高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【非常勤職員採用試験】市職員経験者くらいしかまともに解けない問題が。

今回は前回に引き続き9月議会の一般質問で取り上げた非常勤職員の採用試験について。歴史館専門員(しろあと歴史館・民俗担当)の試験問題で次の出題がされました。

高槻市の歴史館専門員(しろあと歴史館・民俗担当)の試験問題・問8

問8 高槻市立しろあと歴史館には、江戸時代中期の商家を活用した分館・歴史民俗資料館があります。この施設を用いて、次の3つのキーワードのうち、2つを使用した文化財の普及啓発事業を具体的に企画し、その内容を記述しなさい。

【キーワード】「体験」「子ども」「生活



この問題を解くためには、歴史民俗資料館にどういった文化財があるのか知っている必要があります。でないと、満足な答案は書けません。江戸時代の商家にありそうな文化財を想像して答案を書いたとしても、歴史民俗資料館に実在しないものであれば、的外れなものになるからです。しかし、問題文には、文化財について全く示されていません。

先日、歴史民俗資料館に行ってみると・・・

高槻市立歴史民俗資料館「綿くり・糸つむぎ体験」

高槻市立歴史民俗資料館「綿くり・糸つむぎ体験」糸車

「綿くり・糸つむぎ体験」を行った際の写真が展示されていました。子供達が、糸車などを使って、昔の生活体験するイベントのようです。

高槻市立歴史民俗資料館「たたきぞめ体験」

「たたきぞめ体験」のパネルも。

高槻市立しろあと歴史館「子ども体験コーナー」

しろあと歴史館のほうでは、昔のおもちゃや昔の衣装を体験できる「子ども体験コーナー」が設けられていました。

議会でこうした体験イベントがどれだけ開催されたのか尋ねると、平成22年から26年の過去5年間で、のべ91回とのこと。

実際に何度もイベントを企画・実施したことのある市職員経験者であれば、この問題は簡単に解けたことでしょう。

同じく歴史館専門員(しろあと歴史館・民俗担当)の試験問題では次の問題も。

高槻市の歴史館専門員(しろあと歴史館・民俗担当)の試験問題・問7

問7 高槻市立しろあと歴史館が収蔵する文化財のうち、次の資料群の名称を答え、その評価を市民に説明しなさい。



しろあと歴史館に行ってみると、次の説明書きがありました。

伏見人形

伏見人形は、京都の伏見稲荷大社の門前で、参詣土産として売られる土人形です。



しろあと歴史館で勤務していた市職員であれば、模範解答がずっと職場に掲示されていたわけですから、簡単に解けたことでしょう。

議会で「どのようにすればこの問題を解くことができたのでしょうか?また、全受験者中、何人がこの問題を解くことができたのでしょうか?」と尋ねると・・・

『歴史館専門員(民俗担当・非常勤職員)募集要項』での受験資格を、「①学芸員資格を有すること、②本市の歴史や文化財に関する知識を有すること、③博物館での普及啓発活動に意欲を有すること」としております。設問は、歴史館専門員としての知識、企画力、提案力を探る基本的なものであり、経験の有無を問わず、専門職として当然答えられる内容と認識しております。設問ごとの解答者数は集計しておりません。



・・・との答弁が。しかし、京都の伏見稲荷大社の門前で売られていた伏見人形が、高槻市の歴史や、高槻市文化財といえるでしょうか?

この採用試験が何故行われたか。決裁文書の「起案の要旨」には・・・

歴史館専門員の募集・起案の要旨

 しろあと歴史館勤務の歴史館専門員2名のうち、民俗担当は今年度末に5年の委嘱期間が満了となり、古文書担当は今年度末に退職します。
 つきましては・・・歴史館専門員の採用試験を実施するものです。



・・・とありました。

歴史館専門員の民俗担当1名は5年の委嘱期間が満了、古文書担当(考古担当)1名は退職するので、それぞれを1名、採用するための試験を実施するということです。民俗担当の方は再び試験を受けて合格すれば、さらに勤務ができるというわけです。

考古担当の採用試験の問題は、私が見た限りは、一般的な受験対策をすれば、それなりに解けそうな問題でした。

でも、民俗担当の試験問題は、上記のとおり、市職員経験者でなければ難しい問題が出題されていました。民俗担当の採用試験の結果はどうなったのか?これは、1名ということで、あまりにも露骨になってしまいますので、あえて議会では質問せんでしたが、公平な試験が行われたとは、私は言えないと思います。

以下は議会でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをお許しください。

■非常勤職員の試験問題等について

<1回目>
(5)平成26年3月2日に実施された「高槻市教育委員会非常勤嘱託員(歴史館専門員・民俗)採用候補者試験」の試験問題の中に、「高槻市立しろあと歴史館が収蔵する文化財のうち、次の資料群の名称を答え、その評価を市民に説明しなさい。」という問題があり、資料群の写真が掲載されていました。高槻市の歴史館のサイトを見ても、この資料群の説明が見当たらなかったんですが、どのようにすればこの問題を解くことができたのでしょうか?また、全受験者中、何人がこの問題を解くことができたのでしょうか?それぞれお答えください。
(6)同じく平成26年3月2日に実施された「歴史館専門員・民俗」の試験問題の中に、「高槻市立しろあと歴史館には、江戸時代中期の商家を活用した分館・歴史民俗資料館があります。この施設を用いて、次の3つのキーワード(「体験」「子ども」「生活」)のうち、2つを使用した文化財の普及啓発事業を具体的に企画し、その内容を記述しなさい。」という問題がありました。この問題を解くためには、歴史民俗資料館にどういった文化財があるのか知っている必要があります。でないと、満足な答案は書けませんが、問題文にはそのようなものは全く示されていません。もしかすると、歴史民俗資料館では、実際にこのような企画が実施されたことがあるのでしょうか?また、そうした企画に携わった職員が、この採用試験を受けたということはないのでしょうか?全受験者中、何人がこの問題を解くことができたのでしょうか?それぞれお答えください。

⇒5点目及び6点目の歴史館専門員の試験問題についてですが、『歴史館専門員(民俗担当・非常勤職員)募集要項』での受験資格を、「①学芸員資格を有すること、②本市の歴史や文化財に関する知識を有すること、③博物館での普及啓発活動に意欲を有すること」としております。設問は、歴史館専門員としての知識、企画力、提案力を探る基本的なものであり、経験の有無を問わず、専門職として当然答えられる内容と認識しております。設問ごとの解答者数は集計しておりません。

<2回目>

(4)歴史館専門員の試験で出題された、歴史館が収蔵する資料群は、「伏見人形」のようです。先日、歴史館に行って、説明書きを見たら、伏見人形は、京都の伏見稲荷大社の門前で、参詣土産として売られている土人形だとされていました。ご答弁では「本市の歴史や文化財に関する知識を有すること」を受験資格としていたということですが、伏見人形は本市の歴史や、本市の文化財といえるのでしょうか?お答えください。

⇒4点目、歴史館の収蔵資料についてですが、全国の土人形のルーツともいえる伏見人形は、しろあと歴史館の代表的な収蔵品のひとつでございます。本市だけでなく、日本全体の歴史や文化にもつながるすぐれた資料群でもあり、本市の専門職試験としては妥当な内容と考えております。

(5)同じく歴史館専門員の試験では、「体験」「子ども」「生活」のキーワードを使って、歴史民俗資料館の普及啓発事業を企画しなさいという問題が出されましたが、先日、歴史民俗資料館に行くと、「綿くり・糸つむぎ体験」を行った際の写真が展示されていました。子供達が、糸車などを使って、昔の生活を体験するイベントのようです。他にも「たたきぞめ体験」のパネルもありましたし、歴史館のほうでは、昔のおもちゃや、昔の衣装を体験できる「子ども体験コーナー」が設けられていました。こうした子ども向けの体験イベントは、過去5年間でどれだけ行われたのでしょうか?お答えください。

⇒5点目、子ども向け体験イベントについてですが、子ども達だけでなく、広く市民の参加を想定したもので、平成22年から26年の過去5年間でのべ91回実施しております。

(6)歴史館が収蔵する資料群や、実際に実施された企画について出題すれば、あまりにも現職の職員が有利です。試験を行う以上、公平を期するために、少なくとも、過去の試験問題の内容を公表して、受験者が出題傾向を把握できるようにすべきだと思いますが、市の見解をお聞かせください。

⇒6点目、歴史館専門員の試験問題についてですが、歴史館の業務に携わる人材を求める以上、文化財に特化した設問内容となるのは当然のことでございます。試験は、現職であるか否かや、過去の出題傾向の把握如何にかかわらず、1問目でお答えしたとおり、受験者の知識・企画力・提案力を探ろうとするものでございます。

<3回目>

 歴史館専門員のほうですが、採用試験を何故行うのかを説明している「起案の要旨」を見ると、歴史館専門員の民俗担当1名が5年の委嘱期間が満了となる、古文書担当、これはその後「考古担当」となるんですけれども、古文書担当1名が退職するので、それぞれを1名、計2名ですね、採用するための試験を実施するということになっていました。
 考古担当の試験は、私が見た限りは、一般的な受験対策をすれば、それなりに解けそうな問題でした。
でも、民俗担当の試験問題は、先ほど申し上げたとおり、市職員経験者でなければ難しい問題がいくつか出題されていました。民俗担当の採用試験の結果はどうなったのか?これは、1名ということで、あまりにも露骨になってしまいますので、あえて質問しませんけれども、こちらについても、公平な試験が行われたとは、私は言えないと思います。