高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【附属機関訴訟控訴審】次回は2月12日


昨日10時30分から、附属機関訴訟の控訴審の第1回口頭弁論が、大阪高等裁判所で開かれました。

大阪地裁では、私が訴えていた17の組織等のすべてが地方自治法上の「附属機関」であると認定され、それらを条例で設置していなかった高槻市の行為が違法だと認定されました。また、現在も存続していると裁判所に認定された4つのものについては公金の支出が差し止められました。つまり、私の一部勝訴となったわけです。

高槻市役所は、この差し止めを不服として控訴。私のほうも、高槻版事業仕分けの「事業公開評価会」と高槻市バス営業所売上金不明事案特別調査員について、あまりにもおかしなやり方や主張を高槻市役所がしているので、控訴しました。

次回は、来年2月12日10時30分から。大阪高裁72号法廷です。ぜひ傍聴にお越しください。

以下は、私の控訴理由書と控訴答弁書です。

平成26年(行コ)第158号 公金支出差止等請求控訴事件
(原審事件番号:平成24年(行ウ)第262号、第264号乃至第279号)
控訴人兼被控訴人(原告) 北 岡 隆 浩
控訴人兼控訴人(被告) 高槻市長 濱田 剛史

控訴理由書

平成26年11月4日
大阪高等裁判所 第10民事部ロ係 御中
控訴人兼被控訴人(原告) 北岡 隆浩

原判決には以下のとおり事実誤認の違法があり取消しを免れない。

第1 「第3 当裁判所の判断」中、第1項(2)について

原審は、「高槻市事業公開評価会」(以下「評価会」という。)に係る差止めの訴えについて、「証拠(乙A3,B7)及び弁論の全趣旨によれば,市は,評価会が行う職務について,附属機関として条例に基づき設置された高槻市行財政改革推進委員会の分科会にこれを行わせるものとし,平成25年4月16日をもって高槻市事業公開評価実施要綱を廃止したことが認められ,このような事実からすると,同要綱に基づき設置された評価会が今後開催される見込みはないものというべきであるから,評価会に関して今後公金の支出が行われることが相当の確実さをもって予測されるとはいえない。」として、却下した(原判決32頁18乃至25行目)。

しかし、評価会の名称や職務権限の内容等は、条例に一切記載されていないのであるから、評価会が、同分科会で行われているとする条例上の根拠は存在しない。議会でも、評価会を同分科会で行うことについて、承認されていないし、そのための条例改正も行われていない。

したがって、原審は事実認定を誤ったというべきであるから、原審の判断は失当である。

附属機関は法律又は条例で設置すべしとする地方自治法138条の4第3項の趣旨からすれば、議会の承認を得ず、市長の裁量のみで、既に条例で設置した別の機関の「分科会」の類に位置付けるというやり方は、法を潜脱する行為で、許されないというべきである。そのようなやり方を認めてしまえば、どんな違法な組織でも、議会での手続きを経ずに、適法なものにすり替えてしまうことができるようになって、議会制の仕組みが蔑ろにされてしまうことになる。この判例が流布されれば全国的な悪影響も危惧される。

こうした点からも、原審の判断は問題がある。

評価会の要綱は廃止されたというのであるが、そうすると、評価会は、要綱が廃止された平成25年4月16日以降、条例上の根拠がないだけでなく、要綱上の根拠すらもなく、毎年開催され、違法に公金が支出されてきたといえるし、今後も、「分科会」と称して開催され、公金が支出されると考えられる。

したがって、「評価会に係る差止めの訴えは不適法である。」とした原審の判断は誤りであるから、差止め請求は認められるべきである。

第2 「第3 当裁判所の判断」中、第3項について

原審は、市長・濱田の故意・過失について、①多くの自治体が平成22年4月1日時点で、附属機関以外に、要綱等により設置された「附属機関に準じる機関」を設けていたこと、②附属機関の意義について解釈を示したり、具体的な事例について附属機関該当性の判断を示したりした最高裁判例や、法律又は条例によらずに設置された附属機関に相当する機関に係る支出について、その適法性を判断した最高裁判例は存在しないこと、③下級審裁判例をみても、本件以後に、それ以前の下級審裁判例では見られなかった附属機関の意義についての解釈を示して,訴訟で問題とされた機関の附属機関該当性を否定するものも現れていること、④学説上も、附属機関の意義の解釈について見解の一致はみられていないことを理由に、認めなかった。

しかし、①については、他市で違法行為が横行していたからといって、市長としての指揮監督義務違反が免責されてはならないはずである。他の判例でも、名古屋地方裁判所平成10年10月30日判決をはじめ、複数の判決で、首長の賠償責任が認定されている。奈良地裁平成26年2月18日判決も、「・・・他の地方公共団体の中に条例によらず要綱に基づいて附属機関を設置している地方公共団体が存在するとしても、これによって附属機関を条例によらず要綱に基づいて設置することが許されることになるものではない。」と認定している。

②及び③についても、奈良地裁平成26年2月18日判決は、「平成24年頃以前に出された下級裁判所の裁判例には、法138条の4第3項所定の附属機関を法律又は条例によらず要綱によって設置することが違法である旨を判示するものが複数存在するが、これが適法である旨を判示するものは見当たらない。・・・これらの事情を勘案すれば、平成24年頃以前において、・・・最高裁判所の判断こそ示されていないものの、附属機関に準じる機関の委員等に対する報酬の支出を違法とする下級審裁判例は一定数存在していた・・・裁判例等についての調査を行っていたならば、本件委員会の委員に対し報酬又は謝礼の支払を続けることに疑義のあることは容易に知り得たものというべきである。」としている。広島高裁岡山支部平成21年6月4日判決では、平成14年に要綱違法解釈の判例が3件出ていたことに鑑みれば、市長個人に公金違法支出にかかる過失が認められてしかるべきであるとされている。

両判決とも、以上の理由で、市長の過失責任・損害賠償義務を認定しているから、原審の判断は失当である。
④については、複数の学説が対立することは往々にしてあることであり、それの決着を待たなければ司法や行政が判断を下せないということはないのであるし、上記のとおり、多くの判決で違法性及び首長の責任が認定されているのであるから、行政としては、学説に口を挟んだり決着をつけたりできる立場にもないのだし、司法に違法と認定されぬよう、各判決に示された判断の中で一番厳しい基準を用いるべきであった。

よって、やはり原審の判断は失当である。

第3 評価しない「評価会」、調査しない「特別調査員」

控訴人の控訴部分(評価会及び特別調査員)につき特に以下の主張をする。

1 評価しない「評価会」

当初、評価会は「事務事業の評価を行う機関」であった。評価の実施は、公開の場において、評価者と職員との質疑並びに評価者間の議論を踏まえた評価をコーディネーターのもとで行うものとされ、コーディネーターは評価者各自の意見の総括を行うこととされていた。これにより、市長が対象事業を選定するにあたり助言等をするというのである。(甲A-4・4頁)。

しかし、被控訴人兼控訴人(被告)は、平成24年6月1日に施行された高槻市事業公開評価会実施要綱を、平成24年10月3日に改正し、同評価会を、名称はそのままで、評価を行わない組織に変更した(平成25年5月27日付被告準備書面(1)10頁、乙B-2)。変更後の同評価会においては、「・・・評価者の意見の列挙をするのみ」であるという(平成25年5月27日付被告準備書面(1)9頁15行目)。

すなわち、評価会は、設立当初の目的が変更され、羊頭狗肉の組織となったのである。

この変更は、平成24年9月18日の控訴人兼被控訴人(原告)の本件に係る住民監査請求や同月議会での指摘を受け、評価をすれば学説上も明らかに附属機関に該当し違法であるから、それを免れるために「意見の列挙をするのみ」との目的にすり替えるためのものであると考える。

会の名称ともなっている「評価」という核心の目的を失ったのであるから、組織として存在理由が何もない。せめて市民に誤解を与えぬよう、名称を「評価はしない会」とか「意見会」など、実態に合ったものにすべきであった。

ところが被告は、この評価をしない「評価会」を維持し、あまつさえ開催もしてしまった。そして、現在も、名称を変更せず、組織を維持している。

つまり、この評価会の真の目的は、評価をすることではなく、開催すること自体だったのである。評価会は、濱田が「高槻版事業仕分け」と位置付けていたものであり、彼の目玉的な政策である。開催することで、あたかも事業仕分けがなされたように、有権者にアピールすることが、真の狙いだったのだ。事業に対する評価など、どうでもよかったのである。

したがって、評価会の評価者及びコーディネーターへの公金支出は、被告の裁量の逸脱・濫用という点からも、違法といわざるをえない。

また、第1記載のとおり、平成25年4月16日に評価会の要綱が廃止されて以降は、評価会は、要綱上も条例上も根拠なく開催され、各委員に報酬が支給されている。

2 調査しない「調査員」

控訴人兼控訴人(被告)は、原審において、「高槻市営パス営業所売上金不明事案特別調査員は、・・・調査を行い(乙C3)」としていたが(平成25年5月27日付被告準備書面(1)10頁下から1行目乃至11頁2行目)、この主張を翻し、特別調査員は、実際には「指導,助言等を行うものであって,自らが調査を行うものではない」と主張を変えた(原判決23頁16乃至17行目)。

この点、原審は、「特別調査員の設置目的,活動実態等に照らせば,特別調査員は,執行機関が,本件売上金不明事案の調査という行政執行のために,その調査を専門家の意見,助力を求めるべく設置していた機関であり,『調査』を行うことを職務とする機関であるということができるから,特別調査員は附属機関に当たるものと認められる。」として、広い意味では「調査」に該当するとして、被控訴人兼控訴人(被告)の主張を退けた。

控訴人兼控訴人(被告)は、平成25年5月27日付被告準備書面(1)で、特別調査員2名の連名で、「高槻市営バス営業所売上金不明事案特別調査業務に関する結果報告書」が提出されたとしているが(平成25年5月27日付被告準備書面(1)11頁2乃至4行目)、原審の法廷で尋ねても、情報公開請求しても、そのような特別調査員連署の結果報告書は存在しないということであった(甲C-4乃至7)。被控訴人兼控訴人(被告)は虚偽の主張をしていたのである。

控訴人兼控訴人(被告)の主張によれば、特別調査員は調査をしなかったというのであるが、それが事実であるからこそ、上記の調査結果たる結果報告書を作成・提出することが不可能であったと考えられる。

当初の「特別調査委員は調査を行っていた」とする主張を裁判所に誤信させるため、ありもしない結果報告書をでっち上げたと推察されるが、このような調査の成果物が存在しない以上、やはり、特別調査員の活動自体、実態のないものと考えられ、それに対する報酬として公金を支出したことは違法であるといわざるをえない。

「特別調査員」との名称を付す以上は、特別に調査を行うため任命された者と考えるのが当たり前である。もし実態に合わせるなら「助言員」や「指導員」としたはずである。調査をさせないのに「特別調査員」との特別な名称を付けたのは、議会や市民を騙す意図があったと考えられる。

やはり、濱田の政治的パフォーマンスや、特別調査員らへの利益供与を隠す目的でされたものといわざるをえない。

したがって、原審の判断は、この点でも、事実を見落とし、誤っている。

以上



平成26年(行コ)第158号 公金支出差止等請求控訴事件
(原審事件番号:平成24年(行ウ)第262号、第264号乃至第279号)
控訴人兼被控訴人(原告) 北 岡 隆 浩
控訴人兼控訴人(被告) 高槻市長 濱田 剛史

控訴答弁書

平成26年12月9日
大阪高等裁判所 第10民事部ロ係 御中
控訴人兼被控訴人(原告) 北岡 隆浩

第1 被控訴人兼控訴高槻市長濱田剛史(以下「被控訴人」という。)の控訴の趣旨に対する答弁

1 本件控訴を棄却する
2 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人兼控訴人の負担とする
との判決を求める。

第2 被控訴人の平成26年11月18日付控訴理由書中、

1 「第1 はじめに」について

第1段落については認める。

第2段落については否認ないし争う。原審の附属機関に関する法的解釈に誤りはない。被控訴人は、「附属機関の意義を形式的に捉えて広義に解釈することは,行政運営手法の選択肢を制約することにつながり,迅速な行政運営の妨げともなりうる。」と主張するが、そのようなことはありえない。被控訴人が附属機関を設置しようとするならば、単に、地方自治法138条の4第3項に基づき条例で設置すればよいだけであり、それは、なんら行政運営を制約することにはならない。むしろ、条例の歯止めなく、行政が、要綱でいくらでも有給の委員等を設置することが可能になってしまえば、税金の浪費につながってしまう。

第3段落については否認ないし争う。被控訴人は、「原判決は・・・今後も上記組織等の委員らに対する公金の支出が行われるかどうかについての審理を尽くしておらず・・・」と主張するが、原審において、被控訴人自身が、今後は当該委員らに公金を支出しないといった主張をしなかったのである。すなわち、被控訴人自身が、原審での審理から逃げたか、あるいは本控訴審において虚偽を主張しているのだ。被控訴人は、こっそりと当該委員らに関する要綱を変更しておいて(被控訴人の控訴理由書第3)、原審の判決言渡しを待ち、違法性と差止めの訴えが認められたため、控訴した後、突如として、要綱改正等したので「今後、公金支出はなされない。」(被控訴人の控訴理由書11頁17乃至18行目)と、主張し出したのである。あるいは当該要綱の改正・廃止等を捏造したとも考えられる(後に詳述)。

2 「第2 附属機関該当性について」について

否認ないし争う。被控訴人の主張は独自の解釈であって失当であり、原審の判断が正しい。

(1)高槻市特別顧問について

控訴人は、「原判決は,『市が選任された特別顧問との間で個別に準委任契約を締結したことを認めるに足りる証拠はない』(原判決40頁)と判示しているが,就任承諾書(乙D2)には,まさに,『高槻市特別顧問に就任することを承諾します』と明記されており,準委任契約が締結されたことを端的に示す書面というべきである。」等と主張するが、これらの文面では準委任契約が締結されたとはいえない。

原判決で「・・・有識者に専門的な意見を求めるべく設置する機関」等と認定されているとおり(原判決40頁)、同特別顧問は、「諮問」を受けて「審議」を行うことを職務とする機関であり、附属機関に該当する。

(2)高槻市高齢者虐待防止ネットワーク運営委員会

控訴人は、同委員会について「事務局からの報告が主であり,委員からは,事務局に対する質問,あるいは,個人的な見解を述べるにとどまっている。」などとしている。しかし、原審で、被控訴人は「各人の意見を述べるにとどまり」として(原判決27頁1行目)、各委員が意見を述べていると主張しており、主張が矛盾している。

原判決で「・・・市の高齢者虐待防止施策について議論され,委員らにより問題点の指摘等が行われている」と認定されているとおりの実態があるのであるから(原判決44頁)、同委員会は、「諮問」を受けて「審議」を行うことを職務とする機関であり、附属機関に該当する。

(3)高槻市立障害者福祉センター運営協議会

控訴人は、同委員会について「事務局からの報告が主であり,委員からは,事務局に対する質問,あるいは,個人的な見解を述べるにとどまっている。」などとしている。しかし、原審で、被控訴人は「委員らの意見交換が行われる場」としており(原判決27頁14乃至15行目)、主張が矛盾している。

原判決で「・・・学識経験者等の委員らの意見を得ることによって、福祉センターが行う事業等の推進・改善を行う目的で設置された機関」と認定されているとおりの実態があるのであるから(原判決45頁)、同協議会は、「諮問」を受けて「審議」を行うことを職務とする機関であり、附属機関に該当する。

(4)高槻市採石等公害防止対策協議会

控訴人は、同協議会が「採石等公害に関係する団体等により自主的に組織された団体」と主張するが、各委員を「市長が委嘱」(甲Q1・4条2項)しているだけでなく、各委員への報酬は高槻市が公金で支出しており(乙Q5-1乃至4、乙Q6-1及び2)、事務局も高槻市役所に置かれている(甲Q1・9条2項)。こうした実態から、高槻市が設置した機関ということができる。

また、原審が認定するとおり、同協議会には、市内の公害防止という行政執行のために、協議や調査等を行った実態がある。

したがって、原判決で認定されているとおり、同協議会は、「調査」を行うことや「諮問」を受けて「審議」を行うことを職務とする機関であり、附属機関に該当する。

3 「第3 今後の各組織等の活動について」について

否認ないし争う。

控訴人は、高槻市特別顧問及び高槻市高齢者虐待防止ネットワーク運営委員会については要綱を改正し、高槻市立障害者福祉センター運営協議会については要綱を廃止し、高槻市採石等公害防止対策協議会については解散したため、今後は公金が支出されないので、公金支出を差止める必要がない旨主張する。

しかし、これらの要綱の改正や廃止等については、公布・告知・広報等は一切されず、議会にも報告されなかったし、原審の審理においても、被控訴人は主張しなかった。

控訴人は、上記要綱改正等を平成25年3月から11月までの間にしたというのであるが(乙D7、乙L6、乙Q7)、原審の口頭弁論終結日は、その翌年の平成26年5月23日である。これらの改正等が事実であれば、被控訴人には、原審で主張できる時間的な余裕が十分にあったのに、不自然にも、そうしなかったのである。

つまり、原判決言渡し後に、被控訴人がこれらを捏造したか、もしくは、被控訴人が原審で勝訴した場合には、要綱改正等は初めからなかったものとして闇に葬ろうとしていたか、あるいは、再び報酬を支給する要綱の改正・要綱の復活等をしようとしていたと考えられるのである。

なお、被控訴人は、高齢者虐待防止ネットワーク運営委員会については、平成25年4月10日に要綱を改正したというが、その証拠は何ら示されていない。

したがって、本控訴審において被控訴人が提出した証拠や、これらの証拠に基づく被控訴人の主張は信用できない。

また、要綱等を、被控訴人の裁量で、勝手に、改正したり、廃止したり、あるいは復活させたりということが可能であれば、控訴審判決言渡し後に、再び、同じような組織・機関・委員の類を設け、報酬支給等の公金支出を行うということもありえる。

よって、上記の4機関については、やはり、公金支出を差止める必要がある。

以上