高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

条例案の審議の前に関連予算案を上程してもいいのか?市民会館の耐震診断は無駄ではないのか?

3月議会の初日である2月27日の本会議で、私は平成24年度の一般会計補正予算と市バスの補正予算高槻市自動車運送事業会計補正予算)について数点質問しました。

一般会計補正予算について私の質問と高槻市役所側の答弁の内容は下のほうに載せましたが(ほぼ合っているはずですが、若干実際の発言と違いがあるかもしれません)、市のやり方には以下のいくつか問題があると考えられます。

・不動産を売払うのはよいが、売り払う以前に使用されていたものについては、使用料や賃料等の相当額を請求していないこと。
・まだ議会で審議していない条例案に基づく人事・給与システムの改修費用を、即決の補正予算案に計上していること。
高槻市のミスで過払いした生活保護費がどれだけ返還されたのか、係争中を理由に答えないこと。
・耐震改修が非現実的で、建て替えが検討されている市民会館について、無駄と思える耐震診断を行うこと。

結局、補正予算案は、賛成多数で可決されてしまったんですが、特に、条例案の議会審議の前に関連予算案を上程するなんていうのは、議会をなめていますし(超オール与党体制なので全ての議案が可決すると考えているのかもしれませんが)、議会はこんな予算案を通すべきではなかったと思います。

市民会館については、橋本議員や二木議員から指摘があったのですが、「市民会館建て替え基本構想」で「市民会館の構造的な問題」として・・・ 

 ・・・当時のコンクリートの設計基準強度は 180kgf/c ㎡・・・コンクリートの品質基準強度では・・・期待耐用年数は 30年・・・竣工から46年以上経過していることから・・・既に計画許容の期間を過ぎています。・・・この期間を過ぎた場合、部材の劣化による進行の度合いが高くなるものと考えらます。
 市民会館が竣工した当時の建物においては、現在設定されている、建物の用途に合わせた重要度係数が存在していません。・・・現基準同等まで耐震補強を行い、耐力を上げることは非常に困難である可能性が高くなります。
 ホールに対する耐震補強は、現状の動線に大きな影響を与えるような補強が想定されます。例えば、大部屋を二分するような位置への補強、既存開口や入口の減少、閉鎖などを必要とし、特にホワイエ等の人だまりとなる大空間の部分に補強部材が多数必要となり、ホールの実用性からすると実施困難といえます。



・・・といった指摘がされています。この指摘からすれば、耐震改修は非現実的と考えられます。

高槻市は国の交付金を活用して市民会館の耐震診断を行うというのですが、無駄じゃないでしょうか?それよりも、建て替えの議論を速やかに進めるべきです。

以下は私の質問と答弁の内容です。

■24年度一般会計補正予算

◆不動産売払収入について

<質問1>
 一般会計補正予算書19ページの不動産売払収入についてですが、1682万1千円増額されて、3182万1千円になっています。この不動産売払収入の詳細をお教え下さい。

≪答弁1≫
 不動産の売り払い収入につきましては、公用廃止されました普通財産の売り払いでございます。売り払い件数は、22件。内訳につきましては、普通河川(水路)であったものが8件、認定外道路(里道)であったものが9件、その他が5件でございます。

<質問2>
 この売り払った不動産についてですが、売り払う以前に使用されていたものは、何件あるのでしょうか?
 また、使用されていたもののうち、使用料や賃料を徴収していなかったものは、何件あるのでしょうか?お答えください。

≪答弁2≫
 売り払う以前に使用されていたものは6件です。
 また、使用されていたもののうち、使用料や賃料を徴収していなかったものも6件です。

<質問3>
 2点伺います。
(1)使用されていた6件のうち、6件で使用料や賃料を徴収していなかったということですが、この6件のうち、無許可あるいは契約なしに、使用されていたものは何件なのでしょうか?
(2)高槻市が所有権をもつ不動産が使用されていた場合には、使用料や賃料が事前に免除されていない限り、使用料や賃料、あるいはその相当額を使用者に対して当然請求すべきであると考えますが、高槻市は、こうした場合でも、請求しないということがあるのでしょうか?あるとすれば、それはどのような考えに基づいて請求しないのでしょうか?市の見解をお聞かせ下さい。
 不動産の売り払いは今後も進めていくべきだと思いますが、同時に、無許可で不動産を使用されてきた方に対しては、特段の事情がない限り、使用料や賃料、地代、あるいはその相当額を請求すべきです。しっかりとそうした請求もしていただくよう要望しておきます。

<答弁3>
 1点目の件についてご答弁申し上げます。使用されていた件数につきましては、6件でございます。請求する条例等がございませんので、使用料等については、請求しておりません。以上でございます。

◆人事情報システム保守について

<質問1>
 一般会計補正予算書28ページの人事管理費において、人事情報システム保守の委託料として、400万円が計上されています。これの内容を具体的にお教え下さい。

≪答弁1≫
 この4月から導入を予定している育児短時間勤務制度、退職手当の支給引下げ等に伴い、人事・給与システムの改修費用でございます。

<質問2>
 3点伺います。
(1)この400万円は、この4月から導入予定の、育児短時間勤務制度や退職手当の支給引下げ等に伴う人事・給与システムの改修費用とのことですが、その育児短時間勤務制度や退職手当の支給引下げというのは、この3月議会で、これから審議する予定の議案第15号「高槻市職員の退職手当に関する条例等中一部改正について」と、議案第16号「高槻市職員の育児休業等に関する条例等中一部改正について」に関するものなのでしょうか?それとも、これらの議案とはまったく関係がないものなのでしょうか?お答えください。
(2)仮に、これらの議案の可決を見越して、この予算案を上程するということであれば、否決された場合にはどうするのでしょうか?条例案の審議・採決の前に、関連する補正予算案を上程するというのは、問題ないのでしょうか?市の見解をお聞かせ下さい。
(3)「育児短時間勤務制度や退職手当の支給引下げ等」ということですが、「育児短時間勤務制度」と「退職手当の支給引下げ」以外には、具体的に何があるのでしょうか?お答えください。

≪答弁2≫
 1点目につきましては、4月1日からの施行を予定してございますので、本年度中にシステムを改修するものでございます。
 2点目につきましては、仮定のご質問ですので、ご答弁を差し控えさせていただきます。
 3点目につきましては、教職員の教職調整額に関するシステム改修でございます。 

<質問3>
 私は昨日、担当課に対して、この予算案が「議案第15号や16号と関係するものなのか、しないものなのか、はっきり答える形の答弁原稿に作り直してください。」と要望したんですが、今日のお答えは、やはり、はっきりしない、逃げるような官僚答弁で、大変残念です。
 答えられないということは、これから本会議や委員会で審議して、1か月後の3月27日に採決する予定の議案第15号や16号と関係する予算案なんだと、考えざるをえません。
 「議案第15号 高槻市職員の退職手当に関する条例等中一部改正について」の提案理由には・・・
・・・官民格差を是正するための国家公務員の退職手当の引下げを目的とした「国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律(平成24年法律第96号)」に準じて、次のとおり改正を行う。・・・
 ・・・とありますが、この「国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律」が成立したのは、平成24年11月16日です。
 「議案第16号 高槻市職員の育児休業等に関する条例等中一部改正について」の提案理由には・・・
・・・職員が長期間にわたり育児と仕事を両立できるよう、地方公務員の育児休業等に関する法律の規定に基づき、育児のための短時間勤務(以下「育児短時間勤務」という。)制度を実施するため、関係5条例について次のとおり改正を行う。・・・
 ・・・とありますが、この「地方公務員の育児休業等に関する法律」の最終の改正がされたは、平成22年12月3日です。
 この条例議案、両方とも、平成25年1月市議会臨時会・今年1月10日の臨時議会に上程できたのではないのでしょうか?
 市のホームページで公開されている「平成25年3月市議会定例会付議事項の主要内容」5ページの「平成24年度3月補正予算主要内容」には、同じ400万円の「音声案内装置設置、エスコートゾーン整備」というのは記載されていますが、この人事情報システム保守の委託料400万円については記載されていません。けれども、市のホームページで公開されていない、こちらの分厚い補正予算書の中には、ちゃっかり書かれている。何故なんでしょうか?やっぱり、この予算案はまずいと思って、できるだけ隠したかったんじゃないんでしょうか?
 これから審議していく条例案が可決成立しないことには、不当かつ無意味な予算案を先に出して、可決させようとするというのは、問題だと思いますし、答弁も不誠実ですので、私は今回の補正予算案には賛成できないということを表明します。

生活保護費の過払いについて

<質問1>
 高槻市の福祉事務所が、生活保護費の障害者加算の認定を誤り、約4200万円を過払いしたことが、厚生労働省の指摘をきっかけに明らかになりましたが、この過払い金については、これまで、いつ、どれだけの返還があったのでしょうか?また、この過払い分についても国の負担分があると思いますが、国に対しては、どれだけ返還すべきで、既にこれまで、いつ、どれだけ、返還したのでしょうか?

≪答弁1≫
 障害者加算の返還額につきましては、現在、係争中の案件であり答弁は差し控えさせていただきます。

<質問2>
 係争中だから答弁できないということですが、係争中であっても、議会に補正予算案を上程してこられる以上、ちゃんと議会の場で説明すべきです。障害者加算の認定誤りの返還額を詳らかにしたからといって、住民訴訟にどんな影響があるんでしょうか。
 生活保護を受けておられる方から返還を受けるわけですから、回収率も、そんなに高くはないのではないかと思うのですが、もしかすると、それを隠すために、裁判中だということを理由にしているのではないのでしょうか?
 この件は、厚生労働省から指摘があったことも高槻市は公表しませんでしたし、極めて不透明だと思います。

◆市民会館の耐震診断について

<質問1>
 市民会館の耐震改修のための耐震診断の1100万円についてです。補正予算説明書では31ページです。
 これは橋本議員からのご質問もありましたけれども、橋本議員のご質問の内容からすると、コンクリートの老朽化が進んで耐震性能がかなり低いんじゃないかなと思われますし、そうすると、橋本議員のご質問の中にもありましたが、耐震改修もどうやら現実的ではないんじゃないかなというふうにも感じました。
 そうすると耐震診断自体、無駄ではないかなとも思えるんですけれども。また、先ほど、和田議員への答弁では、富寿栄住宅は建て替えで耐震化を図るんだということでした。
 市民会館も近々建て替えるということで、高槻市では、平成23年3月に、市民会館建て替え基本構想を策定して、懇話会等で議論をしてきたという経緯もあります。建て替えるということであれば、耐震改修・耐震診断に費用をかけるというのはもったいないというふうに思えるのですが、この点については、どうお考えなんでしょうか。
 また、市民会館は、いつ、どこに建て替えるのかということに関しては、どれだけ議論・検討が進んでいるのでしょうか?
 その2点についてお答えください。

≪答弁1≫
 市民会館の建て替えにつきましては、検討を重ねているところです。それまでの間、市民会館の耐震強度を客観的に確認するため耐震診断を行うものです。

<質問2>
 3点伺います。
(1)耐震診断の数値というのは、具体的に、どのように活かされるのでしょうか?これは学校の校舎の耐震性能の基準なので、ちょっと違うのかもしれませんが、Is値が0.75未満だと耐震化工事が必要とされていますし、さらに、Is値が0.3未満であれば、震度6強以上の地震が起きたときに、倒壊または崩壊する危険性が高いとされています。
0.75以上だと対策の必要はないのかもしれませんが、0.3以上0.75未満の場合はどうされるのでしょうか?また、0.3未満の場合はどうされるんでしょうか?それぞれにおいて、どのような対策や、耐震改修工事を行うのか、具体的にお答えください。
(2)ご答弁からすると、市民会館の建て替え時期については、未定のようですが、現在の市民会館の耐震性能が、耐震診断の結果、低いということになれば、建て替えの議論・建て替えの時期を早めるということもありえるのでしょうか?お答えください。
(3)富寿栄住宅は建替え矛盾した対応だと思いますが、こうした矛盾した対応をされる理由をお答えください。

≪答弁2≫
 市民会館、耐震診断の結果を踏まえて検討をいたします。
 先ほど橋本議員のご質問にもお答えさせていただきましたが、基本計画等の手順を踏まえていきますと、非常に長くかかると想定をしておりますので、耐震診断の客観的な数値を確認をしようというものでございますので、よろしくお願いいたします。

<質問3>
 普通であれば、耐震診断・耐震改修は当然やるべきだと思うんですけれども、先ほど和田議員の質問にありました、富寿栄住宅については、建て替えで耐震化を図っていくんだということと、この市民会館の耐震診断というのは、やはり矛盾していると、私も思います。
 この点については、和田議員に同意をするものですけれども、そうした点からも、この予算案には反対をするということを、表明します。以上です。