高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

離婚時に未成年の子を守る・・・明石市の取り組みに学び、子供の相談窓口を!

高槻市役所1階の窓口に置かれた離婚届と説明書

未成年の子のいる夫婦が離婚する際、養育費と面会交流について取り決めるよう定めた改正民法が平成24年に施行され、離婚届にその有無を記すチェック欄が新設されたのですが、記入がなくても受理されるため、実効性が疑問視されています。

養育費と面会交流の有無を記すチェック欄

この現状に、明石市では、今年4月から、離婚を考える夫婦が市役所を訪れた際、子供との面会交流や養育費について離婚後の方針を記入する「合意書」や「養育プラン」を配布する等の全国初の取り組みをすることに。

このことをお世話になっている弁護士さんに聞いた私は、明石市役所に合意書等をいただけないかと3月に問い合わせたのですが、4月から公表するということで、いただくことができませんでした。

しかし先週、明石市役所から電話があり、合意書等をHPで公開したと教えてくれました。電話までして報せてくれるなんてと感動しました。合意書等だけでなく、こういう姿勢も学ぶべきではないかと思います。

こうした離婚時の取り組みを、高槻市でもやれないかと、3月議会の一般質問で取り上げたのですが、事前に高槻市の現状を調べたところ、HPや窓口の説明書の離婚届の記入例は古いままでチェック欄がなく、それがある理由(民法改正の趣旨)も記載されていないことが分かりました。

議会での質問の前には質問原稿と答弁原稿をやりとりすることが多いのですが、この離婚届に関する質問原稿を担当課に送ったところ、HPの離婚届の記入例はすぐに差し替えられたのですが、他は改善されませんでした。議会ではこれらを指摘し、改善するよう要望しました。

また、議員インターンの大学生に、親の離婚を経験した友達に意見を聞いてもらったところ、子の立場としては自分の感情の整理がつく前に、既にいろいろ決まっていたり、親権や住居の選択を突然迫られたりしたことがあったとのことでした。そこで、市役所に子供の相談を受け付ける窓口を設けること等要望しました。


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以下は質問と答弁の内容です。原稿やメモ、記憶に基づいているので、不正確な部分もあることをご了承ください。

■離婚届や未成年者の養育等について

<質問1>

1.高槻市における離婚件数、離婚率、離婚後の家庭に未成年の子のいる割合は、それぞれどれだけなのでしょうか?過去3年度のものをお教えください。
2.高槻市では、母子家庭・父子家庭の一人親家庭の方で、養育費の取り決めをされているのは何%なのでしょうか?面会交流をされているのは何%なのでしょうか?それぞれお答えください。
3.協議離婚の場合は、子どもの監護について「面会交流」と「養育費の分担」を協議して定めるべきであるとする改正民法が約2年前の平成24年4月1日に施行されるのに伴って、自治体の窓口で配付する離婚届の用紙に「面会交流」と「養育費の分担」についてチェックする欄が設けられたんですが、高槻市のホームページや窓口に置かれている「離婚届について」という説明書には、それについての説明がまったくなく、記入例にもチェック欄がありません。何故なのでしょうか?
4.離婚届自体には、チェック欄が設けられているのですが、このチェック欄によって、具体的にどれだけの効果があったのでしょうか?
5.このチェック欄にどれだけチェックがされているか集計されているのでしょうか?されているのであれば、各件数はそれぞれどれだけなのでしょうか。
6.未成年の子がいるにもかかわらず、離婚届の「面会交流」あるいは「養育費の分担」の項目にチェックがされていない、つまり、それらの取り決めがされていないと考えられる場合、市として何かされているのでしょうか?
7.離婚前後の家庭の未成年の子に対して、市としてはどのようなことをされているのでしょうか?


<答弁1> 

1点目の高槻市での離婚件数と離婚率ですが、(平成21年度が674件で1.89、)平成22年度が655件で1.83、平成23年度が629件で1.76、平成24年度が574件で1.6となります。なお、未成年の子がいる件数は把握しておりません。
 児童扶養手当受給者を対象として平成24年8月に実施したアンケート調査結果では、養育費の取り決めをされている母子家庭は44%、父子家庭は23.1%です。
 面会交流をされているのは、母子家庭は28.6%、父子家庭は38.4%です。  
 3点目のホームページの件ですが、早々に差し替えを行いました。
 4点目の「チェック欄」ですが、市としては把握しておりません。
 5点目の集計ですが、市としては集計をしておりません。
 6点目のチェックがない場合ですが、市として特に対応はしておりません。
 7点目の離婚前後の未成年の子に関する対応につきましては、生活上の問題や自立のためのひとり親家庭への自立支援相談を通して、安心して子育てや家事と仕事の両立ができるよう母子家庭等日常生活支援事業を実施しております。


<質問2>

1.ホームページは早々に差し替えたというご答弁ですが、PDFファイルの記入例だけしか差替えられていません。何故ホームページの説明の本文には、離婚届に「面会交流」と「養育費の分担」についてのチェック欄があることを書かないのでしょうか?しっかりと「未成年の子がいる場合に父母が離婚するときは、面会交流や養育費の分担など子の監護について必要な事項についても父母の協議で定めることとされています。この場合には、子の利益を最も優先して考えなければならないこととされています。」と書くべきだと思いますが、市の見解をお聞かせ下さい。
また、市役所1階の窓口に置かれた説明書は未だに替わっていませんが、いつ替えるのでしょうか?
2.産経新聞の記事によると、これは全国での割合ですが、父母間で養育費に関する取り決めがあるのは37.7%であるものの、実際に養育費を受けていたのは19.7%にとどまるとのことです。高槻市で実際に養育費を受けておられるのは、母子家庭、父子家庭でそれぞれ何%なのでしょうか?
3.同じく産経新聞の記事によると、面会交流についての取り決めがあるのは23.4%だけれども、そのうち実際に交流していたのは27.7%とのことです。高槻市では実際に交流されているのは何%なのでしょうか?母子家庭、父子家庭、それぞれについてお答えください。


<答弁2>

 次に1点目のホームページ等の件ですが、離婚届出内容のすべてを説明記載することは考えていません。なお、市民課の説明書は、早期に差し替える予定です。
 2点目と3点目の厚生労働省の平成23年度全国母子世帯等調査では、都道府県また市町村ごとの調査結果は出されていません。
 本市での現在も養育費を受けておられる率ですが、児童扶養手当受給者を対象に平成24年8月に実施したアンケート調査結果では、母子家庭は17.5%、父子家庭は5.7%、実際に面会交流をされている率として、母子家庭は28.7%、父子家庭は38.4%です。


<質問3>

 この問題を取り上げたのは、私がお世話になっている弁護士さんが、明石市の取り組みを評価されていたからです。
 産経新聞によると・・・
 子供と会えずに家庭裁判所に調停を申し立てる件数は年々右肩上がりで、23年度は10年前の約3倍の8714件。
 平成24年4月には、子供のいる夫婦が離婚する際、養育費と面会交流について取り決めるよう定めた改正民法が施行され、離婚届に任意で取り決めの有無を記すチェック欄が新設されたが、記入がなくても受理されるため、実効性は疑問視されている。
 この状況を受けて、明石市では、離婚を考える夫婦が市役所を訪れた際、養育費や面会交流について離婚後の方針を記入する「合意書」と「養育プラン」を配布するという、全国に先駆けた取り組みをこの4月から行う
・・・とのことです。これは明石市の泉市長が弁護士ということで、その経験から提案されたそうです。
 「合意書」などが配りっぱなしにならないように、記入の“特典”として、面会交流の際に親子で利用できる市内の公共施設の無料ペア券の贈呈することや、合意書を公正証書にしてもらうよう作成費用の助成も検討しているとのことです。
 お世話になっている弁護士さんは、法テラスや公証役場臨床心理士などの専門家、 民間団体との連携をしてほしいし、市役所などに親子が面会できるスペースがあればということもおっしゃっていました。
 また、議員インターンで来てくれている大学生に、親の離婚を経験した友達に意見を聞いてもらったところ、子供の立場としては、自分の感情の整理がつくまえに、すでにいろいろ決まっていたり、親権や住居の選択を突然迫られたりしたことがあったということでした。市役所に何がしてほしいかと訊いたら、子供の意見を聞いてもらえる、子供の相談を受け付けてくれる窓口を設けてほしいとのことでした。
 ですので、こうしたことの検討と、離婚の前にしっかりと「面会交流」と「養育費の分担」について決めるべきだということをホームページや窓口の説明書に記載することを要望して、この件については終わります。