高槻ご意見番

「高槻ご意見番」の代表で、高槻市議会議員の北岡たかひろのブログです。

昨年のグラフを使い回して「健全な財政推移」とはいかがなものか?

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3月1日から3月議会が始まり、奥本市長の施政方針演説も行われました。

その資料の一つとして、「平成22年度施政方針大綱(概要版)」というものが配布されました。これは高槻市のサイトでも公開されています。

この最後のページの「健全な財政推移」のグラフを見て私は「おやっ?」と思いました。「積立金」が、ここ3年間は減少傾向にあるのに、右肩上がりの矢印がつけられています。

昨年はどうだったのかなと思い、1年前の「平成21年度施政方針大綱(概要版)」を見てみると、今年のとまったく同じグラフが使われていました。

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そこで財務部に確認してみると「同じグラフが使われていることは、北岡議員に指摘されるまで分かりませんでした。市長公室がやったことで、こちらでは把握していませんでした。」といった感じで驚かれました。

施政方針で、昨年のグラフを使い回して、実態とは合っていない矢印をつけるなんて、どういう神経をしているのかと思いましたが、財務部に最新のデータを送ってもらったところ、もう一つ分かったことが。昨年の大綱を作った時点では、21年度の数字については、予算の数字をベースにしていたのですが、今年の決算見込み額と比較すると、積立金の減少ペースが若干改善をしているんですね。最終的に財政調整基金を取り崩す必要がなかったために、予想よりも積立金が減らなかったとのことなんですが、だったら、この新しい数字を使ったほうが、もうちょっとマシだったということをアピールできたのに・・・

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でも、そうすると、市債残高(高槻市の借金)が増加に転じることになるので、昨年のグラフを使い回したのかもしれません。

まあ、昨今の経済情勢ですから、税収が減っているだろうということは誰でも予測できるわけで、多少財政が悪化しても、市民は文句を言わないと思います。けれども、実態に合っていないような矢印をつけたり、昨年のグラフを使い回したりしたら、「市民をごまかそうとしているのではないか?」と疑われても仕方がないのではないでしょうか。

そのあたりは誠実な説明をしてほしいですね。

ちなみに、財務部によると、最近の積立金の近年の減少については、職員の退職に備えて積み立ててきた退職手当基金を、団塊の世代の職員が一斉に退職する際に取り崩したためとのこと。矢印で安易に印象操作をするのではなく、そういった説明こそちゃんと入れておくべきでしょう。