高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【マイナンバー】市独自利用は費用対効果を見込めず。様子を見たほうが・・・

来年1月から始まる個人番号制度(マイナンバー制度)。法律で利用できる事務が規定されているのですが、地方自治体が条例で定めれば、法で定める事務(社会保障・税・災害対策)以外にもマイナンバーを利用することができます。

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今日の総務消防委員会では、その条例案についても審議。私も質問しましたが、分かったことは、市では、①費用対効果は見込んでおらず、②情報セキュリティについてもマイナンバー制度を開始したからといってこれまでと変わりはなく、③市民の利便性は向上すると考えているということ。

市民の利便性はどれだけ向上するのか。まず市が独自利用する事務ですが・・・

2 個人番号の利用範囲(第4条、別表第1及び別表第2関係)
(1) 市の機関は、法に規定する事務のほか、次に掲げる事務について個人番号を利用することができることとする。
ア 老人、身体障害者及び知的障害者ひとり親家庭並びに子どもの医療費の助成に関する事務
イ 生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置に関する事務
ウ 重度障害者に対する訪問看護利用料の助成に関する事務
エ 老人医療費助成制度対象者に該当する身体障害者及び知的障害者並びにひとり親家庭に対する食事療養標準負担額及び生活療養標準負担額の助成に関する事務
低所得者に対する訪問介護サービスの利用者負担の助成に関する事務
社会福祉法人等による介護保険サービスの利用者負担の軽減に要する費用の助成に関する事務
国民健康保険の被保険者に対する人間ドック等に係る受診費用の助成に関する事務
ク 検診等に係る受診料の助成に関する事務
(中略)
3 特定個人情報の提供(第5条及び別表第3関係)
市長は、教育委員会に対し、学校保健安全法による医療に要する費用についての援助に関する事務を処理するために必要な特定個人情報を提供することができることとする。


・・・とのこと。

具体的にどのように利便性が向上するのか?何人の市民が利便性を享受できるのかと尋ねたところ・・・

 番号制度の導入により、個人番号の利用が認められた事務において住民票の写しのほか、所得証明書などの添付書類が省略される。
 利便性を享受できる具体的な人数は把握していない。


・・・といった答弁でした。

私は最後に以下の意見を述べました。

JNNが今年の10月に行った世論調査では、「マイナンバー制度」について「不安だ」と答えた人は79%。「不安はない」と答えた人は17%。国による個人情報の管理については「信頼する」と答えた人が17%。「信頼しない」と答えた人が77%ということでした。

マイナンバーを利用すれば、住民票とか所得証明書などの添付書類が省けて利便性が向上すると言われても、マイナンバー制度への不安から、マイナンバーを使わない人もかなり出てくるのではないでしょうか?

先ほども申し上げましたが、ご答弁からすると、費用対効果も見込めないわけですが、それでもこの条例を制定して、システムの改修を行う意味というのは、市民の利便性の向上のため、としかいえないですよね。

でも、マイナンバーを使用する市民が少ない場合には、システム改修には数千万円の税金がかかるわけですから、税金の無駄になってしまいます。

まずは、番号法に規定されている事務だけやってみて、どれだけマイナンバーを利用する市民の方がいるのか、様子を見てもいいのではないでしょうか?

そのように思いますので、もし利用者が増えて、セキュリティ上も、問題が起きていないし、安全性が確保されているなと考えられるなら、賛成しますが、現時点では、この議案には、賛成できないということを表明して、質問を終わります。



以下は本日のやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをご了承ください。

■議案第106号 高槻市行政手続における個人番号の利用等に関する条例制定について

<1回目>
1.市は、条例案の別表に記載されている医療費等の助成や生活保護の措置に関する事務について、個人番号(マイナンバー)を利用するために、条例で規定をしたいということですが、これらのシステムの改修等には、どれだけの費用がかかるのでしょうか?
2.条例を制定することで、現状と比べて、どれだけの費用対効果が見込まれるのでしょうか?
3.情報漏えいの防止等については、どのような対策をされるのでしょうか?この条例の制定によって、新たなセキュリティ対策などされるのでしょうか?

<答弁>
 1点目の個人番号利用のためのシステム改修費についてのお尋ねでございますが、医療費等の助成についてのシステム改修費及び生活保護の措置に関する事務についてのシステム改修費については、それぞれ1710万円と640万円を予算計上しております。
 2点目のご質問ですが、個人番号制度につきましては、社会基盤の整備を目的とし、全体としての効果を見込まれていますが、個別個別の事務での効果を見込んでおるものではございません。システム完成後は、市民の方にとって一定の利便性が増すものと考えております。
 次に、3点目の情報漏えいの防止対策についてのお尋ねですが、以前より、ICカード認証・監視カメラの設置等により電算機室の入退室管理を行うとともに、機器の持ち込み禁止等の物理的対策を行っており、また、ウイルス対策ソフトの導入及び最新化、ファイアウォールによる通信制御、操作ログの取得等の技術的対策も行っております。
職員に対しても、情報セキュリティについての研修を定期的に実施し、教育・啓発を行っており、対策を講じておるところでございます。
 以上でございます。

<2回目>
1.ご答弁からすると、個人番号制度については、国として、全体としての効果を見込んでいるけれども、市としては、個別個別の事務での効果を見込んではいないということのようです。個人番号制度は、高槻市にとっては、費用対効果が見込めないものなのでしょうか?お答えください。
2.一方で、システム完成後は、市民の方にとって一定の利便性が増すということです。具体的には、どれだけの人数の市民の方の利便性が、どのように増すのでしょうか?お答えください。
3.セキュリティ対策に関しては、特にこれまでと変わらないということなんでしょうか?お答えください。

<答弁>
 1点目のご質問ですが、個人番号制度については全国的な規模の制度であり、「情報提供ネットワークシステム」が整備され、情報連携が開始された後には、市にも効果があるものと考えております。
 2点目のお尋ねですが、各種申請について添付書類が不要となる等の効果があるため、申請を行う市民の大多数の方の利便性が向上すると考えております。
 次に、3点目の情報漏えいの防止対策についてのお尋ねですが、1問目でお答えしたような物理的対策、技術的対策、人的対策を現在行っておりますが、今後も新しい技術をとりいれ、より強固なセキュリティ対策を行ってまいります。

<質問3>
 ご答弁からすると、やはり、今回の条例制定に関しては、市の事務単独では、効果を見込んではいないようです。国のマイナンバー制度・個人番号制度の費用対効果については、その試算を疑問視する声も上がっています。費用対効果という点では、疑問を感じざるをえません。
 セキュリティ対策に関しても、ご答弁の内容は、マイナンバーとは直接関係がないですよね。
 あとは、市民の利便性がどの程度向上するのかということが問題かと思いますが、各種申請について添付書類が不要等となるので、申請を行う市民の大多数の方の利便性が向上するという、ちょっとあいまいなご答弁です。
 資料を見てみると、平成28年1月から個人番号を照会できる環境になると、各システムから、統合宛名システムを照会できるようになるということです。この統合宛名システムには、個人番号と、氏名・住所・生年月日・性別の4情報があって、これらの情報を、各システムは、個人番号から検索して入手できるようになるようです。氏名・住所・生年月日・性別というのは、住民票に記載されている情報ですが、不要となる添付書類というのは、住民票なのでしょうか?それとも、それ以外にあるのでしょうか?
 市民の利便性は、具体的にどれだけ向上するのでしょうか?不要となる添付書類というのは、具体的に何なのでしょうか?お答えください。
 また、昨年度の実績からすれば、だいたい何人くらいの方が、そういった利便性を享受できるのでしょうか?お答えください。

<答弁要旨>
 番号制度の導入により、個人番号の利用が認められた事務において住民票の写しのほか、所得証明書などの添付書類が省略される。
 利便性を享受できる具体的な人数は把握していない。

<4回目>
 JNNが今年の10月に行った世論調査では、「マイナンバー制度」について「不安だ」と答えた人は79%。「不安はない」と答えた人は17%。国による個人情報の管理については「信頼する」と答えた人が17%。「信頼しない」と答えた人が77%ということでした。
 マイナンバーを利用すれば、住民票とか所得証明書などの添付書類が省けて利便性が向上すると言われても、マイナンバー制度への不安から、マイナンバーを使わない人もかなり出てくるのではないでしょうか?
 先ほども申し上げましたが、ご答弁からすると、費用対効果も見込めないわけですが、それでもこの条例を制定して、システムの改修を行う意味というのは、市民の利便性の向上のため、としかいえないですよね。
 でも、マイナンバーを使用する市民が少ない場合には、システム改修には数千万円の税金がかかるわけですから、税金の無駄になってしまいます。
 まずは、番号法に規定されている事務だけやってみて、どれだけマイナンバーを利用する市民の方がいるのか、様子を見てもいいのではないでしょうか?
 そのように思いますので、もし利用者が増えて、セキュリティ上も、問題が起きていないし、安全性が確保されているなと考えられるなら、賛成しますが、現時点では、この議案には、賛成できないということを表明して、質問を終わります。




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