高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

島本町民が高槻市との合併に反対した理由…府市町で協力を

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本日16時05分から約25分間、大阪府庁で、橋下大阪府知事は、奥本高槻市長・川口島本町長と、広域行政運営と合併問題について会談しました。

★橋下府知事「合併しかない」…高槻市長、島本町長と会談
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20100422-OHT1T00326.htm

 大阪府橋下徹知事は22日、広域行政運営で連携を模索する府北部の高槻市長、島本町長と府庁で会談した。会談後、橋下氏は記者団に「『合併しかない』と伝えた」と述べた。

 奥本務高槻市長と川口裕島本町長は、し尿やごみ処理などでの連携について話し合う「広域行政勉強会」への府のオブザーバー参加要請で訪問した。両市町では過去に合併協議が破談となった経緯があるが、橋下氏によると、合併提案に奥本氏は前向きだったが、川口氏は戸惑った様子だったという。

 中核市高槻市は人口約36万人で、隣接の島本町は約3万人。橋下氏は「(自治体規模が)小さくてやっていけないときに『府に支援を』と言われても無理」と指摘。「川口町長には『政治家になってください』と伝えた。僕は必要なら住民に説明に行く」と、合併を支援する考えを示した。



そもそもは、島本町が、し尿処理施設が老朽化したことから、高槻市に支援を求めてきた話。ところが、それにとどまらず、合併の話にまでなってしまったわけです。島本町側としては計算違いだったかもしれません。ちなみに島本町のし尿処理施設・島本町衛生化学処理場は、高槻市東上牧3丁目にあり、昭和41年の設立です。

橋下知事は「合併しかない」としていますが、平成15年には多数の島本町民が反対したため、当時の町長が合併を断念したという経緯があります。

島本町民は当時、何故反対したのでしょうか?

今年の2月、高槻市島本町が広域行政勉強会を再開したと聞いて、私はインターン生と島本町役場に赴き、平成15年に何故合併が断念されたのかを調べました。

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上図のとおり、合併に賛成した町民は20.3%、反対は48.7%、どちらともいえない25.6%、わからない5.1%でした。

反対の理由は・・・

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1.地域に即したきめ細かな行政サービスが期待できなくなる…71.3%、
2.地域の特性や個性を発揮することが難しくなると思われる…63.8%
3.大規模になると、住民の声が行政に反映しにくくなると思われる…53.5%
・・・
5.中心部と周辺部では公共施設の設置など、周辺部に不利になると思われるから…45.9%
・・・

といったものでした。こうした不安を払拭しないと賛成派は増えないと考えられます。

合併は、市町の規模からして、高槻市が存続する形で行われる可能性が高い。そうなると、町長は失職しますし、町議会議員も合併特例法(市町村の合併の特例等に関する法律)が今年3月で失効しているので失職することになります。

ですので、よほど町民が賛成して後押しをしない限り、町長や町議を合併へと動かすことはできないと思われます。

奥本市長は「し尿処理施設の課題だけでは、高槻市としては受け止められない」と、し尿処理施設を人質にとって合併を進めようとするような言い方をしていますが、合併しようというのなら、むしろし尿処理施設の支援をして、島本町民に歩み寄り、友好をアピールしたほうがよいのではないでしょうか?

隣人が困っているのに、こういうやり方で感情を逆なでしては、進むものも進まないと思います。

橋下知事も「合併するなら、し尿処理施設については大阪府も補助をする」くらい言ってほしいですね。

下記の産経新聞の報道によれば、高槻市側も「合併によって人口維持を図り、長期的な都市設計を進められる」というメリットを計算する声もあるとのこと。

大きな視点で全体の利益を考え、お互い歩み寄り、円満解決に向けて、府市町の三者で協力していくべきです。

橋下知事の仲介、合併破談2市町が6年ぶり連携協議
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100422/lcl1004221611003-n1.htm
2010.4.22 16:10

 「平成の大合併」に合わせて合併議論が進みながら、住民の反対で実現しなかった大阪府高槻市島本町が、再び広域連携をテーマに本格協議を始める。合併破談から約6年、協議には、大阪府市の再編を掲げる橋下徹知事もコーディネーター役として参加。22日夕には橋下知事と奥本務高槻市長、川口裕島本町長が3首長会談を開き、協議の第一歩を踏み出す。

 高槻市島本町では平成13年から合併協議を始め、両者で研究会を立ち上げるなどして道筋を模索してきた。しかし、島本町側で「合併すると住民サービスが低下する」といった反発が強まり、町が行った住民アンケートでは、反対が48%を占めたため、当時の村田匡町長が16年1月、合併を見送る判断をした。

 ところが、最近になって高槻市内にある島本町営の屎尿(しにょう)処理施設が老朽化しているにもかかわらず、財政難などから建て替えのめどが立たない問題が浮上し、市側に協力を要請。これに対し、奥本市長は「屎尿処理の受け入れということだけでは、市民の理解は得られない」とし、合併も含めた広域行政の検討を行うことになった。

 島本町の人口は約3万人で、高槻市は約35万人8千人。市によると、今後少子高齢化に伴う人口減少が進むため、20年後には市の人口が30万人を割り込み、75歳以上の比率が現在の約8.1%から23.5%前後に増加するという予測もあるという。

 一方、大阪都構想を掲げる橋下知事は、大阪市を中心とする都市部を20区に再編する計画を検討。その周辺地域については「30万人以上の自治体が望ましい」としており、両市町の動きと思いが合致した。

 協議の進展次第では、両市町の間で合併議論が再浮上する可能性もあるが、住民の反対で破談になった経緯があるだけに、協議はまず職員の勉強会からスタート。22日には、両市町が府側に対し、合併や広域行政について話し合う勉強会に府職員の参加を求める。

 税財政の優遇措置など国による「平成の大合併」の促進策は、今年3月で終了。全国の市町村数は、促進前の3232から1727にほぼ半減した。ただ、両市町の協議が合併の方向に進んでも、優遇措置の対象外となる。

 高槻市内部には「合併を行えば、財政的な負担が大きい」と否定的な意見がある半面、「合併によって人口維持を図り、長期的な都市設計を進められるメリットもある」と期待する声もあるといい、今後の協議の行方が注目される。