところだということですが、現状の地盤は、専門家の調査の結果、どういったものと評価されたのでしょうか?具体的にお答えください。
(2)地盤については、地盤改良がされているのでしょうか?されているのであれば、どのような地盤改良がされているのでしょうか?遺構には影響を与えていないのでしょうか?具体的にお答えください。

⇒ 地盤についてですが、既存建物群は京都大学により整備されたものであるため地盤改良されているか否かの把握はしておりませんが、専門家の調査の結果、基礎等の沈下被害は見られないため現状地盤に問題は無いと判断しております。

(3)既存建物群の現状の基礎は、鉄筋コンクリート造の直接基礎だということです。直接基礎には、独立基礎、布基礎、ベタ基礎の3種類があるということなんですが、そのうちのどれなのでしょうか?お答えください。

⇒ 現状の直接基礎についてですが、独立基礎と布基礎でございます。

(4)今回の整備工事では、過去の確認調査から把握している遺構検出面に達しないよう施工するということです。過去の確認調査では、既存建物群の地下の部分はすべて調査したのでしょうか?調査したのであれば、どういった結果だったのでしょうか?お答えください。

⇒ 過去の確認調査では、既存建物直下の調査は行っておりません。
なお、今回の工事は遺構検出面に達しないよう施工するため、既存建物直下の確認調査の必要はありません。

(5)建物の維持管理については、指定管理者に対して、市は、事前に指示等を行わず、事後に、履行確認や評価等をするということです。建物群は大阪府の近代化遺産にリストアップされているということですが、万が一、指定管理者の故意過失によって、破損や焼失等してしまった場合、誰がどのような責任を負うのでしょうか?具体的にお答えください。

⇒ 建物の維持管理については、事前に市が指定管理者と仕様書等に基づき協議調整を行い、事後に履行確認や評価等をすることで、適切に維持管理されるものです。
なお、指定管理者の故意または過失により施設に破損等が生じた場合は、指定管理者の責任と負担により賠償することとなります。 

 あとは意見です。

 工事を行うのであれば、建物群は、近代化遺産にも登録されている貴重なものなので、その維持のために、また、災害時の利用者の安全確保等のために、しっかりとやってほしいと思います。
 工事は、遺構検出面に達しないように行うということですが、既存建物群は当時京都大学が整備したので、市としては遺構への影響は把握していないという答弁でした。つまり、建物の基礎が、遺構に達していて、何らかの影響を与えている可能性もあるということですよね。
 安満遺跡については、これまで何か所かで発掘調査がされてきていますが、環濠集落の内側については、ほぼ発掘されていないのではないでしょうか?滋賀県守山市のあたりでも弥生時代の環濠集落がいくつか発見されているんですが、大型の建物の跡が見つかっていて、住居だけではなく、祭殿や集会場であったと考えられています。身分によって住居の区域も区別されていた形跡も見られるそうです。勾玉や腕輪等も発見されています。
 そういったような貴重な遺構や遺物が、安満遺跡にも存在している可能性が高いわけです。他市では工事で誤って文化財を破壊し修復不可能になった事例もあります。建物には、歴史展示室を設けるということですが、その工事で遺構を破壊しないよう細心の注意を払っていただきたいですし、市も工事をちゃんと監督していただきたいと思います。
 それと、安満遺跡公園の整備や京大農場の買取りについては、そもそもサッカースタジアムの建設という前市長の詐欺的な公約が発端で、その詐欺公約さえなければ、京都大学も移転せず、公園も造る必要もなく、無駄に巨額の税金を支出することもなかったわけです。私は、それらに関連する議案には反対してきましたけれども、今回のこの議案についても反対することを表明します。