高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【監査委員】元市職員・外郭団体と業務委託・前会計管理者と兄弟・・・これで「独立した第三者機関」?


監査委員に関しては、4年半前にも取り上げたのですが、今回、情報公開請求をして除斥の状況を調べたりした結果、気になることがありましたので、先日の一般質問で取り上げました。

監査委員をよくご存じない方が多いと思いますが、宇都宮市のサイトでは・・・

監査委員監査制度とは、市の行財政運営が公正で合理的かつ効率的に行われているかどうかを、市長の指揮監督を受けない独立した第三者機関である監査委員が、公平・中立な立場で監査し、その結果を住民に公表するという制度です。



・・・と説明されています(ちなみに高槻市のHPではこちら)。

けれども、監査委員が、高槻市の職員であったり、市の外郭団体と業務委託契約をしている関係であったり、前の会計管理者と兄弟であったりする場合には、第三者といえるのかどうか。

監査委員は、自身や2親等以内の親族に直接関係する業務や事件の監査からは除斥(排除)されなければなりません。しかし、ちゃんと除斥されていなかったと考えられる事例がありました。その事例に関しては、監査をやり直さなければならないのではないかと指摘をしましたが、市は、適切であったと答弁。

なお、今回は、監査委員だけでなく、議員の除斥についても質問しようとしたのですが、議会事務局から、議員に関することについては、議員同士で話し合ってほしいと言われたので、取りやめました。

議員に関しても、監査委員と同じような除の規定が地方自治法にあります。市職員の中に、お子さんや配偶者、兄弟姉妹の方がいる議員の方もおられると聞かされましたが、私は全然分かりませんし、詮索する気もありません。しかし、再議(適法な除斥がされず議決されたことが判明した場合は、もう一度議会でやり直さなければならない)となると大変ですし、責任を問われる可能性もありますので、自らご申告されるべきでしょう。

以下は先日の本会議でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをご了承ください。

■1 監査委員の除斥等について

<1回目>

1.監査委員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹、つまり2親等以内の親族の、一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、監査することができないと地方自治法で規定されています。監査委員がこうした除斥の場合にあたるのかどうかについては、どのような調査をされているのでしょうか?自己申告に基づいて除斥されるだけなのでしょうか?お答えください。

⇒1点目の除斥の調査についてでございますが、地方自治法第198条の3第1項では「監査委員は、その職務を遂行するに当っては、常に公正不偏の態度を保持して、監査をしなければならない」とされており、この公正不偏の原則に基づき、地方自治法第199条の2の趣旨を踏まえて当該監査委員の申し出により除斥が決定されるものでございます。

2.過去の除斥の事例を見ると、上田代表監査委員は、秘書室長であったということで、秘書室の監査から除斥されていました。仮に、監査委員の2親等以内の親族が、市の職員で、部や室や課の長であった場合、その監査委員は除斥されるのでしょうか?お答えください。また、部長や室長や課長ではなくても、それらと同じ級の役職であった場合は、どうでしょうか?お答えください。
3.重谷監査委員は、文化振興事業団とアドバイス業務について業務委託契約をしているという理由で、事業団の監査から除斥されていました。監査委員が、労働組合や自治会の 役員や顧問などの場合、あるいは市や地方公営企業業務委託契約を締結している民間事業者の 取締役や監査役の場合、それらに関係する監査からは除斥されるのでしょうか?お答えください。
4.会計管理者は、現金や有価証券の出納や保管、財産の記録管理、支出負担行為に関する確認のほか、「決算を調製し、これを普通地方公共団体の長に提出すること」もつかさどることとなっています。監査委員が、会計管理者と2親等内の親族の場合、現金や有価証券の出納、決算等に関する監査については除斥されるのでしょうか?

⇒2点目から4点目についてでございますが、お尋ねの事案があった場合には、地方自治法第199条の2の趣旨を踏まえた上で、監査委員の合議により適正に判断されるものと考えております。

5.適法な除斥がされずに監査がされた場合、その監査はどうなるのでしょうか?無効になるのでしょうか?やり直さなければならないのでしょうか?お答えください。

⇒5点目の適法な除斥がされずに監査がされた場合についてでございますが、司法判断に属することであると考えております。

<2回目>

1.「当該監査委員の申し出により除斥が決定される」という答弁でしたが、他の監査委員や監査委員事務局から、除斥されるべきだと意見が出たことは、これまでなかったのでしょうか?あったのであれば、どういったケースであったのか、具体的にお答えください。

5.自治六法によると、地方自治法199条1項に規定された監査委員が監査するものとされている「財務に関する事務の執行」には、収入、支出、現金及び有価証券の出納保管も含まれています。また、199条の2に規定されている監査委員の除斥の事例として、実の兄が課長をしている課の業務監査を行うことは本条に違反するものと解すると記載されています。前年度の会計管理者が、監査委員の兄弟である場合、その監査委員は、前年度の会計に関係する決算や住民監査請求等については、除斥されなければならないのではないでしょうか?市の見解をお聞かせください。

⇒1点目及び5点目についてでございますが、個々の監査事案や審査事案及び事実関係の内容を検討し、地方自治法第199条の2の趣旨を踏まえた上で、いずれにせよ、本人の申告があって、監査委員の合議の上、適法に除斥が決定されるものでございます。

2.上田代表監査委員が秘書室長や総務部長などであったこと、重谷監査委員が、市の外郭団体と業務委託契約を結んでいることは、市のほうですぐ分かることだったと思いますが、そういう関係からすると、そもそもこの2人を、監査委員として推薦すべきではなかったのではないでしょうか?市の見解をお聞かせください。

⇒2点目についてでございますが、監査執行からの除斥と監査委員の選任については、全く別次元の問題でございます。

3.会計管理者は、収入や支出、決算の全般に関係していると思いますが、一般会計に関しては、金額ベースでどれだけかかわっているのでしょうか?収入と支出のそれぞれについてお答えください。

4.会計管理者がかかわっている特別会計にはどのようなものがあるのでしょうか?すべてお答えください。

⇒3点目、4点目についてでございますが、金額については、地方自治法第235条の2第1項の規定により、監査委員が検査した結果に関する報告を、同条第3項の規定に基づき、議会に提出いたしてございます。
 また、会計管理者がかかわっております特別会計につきましては、高槻市特別会計条例のとおりでございます。

6.適法な除斥がされずに監査がされた場合については、司法判断に属するということですが、監査委員の除斥そのものが争点になった判例には、どういったものがあるのでしょうか?お答えください。

⇒6点目についてでございますが、そのような判例は了知しておりません。

<3回目>

 的外れで不明確な答弁でしたけれども、地方自治法170条1項では「法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、会計管理者は、当該普通地方公共団体の会計事務をつかさどる。」と規定されています。会計管理者は、一般会計と特別会計の、会計全般をつかさどっているわけで、つまり、それらの会計の最高責任者といえるはずです。民間企業でいえば、単なる経理部長というよりは、財務担当の取締役・CFOというほうが相応しいのではないでしょうか?自治会でも、会計というのは、副会長と同じくらい重要な役員のはずです。
 たとえば、そんな会計の最高責任者である会計管理者が、翌年度には、今度は監査委員になって、自分がつかさどっていた前年度の会計の決算を、審査する。そういうことがあってもいいのでしょうか?民間企業であれば、経理部長だった社員が、翌年度に監査役になって、前年度の決算の会計監査をするようなものです。自治会であれば、会計だった人が、翌年度に会計監査になって、決算の監査をするようなものです。そんなこと、認められるでしょうか?自分がやってきた会計を、自分自身がチェックしたら、これはちゃんとした監査にはならない。適正な監査とは、認められないですよね。
 監査委員が、元会計管理者・本人じゃなくても、元会計管理者の親や子や兄弟であれば、同じように、普通は、適正な監査とは認められないですよね。
 最初に言いましたが、監査委員は、親子・兄弟などの2親等以内の親族の業務に直接の利害関係のある事件などについては、監査することができないと地方自治法で定められています。法律で禁止されているわけです。
 最近、気になることが出てきました。平成24年度の会計管理者と、25年度の監査委員のお一人の方が、ご兄弟だということなんですね。最近聞きました。間違っていたら大変申し訳ありません。情報公開請求をして調べたところ、24年度の決算の審査に関して、その監査委員の方は除斥されていませんでした。もしご兄弟であれば除斥されなければならなかったはずです。
 議会事務局に確認したところでは、もし議会で、除斥すべき議員を除斥せずに議決した場合は、その議案についてはやり直し、再議になるということです。
 除斥に関するルールが、議会でも監査でも同じだとすると、平成24年度の一般会計と特別会計の決算については、監査委員による審査をやり直さなければならないのではないでしょうか?
 さらに、地方自治法233条3項では、市長は、監査委員の審査に付した決算を、監査委員意見を付けて議会の認定に付さなければならないとされています。つまり、決算をやり直すだけではなくて、議会での決算の認定も、やり直さなければならないと考えられます。
 これらのことについて、市としては、どのようにお考えでしょうか?見解をお聞かせください。

⇒個々の具体的なことについては、監査委員の合議で決定されているものでございますが、ご質問の件につきましては、地方自治法第199条の2の趣旨に基づき、直接の利害関係のある事件かどうかを判断し、適切な決算審査が行われております。

 監査委員の除斥は、自己申告だとか合議で決定するとかという答弁がありました。なぜ自ら除斥を申し出なかったのか?周りの方も、なぜ除斥を促さなかったのか?疑問に感じます。
 決算の審査というのは、議会にも関係する非常に大事なものですし、それを除斥されると、監査委員としての業務の範囲が、かなり狭まるのではないかと思います。重要な監査で除斥されるのであれば、そもそも監査委員を辞退すべきではないかと、個人的には思っております。