高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【教員が個人情報紛失】教員の自宅のパソコンでも、学校と同じ作業ができるようクラウド化すべき。

これも先日の本会議の一般質問で取り上げたもの。教員による個人情報紛失事件が相次いだので、高槻市立の学校のシステムについて情報公開請求をしたところ、こちらに書かれているとおり、校務の情報は専用サーバで一元管理され、USBメモリーを利用しないですむ環境が構築されていて、情報漏洩が起きないということになっています。

 


しかしそれが建前だということは、紛失事件で明らか。実際には、無許可で資料を持ち出し、自宅のパソコンでデータを作成して、それを私物のUSBメモリーに保存して、学校に持って行き、情報をサーバーに移していたのです。データが教員の自宅やUSBメモリーに散らばっているわけですから、データの一元管理ができているなんて、偉そうなことはいえないはずです。

けれどもそれもやむをえないことで、教員の皆さんは自宅で仕事をせざるをえないほど忙しい。もし自宅で作業しなければ、学校の授業・業務に支障が出ることでしょう。

ではどうすべきか。実態に即して対策をとるしかありません。たとえば、USBメモリーに大きなストラップを付けて、連絡先を書いておくとか、ジュラルミンケースとまでは言わないまでも、鍵のかかる入れ物を使うとか、大袈裟かもしれませんが、そういうことを、組織として実行していくしかないと思います。

それだけではなくて、早々に、教員の自宅のパソコンでも、学校のパソコンと同じ作業ができるようにクラウド化をすべきです。大阪市千葉市では、クラウド化して、自宅でも安全に作業ができる環境が作られています。高槻市も、大阪市千葉市等を参考にして早急にクラウド化するよう、議会では要望しました。

以下は先日の本会議でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので、不正確な部分もあることをご了承ください。

■一般質問
3.学校等について

<1回目>

 今年1月、高槻市立のある中学校の3年生の担任が、自宅で成績処理を行うために、生徒136名分の学習記録等を私物のUSBメモリーに保存していたそうですが、そのUSBメモリー紛失するという事件を起こしました。この事件等に関して、まず5点伺います。

(1)高槻市立の学校では、基本的に、こうした情報は、専用サーバで一元管理されていて、情報端末にデータが保存できない仕組みになっているはずですが、この教員は、どのようにして、誰の権限を使って、私物のUSBメモリーにデータを保存したのでしょうか?具体的にお答えください。
(2)専用サーバのデータを、USBメモリーなどの媒体に保存したことについては、いつ、どの端末で、誰の権限で行われたのかという履歴は記録されているのでしょうか?お答えください。また、そういった履歴が残されているのであれば、今年度中は、何の目的のために、どれだけの件数で、そのようなことがされたのか、お答えください。
(3)データを自宅に持ち帰っているのは、紛失事件を起こした教員だけなのでしょうか?他の教員も行っているのでしょうか?行っているのであれば、全教員何人中、何人・何%の教員が行っているのでしょうか?お答えください。
(4)その教員は、自宅で成績処理をしようとしたということですが、教員は日常的に自宅で仕事をしているのでしょうか?しているのであれば1か月で平均何時間くらいしているのでしょうか?あるいは、特定の時期だけ、仕事が忙しいので、自宅でも行っているのでしょうか?教員の自宅での仕事の状況について、詳細をお答えください。
(5)昨年10月には、小学校の教員が、学校の許可を得ずに持ち出した「教務必携」と「ワークシート」を、帰宅途中、美容室に立ち寄った際に盗まれたという事件もありました。「教務必携」には児童37人の個人情報も記載されていたということですが、こうした持ち出しは、どれくらいの頻度で行われているのでしょうか?お答えください。また、この事件では、学校の許可を得ずに持ち出したということですが、学校の許可を得て、持ち出すこともあるのでしょうか?お答えください。

<答弁>

 1点目の私物USBへのデータ保存についてでございますが、 教職員に貸与しているパソコンは、個人情報や成績処理等のデータが保存できないようになっており、これらのデータは教育センターで一元管理しています。
 また、データを持ち出すためにUSBメモリー等に保存する場合も、校長又は教頭のパソコンしかできないようになっており、保存する場合はパスワードをかけなければならないように設定をしています。
 今回、紛失したUSBは、学校のパソコンからデータを抜き出したのではなく、家で個人のパソコンで作成したデータや教材を保存し、学校のパソコンに移すために使用していた私物のUSBでございます。このようなデータの読み込みに関しても、一定のルールを設けており、私物のUSBの使用は禁止しております。
 2点目の データ保存の履歴についてでございますが、教育センターが管理している教育ネットワークシステムは、すべてのパソコンの操作履歴を保存しており、ウィルス感知等の問題が発生した際には、すぐに該当するパソコンの捜査履歴を確認し、原因を調査しております。なお、すべてのパソコンを対象とした操作履歴の確認は行っておりません。
 3点目のデータの持ち出しについてでございますが、やむを得ない場合のみ、一定の手続きを踏めば管理職が許可をしております。なお、持ち出した件数については、各学校長が把握しております。
 4点目の教員の自宅での仕事状況でございますが、教員の自宅での仕事時間は把握しておりません。
 5点目の「教務必携」等の持ち出しについてでございますが、データと同様にやむを得ない場合のみ、一定の手続きを踏めば管理職が許可をしており、持ち出しの頻度については、各学校長が把握しております。 

<2回目>

(1)USBメモリーを紛失した教員は、自宅の個人のパソコンで成績処理のデータを作成したということです。当然、そのデータの作成には、生徒の個人情報が記載された文書・資料が必要ですが、どういったものを自宅に持ち帰っていたのでしょうか?具体的にお答えください。
 また、その自宅への持ち帰りについては、学校長などの管理職は許可していたのでしょうか?お答えください。
(2)教育センターのサーバのデータを、USBメモリーに保存する場合には、校長又は教頭のパソコンしかできないようになっているということですが、私物のUSBメモリーのデータを学校のパソコンや教育センターのサーバに保存する場合には、管理職の許可がなくてもできるようです。こうしたUSBメモリー等の記録媒体から、データを学校のパソコンや教育センターのサーバに保存する場合、いつ、どこからされたのかといった履歴は記録されているのでしょうか?お答えください。
(3)自宅の個人のパソコンで作成したデータも、一定のルールに基づけば学校のパソコンやサーバに保存してもよいし、一定の手続きを踏めば「教務必携」等の持ち出しも認められるということです。当然それらは教員の個人宅で使用されるわけです。つまり、教育委員会は、教員が自宅で仕事をすることを認めていると考えられますが、そういう理解でよろしいでしょうか?お答えください。
 また、そのように自宅で仕事をする場合、教員に対して時間外勤務手当等は支払われるのでしょうか?資料やデータの紛失があったときには、教育委員会にも責任があるということになるのでしょうか?お答えください。
(4)教員が自宅のパソコンで作業しているということは、その教員個人のパソコンには、児童や生徒の個人情報が保存されていると考えられますが、そういう理解でよいでしょうか?お答えください。
また、こういった個人情報の取扱いについて、教育委員会としては、どのような取り決めをされているのでしょうか?お答えください。

<答弁>

 1点目の当該教員が持ち帰った文書・資料についてでございますが、生徒が提出した78名分の宿題プリント3種類と、39名分の学習プリントを学校長の許可を得ずに持ち出しておりました。
 2点目の 私物のUSBメモリーについてでございますが、1問目でもご答弁いたしましたが、私物のUSBメモリーを学校に持ち込み使用することは禁止しております。
 また、USBメモリーをパソコンに挿した際の時間・端末名の履歴も保存しております
 3点目の教員が自宅で仕事をすることについてでございますが、教員には専門的な知識や技能が必要とされることから、法令等においても教員の自発性が一定程度認められております。
 次に、時間外勤務手当についてでございますが、そもそも校長が臨時的又は緊急の必要がある場合に命じる時間外勤務には当たりません。
 さらに、資料やデータが紛失した場合の本市教育委員会の責任ですが、府教育委員会に報告し、再発を防止するとともに、市民からの信頼を確保することでございます。
 なお、処分等につきましては、府教育委員会が行います。
 4点目の自宅パソコンへの保存等についてでございますが、教員がやむを得ず自宅のパソコンで作業する場合、学校長が許可した外部記録媒体に保存することとしており、自宅のパソコン本体への記録は禁止しております。
 パソコンにおける個人情報の取扱いについては、「学校における個人情報に係るパソコン処理についての厳守5項目」を定め、教職員に周知徹底するよう校長に指示しております。

<3回目>

 教員の自宅での仕事については、「教員の自発性が一定程度」認められているという曖昧な答弁でしたけれども、つまりは、教育委員会としても、自宅での仕事を認めているということです。
 実際のところ、自宅で仕事をしないと、学校の授業や業務に支障が出るのだと思います。自宅で仕事をせざるを得ない教員の皆さんには本当に頭が下がります。こういう先生たちはみなさん立派だと私は思います。
 けれども、自宅で仕事をするためには、紙ベースであれ、電子データであれ、現状では、物理的に情報を持ち運ぶ必要があります。そうすると紛失する可能性がある。紛失したら、報道されるくらい大きな問題になるということは、多くの教員の方は認識されているでしょうけれども、うっかり失くしてしまうということが、今回のケースのとおり、残念ながら、現に起きているわけです。
 とりあえずの現実的な対応としては、持ち運びの際に失くさないように・・・たとえば、USBメモリーに大きなストラップを付けて、連絡先を書いておくとか、ジュラルミンケースとまでは言わないまでも、鍵のかかる入れ物を使うとか、そういうことを、組織として実行していくしかないと思います。
 それだけではなくて、早々に、教員の自宅のパソコンでも、学校のパソコンと同じ作業ができるようにクラウド化をすべきです。大阪市千葉市では、クラウド化して、自宅でも安全に作業ができる環境が作られています。高槻市も、大阪市千葉市等を参考にして早急にクラウド化するよう要望しておきます。
 あたかもデータを厳重に一元管理していて、自宅での仕事も厳しく制限しているといった建前を言っても、実際には、個人宅へ情報を持ち運んで処理していて、データの一元管理なんかできていないわけです。
 紛失した2件については、自宅に資料を持ち運んでいたということでしたけれども、そういうことは他の教員の方もされているんじゃないかと思います。だから、こういう事故も起きてしまうんだと思います。
 本音で、どういう対策やシステムが必要なのか議論してください。現場の先生方の意見も十分に聞いて、検討してください。要望しておきます。

<答弁要旨>
 他の教員も持ち出しているという件についてですが、教員による持ち出しにあたっては、適切に管理しております。