高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

【情報公開請求訴訟】控訴審の第1回口頭弁論は12月22日

ヤミ手当」と労働組合幹部への便宜供与の実態が明らかになるであろう「時間外命令簿」の開示を求めて裁判を起こし、弁護士さんなしの本人訴訟で争い、大阪地裁で全面勝訴した事件についてですが、高槻市は、この判決を不服として、9月29日に大阪高等裁判所控訴しました。

先日、大阪高裁から連絡があり、控訴審の第1回口頭弁論の記事tが、12月22日13時15分からとなりました。場所は、大阪高裁73号法廷です。

ぜひ傍聴にお越しください。

以下は、私が提出した控訴答弁書です(一部改変しています)。

平成22年(行コ)第152号 公文書部分公開決定処分取消請求控訴事件
控訴人  高槻市
控訴人 北岡隆浩

控訴答弁書

第1 控訴状に対する答弁

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
との判決を求める。

第2 控訴理由書に対する答弁

控訴人の主張に反する主張はすべて争う。

第3 被控訴人の反論

1 控訴控訴理由書「第2 原判決の誤り」中、1について

控訴人は、原判決は、最高裁平成15年11月11日判決の趣旨に反すると主張するが、同判決は、公文書中の「給料表の種類」欄及び「級・号給」欄に係る部分を非公開とすべきとしているだけであり、本件とは事例を異にしているから、控訴人の主張は失当と言わざるを得ない。

なお、同判決における「・・・公務員の職務の遂行に関する情報は,公務員個人の社会的活動としての側面を有するが,公務員個人の私事に関する情報が含まれる場合を除き,公務員個人が同号にいう『個人』に当たることを理由に同号の非公開情報に当たるとはいえないものと解するのが相当である。」との論旨からすれば、原審の判断は妥当である。

2 控訴控訴理由書「第2 原判決の誤り」中、2について

控訴人は、「乙2にあるとおり・・・収入額は正確に計算でき」るとするが、正確に計算できないことは、被控訴人(原告)平成22年3月11日付け準備書面2及び同平成22年6月26日付け準備書面3のとおりである。

すなわち、勤務割出表(甲9)においては「休暇種別」や「休日・有休」「夏休」「特有」「代休」「病欠」」「半休」「早退」「遅刻」「その他」等の欄が黒塗りにされ非開示となっており、職員が有給あるいは無給の休暇等をどれだけ取得したのか不明であるから(例えば、育児休暇や介護休暇は給与が支給されないし、病欠は3か月を超えると無給になる。)、正確な報酬額を算出することはできない。仮にこれらの休暇がない場合でも、乙10の6頁「4 実際に支払われた額との差異」に記載のとおり、実際に支払われた額と試算との間に、差異があることを、総務課長自らが認めている。つまり、正確な報酬額は、理想的なモデルで試算をしても、不明であるといわざるをえないのである。そもそも、職員のうちの誰が、非常勤職員なのかが分からないのであるから、報酬額は計算できない。仮に、上記の情報がそろったとしても、素人が給与計算を行うには、相当な知識と労力を要する。

したがって、この点については、控訴人の主張も、原判決も、失当である。

3 控訴控訴理由書「第2 原判決の誤り」中、3について

控訴人は、「原判決の最も重大な誤り」として、非常勤職員の間においても、時間外勤務等の多寡の影響により収入にバラツキがあり、「個々人の収入差は大きく、個人にとっては常勤職員と同様重大な個人情報であるので、万一、これが公開されるとなると権利利益が害されることは明白」とする。

しかし、収入のバラツキの差が大きいのであれば、控訴人の主張とは逆に、個々人の収入については、推知が困難になる(そもそも前項のとおり、正確に計算はできないのであるが)。

控訴人が仄聞するところによれば、むしろ、このように、基本の給料の額が同一である非常勤職員間で、時間外手当等によって、大きな収入差がついていることに関して、不満をもつ職員が多いとのことである。当局お気に入りの非常勤職員には多くの残業が付けられ、気に入られない職員は残業が削られる。そうした差別的な待遇による非常勤職員間の収入格差が、この情報を公開することで明らかになる。

そして、ヤミ手当の実態も明らかになるのである。すなわち、高槻市においては、実労働時間制(拘束時間から休憩時間を除いた時間を給与の支給対象時間とするもの)がとられており、これは、時間外勤務についても同じで、控訴人も、昨年の3月議会及び5月議会で、時間外勤務においても実労働時間制である旨答弁したが(甲5及び6)、実際は、控訴人は、時間外勤務の休憩時間についても、無用な時間外勤務命令を行い、給与条例主義に反する時間外勤務手当等の手当、いわゆる「ヤミ手当」を支給してきたのである(甲7)。この具体的な実態も明らかとなる。

控訴人は、非常勤職員の立場に立ったような、もっともらしいことを主張するが、自らの違法不当な行為を隠蔽するために、当該情報を隠したいだけだとしか考えられない。

4 控訴控訴理由書「第2 原判決の誤り」中、4について

高槻市交通部に関しては、平成19年に、「幽霊運転手」事件として大きく報道された問題があった。これは、実際に勤務した職員と、公文書上に記載された職員名とが異なっていたものであり、勤務実態のない職員に対して給与を支給していた事件である(この事件の真相は、労組のヤミ専従隠しに当局が加担していたものであった。高槻市はこれを、被控訴人が情報公開請求した公文書を改ざんすることで、隠蔽を図った。)。

このように、高槻市では、公文書によっては、勤務者名が異なっている可能性があり、既に別の公文書で職員氏名を開示しているからといって、他の公文書では開示しないとなると、「幽霊運転手」行為等について、住民が監視をすることができなくなり、公益性を損なうおそれがある。

5 控訴控訴理由書「第3 結語」について

控訴人は縷々主張するが、以上のとおり、理由がない。

時間外勤務の情報が開示されなければ、どの職員が、いつ、どれだけ残業したのかが、住民の目に届かなくなってしまい、「カラ残業」「幽霊運転手」「ヤミ手当」「労組役員への利益供与」等がされたときに、住民がチェックできなくなる。行政の思うままに残業がつけられ、無駄な公金が支出され、それによって職員らが私腹を肥やすおそれが出てくるのである。

したがって、職員の時間外勤務の情報を開示することは、公益性が大なのであり、原判決は維持されるべきである。

以 上